2024/03/27 のログ
■テレノ > まぁ、普通こんな所にいる人間は山賊なり夜盗なりだろう。
自分がそうじゃないとは口が裂けても言えない、何せ証明出来ないのだし。
そうして停車した後に、乗車の許可を貰えれば笑いながら頷いて。
「どうやら今日は俺のラッキーデイだな、昼過ぎから遭難してた分の釣りが返ってきたらしい。
有難うよ、礼と言っちゃ何だが――ここでワインなら安く仕入れられるぜ、是非とも御贔屓にってな。」
そう言って御者に投げ渡すのは、自領に関連する直営店がある名刺。
身分も肩書も書かないシンプルなものだが、見れば割引はするだろう。
そうして陽気に笑って見せながら、屋根上へ上る事となる。
意外と力が強いと思いながら、屋根上に辿り着けば彼女の顔を改めて見て。
「しかし可愛い女の子と一緒に馬車の旅、と来たか。
こりゃなかなかに美味しい話って奴だな――ああ、失敗したな。
生憎と酒瓶を切らしちまって、水しか無いとはなあ。」
何が楽しいのか、そんな風に笑って見せてから。
唇に改めて笑みを浮かべて、彼女へ改めて向き直り。
「有難うよ、お陰で野宿にならずに済みそうだ。
凶暴な牛の魔物が山賊やら夜盗やら含めて暴れてるってんで。
力試しに向かって討ったは良いんだが、どうにも帰りの道を忘れてな。
途方に暮れるのも馬鹿らしいから、水瓶で一杯やってたところよ。」
酔狂としか言いようのないものだが、事実である経緯を口にして。
そうしてから、彼女に向けて。
「俺はテレノ、王立学院の学生で冒険者よ。
野宿の危機を救ってくれた可愛い貴女の名前、聞かせて貰って良いかい?」
まぁ、口上からして判る女好きと言わんばかりの言葉。
口説いているのかどうなのか、判断のつきかねる言い回しで名前を聞く。
猶、酒が入っても入っていなくてもこれが平常運転である。
■メルリンディア > お礼と投げ渡された名刺に驚きながらも、どうにかキャッチする御者。
直営店の名前が書かれたそれに、使わせてもらうよと答えながら笑みを見せる。
それから屋根の上へと引き上げれば、こちらの姿も見えやすくなるだろうが如何せんまだ暗い。
それでもベージュの様な薄い髪色に丸い碧眼をした童顔や、白いワンピース姿ぐらいは分かるはず。
「ふふっ、褒めても何も出ないよ? 酒瓶……って、ここでお酒飲んでたわけじゃないよね?」
容姿を褒められるといつもは謙遜しながら恥じらう事が多いが、冗談めかすように聞こえる言葉に、こちらも同じ様に答えて微笑む。
それも、流石に酒瓶と聞こえれば、瞳を瞬かせて驚きの色合いに変わっていくが。
そうして向き直る彼が語る事情へと耳を傾けながら、何度か頷いていく。
「まだ野宿には寒いからね。凶暴な牛の魔物……だから今日、賊の姿が見えないんだね。ふふっ、それはお疲れ様……帰り道忘れたって、まさか本当にお酒飲んでたの?」
そう言えばアルコールの匂いがするようなと、そんな錯覚めいたものを感じてはいたが、まさかと半目になる。
酒に酔っていたなら道を忘れるのも分からなくはないが、酔いどれのまま戦って勝ったってこと? 等と一人考えながら、じーっとそちらの様子を見つめるばかり。
「ふふっ、お褒めありがとうね? テレノね。私はメルリンディアだよ、よろしくね。もしかして学校でもいつもそんな感じなの?」
遊び好きそうな人だなぁなんて思いつつも、クスクスと微笑む笑みを見せながらの自己紹介。
学校でも同じペースなら、他の女の子にもあれこれ口説いてるのかなと想像しつつ、少しだけ眉を顰めた笑みに変わっていった。
■テレノ > いやはや、縁はどう繋がるか判らない。
当主の紹介となれば、悪いようにはしないだろうと言う見込み。
あんまり渡すものではないが、危機を救って貰った礼には十分だろうとも。
そうして改めて屋根の上、可愛らしい格好と言ってしまえばそれまでだが。
不思議とよく似合う、と言うのが素直な感想。
同時に、結構力があった事から――御同業か、傭兵か、等と当たりをつける。
女で懲りはしないものの、それでも生まれ持った性分は仕方がない。
「昼過ぎに少しは飲んでたな、今はこの通りただの水よ。
ほら、シェンヤンの方では、月を肴に水杯。
そんな、実に粋な話もあるそうじゃないか?
