2024/02/13 のログ
ご案内:「奴隷市場都市バフート」にノイさんが現れました。
ノイ > 「ねぇ。ねぇ、其処のあなた――」

大勢の行き交うバフートの大通り。
メインストリートらしからぬ甘い声、時に悲鳴、そんな物が人々の声に紛れ込む…だが、この歳ならば当たり前な喧噪の中。
路地への入口から囁き掛ける少女然とした声音。

その声の主は影のようにひっそりと。ほっそりと。角に立ち、表通りを行き交う者を、手招きしてみせる。
近付いてみれば声音の通りの少女、が、立ちんぼ娼婦とは思えない、質の良い身形。
…この都市の異様にアテられでもした、何処ぞのお嬢様の戯れか、とでも言うような。

「わたし…ね、今ちょっと――『おなかがすいてる』んだよ……ね?
だから、ねぇ、あなた…に。少しだけ、食べさせて欲しいんだけど――――」

もし。声を聴き留めた者が多少なりとも。この世界で何が危険なのかを知っているなら。
少女の見た目をしたそれの言葉は、『あなたに』を、『あなたを』に。置き換えられると気付くだろう。
知った、気付いた、その上で。如何に対処するかはその者次第。

だが逆に、何も知らないのなら――誘いに乗り路地へと足を踏み入れた段階で。
ふわふわと漂う毒華めいた淫の気に。絡め取られる事となりかねず…
それは。欲に寄生し悦を捕食せんとする魔性のモノの。獲物を見出さんとする行為に他ならなかった。

ご案内:「奴隷市場都市バフート」にロスクさんが現れました。
ロスク > 「ん……?」

旅装姿の小さな少年が、手招きする影に目を留める。
冒険者として、珍しい品々を求めにバフートに訪れ、さあ帰ろうと思った矢先だった。
街娼の類にしては、優雅さがある立ち姿。

「食べさせる、って……」

違和感しかないその様子に、思わず足を止めるばかりか、ふらふらと近づいてしまう。
直感が危険を訴えていても、好奇心やそれ以外が、そこに足を向かわせる。
その様子は、いかにも無防備に映るだろう。

ノイ > くす、くすと微笑む声音が路地に反響する。
どうやら一人の小柄な少年が。誘う声に反応したようだ。

――彼が、路地に踏み入った。それと同時に少女の影は。滑り出すように音もなく距離を詰め――

「ふ――ふ。 つか、まえ、た…ぁ」

ふわり。覆い被さるようにして尚、少女の気配は薄い。
それでいて…直に接触したのなら。確かな実在を思わせる人肌の温もりを以て。
…少年を。抱き締めてしまおうか。

ロスク > 「わっ!?」

一回りほども小さな背丈の少年は、簡単に抱きしめられてしまう。
いきなりの抱擁と、それによって伝わる人肌のぬくもり、少女らしい柔らかさを感じ
顔を赤らめて、胸の鼓動を早くする。

「は、離してよ……」

さすがに気恥ずかしくて離れたがるものの、相手がたおやかそうな少女なこともあって
迂闊な触れ方をしてしまうのではないかと、うまく身動きが取れないでいた。

ノイ > 「……うん、うん?
こういう子も、この街に来るんだ…ね。少しびっくりかも――」

腕の中に感じる、遠慮がちな抗議と身動ぎ。
そんな様子を…この、背徳と頽廃のみで出来上がったかのような市場都市で。お目に掛かるとは思ってもいなかった。
最初は如何にも不思議な物を見た、と言わんばかりに目を丸くして。
次にその瞳を笑むように細め。穏やかな眼差しでじっくりと。その少年を観察する。
薄い衣一枚を通して押し当てた温もりと柔らかさ。それに剥き出しの欲望をひけらかすのなら兎も角。
頬を染める初心さに、緊張めいた鼓動の乱れに、と。見せる反応のどれもが珍しく。だからこそ――

「ふー…ふ、だめー…駄目だよ? そんな位しか抵抗してくれないなんて、寧ろ…
摘み食いだけじゃ、気が済まなくなっちゃ……ぅ、よ?」

もう少し。回した腕が更に少年を引き寄せる。
小さな少年の腕力ですら、その気になれば引き剥がせてしまう程度の。脆弱な力による抱擁でしかないが…
代わりにそれは。絡み付くかのように接触する度合いを増して。
例えば、豊かではないが確かな双丘の感触や。柔らかさの頂点に気付いた尖りの存在。
そういった、異性であるという事を明確に感じさせる感触を押し付けながら。

――こつん。頭を傾け、真正面から。少年の額と自身のそれとを触れ合わせ。剰りにも至近から双眸を覗き込む。
深い、深い碧。光の宿らず、いっそ吸い込む淵にも似た色合いが。

