2024/05/12 のログ
ご案内:「港湾都市ダイラス 船着き場 大衆酒場」にドリィさんが現れました。
■ドリィ > 港湾都市──船着場に程近い港沿い、バラック建築じみた様相を呈す、掘っ立て小屋めいた建築群がある。
前時代に使われた倉庫が一度戦火に焼け爛れた跡地にいつの間にか経っていただとか、謂れは定かではないが。
労働者や船乗り、そして移民等が暮らす安普請には、独自の文化があり、色があり、食があった。
「 っぷ、はーーーー♡ 」
女は、一軒の狭く猥雑な安酒場にいた。
トロ箱をひっくり返しただけの椅子、酒樽の卓。野太い喧噪。佳き哉。
ハイブラゼール迄足を運ぶと、この女はそれなりに特定の界隈では有名人であったりする。
此処は先ず、そういう意味では気楽で、何より。
「うっまぁ…。 やっぱコレぇ………」
女は、冒険より帰着したら、まず飲みたい、所謂飲んだくれの部類であった。
痺魚の鰭を炙って酒に浸した杯を片手に、
焼いた烏賊の腑をちびちび舐め摘まみ。 んー!と唸る。──至福。
■ドリィ > もう一品、皿に盛られた貝の酒蒸しを手で抓み啜りつに、女の繊手が酒精をちびりと傾ける。
かろり、殻を手放して、バターの味がする指を舐めた。
通りに面した外席、女の滞在するは所謂立ち飲み席だ。
簡素な卓に肘を掛けつつ、気儘にオーダーし、気儘に飲んで気儘に去る。
煙の充満する店内よりは些か開放的で、海風に膚を撫でられながらの風情もある。
往来する海の漢や冒険者を眺めつつ、時折ウインクひとつに冷やかしつつ。
今は、港で誘導燈を携えたセーラー帽の船番少年を肴にしている最中だったりし。
──ふと、ひとりごちる。
「……んー……今回はーァ… 寄らなくていっかぁ。」
マダムに怒られちゃうかなァ、とも思うが。まあ──敢えて寄らずとも。
きっと数日後くらいに、何処ぞから吹聴されて滞在がバレてるのだろうけども。
くん── 。 杯を傾け、一献。
ご案内:「港湾都市ダイラス 船着き場 大衆酒場」にキュリアスさんが現れました。
■キュリアス > 酒場では当然、船乗りは無論だがそれ以上に別種族もまた存在する。
ミレー、あるいは魔族・獣人もいろいろいるが、青年はミレーの出で立ちをしていた。
「こんばんにゃおねーさん」
などと、軽薄な笑みを浮かべた長身なミレーの青年が声をかけてくる。
記憶が定かなら、以前に薬屋で出会ったことがあるのを思い出すだろうか。
その時はあまり話せなかったが……。
「僕ちゃんとよかったら一杯どうかにゃ?奢るからにゃ」
パチン、と指を鳴らして酒場の給仕に適当な高めの酒を頼み。
彼女が何かを言う前に、さらっと隣に立てば長身なミレーは彼女へと目を向ける。
透明な水色の瞳に、ニヤついた笑みは不思議といやらしさの類いは感じなかった。
「ここではよく飲んでるのかにゃ?おねーさんは。
僕ちゃんはあんまりここら辺寄った事ないから、おすすめのお酒とかあったら教えてほしいにゃ」
■ドリィ > 人の往来を眺めるのは好きだ。
勝手にあれこれと思い愛でるのは回遊魚でも眺めているような安らかな心持ちになる。
金も掛からず酒も旨い、恰好の肴だ。景色に華があれば尚更に佳く──…
「んんー? あっれぇ………?」
女が双眸をしばたかせ、小頚を傾ぐ。
その目を惹く猫耳青年には見覚えがあった。幾日か前、この街じゃない。王都の露店にて。
だから、目を丸くする。
「こないだの猫ちゃんだぁー。 ぇぇ、どぉしたのーーぉ?」
こんばんにゃぁ、とユルい口調にて真似て返したなら、卓に肘ついた儘ミレーの青年を仰ぎ。
安い大衆酒場には妙に浮く軽妙な仕草での注文に思わず、此方がによん、とニヤけた。
