2025/01/24 のログ
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ご案内:「セレネルの海/海岸」にアイシャさんが現れました。
アイシャ > 【お約束待機中】
ご案内:「セレネルの海/海岸」にレオンハルトさんが現れました。
アイシャ > 「凄いわ、これが海なのね…!」

目の前に広がる大海原。
少女にとっては、人生初めての海であり、人生初の海岸線。
打ち寄せる波、乾いた砂、潮の匂い。

風が強いからといつもよりも出立前にしっかりと編み込んで結ってでもらった髪のおかげで視界は良好だ。
王都から海沿いの街へ。
それからその海沿いの街を通り抜けて海岸線へ。

空は穏やかに晴れているが、言われていた通りにやはりそれなりの風がある。
仰いだ空には海鳥が賑やかしく、初めて聞く寄せては返す波の音も心を躍らせる。

「本で読んだよりもずっと、ずうっと大きいのね…!
何て素敵なのかしら…」

最近新調したばかりの白いワンピースの裾を海風に踊らせながらも紅潮した頬で捲くし立てる。
銀色の瞳はきらきらと高揚に輝いて、今にも走り出しそうなほど。
勿論、独りで駆け出せるほどの度胸は未だありはしないので、我慢できているの。

砂浜に立てばブーツの踵が沈んで転びそうにもなったが一旦は転ばすに済んだ様子。
姿勢を建て直せば、流石に本人にもはしゃぎすぎている自覚もあるのだろう。
小さく肩を竦めて苦笑した後に、緩く胸の前で手を組んで祈るかのような姿勢。

すーっ、と、胸いっぱいに潮風を吸い込んで瞳を閉じる。

レオンハルト > あの日、海へ行こうと約束をしたがゆえに、色々と策を立てた。
どこの海がいいか、どの場所がいいか、どれくらいの規模で出かけるか。
色々考えはしたが、結局はもっとも単純で、もっともそうありたいと思う手段に決めた。

つまり、基本的には二人旅。
とはいえ、王族が完全に二人旅をするのは色々危険なことがあるがゆえに、見えぬところで護衛が守る。
よくある、王族のお忍び旅行。
もちろん、その行動に対して色々な相手や組織にダミー情報を流したりと、安全の確保だけは完璧に。

とはいえ、旅行が始まってしまえばそんな苦労はどこへやら。
普通に楽しんでいるのは間違いない。

「ああ、これが海だよ。」

自分は見たことがあるとはいえ、妹にとっては初めての経験。
もちろん、自分が初めて見ている時のことを思い起こせば、あの驚きと感動は素晴らしかった。
だからこそ、アイシャの様子に笑みを深めてその隣をついてまわる。

「海に来てしまえば、見える先はほとんどが海だからね。
陸を辿ってみなければ、本当に全てが海だな。」

走りだしそうなほどの興奮も、この雄大さと音、香り、景色を見れば当然とすら思える。
ここまで喜んでいる妹を見れば、やはり連れてきてよかった、と改めて感じていた。

「いいじゃないか。初めてなのだから。
俺も、まだ小さい頃だったとはいえ、海を初めて見た時は駆けまわっていたよ。
もういい年齢なのだから、などと言わずにしたいようにすればいい。
今日は、この近くに宿もとってあるし、なるようになってもどうとでもできる。」

それに、危なくないようには自分が見ているから大丈夫、と付け加えて笑った。

アイシャ > 暫しの間初めて出会う精霊たちの囁きに耳を澄ませる。

波間から響く大らかで、低く優しく響く海精の声。
鳥の羽音、啼き声の合間に寄せるのはなじみ深い風精の声。
けれどどこか海の近くできくかの声達は聞きなれたものよりも元気がいい。
砂の精霊たちは儚げで、けれどどこか柔和な声を聴かせる。

きらきらと小さな光たちが周囲を踊っていたのはあまり長くはない時間。
兄の言葉が少し意外だったのか、その言葉に弾かれたように眼鏡越しの顔を仰ぎ見る。

「兄さまが?駆け回っていたの?…そうよね、誰にだって子供時代はあるもの。
兄さまったらいつも冷静沈着、ってお顔をなさっているから…ちょっと不思議な気がするわね」

勿論、実際は全く表情を変えないなんてことがないことぐらい少女も知っている。
基本的には冷静で落ち着きがあり、自分にはとても優しい人だということも。

「あんなに大きな船も浮かんでしまうの?
まるで家丸々ひとつを海の上に作ってしまったみたい!
……んー…、でもどちらかと言えば砦を浮かべている…ほうが近いのかしら…。
普通の家には、砲台なんてついていないわよね…」

今は遠くから眺めているからそこまでの大きさには感じられないものの、きっと見上げられそうなほど大きいだろう船舶を銀色をじっと凝らして独り言ちる。
遙か水平線の向こうを航行するその船影は、恐らく海上防衛の為に配備されている軍艦だろう。
王都でみるような瀟洒な遊覧船とは違い、頑健さと武力行使に重きを置いているのは初めて見る少女にも見て取れた。

