2024/12/02 のログ
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ゴーザ > 「・・・おぬしな。
確かにヒト族がどうなろうと魔族たる吾輩の知った事ではないが、
こう見えても、知り合ったモノの難儀を見捨てる程情が薄い訳ではないぞ。
そんな事より口は利けるようだな、まずは何よりだ・・・って、おい!?」

少し気を回しすぎたかと思ったが、割と元気そうに受け答えする様を見ながら
呆れたような声出して。
 基本戦う相手以外はどうでもいい白魔族だが、先に恩を売っておいたとは言え
自分を騎士団等に引き渡すでもなく素直に誘った店についてきた上、
その食べっぷりを店の女将にも気に入られた娘を多少の事で縁切る気はなく
親切というか当たり前に気遣っただけだと。
 そんなティアが緊張の糸切れたか不意に横倒しになろうとすれば、
地面に頭打ち付ける前にと慌てて受け止め。

「まったく・・・おぬしという娘は助けた後でも気が抜けんな。
・・・あ奴に分けるつもりでおったが、今のおぬしの方が入用かもしれんな、
ほれ・・・」

 多少土がつくだろうがこの際気にしていられないと、
どこからともなく取り出したクッションに頭乗せてやって
続けて取り出したのは、透き通った瓶の中にオレンジ色の液体が入ったもの。
中身は天然100%のオレンジジュースで、元は倒すべき標的たる知り合いに
渡すつもりであったが、今はティアが甘いものでも飲んで
気分を落ち着けるのが先決だと譲り渡し。

ティアフェル >  無情に見えるとか、薄情だと思っていたというわけではなく。
 充分親切な部類とは認識していた相手がなんというか、優しすぎてわたしのお父さんか!!と思ったまでのこと。
 ……と、何を思っているのか皆目意味の分からない奴だが。
 ともかく、「違くて…」と弁明する前に気が抜けてへらりと笑顔を張り付けたまま横倒れする。
 頭ごん!とする前にキャッチしてもらったので無事だったが。
 重ね重ねお世話ばかりおかけする奴である。
 そして魔法のように取り出されたクッションにぽっふ、と頭を乗せてもらうと。ふぃ~と息を吐きだして柔らかなクッションにふかふかと埋まって気を落ち着かせ。
 土どころかこいつの血でもクッションは汚れたので弁償沙汰である。

「ごめ……なんか……安心した?っていうか……うん…なんかもはやゴーザさん……見た目的な怖さを除けば安心感、あるよね~。お父さ~ん。
 ……? ん? あ……ジュース……? くれるの? ありがとうお父さん」

 もうなんか、呼び方お父さんになりつつあった。
 クッションに埋めた身をよろりと起こすと、確かに喉はからからで全力疾走の末に乱闘して疲労しきっていた。
 そんな喉に酸っぱくて甘いオレンジの香り高い風味はよく染みて。
 こくっ…と喉を鳴らして一口飲むと、そのまま続けて、こく、こくこくっと半分ほど干し。

「っぷっは~。生き返る~…!
 いやー、肉体疲労にクエン酸、良く分かってるね~、超沁みるわ~五臓六腑に沁み渡るわ~、おいしー」

 目をくの字にして喜んだ。
 おいしそうに喉を鳴らしていただくと口元を軽くぬぐって大分精力も戻ってきたようで。ふはーと大きく息を吐きだし。

ゴーザ > 「うん?・・・グォッフォッフォッ、止めてくれ。
連れ合いもおらんのに、父親呼ばわりは勘弁してもらえんか。
ましておぬし、真(まこと)の肉親がおるのではないのか?
魔族にそんな呼び方しておっては、何かの際に勘違いされかねんぞ。
美味いか、それは良かった・・・うん、良かった。」

何というか・・・先のヌシ呼びと言い、相手におかしな渾名付けるのが
趣味なのかと問いかけたくもなってきたが、すっかり落ち着いた様で
美味そうにジュース飲み干す様子見ていると、
内心本当にこれが以前コボルトの喉笛踏みつけた娘かと疑いたくもなり、
僅かに単眼の上へこんで悩んでいたり。

「さて・・・傷は自分で治せそうだな。
では落ち着いたら少し付き合え。
その様子では飯もろくに食っておるまい、
実は今しがた鹿を焼いておってな・・・今頃だと多少焦げておるかもしれんが、
まだ食える所も残っておるだろうから、帰る前に少し腹に物を入れておけ」

