2025/02/21 のログ
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ご案内:「セレネルの海」にエリスさんが現れました。
エリス > セレネルの海。その日は海水浴日和であったのか、
海辺でバカンスに興じる者達の姿が見え、賑わいを見せていた。
優雅に海を楽しむ者達は殆どが貴族だが、賑わいの隅に一人の少女の姿が在った。

「わぁぁ、これが海……初めて見たわっ」

さざ波返す大海原を一望して歓喜の声を上げる少女。
陽光に照らされてキラキラと輝く桃色の長髪が風に靡き、
大きな紅の瞳もまた宝石めいてキラキラと輝いている。
小柄な身体にたっぷり実った豊かな胸、白い素肌が眩しい美少女は
その肢体を布地の少ない純白の水着に包み、無防備に飛び跳ねはしゃいでいる。

少女の名はエリス・ファーン。特徴的な長い耳を持つハイエルフの少女だ。
深い森に産まれ育ち、つい最近人界へと出て来たばかりの少女にとって
海とはまさしく未知に満ちた場所であり、目に映るもの全てが新鮮だった。

「水は……冷たいっ。それと……わ、本当にしょっぱいのね! ……あら?」

波打ち際に駆け寄ると恐る恐る水に脚をつけては、屈みこんで指で掬い、人舐め。
初めて触れる海水を感じて再び歓喜に震える中、ふと視界の隅に子蟹の姿を捉える。
触れようと手を伸ばすと、想像以上に速い横歩きで子蟹は岩場の方へと姿を消した。

「……あっ。待って蟹さんっ! 私も連れてって頂戴っ!」

少女は、子蟹を追わんと岩場へ向けて波打ち際を無邪気に駆けて行く。
人の賑わいから少しずつ少しずつ離れながら、人気の無い岩場へ向けて駆けて行く。
次第に行楽の者達の声が遠のき、いつしか完全に聞こえなくなる程に離れてしまう。

「あれ、あれ……? ああんもうっ、蟹さん、何処へ行っちゃったのっ?
 はぁ……って、うん? ここ、どこ……? 私、どれだけ走って来たんだっけ……」

ひたすら走ったものの、とっくに砂浜に潜ってしまったのか子蟹の姿は見当たらない。
項垂れる事暫く、溜息ついて見渡せばいつの間にやらどこもかしこも全く見知らぬ光景。
人気の無い岩場はうっすらと薄暗く、さざ波以外に聴こえてくるものは無い。

「も、もしかして私、迷子になっちゃったの……? どうしよう……っ」

先程までの溌剌とした笑顔は不安に塗り替わり、その場にぺたんと座り込む。
静まり返った暗い砂浜で独りきりの少女は、暫くそこに留まり続けている。


偶然にも、その場に訪れた者と出会う事があるだろうか。
それとも、遭遇したくない恐ろしいナニカに出会うだろうか。
このまま暫く休めば体力も戻り帰還を果たす事は出来るだろうが、果たして――

ご案内:「セレネルの海」にエリビオさんが現れました。
エリビオ > セレネルの海に訪れたのは魔法素材を集めるため。
他の人々は水着などに着替えてるかもしれないが学生服の上から潮風にはためくマントを羽織って海辺を歩いていた。
時々屈み込んでは砂やら海藻を瓶に詰め込んで。

「あー、俺も早く遊びたいな」

ぼやくのは最早ここからでは見えない海水浴場の方に。
あまりに色気のない己の衣服を見てまた溜息を1つ。
それでも岩礁の隙間や水際の生物を見つけては手袋で掴んで素材集めを欠かせない。
そんなあてもなく人気無い海辺を歩む足元に、こつり、と何かがぶつかった。

「……蟹?」

ぶつかれば慌てふためいて急足で駆けてゆく小蟹を目で追っていれば明らかに岩とは違う色合いの髪が覗き見えていた。
ゆるり脚を運んで見れば座り込んで顔色が悪い少女が目に見えて。

「こんにちは。こんなところで何をしてるの?」

座り込んで同じ目線の高さで微笑み話しかけた。

エリス > 「え……? ぁ、こ、こんにちは……っ」

ふいに声を掛けられれば、キョトンとした表情で来訪者の顔を見上げる。
海水浴日和には似つかわしくない、学生服とマント姿の少年。

「えっと……海で遊んでいたんだけど、小さな蟹さんを追っていたら
 いつの間にか知らない場所まで来ちゃったみたいで、少しここで休んでいた所よ。
 貴方は……こんな所で何をしているの? 海でそんな恰好じゃ、ベタベタになっちゃうわ」

少年を見返しながらぺたんと座り込んでいた身体を持ち上げて立ち上がり、
小首を傾げて少年へと質問を返す。警戒心という程のものこそないものの、
人気の無い場所で一人歩く少年だ。不思議だな、と思いつつ。濡れた髪を掻き上げて、少し居心地に困る様子を見せながら。

エリビオ > 説明に小さく頷いて。

「そうなんだ。海水浴場から離れてれるのに水着姿だから何かあったのかなって声をかけちゃった。
 平気さ。海風はこのマントが守ってくれるし、潮風でベタつくくらいじゃ自分の仕事やってられないもの。」

ひらり、とマントをマタドールの如く閃かせて笑う……顔の眉が下がった。

「どうしたの?」

じろじろと見られるのが居心地が悪い。
それが何かと少し考えを巡らせて自分の格好を見て。

「ああ、これ?学校のフィールド学習の一環だから。
 遊ばないようにって制服着用が義務付けられてるんだ。
 で、何をしていたかというと……」

訝しがる彼女の眼の前で肩がけの皮カバンを漁り。

「こういうものを集めてるんだ。
 なんの変哲のないものでも海の魔素があるからね。」

取り出した相手と同じ髪色の、チューリップブロッサムの貝殻を手に乗せて見せた。

エリス > 「マントが守って……? あっ。貴方、もしかして魔法使いなの? マントは魔道具なのねっ。
 私も魔法使いなの、おんなじねっ。そっか、学校の……納得したわっ。
 私も普段はマントを羽織るもの。じゃあ、海には魔法関係の事で?」

少年を説明を聴けば、少女は表情をぱっと明るく幼げな笑顔に変える。
続く少年の言葉を聴くと、ぱちくりとまばたきして見せた後で

「学校の……学習? この辺りで……? まさか、ラジエル学院の学生さんっ?
 そっか、また偶然ねっ。私も同じ学院の学生なのよ。魔法を専攻しているわっ。
 確かに採集するには良い場所なのかも……初めて来たけど、見た事ないものばかりだもの……うん?」

学校のフィールド学習と聴くと、今度は喜びに小さく跳ねる姿を見せながら
上機嫌な様子で言葉を返し一歩少年の下へと歩み寄る。手に乗せた貝殻を見せられれば、

「わぁ……っ! とっても綺麗な貝殻っ。素材にするのは勿体ないくらい素敵だわ。
 探し物が上手なのね? ぁ……えっと。私はエリス。エリス・ファーンよっ。貴方のお名前は?」

瞳を輝かせて貝殻を覗き込んだ後、相手の名前がわからない事を思い出して
先ずは自ら少年へと名乗り、再び首を傾げて見上げながら名前を伺う。