2024/08/27 のログ
ご案内:「セレネルの海 浜辺」にナランさんが現れました。
■ナラン > 半分に足らない月が中天に上るころ。
打ち寄せる波は引き潮なのか静かで、月光を照り返す波間を時折海鳥が黒い影となって過ぎる。黒い空には雲ひとつないようで、満天と言っていい星がちかちかと瞬く。白い砂浜には小さな甲殻類が小さな足跡を残しながら、月光の下動く影となって密かなダンスを踊っているようだ。
ゆるい風が波打ち際から吹いてくる光景のなか、林の陰からカンテラをもった人影が現れる。人影は左右、広がる浜辺に視線を走らせてから、さく、と砂を踏む。荷物を片手に抱えた女だ。
女は出てきた林からそう遠くないところに横たわった大きな流木のところまで、砂の感触を確かめるように歩いていくと荷物をそこに降ろした。
■ナラン > カンテラも荷物の隣に置いて、腕を伸ばして深呼吸をひとつ。
草原で生まれ育って、海の香りにはあまりなじみがない。それでもなんとなく、心地よく思う。
女は暫し水平線と空との間を眺めてから、流木の上に腰かけた。
傍らの荷物から取り出したのは、布と、針と糸。
まずは糸を通さずに布と針を持って、目の高さまで上げて目当ての場所に指してみる。
夜目が効くようになったから、もしかしたら、と思っていたが……
(うーん…)
まるっきり見当違いの場所に刺しているわけではないが、何となく勝手が違う。