それを見習って、瓶で一献飲んでいたって訳だな。
まぁ、酔いはありゃしないから大丈夫さ。」
笑いながらそんな言葉を一つ返す。
実際見習ってみたが、これはなかなかに風情が良い。
何より酒臭くなくなるから、こうして話もスムーズに運ぶ。
なかなかに良い事を異国の人も考えるものだな、なんて思案しつつ。
「事実、何度か俺が戦ってる中で賊の連中も巻き込んでね。
……とはいっても、明日明後日にもなれば奴さんらは元気にうろつくだろうが。
野宿とまでは言わないが、長い休憩なら取れると思うぜ。
後は、連中の使っていた塒なんかも幾つかは判るがね。」
軽妙な言い回しで、この辺りの安全を保障する。
冒険者としてもそういった問題は解決しておきたかったし、渡りに船と言う形だ。
そうして、彼女からの問いかけには頬を掻いて。
「朝の迎え酒ってのはなかなかに魅力的よ。
どうにも酔った事が無いのと、実家のお陰で飲みなれているもんでな。
気が付いたら呑んでいる事も割と珍しくはない、って奴だ。
お陰で少々忘れっぽいが、まぁそこは勘弁願いたいね。
ただ、水魔法やら医者の言葉を借りるなら、俺は至って健康よ。」
酒が無いと手が震えたりする訳では無く、水代わりに飲んでいると言う生粋の酒好きだ。
ある意味で言えば、彼女が出会った事が無いタイプかもしれない。
ただし実力が確かな事は、斜面で座って水の瓶を飲んでいたり斜面の一部を足場へ変えたりと。
存外に小器用な魔法の使い方をしている事からも伺えよう。
「メルリンディアね、良い名前だ。
期待に反する形だが、学院だと口説く、まで行くことはどうにも稀だな。
と言うのも何分、色々とやることが多い身の上なもんで。
その分、学外でこうして可愛い子に逢えるからなかなか悪いものでもない。」
実際、出席率自体はここ最近は良い。
少々稼業の方、はっきり言えば当主としての仕事で欠席はあるものの。
それ以外は普通に生活している。
逆に言えば当主稼業がそこそこ忙しいので、こうして時折腕試しをする位しか無いのだ。
「……ああ、そこの斜面で死角になっている所があるだろう?
そこがこの辺りの山賊の塒だった所だ。
休む分には持ってこいだろうし、急ぎの荷でも無いなら如何かね?」
■メルリンディア > 「えぇ……戦う前に飲んじゃってたの? そんなのがあるんだ、水杯……でもお酒入って戦えるのは凄いと思うよ」
異国情緒には詳しくないので、良く分かってない顔をしていたが気になったのは酒を入れて戦った事実。
そんなに酒に強い性質でもない自身からすると、少しグラグラする景色と共に動き回ったら胃の中身をぶちまける未来しか浮かばない。
運動と水でアルコール濃度も薄れているようだし、今は問題なさそうだが真似できない立ち回りに呆気にとられた瞳が再び瞬く。
「ふふっ、こっちとしてはありがたい限りだけど、向こうはとんだとばっちりだね。そうなの? じゃあルート上に近いところがあったら教えてくれないかな? 一応警戒しながら通り抜けたいし」
行き掛けの駄賃と言わんばかりに討伐されたとなれば、彼らには御愁傷様としかいいようがない。
悪党に祈る義理はないが、あまりの運の悪さに風邪をひかない程度は祈ってあげても良さそう。
そして飲酒戦闘の理由が語られていけば、先ほどなにかワタシていたのはその絡みかなと思いつつ、一瞬御者の方へと視線を送る。
「ちょっと忘れっぽいのは困ることありそうだけど……でもそれだけお酒に慣れてたら、戦えたのも分かるかも。結構飲んでそうだけど、それでも問題ないのも凄いと思うよ」
ご両親もザルなタイプだったのかななんて思いつつ、あははと乾いた笑いが溢れる。
学校にも通っているというのもあるし、単独活動するには十分な力はあるのかななんて思いつつ耳を傾ける。
「やること。ふふっ、こうして外に出て口説くのがそれだったりとか?」
彼の出自までは分かっていないのもあり、戯れに遊び回っている年頃の男の子というイメージ。
学校のシステムを知らないものの、外での活動が成績に影響するならそういうのも一石二鳥になるのかもなんて思う所。
そんな中で示された場所へと振り返ると、ぎゅっと目を凝らして糸目の様になっていく。
そう遠くないポイントを確かめてから、腰のポーチに収めた懐中時計を取り出して蓋を開いた。
港町を出てからの時間を確かめると、鞄から地図を取り出して周囲を見渡しての現在位置を計測。
多分この辺かなと指でなぞれば、一息つくには悪くなさそうなタイミングでもあった。
「……じゃあちょっと使わせてもらおうかな。教えてくれてありがとう、ちょっと御者さんに伝えてくるね?」
小気味いい音と共に時計の蓋を閉じてポーチに戻すと、御者のところへとヒョイッと飛び降りる。
体幹の良さもあって音もなく降り立つと、地図を見せながら事情を説明。
御者も了承したところで、再び屋根の上へと飛び乗ると馬車は緩やかに進み続ける。
倒したとは言え、まだ残ってる賊もいるかもしれないからと、警戒しながら塒を確かめて利用することになりそうだ。
ご案内:「九頭龍山脈 山賊街道/山中」からテレノさんが去りました。
ご案内:「九頭龍山脈 山賊街道/山中」からメルリンディアさんが去りました。