2025/05/02 のログ
ご案内:「メグメール(喜びヶ原) 森林」にヴェスタさんが現れました。
■ヴェスタ > 深夜。街道からさほど遠くはない森の中、少し開けた岩場混じりの平らな地面を見つけ、そこに小さな焚き火を作り。
狩りたての猪、と言ってもそのまま猪そのものではなく半分魔物であったが、焚き火の傍に置いた石の上で手頃な大きさに切ったその肉をじわじわ焼きながら。
周囲の虫の声と、時折焚き火の中で枝のはぜる音を心地よく聴きながら、胡座をかいて何かの本を読んでいる。
偶に遠くから獣かはたまた別の魔物なのか、遠吠えが聞こえて来ることもあるのだが、それもまた自然の一部、と楽しんですら居る。
それほど大きくは作っていない焚き火ゆえに、本を読むには普通ならだいぶ明るさが足りない所だろうが、なにせ夜目は圧倒的に効くわけだから、それこそ星明かり程度でも苦労はしない。
小さいとは言え火を焚いていれば、それなりの距離からも見えるだろうし、昇る煙もそのままにしているし、何より肉の焼ける臭いが時折吹く風に乗って行くだろうが、それらも殆ど気にしていない。
魔物が出ようが賊が出ようが、こんな所で出てくるような連中は、この獣人男にとって何の危険にもなりえない。
悠々自適に、本来なら少々危険であるはずの森の中で、ゆったり夜食など焼きながら本を読んでぼんやり過ごせるのは、獣の特権のようなものかもしれない。
■ヴェスタ > 「食うか?」
枝をナイフで削って作った簡易的な串に、焼き上がった肉の一切れを刺して持ち上げ、肩越しに後ろの方へ挙げて見せる。
がさり、と後方で草の擦れる音がして、それを聞いてか……わはは、と軽く笑う。
「このぐらいで動揺するんじゃあないよ、まだまだ修行不足!」
背後の誰か、に向かってかそんな事を言い、肉はそのまま自分で齧る。
その方向、太い樹の陰には、宵闇に紛れる黒青色の外套で身を包んだ人影がひとつ。
細長い尻尾が地面すれすれを不機嫌そうに揺れていて、深く被ったフードから僅かに見える猫の鼻……「食うか、ではありません!」などと、これまた不機嫌そうに小さな声で漏らしている。声の質からすると若い女なのだろうか。
街に居るかと思えばこんな所で油を売っている、探し出す方の身にもなってください――などと背後で続けて始まって、やれやれと肩を竦めながら肉をかじり続けるばかりの獣人男。
「取り立てて問題が起きているわけでもないのだろう?
こちらは相変わらずさほど代わり映えはしないな、それなりに面白くやっている――面白いと言えば、なかなか興味深い人物に出会ったりはするがね」
お小言をとぼけてのらりくらり躱すような口ぶりの獣人男に、はぁ、とため息混じりにがっくりしている気配があって、それが余計に男を笑わせている。
■ヴェスタ > 「なぁに、心配するな。こうして、必要時にはちゃんと居場所がわかるようにしているだろう?
まあ……お前にはちょいと、苦労をかけているな」
ぐい、と肩越しに背後の人影の方に顔を向けて、少しは神妙な顔をして見せる。苦労をかけている、と言う部分はそれなりに本心ではあるのだ。
――従者ですから、と返ってくる言葉はまだ少し棘を感じるが。その人影が、言葉通りにこの男の従者なのであるとすれば、言い合い様はずいぶんと気を許しあった間柄ではあるようだった。
「ひとまず、さほど危険はないよ。それよりも……毎日至る所で何か小競り合いが起きているのを、全部に手を出すわけにはいかん、と言うのが心苦しくはあるかねぇ。
助けてやりたくなる者達全員を、そのまま助ける、と言うわけにもいかんのが――」
どこぞの勇者的な人物であれば、目に付く全員助けようとするのかもしれないが。
小国ひとつ抱えている身では、自分の領地の者達をまず優先せねばならぬ、ままならぬ立場なのである。
どうするにしても、あまり無茶はしないでくださいね、などと釘を刺されつつ。近づいてくる別の気配があれば、背後の人影はすっと完全に姿を消した。
やがて、焚き火につられて現れたのか、冒険者なのであろう三人組が現れて。
魔物か、などと身構えられるも、その遣り取りには慣れた様子で。大仰に笑いながら暫し相手をしてやり、駆け出しであった様子の冒険者たちの身の上話などを、面白く聞きながら夜を過ごしていた。
ご案内:「メグメール(喜びヶ原) 森林」からヴェスタさんが去りました。
ご案内:「メグメール(喜びヶ原) 洞窟」にれあさんが現れました。
■れあ > 「へー…これがダンジョンってやつか」
珍しく討伐依頼を引き当てて、やってきたのはメグメール(喜びヶ原)にある洞窟。
その自然の洞窟が迷路となって広がるダンジョンだった。
こういった闇が多く身を隠せると頃には、危険が宿る。
例えば…人殺しなんかが塒にして、ここを起点に悪さを働くようになるのだ。
討伐任務の対象は、ゴブリン。
既に以前の任務で3体を相手に戦い(といっても1対1にもちこんだのだけど)、危なげなく勝利達成していた。
その実績あってか、今回の仕事もソロで引き受けることが出来た。
洞窟の中での戦いである事と、相手の数がイマイチ不明な事がネックと言えばネック。
でも、まあ4~5匹も討伐で来ていたら、撤退してしまってもよいだろう。
