2024/03/26 のログ
ご案内:「九頭龍山脈 山賊街道/山中」にメルリンディアさんが現れました。
メルリンディア > 海の向こうから取り寄せられた異国の品々から、日常的に使われる調味料に薬の材料等など。
交易品が集まる港町から出発した荷馬車は、ガタゴトと揺られながら九頭竜山脈沿いの道へと差し掛かる。
山賊街道等と揶揄されるのも、こうした価値ある品々を狙う賊が多く蔓延っているからだろうか等と考えながら、自身は荷馬車の屋根の上に座っていた。
時刻は夜、空には蒼月が雲間から時折覗けて僅かな光が周囲を照らすが、木々の多いここでは焼け石に水。
けれども、何故か馬車のランプは灯っておらず、馬も昼間の様に進めているのには理由があった。
依頼主から渡された魔法薬、それを飲むと夜目が効く様になり、まるで昼間の様に見通せるのである。

「これなら見つからなさそうだよ」

ぽそっと小さな声で呟きながら、まだ冷たさの残る夜風に緩く波打つ髪を抑えながら目を細める。
問題はあまり強い光を見ると、逆に視野を潰されてしまうということなのだが、そもそも襲われなければ問題なし。
左手側は崖、右手側は急勾配の斜面に森、道幅もそんなに広くはなく、大きな荷馬車ではギリギリといったところか。
山の斜面を削って作った街道を、ガラゴロと車輪が音を立てて周り、着実に王都へと向かっていく。

ご案内:「九頭龍山脈 山賊街道/山中」にテレノさんが現れました。
テレノ > 九頭竜山脈まで来たのは、何も伊達や酔狂と言う訳ではない。
いや、酒を飲んでいる事が多いとはいえ流石に今は酔っていないのだが。

単純な話だ、力試しにこの辺りの魔物へ挑む事にしたのは良かった。
実際に目当ての魔物を見つけ、狩ったまでは良かったのだ。

良かったのだが、見落としていた事が一つ。
酔っぱらっていた時に道を歩いた所為か、帰りの路が判らない。

詰まる所、絶賛迷子中と言う訳だ。


「いやはや、全くこの歳で迷子とはずいぶん笑える話だね、っと。」


酒の代わりに瓶に入れた水、シェンヤンの方では水杯なんて言葉もあると言う。
ならば雲間の月を肴に、水瓶で一杯といけばいい。
……そんな洒落た事も人生には必要だ。

一口ぐいと煽ってから、不意に聞こえるのは車輪の音。
斜面に土魔法で段差を作り、水の瓶を呑み干す男がゆるりと崖上を見上げれば。

大きな荷馬車と、その上に居る少女の輪郭を目にして見せる。
――或いは、夜目が効く彼女からすれば、崖に腰かけ瓶を呑む。
そんな酔狂の如き青年の姿が、目に入ったかもしれない。

いずれにせよ、ゆっくりとした馬車に手を挙げて。


「おおい、街へ行くなら連れて行ってくれると助かるんだが……御同道しても構わないかい?」


言葉を一つ投げかけながら、斜面に足場を作り。
馬車に対して平行に、歩きながら首を傾げて見せた。

メルリンディア > 馬車の進路の先、なにかが見えてくると目を凝らしながら女の子座りのまま両手を屋根について前傾姿勢。
御者も彼の姿が見えているのか、馬の速度を落としながらチラチラとこちらへと視線を送ってくるのがみえる。
こんなところで一人座り込む男性の姿に、訝しげに首を傾げていると同行を求む声。
足止めの罠だろうかと少々警戒しながらも、トントンと屋根を叩いて合図すると停車。
後ろを確認し、それから右手側の斜面へと視線を向ける。
仕掛けるならこのタイミングと思うものの、他に人の姿も気配も感じられないともなれば、屋根から上半身を乗り出して大丈夫そうと御者に小声で囁いていった。

「……うん、いいよ~。上で良ければ乗っちゃって?」

笑顔で承諾すると魔術で足場を作りながらになると疲れるだろうからと、そちらへと手を差し出していく。
掴んでくれたなら、そのまま引っ張って屋根上に登るお手伝いをするが、見た目よりも力強く引き上げることになるはず。