2023/09/10 のログ
ご案内:「九頭龍山脈 山中の教会」にダリヤさんが現れました。
ダリヤ > 九頭龍山脈には他の場所との交流もなく、土地を治める領主しか存在を知らぬような集落がいくつも存在する。
それらは山賊の拠点となっていたり、過度に閉鎖的であったり、邪教が蔓延っていたりするも、
王国の管理が及んでいないのが実情であった。
そんな集落の一つ、それを見下ろす位置に建てられた教会。
その一室では淀んだ空気の取り巻くその村を眺めながら、
褐色肌の女がワインをくゆらせていた。

「ふふ…王国もかつてない程に乱れてきましたねぇ…?」

この場所を動かずとも、情報を得る手段はある。
未だに続く魔族の侵攻とシェンヤン帝国との戦争。
それに加え、アスピダで巻き起こる内乱。
当面は、彼女を探す者もいないだろうし、もしかすれば…。
また中央に戻れるかもしれない。

「しかし、それには更に力が必要…っと、そろそろ時間ですね」

彼女はこの教会の司祭ということに表向きはなっている。
この地では彼女の手によって、もはや正統教義からは逸脱し、
カルトと呼んで差し支えないものがノーシス主教として信仰されていた。
そして、それを広めた彼女は、単なる人間ではない。

「さて、今回はどのような子羊を連れてくるのでしょうか…」

彼女の正体はかつてナルラート王に仕えた、200年前から生きる魔人である。
王国の裏で暗躍しながら、巧妙に生き延びてきた彼女は、
先代の王の時代も大いに暗躍し私利私欲を満たしていたものの、
先代王の死と共に矛先が己に向かう前に身を隠し、
今はこうして辺境の村を支配しながら、生贄を捧げさせているのだ。
彼女は支度し、教会の扉を開ける。

「…さぁ、よく来ました。神々に選ばれし子羊よ。
ここからは私が責任をもって、神々の御許へと送りましょう…」

はたして来たのは、彼女が生命力を保つための生贄となる哀れな村娘か、
それとも、あるいは…。

ダリヤ > 扉を開けた先に居たのは、いつもこちらに生贄を届けに来る村人二人。
そして、今年の成人で一番の美人だという村娘。
ダリヤはその顔を見て目を細める。

(今年もやっぱ、物足りないわ……)

確かに、この辺鄙な場所ではこれが美女なのだろう。
しかし王都にいるような貴族の令嬢と比べれば、体付きも顔付きもイマイチだ。
時折目をみはるような美女もいるものの…こんな村の生贄などこんなもの。
しかし、ダリヤはそんな思いなどおくびにも出さず微笑んだ。

「よく来てくださいました…きっと神々もお喜びになられるでしょう」

そう言って、娘の手を取って、教会の中へと連れていく。
そして、扉が閉まれば…娘は二度と、姿を現すことは無いだろう。

ご案内:「九頭龍山脈 山中の教会」からダリヤさんが去りました。