一応、ゴブリンの巣穴ってだけでなく、悪人から、猛獣まで、幅広く驚異の想定をしながら、足を踏み入れる。
洞窟に入ってすぐに、光が届かない真の闇となる。
夜目はきくほうだけど、そうも言ってられなくて、松明に火をともした。
横道脇穴一杯の、アリの巣を思わせるダンジョンの姿が浮かび上がる。
「かなーり複雑ね」
風の流れ、匂い、そして鍛えた脳の記憶力。
個人的には迷う心配はほぼ無い。
■れあ > 松明は個人的には嫌い。
光が強すぎるし、何より臭い。
髪匂いがつくとか、服に匂いがしみ込むなど、あとのケアや処理がめんどくさいのもそうだけど、問題はその匂いで嗅覚が鈍ること。
獣の匂い。
血の匂い。
死体の匂い。
様々な匂いが、戦場では危険を知らせる役に立つのだから。
そして最大の欠点は、敵に自分の所在がバレバレになること。
これに関しては、まあ敵陣に乗り込んでる時点で不利はしかたない。
今回の仕事の救いは、ゴブリンが基本的には低能で、人間ほどには戦略を練ってこない敵であるところ。
「この脇道横穴がやっかいね」
さくさくと歩みを進めつつ、頭の中でマッピング。
多数の脇穴横道は、その全てを探るまで全体の構造を覆い隠してしまう。
例えば、今この瞬間も、脇ルートを使って背後に回り込まれているかもしれないのだ。
とりあえず今のところは、危険は感じていないけど、この先は常に万が一を考えておくべきでしょう。
■れあ > 不意に鼻先を異臭が掠めた。
臭いと言えば、まず例えば不潔な人間の匂いがある。
身体洗わず冒険者ギルドに出入りしてる男冒険者の何人かや、最近シバキ倒したキッズギャング達のような、体臭と、汗その他で増幅された雑菌と、ちゃんと処理してない汚物が混じった最低な匂い。
そして、もう一つ。臭いと言えばそれは死骸の匂いだ。
その二つを程よくブレンドしたような、異臭。
ダンジョン奥から微かに流れてくる風に乗って、それが漂ってくる。
いる。
間違いなく、この先に、標的が。
歩みを進めると、匂いはどんどんキツクなり、空気の動きも大きくなって松明の炎が揺らめく。
踊る炎の照らす先に、ゴブリンがみえた。
醜い子供と称される、体格と風貌。
うん。酷い生き物だ。
その数、1体。
ほっと胸を撫でおろす。
魔物も何か低く呻いて、私の方を見た。
幸い、彼らにとって人間の女は「餌」みたいなものらしく、奥に向かって「敵襲だぁああああ!」と警告するような動きはしてこない。
どこか嬉しそうにテンションを上げただけだった。
私は鎖鎌の分銅を握りこむ。
有効射程は10メートル。必殺の間合いは5メートル。
出来れば向こうから寄ってきて欲しい。
「ほらほら。おいでおいで」
やや甘やかに手招きする。
■れあ > ゴブリンが手にしていたのは、槍。
コイツ等は武器を使う程度の知能を有している。その射程は精々2メートルくらいだろう。
私の態度が、怯え逃げ出す一般人と違う事に、少しだけ訝しんで見せたが、やはり食欲(?)性欲(?)には勝てなかったのか、首傾げた直後に地面を蹴り、急全力で間合いを詰めてきた。
早い!
やはり魔物は野生の獣に近い存在か。
ピタリ5メートルで敵を捕らえるつもりが、生物としての身体能力差にやや押された感じで、4メートル半の間合いで、私の放った分銅がゴブリンの目から入り、眼窩の骨を押しつぶして、脳を捉える。
ビクン!と身を大きくはねた後、魔物は絶命した。
ひゅっと分銅を手繰り寄せ、懐から取り出した紙で体液を拭き、紙をその場に捨て、ゴブリンの遺骸に近寄って、討伐の証に、両耳を切り取る。
「まずは一匹…」
これを後3~4回繰り返せばいい。
「50センチの誤差は修正しておかないとね」
呼吸を整え、ダンジョンのさらに奥へ──。
■れあ > 何度も分岐を曲がり、緩やかに下っていくようなダンジョンを奥に進むにつれて
時には空気が澱み滞留していたり、同じところを回る様に空気が流れているような場所もあり
いよいよ並の物では現在地点をイメージできなくなるような、迷宮になった。
私の脳内マッピングはまだまだ正常。
足を止めて、考える。
「あそこが…ああで。これが…こうだから…」
うん、帰りの手順もばっちりだ。
手持ちの松明は二本。今手にしてる一本が消えそうになるまで進みましょう。
結果的に成果がゴブリン1体であっても、それはそれで仕方ない。
もしかしたらゴブリンの世界では今日は休日で、家族総出で旅行にいってるのかもしれない。
奥に来てからはもうずっと異臭に囲まれていて、鼻は効かなくなっている。
というか、もうずっとゴブリン臭い。
この辺りに彼らの生活臭が染みついているのだ。
そして曲がり角を一つ曲がり──。
「!」
すぐそこにいた。
ゴブリンが3体。
既に距離は3メートル。
「旅行にはいってなかったか…!」
先手の投擲が、3体の内の一番大柄な奴の額を叩き割った。
固い岩を叩き割ったような手応え。
2体はひるまず突っ込んでくる。
1体の獲物はさび付いた剣。
もう1体は───無手。いえ、石を握りこんでいる。
剣の一撃を躱して─投擲を──。
ここで想定外の出来事が起きた。
石を握っていたゴブリンが、それを投げてくる。
そこまでは見えていたけど、投げる瞬間に馬鹿みたいな握力で石を砕き、目つぶしの様に砂を投げてきたのだ。
「う!」
まさかの大ピンチ。