2023/09/10 のログ
■ロロ > 市内、何処かの店。
草木も眠りにつきだす頃合い。その癖、欲に溺れる人間達の嬌声だけが。変わらず、近く遠くに響く。そんな路地に面した裏口で。
……どかんっ!
けたたましい音が響き渡った。ほんの一瞬、薄暗がりから漏れる男女の声が中断される。
音の出所は裏口の扉であり。それを内側から勢い良く開いたのは、叩き付けられた男の背中。
そして男はどうやら店の従業員であり、彼をそんな目に遭わせたのは――
「…だぁから。客だって言ってんだ ろ。そりゃこちとらミレーだけど、アンタ等に売られた筋合いは無ぇ し」
男の身体を蹴り飛ばしたまま、長く息を吐いた残身の後…ゆらり。
蹴足を下ろす犬娘。
その首には黒く硬い首輪が嵌り、身分を主張してはいるのだが――逆説それは。
とうに買われた後、或いは飼われているという事であり。だから彼等の商品とは違うという事であり。
…きちんと飼い主の用向きで訪れた、使いの者であるという事実を無視し、手を出そうとした男に。一撃くれてやったというのが現状だった。
■ロロ > 「たく。盛りたきゃ手前ェの商品に――あぁいや、そいつぁ商売上良くないか。
別の店で金払ってきな。此処ぁそういうトコだろう よ」
欲を発散出来る場所なら幾らでも有るだろう。この街なら。
難なら其処らの道端でだろうが、立ちんぼでも何でも捕まるだろう…現に。
暫し驚き中断していた、物陰からの喘ぎ声も。多少の荒事には慣れっ子なのか、直ぐに再開されたようでもあるし。
わしわしと髪を、其処から生えた獣の耳を掻き毟る手が…ふと。止まった。
「っつーか…やべ。やっちゃったな……うん、やっちまった な、これ」
手、もとい足。出してから気が付いた。
相手が悪いのだが、一応、こちとら商売上の使いである。言ってみれば取引を望む主の代弁者だ。
もう少し穏便にしておいた方が良かったかと今更考えもする。
一先ず。蹴り飛ばされ路地まで転がった店員は。すっかりのびてうんともすんとも言わないようであるし。
■ロロ > 直に店頭の方から。幾人かの声が近付いてくる。
けたたましい物音に、さすがに、何事かと。驚いた別の店員達だろう。
中には犬が使いとして会う予定だった、この店の主も居るのかもしれない。…まずい。物凄く、まずい。
数秒考え込んだものの。結局、今この瞬間取り得る手段として、最速最短最善の物と思えた物を。速やかに実行する事とした。
即ち――ばた、む。手を伸ばし外開きの扉を掴み寄せ、また閉じる事。
うんともすんとも言わずに転がっている店員は。こうすれば、店の中から見られる事はなく済む筈だ。
引き続き気を失ったままなのなら。何処の誰に、どんな目に遭わされるか知らないが…まぁ男だしマシだろう、と。決め込んで。
「――こほん。いや、何でも。じゃぁ早速…来月分の納品書、預かってきてますんで――」
ワタシハナニモミマセンデシタ。
物音の出所には知らぬ存ぜぬを決め込み、速やかに仕事へと移り…そして。
用が済めばそそくさと。店を後に、王都へ帰っていった事だろう。
犠牲者、但し悪いのは彼方。そんな相手が路上で目を醒まさない内に。
ご案内:「奴隷市場都市バフート」からロロさんが去りました。
ご案内:「奴隷市場都市バフート」にセラさんが現れました。
■セラ > この都市に渦巻く欲望の熱量を計れば、どれほどのものになるのだろうか。
そんな事を考えながら、奴隷市場へと続く通りをゆったりとした足取りで歩く少女の姿。
猥雑な活気に満ちる都市は、この都市らしく路上での凌辱劇も珍しくなく。響く嬌声に、ちらりと目線を向けて犯す側も犯される側も知った顔ではないと見て取ると、あっさりと興味を失った様子で目線を切る。
「素材が悪いな」
一瞥して、犯されていた少女を憐れむでもなく。商品としてそのように評価する。
いかにも平凡な村娘といった容姿に、犯している側も体力任せの乱暴さ。自分なら、どうするかと考えて。一番早いのは、美容整形と答えを出す。
人間、見た目が全てではないと言うが。見た目の影響は、かなり大きい。
容姿のレベルが高いほどに、商品価値も高まるというもの。バフートで外を出歩いていると、邪な念のこもった視線を向けられるのは日常。
隙を見せたら、路地裏に連れ込まれるか。あるいは、食事に薬でも盛られるか。服を買おうとして、試着室で攫われるというのもこの都市ではありそうである。
思い返して、この都市は治安が悪いなと嘆息し。改めて、周囲へと観光客よろしくあちこちへと視線を投げかけながら歩き出す。
購入する価値のある何か。あるいは、興味を引く何かしらはないかと。
ご案内:「奴隷市場都市バフート」にグスタフさんが現れました。
■グスタフ > 奴隷市場に近づきがたい雰囲気を纏うものが稀に現れる。
彼女もその類だ。あたりの嬌声に眉一本動かさず観察している。
一見からただものでもない雰囲気ではあるが。
意外とこの街の気にあてられているのを見せていないだけの可能性もあるか。
無謀というか、退屈に飽いたのか。普段は声を掛けない相手に男は声を掛けていた。
「……何か探しているのか?」
吸っていた煙草を足元に投げ捨てもみ消すと、近づきながら。
男は視線を彷徨わせながら歩いている女に声を掛けていた。
首で道の奥に誘うように招いて。
「退屈しのぎなら……ついてこいよ」
■セラ > こういう悪徳の街では、どのような物が流れ着いているかわからない。
掘り出し物のひとつでも見つける事ができれば――と、そんな風に思っていたところにかけられた声。
目線を向ければ、体格の良い男がこちらにむかって誘いかける台詞と仕草を続けてくる。
「それは、期待してもいいのかな?」
薄く口元に笑みを浮かべ。
この都市にありがちな、奴隷への転落へと繋がる罠だとしても踏み潰せばよいとして。
誘いに乗るのも一興と、招きに応じて歩み寄る。
ご案内:「奴隷市場都市バフート」からグスタフさんが去りました。
ご案内:「奴隷市場都市バフート」からセラさんが去りました。