つい一つのことに思考が集中してしまうのは自覚もあるあまり良くない癖だ。
もっと近くで見てみたい気持ちがついつい足を前に進ませるけれど、踏みしめる砂の感触が変わったことで足を止めた。
波は少女のすぐ近くまでくるものらしい。
流石に今の季節はまだ海水浴と洒落こむには早すぎることぐらいは理解していたので、少しだけ後ろに下がって兄のすぐ側へと歩み戻る。

「ありがとう兄さま、わたしのわがままを聞いてくださって。
わたし、海のこと大好きになりそうだわ!」

この旅程を組むために兄が方々に手を回してくれたことはもちろん理解している。
嬉しさが余って、ついくるくると子供のように回ってしまった。
今だけは許してもらえるだろうと、ちょっぴり調子に乗ってしまったことは否めない。

レオンハルト > 妹がいつもと少し違う表情で、雰囲気で佇む時、それは自分には見えない世界を見ているのだという事は理解していた。
なぜなら、それが妹の一芸だからだ。
ゆえに、その邪魔をすることもなく、静かにその様子を笑みを浮かべて見つめていれば、自分の顔を見つめてくる妹の姿。
少し目を瞬かせたが、続いた言葉に小さな笑いがこぼれる。

「ああ、駆け回ったものさ。砂の感触は土や石畳と違って柔らかいだろう?
その感触が楽しかった覚えがあるな。
それに、波はよせては引いているだろう?
だから、捕まらないようにと逃げては追って。」

ある意味で小さな男の子らしい遊びをしていたことを告白しつつ。
そして、妹にとって不思議なことを質問や感想として口を突いて出てきている事を聞けば

「ああ、浮かんでしまうんだよ。
あんな木の塊が、と思うかもしれないが、湯船に湯桶は浮かぶだろう?
原理はあれと同じさ。どれだけ大きくても、わかって作ればきちんと浮かぶ。
そう考えれば船大工というのもすごい技術を持っているものだね。

ああ、動く砦。言われてみれば、そういう考え方もできるな。」

砦を浮かべている、と言う言葉に感心したような口調で返す返事。
言われてみればその通りなのだが、船、という存在として認識すると、その発想はなかなか思いつかないものだ。

流石に海の中へと飛び込むようなら止めねばならないが、脚を少し濡らすくらいならいいだろうと思っていたが、
砂の感触が変わることで一歩引く様子。

「アイシャとの約束は特に守りたいからね。
それは良かった。海もアイシャの事を気に入ってくれたかい?」

こういう問いかけは、アイシャ自身が精霊との交信をした時の感覚について問うているもの。
くるくると回るアイシャの様子に半歩近づいて、まるでダンスの回転の時、男側が補佐するような手を伸ばす。

アイシャ > 「そうね、不思議な感じがするわ。
さらさらとしているのに、濡れると固くなって、踏みしめると音がして。
まるで歩きながら会話してるみたいだわ。
濡れた土なら触ったことはあるけれど、流石に砂は邸の庭にもないものね」

自分よりも年上である兄の子供時代のことは、本人から聞かない限りなかなか聞けないもの。
だから他には、とばかりに見上げる顔はあからさまな興味を隠せなかっただろう。
何せ知りうるだろう両親は忙しそうだし、上の兄とに至っては両親に輪をかけて忙しいらしく暫く姿を見かけないこともしょっちゅうだ。

「…?……!
本当…確かに木の玩具も水に浮かぶわ…」

上げられた事例を頭の中で思い描いてみれば、小さい頃には庭園の噴水に木の小舟や木彫りの鳥を庭師が浮かべてくれたものあったのを思い出す。
もちろん、自分が庭に出ているときだけだから、他の兄弟が見たことがない可能性も勿論あるのだけれど。

「あれを砦だと考えたら陸地を動かすのは困難でしょうけど、船なら海と風があれば容易になるのね。
ちょっと興味深いわ…今度、父さまか兄上に」

ぶつぶつと言いかけたところで、再びのめり込みかけている自分にはたと気づいてそれ以上は止めた。
今日は邸の中にこもっているのではなくて、折角邸の外に出てきているのだ。
だから、邸でそのうち出来ることは置いておいて、今しかできないこと、今しか見られないものを大事にしたい。
勿論、大好きな兄が自分の為にと心を砕いてくれたこの旅行を楽しむことも。

「ふふ、嬉しい。
ええ、気に入って貰えたみたい。
そういえば、何か贈りものをしたいって言ってくれたわ」

贈りもの、なんて言ってくれるのだから決して嫌われてはいまい。
くるくると機嫌よくしていれば差し伸べられた手に気づいて自分の掌を重ねてそっと膝を折る。
今日はいつものたっぷり膨らんだスカ―トよりもほっそりした作りのものだから、指先がつまんだ白い布はほんの少し持ち上がるだけなのだけれど。