 そんな風にしていたら、元々ここで何をしていたのか思い出して
折角だからティアもどうだと誘ってみて。
相変わらず味付け無しの、本気でただ焼いただけのものだが
山の中で温かい食事ができるぞと、こんな所だけ悪魔めいた誘い。

ティアフェル > 「やー…ほら、お兄さんお姉さん、みたいに無関係な人だとてその場の感じで、お父さんお母さんとか呼び掛けたりすんじゃん?
 なんか、そんな感じ。分かる? わかんないかなー」

 渾名…ともまた違うニュアンスだが。
 説明してみたが伝わるかどうかは怪しいところ。わかんないかなーと首を傾げながら、こくり、こくり。喉を鳴らしてオレンジ色の果汁を味わい。
 大分落ち着いてきて大きく息を吐きだし。
 ごちそうさまでした、と瓶を空にして飲み終わると、「っし、治すか」と呪文を詠唱しかけたところで、声がかかるとそちらを向いて首を傾げ。

「鹿かーいいねー。まだ鹿もおいしい季節だね。
 ご相伴にあずからせていただく!
 調味料…塩とかそんなんなら少しくらい持ってるよ。
 良かったら味付けしよっか」

 ちゃっかりお言葉に甘えて、見た目よりも魔法で容量を増してあるウエストポーチの中には必需品や装備以外にもいろいろと詰め込まれている。多少の調味ならできるだろうと。
 それから改めて唱えかけていた詠唱を再開すると、スタッフを咬み傷へかざして、橙色の淡い光を生み施術し。
 終えると、はー、と人心地ついた息を吐いてから、ゆっくりとクッションを抱えて立ち上がり。

「これありがと、汚しちゃったね…血の跡だから取れないかも……今度新しいの返すよ、ごめんね」

 借り物を汚してしまったのを詫びては頭を下げ。

ゴーザ > 「・・・すまん、正直よく判らんが、
本気でそう思っているのでは無いのだな?
なら構わん、前にもどうとでも呼べと言ったしな」

何せ他者とつるむなどという事覚えたのがここ百年くらい前からの白魔族には
そういう空気というか機微が判らない。
判らないが、少なくとも自分の心配が杞憂なのだという事を理解すれば
それはそれで問題ないからと。

「・・・そういう物なのか?鹿に季節とかあるのか・・・。
ああうん、味付けはおぬしがしたければ好きにしてくれ、
吾輩、味は判るが加減というのが出来んからな、全部おぬしに任せる」

 単に白魔族の巨体満足させるには、少なくともそのくらいの大きさの獣でないと
難しいと言うだけの事なので、特に旬とか気にせず食していたから首傾げ。
 味に関しては感じはするものの、わざわざ自分でやる気にはなれなかったから
ティアが必要だと言うなら全権委任するつもりで。

「ん?ああ、別に構わん。普段から地べたにおいて寝ておるからな。
それがたまたま新品だっただけだ、汚れたからと言って気にする必要はないぞ?
そんな事より・・・行くのなら背中に乗っていくか?
狼共に追いかけられてさぞかし疲れただろう、
なんなら王都の近くまでおぶっていってやっても構わんぞ?」

恐縮しきりの相手には、手ひらひらさせながら歯剥き出しの笑顔で応じ。
多分そうはしないだろうと思いつつも、請われれば応じるつもりで
背中に乗るかと促したり。

ティアフェル > 「やっぱわかんないかー。だよねー。
 んー……なんていうか何となくー…?
 あはは、でもあんまり嬉しくはないんでしょ? それなら基本ゴーザさんって呼んどくわ」

 あくまで基本って感じなので時々気分でおかしな呼称がぶっこまれてくるだろうが。
 呼ばれた相手が反応してくれればいいのだが。

「さすがに素味じゃねー……せっかくならおいしくいただきたいです。
 鹿の命に報いるためにも! と云っても食われる鹿としたらそんなのどうでもいいだろうな」

 任された、と軽く胸をたたいて肯いて秋頃が冬に向けて栄養を蓄えようと豊富な実りを食べて肥えるからおいしいはずで、秋から冬に移ろって間もない今時分もまだまだいけるはず。
 脂が乗ってておいしいだろうなーと今から期待し。

