2023/08/31 のログ
ご案内:「九頭龍山脈 山中」にさんが現れました。
> 「うぅん…お肉になるような動物とか、見当たらないですねぇ」

そんな呟きを漏らすのは、一人の少女。
その言葉だけを聞けば、動物を狩って食べようと、そうした目的を持ったものと感じられるだろう。
しかし、そんな少女の姿を見れば、本当にそうする気があるのかどうか、問われるのかもしれない。

どうみても場違いのような、薄い黒色の五分袖にウェスト絞りのワンピースドレス姿。
何の警戒もしていない無用心な歩みを進める度に、微風に艶のある黒髪が緩やかに靡く。
時々足を止めて周りを見回したりするのだが、何も見付からず、ガックリと肩を落とす。

今回は、冒険者ギルドからの依頼。
この九頭龍山脈にある村の一つ、そこへとある荷物を持って行く、というものだった。
特に何か難しいものがある訳ではない、簡単な依頼のはずだったのだが…
その帰り道、ふと見掛けた蝶を追っていたら、気付けば道を外れてよく分からない場所。
元の道に戻ろうとはしたのだが、戻る事が出来ず、今は正しい帰り道を探し中、である。

> そうなると、どうして動物を探す事が今の目的になっているのか、となるだろう。
その理由は、そう難しいものではない。

静かな山中、クゥ、とお腹の虫が鳴く。

「……おなか…すきましたぁ…」

そんな理由である。
前に食べたのが、村を出る時に受け取った保存食。
数日分を持たせてくれたのだが、ほぼ一日でそれは消え去っていた。
普通の人ならば数日分ではあったのだが、大喰らいの彼女からすれば一日持てば良い方だったのだ。

> そうして彷徨う中、少女の耳に届くのは水のせせらぎ。

「はっ……おさかなっ!」

その音は近くに川がある事を連想させ、彼女の足の向く先はそちらへと方向修正をされる。
先に見えるのは獣道、だがそれを気にする事もなく、少女はガサガサと奥へと進んで行くのだった。

ご案内:「九頭龍山脈 山中」からさんが去りました。