2023/12/04 のログ
ご案内:「九頭龍山脈 山賊街道/山中」に天ツ鬼さんが現れました。
天ツ鬼 >  
九頭龍山脈、女鬼の住む洞穴の近く。
…近くといってもそれなりに遠くはあるが、鬼の足で早駆けて約数刻。

降り注ぐような滝壺で女鬼が一匹。全身をズブ濡らせながら滝に撃たれていた

一見すれば修行僧のようなことをしているようにも見えるが、その実、
整備された河川でもない滝からは折れた大木の破片や岩などが降り注ぎ、それらは女鬼の肉体に容赦なく叩きつけられていた

天ツ鬼 >  
あれから幾日か。
自身よりも矮躯の女鬼と拳を交えたが結果は敗け。
肉体の強さと剛力には自負のある鬼だったが、
その相手は可憐な見目であるにも関わらず全力で殴りつけても尚、壊すことが出来なかった。

「───!!!」

頭上から落下する大岩を咆哮とともに振り上げた拳で打ち砕く。
岩は難なく砕け、四方に散って水柱を立てる。

「巨岩を容易く砕けたとて、あの酒鬼の頭蓋を砕くには能わず、か」

肉体の頑強さにおいては自分以上。
そして屈強な女鬼の肉体を容易く貫いた一撃を思い返せば、守りだけでなくその力もまた───

天ツ鬼 >  
「呵々、やる気にさせてくれる」

己を鍛えねば、と思わせてくれるなど何時ぶりのことか。
絡め手を使うでもなく、正面からぶつかり負けた相手が、
同族であるだけならば兎も角、同性ですらもある…。

負けだと認める腹の奥には当然、沸々と湧き上がる感情がある。
『悔しがっている』のか。この言い知れぬ昂りは。

「───墳ッッ」

再び真上に突き上げた拳。
覇気かあるいは闘気か、其れ共ただの生み出された衝撃の波か
降り注ぐ荒滝は真っ二つに割れ、水滴降り注ぐ中、何時間そうしていたのか知れぬ女鬼が川岸へとゆっくりと歩み、腰を下ろす。

天ツ鬼 >  
腰を落ち着けて、女鬼にしてみれば珍しく思い返してみれば。
果たして敗けた相手が雄の鬼であったならば此処までの感情は湧かなかっただろうことは明白。
雄と雌があれば雄のほうがこと闘争において上回るのは在る意味正しい摂理であるから故。
無論天ツ鬼は負けん気の強い雌ではあるがそういった納得の行く理由の有無は矢張り在ったのか。
まったく同じ条件での敗けというのは、刺さるモノだった。

──などと、似合わぬ思慮に耽っているのだったが

耳がぴくり、と反応する。
何者かの気配、と足音。
遠くもあろう気はするが、ここらに住む山賊の部類でるならばそれは僥倖。

連中ときたら、叩きのめしても、モノを奪っても誰も文句を言われぬのだから

天ツ鬼 >  
意気揚々。
さて金目のものも兎も角、何か良い酒でも持っていれば良いが。

笑みを深めた女鬼は眼を光らせ、気配の方へと駆け出していった───

ご案内:「九頭龍山脈 山賊街道/山中」から天ツ鬼さんが去りました。