「いやいや、だめだめ。自分で汚すのと借りたわたしが汚すのじゃ違うっしょ。いつも助けてもらってるし、お礼にとびきりふっかふかのクッション、プレゼントするんだ。もらってくれるでしょ?
 えぇ~…いやいや、そんなぁ~……悪いよ、申し訳ないよ、わたし重たいかも……でもせっかくだしぃ…そう云うならぁ……よっこいしょ……」

 クッションは気持ちの問題なんで、と後日大きくってふっかふかのクッションを見繕って贈ると誓い。
 そしておんぶの促しには、遠慮のそぶりを散々見せておいて……結局乗るんかい。という。
 悪いなぁなんてへらへらしながらのたまって、おばあちゃんみたいな声を出してその大きな背中にどっこいしょとお荷物乗っかります。

ゴーザ > 「うむ、どうせ食べるのならせめてその命に感謝くらいはするべきだろうな。
その方が奴らも死にがいがあるだろう」

 確かに勝手な言い草なのだろうが、殺したいから殺してそのまま放置というよりは
血肉になった方がましではあろうと頷いてみせ。

「本当に構わんのだが・・・折角くれると言うなら、一応貰っておく。
割と乱暴に扱うから、別に感触にはこだわらんのだがなあ・・・」

 どうしても返すと言うのなら、特に断る理由もないし有り難く貰うと。
出来るだけ大きい方がいいと、
ここだけはちゃっかりリクエストしてみたりはするが。

「グォッフォッフォッフォッ・・・ヒトの娘一人乗せたくらいで
よろけたりするほど柔な体はしておらんわ。
 しっかり掴まっておれよ、飯の前に舌など噛んだら
味も何もわからなくなるぞ」

 安定度から言えば背負い袋の中にでも入れておきたいところだが、
そんな事をすれば得物である板剣にヒトの体押しつぶされかねないから、
背中に乗ってくるティアには袋のどこかにしがみついておけと
注意してから、今度は夜更けだしティアが騒音で落ち着けないのも困るからと
足音消す走法で森の中ひたすら進んで、即席の野営地へと案内して。
 着いてみると背中の方から焼かれていた鹿が、
下方4分の1ほど真っ黒になっている惨状が目に入るだろう。

ティアフェル > 「んー……ようっく考えてみたらさ、わたしなら食われたら恨むから、腹壊せ!わたしを食ったこと後悔しやがれ!くらい思うなー。
 おいしく食べてください……とか思えない、思えるとしたらその相手に超心酔してる場合のみだなー」

 顎に人差し指を当てて「んー」と考えながら口にし。
 結局感謝したりおいしく食べるというのは食う側のエゴな気もした。
 だから、鹿さんも弱肉強食であると諦めてくれているといいと思った。

「してもらうばかりじゃわたしだって人並みに気を遣うのー。
 借り作ってばっかじゃ肩身が狭いったら。
 だったらとびきり丈夫でおっきなのにするわ。ふかふかじゃなくってみっちり中身詰まったやつね」

 おっきいのね、とこくこくと肯いて了解し、お礼クッションの構想を練った。

「まー…確かにそだろね。万一わたしよりひょろっちい相手だった場合、むしろ担いでやんよ、っていうところだし。
 え、そんな揺れる感じ? 舌噛む前に酔わないかな~……
 ってか、おんぶと云うより……完全に運搬感。まー…楽だけど」

 云われるまま袋の側面に抱き着くようにして、まるで袋と一緒に運ばれてる荷物に他ならないなと実感しつつ気を使って静かに進んで行ってもらうと、やがて肉が焼ける…というより、肉が焦げる匂いが近づいてきて。

「ぁーあ……結構コゲちゃったね。そりゃそうか……
 悪いことしちゃったね。せめて焦げたところは土の栄養に……」

 なんで焦げたかと云えば自分が犬に襲われたせいなのは良く分かっている。
 申し訳ない気持ちにはなりながら、背中から降ろしてもらうと、ごそごそと塩や乾燥ハーブと云った携行している調味料をバッグから取り出して、味付けしていただこうと支度する。

