2024/07/30 のログ
ご案内:「港湾都市ダイラス “ハイブラゼール”」にノイさんが現れました。
■ノイ > 繁華街にして歓楽街。昼も夜も決して眠る事のない、それがこのハイブラゼールである。
常に人の欲望が渦巻く格好の餌場にして棲息地。魔たる少女は今夜も獲物を探し求め――
「 ………っぅ、ぉ。 ……うぉう…?」
――る、筈だったのだが。今少女は卓に向かい真剣な面持ちで居る。
とはいえ。卓といっても仕事だの勉強だのしている筈もなく。
此処は不夜城の中、人々が集うカジノの一角。
ルーレットという奴の結果が芳しくない為、眉を寄せているのであった。
欲望イコール性欲とは限らない。何せ本能に根ざす物ですら三大欲求というではないか。
それ等に加え金銭欲という物も。質は違うが立派な欲望、即ち少女にとっては、珍味のようなもの…かもしれない。
実際同じ卓を囲んだ者達の中には。一人勝ちしてこの儲けでさて、如何にするか…と。早速考え欲望をぷんぷんと漂わす者もいる。
それをちょいちょいと摘み食いすれば良いのだが…それはそれとして。
負けっぱなしも何だか癪に障る、というのが。少女が表情を顰めている理由であるらしい。
■ノイ > 「…これだから。モノ相手はやーだ…なぁ」
ついつい頬を膨らませる。
例えばこれがカードゲーム等であれば。
相手が勝利とその結果を思い浮かべる…良い手札が回ってきた、勝負に出るチャンスと踏んだ、等を。察知出来る。
少なくとも対人であればタイミングという物を見透かす事が出来るのだが。
これが勝手に動いているスロットだの、回り始めれば手を離れてしまうルーレットだのとなると。
意思も欲望も感じ取れないのでどうしようもない。
結果運に頼るしかないとなると――多分上手くいかないのだろう。
少なくとも魔性の存在へ無駄に幸運を働かせてくれる程。主神様とやらは寛容ではないらしく。かれこれ幾度か連敗中。
あくまでお遊びとしての金額しか投じていないので、懐が寒くなる訳ではないが…やはり単純に悔しい。
結局――赤と黒。二分の一すら、また見事に外してしまい。
眼前から持ち去られていくメダルを見送り、卓上に突っ伏すのだった。
…背中が寒々しい。いや、腰骨に到るまで広く露出したドレスなら当然、という訳ではなく。気分として。
ご案内:「港湾都市ダイラス “ハイブラゼール”」にエリビオさんが現れました。
■エリビオ > ルーレット台の上に積まれたコインの山をレーキがごっそり掻き奪い、勝者へと運ばれる。
座して眺めるコインの山に喜色隠せずににんまりと目を細めてコインの山を撫でていった。
「まさか拾ったコイン一枚でここまで稼げちゃうなんてなぁ。
驚き!働くのがバカみたいだよ」
周囲に誇示するように積まれた山をジャラジャラ音立てて崩しては再び積み上げ。
得意満面に悲喜交交としたメンツを眺めていった。
その中で銀髪の小柄な少女に自然に目がついて、何気なくじっと黒目を寄せていった。
「なんか辛そ…」
■ノイ > 「そりゃー…うん。そりゃぁ此処まで連敗すると。…精神的に辛い、ね…うん」
さて。手元のコインが運ばれていった先、勝者はどうやら。
有る意味この場にそぐわない、羽織り物の下に学生服を着込んだ青年、いや少年と言っても良さそうな人物だった。
其方から聞こえた独り言を聴き留めたのだろう。ぐったりと卓の上に頬を預け横倒しになっていた頭が。縦に変わって顎を着ける。
勝者を妬んだりうらやんだり…ではなく。唯々運という如何ともし難い物に辟易した表情で相手を見やると。
ひらひら、手元で振ってみせるのは。結構有った筈のコインを使い尽くして、一枚だけ残されているという…そんな所まで。
相手と真逆の様子であった。
「おにーさんは、調子良さそうだね――ぇ。こういうのってコツとか、有るの?
良かったら教えて欲しいなぁ……なんて」
■エリビオ > 「精神的に重傷っぽいね。残り、1枚、か」
敗者を煽るようにコインの山を崩していた手は大人しく。
磨き抜かれた一枚を手慰みに指先でコイントスしながら片方の手を顎にそえて天井を眺める。
尋ねになんと答えていいか思慮に思慮を重ね。
次のゲームが始まる中で相手に顔を向けた。
「うーん。ルーレットだからコツはないんじゃないかな。
ただ君みたいに深く考えずやってた。
床に落ちていたコインを黒か赤のどちらかに適当に置いてたんだ。
だから気持ち的にはすっごく楽だったよ」
ピィン、と規則正しく音を慣らして落ちてくるコインに視線を流し。
「ゲームをやってるときも、なくなったら帰ろうってことで。
こんな風にコイン遊びしてたし。深く考えなくて良いんじゃないかな。
すべては神のみぞ知る、みたいな?」
■ノイ > 「勿論わたしも。 …別に勝たなきゃ喰いっぱぐれる訳じゃないし…お遊びでしかないの。
ないんだけど、それはそれとして――悔しい物は悔しい、じゃない?
