2025/05/03 のログ
■れあ > 視界にデバフ。
まさかゴブリンに出し抜かれるなんて!
「くう!」
次の剣劇が来る。
肌に感じる殺気は…頭でも首でも腕でも胴でもない。
まさかの脚。
目を封じて、生け捕る方向に動いてるらしい。
しかし──。
「悪視界での戦闘なんて、5歳の頃からやってます!」
空気の流れを読んで、脚への攻撃を回避する。ゴブリンの剣が地面をたたいた。
その頭を蹴り、反動で側転で距離を稼いてからの分銅投げ。
頭を砕きたかったけど、視界不十分で外す可能性があり、胸を狙った一撃で、その胸骨を叩き割る。
ゴブリンは情けない悲鳴を上げた。
私は即座に身を翻して、来た道を全力疾走する。
そして懐を探り、水筒を掴んだ。
すぐ後ろには目つぶしをしてきたゴブリンの気配が迫っている。
水で目を洗う前に追いつかれる感覚。
大丈夫。見えずともちゃんと感じてる。私の感覚は正しいはず!
全力疾走からの、急停止──からの振り向きざまの膝蹴り。
パキっと音がして、ゴブリンの顔面にヒットする。こっちの膝も結構痛い!
両者はそのまま地面を転がった。
ゴブリンは人間と子供も作れるような生き物。つまり人間に近い生き物。
解剖して確かめたわけじゃないけど、きっと寝技も効く!
奴が起き上がる前に、転がりながらその頭を太腿に引き込んでの首固め。
ガッチリときまったそれをぐ!と〆ると、ゴブリンはぐにゃん!と落ちた。
はぁはぁと自分の乱れた息づかいがダンジョンに響く。
胸を割ったゴブリンからの追撃はない。
脚でゴブリンを締め続けつつ、ここでようやく目を洗った。
落とした松明の向こう、ゴブリンが胸を押さえて倒れてる。
あの胸への一撃が致命傷となっていたようだった。
「あーびっくりした……」
■れあ > 「これで…4体」
遭遇した3体の両耳を剥ぎ取り。汗をぬぐう。
流石に少しヒヤっとした。
見れば松明もそろそろ1本目が終わりそうなタイミング。
「じゃあもどろっか…」
さて帰り道。
予想外の遭遇戦。戦いのドタバタで、脳のメモリを使ってしまって、脳内マッピングが……。
「……」
頬に手を当てつつ、必死に脳をぶん回す。
なんとか戻ってくる脳内マッピング。あぶないあぶない。
流石にこんな臭い洞窟で遭難とかはマジ勘弁。
と、踵を返した瞬間に、脳内にフラッシュバックする過去。
それは前回のゴブリン退治を終えて、討伐の証に「ゴブリンの右耳」を渡した時の事。
「はい、これ討伐の証」
「耳か…耳ねぇ…まあ…」
「何が不満?首一個もってこいとか言わないでよ?かさばるんだから」
「いや。耳だとねぇ。上が納得しないかもしれないんですよ」
「討伐しないで耳だけ斬って帰ってくるの心配してるわけ?耳落とす腕前あれば普通に殺せるでしょ」
「それはそうなんだけどねぇ…」
と、こんなやり取りがあったのだ。
今は「それなら両耳持ち帰りました」でグダグダ言われないかと思ったけど。これだけ苦労してグチグチ言われたら、私ブチギレるかもしれない。
その場でしばし考える。
「よし…」
そして思いついた。「アレ」をちょんぎって持ち帰ればいいのだと。
■れあ > 別に男に恨みとかある訳じゃないけど、アレをちょん切るってすこしワクワクする。
更にゴブリンはそーゆー奴等だっていうし、まあ因果応報か。
もしかしたら、薬の材料とかになって高く売れるのかもしれない。
なんだっけ、なんか豚のペニスは薬になるとか…なかったっけ?
とりあえず、ヤバイ異臭漂うゴブリンの遺体の脇に座り、いっちょ前に身に着けてる腰布を捲る。
そこには………どうみても人間の男性のソレのサイズの立派なヤツがいた。
多少はへんなイボみたいのついてて、皮膚が固い感じ。
でも、冒険者ギルドにはこんなのぶらさげてそうなのがワンサカいる。
ちんちんを見て、名前も知らない、ギルドで見かけただけの男性陣の顔が浮かぶのはなんか変な感じ。
「……まあ。人間との間に子供つくれるって、言うし…」
だらんっとなっているソレを握り、引っ張り、鎌で切り取る。
ザクザクと3本を回収。
その最中、一体の腰布に、装飾品が付いているのを見つけた。
襲った人間から剥ぎ取ったものだろうか。
とりあえずギルドに届けだしてみよう。せめてこれが犠牲者家族の元に届けば…。
予想よりずっと疲れた帰り道。
今横穴からまた複数出てきたら結構しんどい。
「あ、最初の奴からも切り取っておかないと…」
遺体が消えてたらどうしよう?と、結構ホラーな想像をする。
■れあ > 迷うことなく最初の1体目との遭遇ポイントに戻ってくる。
その頃にちょうど一本目の松明が消えた。
「結構余裕あったなー…」
二本目を掲げながら、ゴブリンの遺体の傍に座り、慣れた手つきで腰布を捲る。
「うっわ」
と思わず声を出してしまう程度に、巨大なのが付いてた。
あまりにもアンバランス。
「こんな子供みたいな体格で、こんなのを…。変な生き物ねまったく」
そう感想を漏らしつつ、スラッシュ。
「ゴブリン討伐の証にペニスを切り取ってきた怖い女がいるとか、変な噂にならないでしょうね…」
ただでさえ浮いてるのに、もっと浮いてしまう!
こうして、冒険者として初のダンジョン討伐任務は幕を下ろしました。
戦果はゴブリン4体。
3体は分銅による投擲、1体は足での首絞め。
ダンジョンの入り口に立ち、外気を浴びた後、自分の匂いをくんくん嗅ぐ。
「あ、ヤバイかも」
直接ギルドに戻ることはせず、どこかで─できれば「九頭龍の水浴び場」あたりでたっぷり8時間はお湯に浸かってから、達成報告に行こうと心に決めて、洞窟を立ち去ったのでした。
ご案内:「メグメール(喜びヶ原) 洞窟」かられあさんが去りました。