2024/04/27 のログ
ご案内:「九頭龍山脈 山賊街道/山中」からカザンさんが去りました。
ご案内:「九頭龍山脈 山賊街道/山中」に天ツ鬼さんが現れました。
天ツ鬼 >  
九頭龍山脈、その山中。
麓からやや外れた林道を疾風の如く駆ける者が在った。
それは二匹。
一匹は、中型程度だろうか。竜である。
何かに追われるように細い木々を薙ぎ倒し、走っていた。
そしてもう一匹は、追う側──。

「ええい…! まだ逃げるか、竜の癖に尻尾を巻くなぞ…!!」

止まれ、戦え、と喚きながら疾駆する黒い影一つ。
奇妙な追いかけっこが発生していた。

───しかし、決着?は早々に。

天ツ鬼 > 「ぐゥ…、なんたる逃げ足…」

全力で逃げさればえた竜の速度には遠く及ばず。
逃げた痕跡を追うことこそ容易いなれど、標的は既に遠く彼方であった。
ぜーぜー、と荒く呼吸する女鬼が一匹、悔しがるのみ。
さて何があったかといえば見たまんま。
竜だ!戦え!強い!なかなかやるな!あ!逃げた!待て!思ったより早い!
そんなわけである。

「おのれが~。しかしヤツも巣に戻り傷を癒やすに違いない…」

竜の爪と牙によってそこそこ女鬼も怪我を負ってはいたが、
このまま痕跡を追い、とどめをさすには容易い。
……洞窟地下の溶岩の中とかに住んでいる、とかでなければだが。
やれやれ、と徒労感のままに竜の逃げた先…木々や草が折れ倒された痕を歩いてゆく。

天ツ鬼 >  
その痕跡を追いたどり着いたのは、大きな洞穴の入り口。
さてここが竜の巣か、と喜び勇んだはいいが───。

「…巣穴にしては妙じゃな」

洞穴に入った途端、移動した痕跡がぴたりとなくなり、何より血の匂いすらもしない。
さて、と首を傾げながらも一先ずは奥へ進むべく闇へと踏み入る。

深い洞窟のあちらこちらには獣の骨やら何やら、なんなたら人の骨も散らばっている気がするが。

「竜の巣ってもんはもっとこう、宝物とかがあるもんじゃなかったか…」

ううむ、と小さく唸る雌鬼。
追っかけてきたつもりが道を間違えたのかもしれない、と。

天ツ鬼 >  
その後も洞窟を進んでゆく女鬼が、これはいよいよ違うなと気づいた瞬間があった。

「…むう」

亜麻色の髪を悩ましげに掻きながら、目の前に現れたそれを見据える。
それは、竜の骨。
それも見を横たえ白骨化したものではなく、バラバラになった状態の竜の遺骸である。
いよいよもって竜の巣穴でないことは明らか。
しかしこれは、見方を変えれば竜を捕食し得る者…そう、自身と同等かそれ以上の怪物の存在を示唆している。

徒労かとやや萎え気味だった女鬼の眼にギラついた光が宿る。

「ふふ、俄然やる気が湧いてきたぞ」

頭が単純な女鬼は洞窟の更に奥を目指し悠然と歩みを再開する───