ゴーザ > 「・・・自分が食われるのまでは考えた事が無かったな。
試していないから判らんが、多分美味くは無いだろうし
そもそも吾輩を食おうという発想をする奴がおらんだろう。
肉が食いたければ、それこそ野の獣たちの方が容易いだろうからな。
 ふむ・・・それもそうだが、ならば食わねば良い、というものでも無かろう?
魔族・・・というか吾輩は、確かに3食きちんと食わんでも生きていく事は
出来るが、だからと言って食事をしないつもりはないぞ。
 恨むなら存分に恨め、とな。それを全部背負って生きるのも一興よ」

 恨みというか負の感情を受けるのは魔族であれば当たり前の事で、
それが故あっての物かそうでないかでしかないから、食って恨まれるなら
本望だと歯剥き出しで笑い。

「?吾輩、借しなど作った覚えはないが?
最初に助けた時はその後店に付きあわせたし、その次は群れの情報を貰ったろう。
ちゃんと礼はしてもらっておるぞ・・・というより、別に恩を売るために
おぬしを助けたわけで無し、遠慮などする必要はないんだが、
まあティアの気が済むなら、そうしてくれ。
新しいクッションとやら要らないわけではないからな、グオッフォッフォ・・・」

 色々と考えてくれるのは嬉しいんだがなと、
ここだけは口の端釣りあげての笑いに留め。

「あくまで安定感を取っただけだ、どうしてもおんぶされたいなら
殻の隙間に手を突っこんで掴むといい。
ただ、握力が無いと落ちたりするかもしれんから、要注意だが」

 ようやく焚火のそばにつくと、まずはティアが降りやすいようにと
足を折ってしゃがみ、背から重量減ったのを確認してから再び背を伸ばし。

「ああいや・・・そこは吾輩が食うから捨てる必要はないぞ。
おぬしは腹の方から好きな所を取ってくれ、残りは全部吾輩の物だ」

 多少の焦げは気にしないぞとにこやかに声掛け。
 命の尊厳とかは気にしないが、勿体無い精神だけはヒト一倍あるらしく
ティアが食べない所は全部自分が食うからと慌てて止め。

ティアフェル > 「実際に食われる立場かどうかはいいのよ。
 自分が食肉にされると仮定したらどう考えるかということ。
 それに、殺して食ってその強さを得ようなんて考えるバカいないとは限らない。自分が絶対に食べられない保証、誰にもないと思う。
 ……でも確かに生き物食べてる上では食べてるやつに恨まれたりなんて覚悟すべきことではあると思うよ」

 でもなるべく恨まないでねーと、調子のいいこと考えるのが人の立場というか己のエゴであり。
 そう思うと自分も食べられることがあった時むやみやたら、恨み散らすものでもないかもしれないと少し顧みる。

「えー。んなの等価とは云えないと思うんだけどな。
 まあ、価値観はそれぞれか。
 てか、貸しは今回野犬追っ払ってもらったこと、かな。
 その借りはきーっちり、返させてもらいます! だって犬だよ!?」

 犬から救助してもらったからには超ありがとうせなばならぬのである。
 だから絶対気に入られるようなクッション、送り付けてやるのだ、と意気込む。

「……そんなにおんぶおんぶ云うほどわたしゃ幼児じゃありません。
 それに怖い!殻の隙間て!お手々突っ込みとか!難易度高ぇ!」

 やらないそんなことと全力で首を振っておく。
 そして無事に下りたつと、お世話様と頭を下げ。
 
「え…これ、食べるの? こことかほら…ほぼ墨じゃない?
 じゃあわたしはお言葉に甘えてこのこんがり焼けてるところをー……まずは塩で、いただきます!」

 すげえな、これ食えるんだ、とこんがりコゲコゲな部位を見やってにこやかな声に「マジか」という顔で振り返り。
 そしてありがたく適度に焼けた部分を削いで塩を振っていただくのだ。
 
「あー、鹿うまー」

 と舌鼓を打ち、キャンプ気分で楽しくこんがり焼けた鹿肉の夜食をいただき、塩などの調味をそちらにも勧めながらその夜は賑やかに更けていくのであった――

ご案内:「メグメール(喜びヶ原) 森林」からティアフェルさんが去りました。
ゴーザ > これはこれで少し味が違ったりするんだぞと、
いかにも焦がした炭を食べなれている風に言いながら、
程よく焼けた鹿を美味しそうに食べるティアを
何となく柔らかい目で見て野外での食事楽しんで・・・。

ご案内:「メグメール(喜びヶ原) 森林」からゴーザさんが去りました。