2023/09/12 のログ
ご案内:「港湾都市ダイラス “ハイブラゼール”」にアティルさんが現れました。
アティル > 「こいこいこい!」

ハイブラゼールのカジノと言えば一獲千金を夢見るモノか。
そういうモノを食い物にするプロ級の腕を持つプレイヤーか。
それら全てから均等に場を均すプロを超えたその道を究めたディーラーがいる。
そして己はそのどれにも当てはまらない。ただただ金を賭けてのスリルだけを求めるごくつぶしでありろくでもない客。
スツールから立ち上がり、品も無く声を上げるのはルーレットと呼ばれる一般的なギャンブル台での話。

目の前に積まれているのは数万にも近いゴルドに値するチップ。
先程からルーレットディーラーの腕を知って尚、同じ数字に賭け続けると言う愚策を男は繰り返していた。
賭けている数字のすぐ隣にことん、と音を立てて吸い込まれていく黄金の珠。ディーラーの腕は確かだが、逆に言えば最低限は上客に払い戻しを保証する存在でもある。
そのタイミングで切り上げるつもりもあるのだが、このカジノの良い所は金さえ積めば様々なサービスを受けられるという事でもあった。

「クッソ、今度こそ俺のラッキーナンバーが来ると思ったんだがなぁ。次だ次!46にリベット!」

アティル > 46と言う数字は適当、でもなかった。このカジノに来る前に気紛れに立ち寄った女を斡旋する店で46番と言う番号が振られた女の容姿が好みだっただけ。
そう、適当の方がまだいい。最低最悪の理由で選ばれた数字。
また目の前のコインが減っていくが時折払い戻される。
そしてまた減っていく。カジノ側が勝ちすぎる事を嫌う為に同卓している他のプレイヤーにも均等に分配していくのだが。
自分の場合は1点賭けと言うやり方をしている分払い戻されるタイミングは殆どなかった。

慣れた手つきのディーラーは再び黄金の珠を回し、狙い通りの数字に落としていく。
当てれば、当たれば一攫千金だが、最優先の目的は金だけではなかった。
自分と同じように負けている女がいないか、或いは良い女がいないだろうかというのもある。

「サービス3番で。後アルコールは7番くれよ。」

サービスの3番はカジノ内の監視魔道具の映像記録を見れる物。
古風なトンボ眼鏡が差し出され、それを着用すれば様々な部屋を様々な角度から見る事が出来る。
勿論カジノ側のイカサマ等も見る事は出来るが、暗黙の了解でそれには触れない事となっていた。
アルコールの7番は牛乳に炭酸シロップとジンを混ぜた独自のカクテル。
甘いが悪酔いもしやすい飲み物。女癖と性格だけでなく、酒癖まで悪い様だった

アティル > 「あ、次の闘技場のBETはそうだな、3番の勝ち抜けに賭けといてくれ」

ルーレットの台で複数の賭け事を行ってもいる。
目の前のルーレットでは負けが重なり始めたが、闘技場の方は好調だ。
元々自分の領地の手駒を送り込んだのもあるが、手駒が負ける方に常に賭けている。
手駒に勝たせるのは絶対性を欠くが、負けさせるなら絶対に近い勝率になる。
負けた方がどのような目に遭うのか。それを知っていながら送り込んだ領民たちは死に物狂いで戦い、自然に敗れ去る。
領地で自分好みの女を犯した後で適当に借金を押し付け、返済代わりに闘技場で戦わせると言う物。
不正利用にも近いが、ギリギリの網を搔い潜っている。今の所は。

「しかし今日は闘技場もこっちにも女少ねぇなぁ。連れてくるか、それともさっきの斡旋所で女注文しとけばよかったか?」

闘技場にも、カジノルームにも目ぼしい女が見当たらない。
となると目的は半分程度しか満たされず、金を賭けると言うギャンブル狂いの刺激も徐々に失われていく。急速に熱が引いたかのようにBETを下げて1つの数字に賭ける。
ここがディーラーやカジノ、そして自分との落としどころだろうと言うラインの払い戻しを迫るやり口。
当たった所で今日のカジノの負け金の6割程度が払い戻される分にしかならない金額。

アティル > 己に近付いてきた黒服が何事か告げる。
それを聞くとチップの換金等を任せその場を後にするのだった。

ご案内:「港湾都市ダイラス “ハイブラゼール”」からアティルさんが去りました。