「奢ってくれちゃうのぉ? ぇーー、やったぁ。
──ぁ。じゃあじゃあ、猫ちゃんの分、あたしが奢ったげる。
苦いのがスキ?甘いのがスキ? はいコレどぉーぞ♡ 」
皿に盛られた貝の酒蒸し、二人の間につぃと割り込ませ置き。
■キュリアス > 「僕ちゃん旅芸人みたいなことしてるにゃー。
ここには芸を見せるためにやってきたのにゃー」
目を丸くする彼女の姿をくすくすと笑ってみて。
酒気が入っているのであろう、ぽわぽわとした彼女の頬を軽く撫でよう。
抵抗しないのであればほんのり暖かくも柔らかな掌の感触が走るだろう。
「いいのかにゃ~? じゃあじゃあ、いっぱい奢ってほしいにゃ~♪」
貝の酒蒸しを出されたら、それを一つ持ち、口に放り込む。
すると、バリバリと貝殻の砕ける音が聞こえてくるだろう。
わざわざ貝殻を嚙み砕きながら、ゴクリと呑み込んだ後……。
んぇ、とその口を開いて彼女に見せる。
「じゃじゃーん」
と、その貝殻が丸いビー玉のような形になっていた。
あの音からどうやってそんな形になるのかは、あまりにも想像はつきづらいだろう。
そのまま、運ばれてきた蒸留酒を持ち、彼女へと向ける。
「せっかくだから乾杯でもどうかにゃ?また会えた幸運に。なーんて」
■ドリィ > 王都を発つ直前に遭遇した相手と違う街で出遭う。そんなことあるだろうか。
偶然、必然──或いは作為的なナニカ。
訝しむ事は如何様にもできるけども、今。女にとって重要なのは、
「へぇーー… 猫ちゃん旅芸人だったんだァ。
あはは。どぉりでーぇ……さっきの、サマになってると思った!」
酷く魅力的で風変わりな、酒を酌み交わす相手ができたことだ。
因みに“さっきの”とは指を鳴らしたアレ。
女の指先が真似てパチンと音を響かせるも、彼ほど綺麗に鳴り響かずにくぐもった音になった。
撫でる掌に、その柔らかいふわつやとした頬は思いのほか温を高く宿さない。
──所謂、酒豪の類。この酔っていると言っても通用する、
寧ろそっちのほうが自然だろう陽性テンションは即ち、ほぼ素面であるらしかった。
貝殻を頬張った青年の口腔から聞こえる些か激しめな咀嚼音に、見入り、そして。
「ぇ、 ヤダ。凄ぉい…! どぉやったの!? わぁーーーー♡」
深い睫毛に覆われた双眸ぱちくりと、それこそ彼の口中の真ん丸の貝殻のようにまぁるくして。
無邪気にはしゃぐ喝采。感嘆に表情綻ばせては、ぇえ、見せて見せて! なんてあかんべをせがみ。
自分も貝の端っこを前歯で囓ったりしてみながら一頻り笑っては、
熟れた仕草で蒸留酒の杯を軽く掲げよう。彼には異国の山羊乳酒を。
「出会えた幸運と奇跡に。 ───かぁんぱい」
■キュリアス > 「ありがとうにゃー。こういうのは昔からやってるからにゃー」
パチン、パチンと両手の指で軽く音を鳴らして。
彼女と比べたら慣れも、その音の響き方も全然違うだろう。
そうして感じる、彼女の頬の温度に、「にゃん?」と思わず首を傾げる。
思っていたよりも酔っていない。というよりはアルコールの耐性がすごいのだろう。
「ふふん、旅芸人とはこういうこともできるのもあるのにゃ~。
面白いものを見せられたら幸いだにゃん」
彼女が嬉しそうにすれば、猫もまた嬉しそうにして笑う。
彼女の嬉しさが、猫にとっての嬉しさ、ひいては幸福にもつながる。
彼女が掲げた杯を、こちらも同じように掲げてカチンと鳴らす。
「乾杯、にゃ……♪」
同時に、その酒を一気飲みする。なかなかに豪快だ。
ごくごく、と喉を鳴らして、「ぷはっ」とその杯を置く。
「美味しいにゃあ。やっぱ仕事終わりの一杯は最高だにゃ。
お嬢さん……あ!そう言えば名乗ってなかったような気がするにゃ?