ロスク > 「つまみ食い……? さっきから、何を……?」

手の中に汗をかく。
本当にわかっていないわけではない。
人通りの外れた場所には、人を誑かす魔が時折現れることを。
けれどもこうして優しく柔らかく包まれてしまえば、
どうしてそれに抵抗しなければいけないのかを忘れてしまう。
身体に当たる感触に、下半身に血が集まっていく。
非力なはずの腕を、引きはがすことがより困難になる。

「あ……」

覗き込む瞳の碧さに見とれて、離れなければという気持ちを忘れてしまう。
それにともなって、幻術で隠されていた大きな鼠の耳と、細長い尾が姿を現す。
被食者の鼠のミレーであることを、少女の前に晒してしまう。

ノイ > ますます驚きだ。
どうやらこの少年、素性を隠していたらしく。そしてその素性とは…ミレーである事に他ならない。
もしこの少年がうっかり、例えばつい背後の大通り等で。その正体を晒してしまえば。たちまちとっ捕まって奴隷送りになるのではないか。
そんな事になるのは――とても。可哀想だ。

大きな鼠耳をまじまじと見つめた瞳は。本気で少年の事を案じつつ。
けれど、それはそれとして。彼を食べてしまおうという意図は変わらない。
難なら捕獲され調教され奴隷に堕ちる等よりも。此方の方が良い筈という善意すら抱きつつ。

「んー…?あなたも解って、くれてる。……よね?本当は。
だって、ほら――段々。段々、温かく…熱く…ちゃんと。わたしに教えてくれてる――もの、ね?」

するり。肩や背中へ回す両手の片方が、一瞬離れ。密接した互いの合間に滑り込み…
撫で上げてみせる。少年の下肢、屹立しつつある存在を。
直ぐにその手は離れ。が、代わりに少女の側からも下腹を押し付けるようにして。
二人の間でしっかりと、硬いそれを挟み、服越しに柔く擦る感触を与え出す。

「ほら、もっと。…もっと大きく。…大きく、なぁれ?
ふ、ふ…くふふ… ね――ぇ、そしたら…」

重なる瞳が声ならぬ声を、少年の意識へ滑り込ませんとする――

『きもちよくなれるのだ』、と。

ロスク > 「で、でも、いきなりそんな……」

まさか、本気で心配されているとはつゆほども思わず。
この少年もまったくの物知らずというわけではないから、言わんとしていることはわかる。
蕩けきっていない理性と倫理観が、実行を邪魔している。

「は、ああ……! うっ……このぉ……!
 やめろ、って……!」

手で撫でられて、腹を擦り付けられて、素直に大きさを増していく。
眼差しと声で暗示をかけられれば、理性も少しずつ失われていく。
耳や尻尾が、快楽に従順になって、ぴょこぴょこと動いてしまう。

「ん、んんーっ……」

抗いもせず、それどころか自分から身体を押し付けて、
少女の身体の柔らかさを受け容れて、味わって、楽しもうとしてしまう。

ノイ > 「………うん。うん、素直で――良い子だ……ね、ぇ?」

言葉では。理性では。少年は確かに、少女の事を拒絶しているものの。
尚膨らんでいく代物が。向こうからも押し付けられてくる身動きが。
それ等と真逆に素直で本能的だから。自然、其方の方が。生物としての彼の本音なのだろうと受け取ってしまう。
誰しも自分にとって都合の良い捉え方をしたいのだから。当然といえば当然だが。
捕えた側喰らう側がご都合主義を決め込むのだから、獲物にとっては堪った物ではないだろう。

やがて抗いも散漫に。少年の動きが肯定的な物となってくれば――するすると。路地の奥へ滑り込んでいく。
大通りの側から見ている誰かが居たのなら。見目幼くとも街に則した、男と女、たり得る者達が。物陰へしけ込む光景にでも見えたかもしれない。

――少年の耳も尾も、彼等彼女等には見えないように。
それは少女が彼の今後を案じたからでもあるし…ミレーだからと、奴隷だと。獲物を横取りされるのを避ける為、でもあり。
つまるところ少女の善意とは。獲物に対する、或いは愛玩動物に対するようなものなのだ。

「…んっ、ん――っふ。 ……ふぁは、ぁ、ぁ…」

路地奥に引っ張り込んでしまえば――遠慮も其処までだ。
もう拒みはしないだろうと、顔を伏せ、少年と口付けを交わしていく。
軽くじゃれ合う等ではなく。最初から唇を割って舌を交える、これからせんとする事を明確に示す深い接吻。
…とろりと滴る唾液は甘く。今度は物理的に、それを注がれる少年に、熱を灯らせる毒じみて。