レオンハルト > 「そう、だから面白いんだよな。」

邸の庭に砂はない。
正確には、こんなに大量の砂がない。
だから興味深く楽しいのだと、お互いの認識が共有できればどこか楽しく感じてくる。

そんな中で、妹が見上げてくる顔が更なるものを求めていると悟れば、少しだけ考えて

「あとは砂の上に絵をかいたり、砂で何かを作ったりかな。
水をかけると固くなるから、固くなった砂で塑像のように形を作る遊びなんかはしていたよ。」

ある意味海では定番の遊びなのだろうけれど、自分もしょっちゅう来ていたわけではないからそのあたりの感覚は若干鈍い。
そして、木桶をフックに新しい何かを思いついた様子。
その様子も楽し気にみやるが、途中で止まる様子にアイシャも旅を楽しもうとしてくれているのと察する。
故に笑みが深まって。

「何か贈り物?そればいいね。
どんなものが送られてくるのか興味は尽きないが、ささやかながら、微笑ましいものなのだろうね。」

精霊の贈り物、と言われてイメージできるのはその程度。
故に気安く軽い調子で返していくのだが、差し伸べた手を受けて、ひざを折る動き。
お互いのちょっとした遊び心のようなものだが、気持ちが重なったようでどこか嬉しくも楽しく感じて。

アイシャ > 「楽しみにしておいで、って言われたのだけど…何かしらね?」

自分から精霊に何かを『お願い』することはあっても、精霊側から自分に与えてくるなど、それも意欲的に働きかけてくるようなことは滅多にない。
それだけでも、海の精霊が随分と自分のことを気に入ってくれたのだとわかる。

「砂像って砂を使うんですものね。
私はあんまり芸術的なことは得意ではないけれど、皆で作ったら誰が一番すてきに作れるのかしら。
プッシィと兄さまはわたしたちよりも素敵なものをみているから、一歩先かしらね?
…でも、手先の器用さならお母さまやアスティかしら。
お父さまは…勢い余って途中で壊しちゃいそうね」

手を差し伸べてくれた兄をそのまま海辺の舞踏会へと誘うことにする。
勿論大広間のように踊りやすい足元ではないから所詮は踊りの真似事だ。
けれど、少女のダンスの授業において踊る相手は兄ではなかったから、こうやって踊るのは初めての事。
社交界、なんてものとも縁遠い娘だから胸に滲む感動は一入のもの。
ドレスでもないけれど、白を纏って踊るだなんて、まるでデビュタントのようだ。

「不思議だわ。
ダンスって、こんなに楽しかったかしら」

一頻り踊りに区切りがつけば、兄の懐に飛び込んでぎゅうと抱き着いた。
今日は王族であることをほんの少しだけ忘れた、兄と妹の二人旅。
だから、これも今は許されてほしい。
確かに自分たちを護衛しなくてはならないものがいるのは解っているけれど、これぐらいは兄と妹のじゃれあう範疇だと思ってほしかった。

レオンハルト > 「そう言われる時になるが、楽しみに、と言われたのなら素直に楽しみにしておこうか。」

アイシャが聞いた声がそれなら、後は待つだけという事なのだろう。
そんな言葉遊びに近い会話もいつもよりも楽しく感じられる。

「ああ、そうだね。
俺もどっちかって言われれば見る専だよ。俺と比べるならアイシャの方がうまいと思う。
プシュケは器用に作りそうだけれど。
手先の器用さならそのお二人だろうけれど、芸術的に、というならアステリアの方が美味いかもしれないね。
母様がつくるとなると、実験器具ができそうだ。
ただ大きく作るだけ、の条件だったら父様が一番強いだろうけれど、それじゃ誰もかなわないからね。」

家族を思い起こしながらの言葉は、半分冗談、半分的確な分析と言った所。
そのまま海辺の舞踏会が始まれば、アイシャの動きに合わせて同じく踊りを踊っていく。
男性がリードと言われることが多いが、その実、アイシャが踊りたいように踊らせて、
自分がそれを追いかけて、不安定さが無くなるように保持するように。

「俺もダンスが得意な方ではないけれど、アイシャとなら楽しく感じる。
……つまりは、『そういうこと』なんだろうね。」

不思議と告げる妹に、2人だけに伝わる意図で紡いだ言葉。
一区切りで飛び込んでくる妹をしっかりと受け止めれば、
己からもしっかりと抱きしめて。
近くなった二人の体、風の中感じるぬくもりと柔らかさを感じつつ、

「素敵なダンスをありがとう。
お礼には、ちょっと足りないかもしれないけれど。」

そんな言葉を紡ぎつつ、そっと触れる程度のキスを唇同士で。
あの日を超えたことで、アイシャに対しての距離感は間違いなく近くなっていた。
こうして触れてくること、抱き着いてくること。
どちらも素直に受け止めて、受け入れるように。
そして、この程度の愛情表現を付け加える程度には。