2023/10/18 のログ
ご案内:「◆ゾス村(イベント開催中)」に九音物さんが現れました。
■九音物 > 昼間に一悶着あった物の、目的地にたどり着いた。完。
とはならなかった。元々情報収集で全国行脚の様に動き回っている。
最近は物資の流れも人の流れも偏りつつあるが、大体が通過点と集結点が此処になっていることが多い。
荷馬車に騎士団の行軍。私兵に傭兵、冒険者に至るまでが地図上に辛うじて残る様な村に集うのは不自然だ、と思っていたが。
現地に到着してみればよく分かる。
「……戦かねぇ。」
黒頭巾の下では酒場に商館、急増の防柵らしきものや崩れた壁を再利用したような土塁。
下卑た笑い声にも混ざり合う殺気と警戒感。自分が今いるのは酒場の近く、僅かに顔の隙間があるような狭い路地とも言えない様な隙間。
断じて娼館の行いを覗いていたとかそんな事はしていない。
目的はあくまで、霊桜教の社を建てる事の出来そうな土地を探す事であり、物資の流れと人の流れからゾス村の近辺は悪くないのでは、と足を運んだのだが。
確かに治安は悪くない。だが、火薬庫の傍らで煙草を吸う様な愚か者がいない事と同じ。
問題を1つ起こせば際限なく火薬庫は爆発を続けるだろう。一触即発と言っていい程に緊張感が高い。
「………ここは無理だね。」
変に宗教を持ちだせばそれだけで捕縛されても文句は言えない。
自分達のいた小国では大戦を連想させる有様で、とても社の建立等出来たものではない。
持たされるのが建築資材ではなく武器になって前線に回されるか、巫女に至っては面白くもない事態になるだけだろう。
黒頭巾の下で深々と溜息も付く。
気配の消し方自体は完璧に等しい。精々崩れかけた柱か何かと思わせるだけの気配の消し方。
ちなみに隣の館は娼館なのだがこれは偶然の話。
■九音物 > しかし鉄や鋼といった武器防具の類に使う物資が此処に集まり過ぎている。
自分の棒手裏剣も色々と事情があって手持ちが減った。総本山からも鉄等が略奪に遭ったりしていて補給分の一部が届いていないと言う理由で自分の分は後回しにされる始末。
苦無に糸を付けて使い回しをしているが、その苦無の刃もすぐ痛む。
太い血管を傷つけないように切りつけるのは案外難しい物だ。
昼間は魔物だったので多分大丈夫だろう。苦無ぶっさしてそれでも動くから雷を落したが。
「ここなら安く調達出来るかとも思ったけど。全部転用されているし。
底抜けの水瓶に水を注ぎ込んでるような物か。
各所に資材の節約と隠し持つ様に連絡させなきゃダメだね。」
とかく外部の国から移住してきた自分達は肩身が狭い。
今の自分の様に国と宗教両方の圧力の板挟みだ。
一声物資を差し出せと言われれば差し出さざるを得ない。――となると高騰し始めた物資を賄うだけの金稼ぎも必要になるのだが。
生憎金稼ぎは得意と言えない集団でもある。
どこかの巫女はお人好しにすぎる。
どこかの巫女は享楽的過ぎる。
何処かの一番マトモそうな坊さんはお金稼ぎとか絶対興味ない気がする。
「…………闘技場、とか?」
■九音物 > 使い魔とも違うが飼いならしている黒猫や梟といった伝令用の獣を1匹ずつ呼び寄せ、ゾス村の状況。
社の建立は不可能。資材を隠す旨。特に巫女は近くに立ち入らない事。
短く暗号文の様に記した紙を足に括りつけて飛ばしていく。
召喚術の様な口寄せではなく、あくまで飼いならしただけの獣。
彼らの帰巣本能の方が自分が手にしている安物の地図よりもはるかに正確だろう。
「…………お仕事終わり。」
ゾス村から少し下がった集落でも危ういかもしれない。
そちらに他の家族がいなければいいのだが。誰がこの国に来ているのかを把握していても、今どこにいるのか、までは中々判断が付かない。
召喚に耳を当てているのは、そう隠形術のためだ。
中の声に興味がある訳ではない。絶対に。
「……………!」
自分を取り巻く空気が少し変わった。
す、と音も無く後方ではなく群雲に月が隠れた折に屋根の上に跳躍する。音は無かった筈だが、勘のいい人間か。
それとも目の良い人間か。どちらにしても警戒網に引っかかった。
気持ちの悪い空気が自分の肌をなぞった瞬間に屋根の上に上がる。
■九音物 > 「……うーん。大丈夫、かな?」
追ってくる気配がない。自分の肌感覚で空気がまた落ち着いた様に感じる。
高さ数メートルの屋根の上、腰を下ろし夜空と地上の篝火を肴に一人宴を開く。
膝の上で開いた包みからは、栄養と効能は大変好評な丸薬の類。
ある一点を除けば自分の自信作。色々と混ざり合った物だが、酒で流し込めばこれも十分な肴になる。
ニガヨモギに生煮えのニンジンをすりおろし、成長し過ぎたタケノコの灰汁を混ぜた様なそんな苦味。
竹筒に入る酒と流し込めば、まぁそれも一つの楽しみだ。
しかし、酒では酔えない。あまりにも殺気立っている、警戒の気配が強い、おまけに今後が見通せない。
「本当に何かしらで金策しないと……。いや、でも闘技場とかどうなんだろう。」
良い顔は絶対されない。後は自分の目の良さを信じて賭け事位だが。
どちらにしても五戒に思い切り抵触しそうだ。怖い。