僕ちゃんはキュリアスにゃ。よかったら一緒に飲んでくれる綺麗なお嬢さんの名前を教えて欲しいにゃあ」
ゆらゆらと、猫尾を左右に揺らしながら彼女を見つめて。
熱っぽい視線を感じるだろうが、酒気によるものだとすぐにわかるかもしれない。
酒に弱いのか、雰囲気に酔っているのか。
もしかしたら彼女に対して酔っている……なんて、この猫なら言うかもしれない。
■ドリィ > 「んー… 響き方が、猫ちゃんとぉー…、こぉ… なぁんか違うのよねぇ…。」
鳴ることは鳴る。けど、軽妙にパチン!とはいかない。
綺麗に整えられた艶やかな──それでも冒険者稼業になってから随分荒れたけれど──爪先が、
幾度か指を鳴らす事を繰り返してから、女はあっさりそれを諦めた。
「イイねぇ。猫ちゃんプロフェッショナルだねぇ。
おひねり代わりにぃ……… はぁい、 ぁーん♡」
女とて部類は違えど心得が多少。故に、芸に貴賤は無く尊敬して然るべき、と。
なので、報いる何かを与えたくなってしまう訳で。
酒にじゅんわりと浸かっていた炙った魚鰭を、指で摘まんで彼の唇に押し込もうか。
「わかるぅーー。 仕事終わりの一杯、さいっこぉ。
芸達者な猫ちゃんはぁ、キュリアスね。 あたしはぁー…ドリィ。よろしくにゃぁ。」
んふ、とユルく双眸細めてわらいながら、女は酒を傾ける。
まるでメトロノームのようにゆぅらふわと揺れる尾の揺らめきと、何処となく熱ぽい空色の瞳。
猫が木天蓼に酔っているそれに似ているような、可愛らしさすら感じれば
「にゃーーーぁ?」
大丈夫?なんて問う代わり。返した掌に、こしょこしょと女の細指が蠢き。
様子を窺う悪戯に、猫の顎元を擽ろうか。
毛艶のうつくしい、綺麗な生き物は、愛でるものだと知るがゆえ。
■キュリアス > 「ん-、コツはあると言えばあるんにゃけど、やっぱり慣れが大事だにゃあ」
そう言いながら、何度か鳴らそうする彼女の姿を見て微笑む。
優しいまなざしを向けながら、あっさりと諦めればそれもよしと頷き。
「あーん♪」
押し込まれたその白身を口に入れて、ぺろりと押し込んできた彼女の指を軽く舐めて。
ぬるりとざらりとした、ブラシのような感覚が指先に走っただろう。
そのまま、「ん-!」と美味しそうに頬を抑えながら咀嚼する。
「ドリィちゃんにゃあ。よろしくにゃ~」
同じようにユルく言えば、波長が合うのか空気がぽわぽわとしてくる。
顎元に彼女の手が伸ばされれば、自らその顎を差し出すように顔を向けて。
触れた肌の感触は程よく柔らかく、そして温かい。本物の猫に触れているような感覚がある。
肌は人間の肌のようだが、触れている指先の感覚は温かな毛を撫でているような感覚。
「にゃあ~ん♪気持ちいいにゃあ♪」
嬉しそうに、甘えるように。ゴロゴロと猫は喉を鳴らして。
彼女が嫌がらないのであれば、そのまま彼女の腕に頬ずりしようか。
「僕ちゃん、もっとドリィちゃんに甘えたいにゃあ……」