それこそ運任せのゲームになってくればくる程余計に。自分のステータスが低いみたいな気になっちゃう」
運というのが数値化出来るなら、の話であって。知力体力その他は関係無いのだが。
逆説勝負が時の運であるという事を。相手の成り行きを聞かされてしまうと、ますます実感せざるを得ない。
案の定天に任せる代物に。攻略法のような物は無いらしく――まぁ、有るなら聖職者だの神職だのは大儲けなのだろうし。
結局。此処から相手と同じようにやってみたとしても、二分の一の運命を変える事は出来そうにない。
だったらもう少し現金をコインに両替してくるか…と思案する段階に来て。少女は相手の意見を聞き入れる事とした。
――即ち。
「……そうしようね。流れ、っていうのが有るなり、出来上がっちゃなりするのなら…今日は本当に良くなさそう。
――ねぇおにーさん?わたしは忠告に従ってやめておこうと思うの。けど――
それならそれで。此処じゃ駄目みたいだから、おにーさんの……運?とか気持ちとか? …欲しい、なぁ……?」
ちろり。赤い舌先が唇から覗く。
実際に不運や幸運を頂戴出来る能力など無いのだが。
好転に傾いている相手の欲望というのは――なかなかに。大きく育っていそうではないか。
■エリビオ > 「悔しさ。その気持ちはわかる。」
宙に舞うコインをぱしり、と反対の手で取った後にニヤリと目を細めて。
「それが敗因じゃあないかな?もし運のステータスがあるのなら、運を分配した神様がいてさ。
そいつは俺達の一喜一憂を見てるんじゃない。
もし俺が神様なら無欲で暇つぶしにきた男に豪運与えてどう反応するか楽しむ。
逆に一生懸命頭を捻る女の運を奪って反応を楽しむ。
……なんて、説教なんて柄じゃないけど、君みてたらそう思った。」
どう?と首を横に傾げて反応を伺う。
が続く問いかけに、更に更に首を横に。まるで猫のように首を肩にまでつけてしまう。
「うわっ、なんかエロッ。
……でもいいよ。それで君が元気になるなら」
握っていたコインを転がして相手の1枚と重ねてから席を移動し。
「俺はエリビオ。どうすればいいのかな?」
にこにこと人懐っこい笑みで問いかける。
■ノイ > 「――こんな所にカミサマの気分が入ってくるなら……そりゃぁ駄目だね、ぇ。
やっぱりカミサマっていうのは良い子に味方するもので。
悪い子には逆にお仕置きしてきそうなイメージ?有るもの」
相手の言い草だと。神様というのはなかなかに悪趣味である、という事になりそうだ。
逆に少女の言う通り、善行にこそ目を掛けてくれるのだとしても――それはそれで。やはり、少女は勝てそうにない。
どうやら相手が強大すぎるようなので。これは神様が見ていない時を狙うしかなさそうである。
そう決め込むと逆に…今日は日取りが悪かったのだ、と。有る意味開き直る事も出来そうで。
漸く機嫌を戻し始め、突っ伏していた身を起こした所で。
…どうやら相手の方は乗り気となってくれるらしい。
此処で折角勝っているのだから、まだまだ卓を離れる気はない…と言われたら困っていたが。
転がされた物と計二枚、結局それのみとなた手持ちは明日に回す事として。
此方へやって来る相手に合わせ席を立ち。勝者と敗者の対話に興味を示す他の客達を避ける為だろう。
するすると人混みを縫って歩き出した。
「…名前、言っちゃう?じゃぁわたしはね――ノイ。それで良いの。
…んー…ふ、ふ。それは勿論、カミサマには見せられない事、したいな ぁ …?」
さて。天上からの目線については冗談だが、衆人環視というのは、流石に悪趣味だろうから。
少女が相手を連れて向かう先は、果たして…何れにせよ。この場からはさっさと退散だ。
■エリビオ > 「あはは、賭場にまで入ってくるなんてそうとう悪くて捻くれた神様だから。
君みたいに頭が良さそうな人でも難しいかもね。
本人も悪いやつだからお仕置きはなさそうだけど」
他愛もない会話を交わす内にコインは袋に詰められる。
それを革ベルトに繋いで景気の良い音を響かせて
「ノイ、よろしくね。今日は泡銭を得たし俺が色々と奢るよ
……むっ!」
相手の囁きに、ぱぁ、と目元が赤くなり。指の背でそれを強く擦って。
「その見せられないこと、気持ちいいことだといいなぁ。
大金得て美人局にやられるなんて良く聞く話だし。
あ、ちなみに俺はやられるつもりはないからね」
冗談めかした言葉も、やがてルーレット台から消えていく。
二人は人混みの中へ…。
■ノイ > 【移動します】
ご案内:「港湾都市ダイラス “ハイブラゼール”」からノイさんが去りました。
ご案内:「港湾都市ダイラス “ハイブラゼール”」からエリビオさんが去りました。