2024/01/17 のログ
ご案内:「メグメール(喜びヶ原) 森林」にメルリンディアさんが現れました。
メルリンディア > 森林地帯に群生する薬草等を採取しにいった薬師の弟子が戻らない。
探しに行ってほしいという緊急の依頼を受けて、一人森の奥へと踏み入っていった。
冬だと言うのに青っぽい葉の生い茂る木々が生えていたり、枯れ葉敷き詰まる土を押しのけて飛び出す赤黒い茸が見えたりと、奇妙な植物が多い場所。
依頼主曰く、なんでも媚薬に使う植物が近くに生えているとのことで、その影響だろうかなんて思いながら足跡を追いかけていたのは数刻前といったところか。
今はどうかといえば、森の奥から飛び出てきたゴブリンのような小型の魔物に取り囲まれ、四方八方から飛び掛かられていた。

「あぁ、もう……っ!!」

鋸刃の様に欠けた短剣を逆手に、跳躍しながらこちらに斬りかかるゴブリンに鞭を振るい、遠慮なく首筋を切り裂く。
音速を突破する瞬間の破壊力は凄まじく、破裂音とともに叩きつけた色黒の皮膚を肉ごとえぐるように切り裂いて鮮血を散らす。
スナップを効かせて手元に戻す最中、背後からいまだと飛びかかるゴブリン二匹へ振り返りながら細く靭やかな足が蹴りを放つ。
とんと小さくステップを踏んでから、上段回し蹴りの様にゴブリン達の頭部を薙ぎ払うように振り抜かれれば、それはさながら鞭の様に強烈に打ち付ける。
涎を撒き散らし、白目を向いて地面でバウンドするゴブリン二匹はそのまま転がり、仰向けになって痙攣を繰り返して気絶。
しばらく目覚めることがない様子に安堵する暇もない、残ってたゴブリンが側面へ回り込み、更に低く沈んでアキレス腱目掛けてナイフを振るわんとする。
迫る殺気にギリギリで気づくと、振り抜かれた先にあった足をさっと引き上げて刃を寸でのところで回避すると一歩下がって、回転。
勢いを乗せたローキックで無遠慮に胴体を蹴りつけて吹き飛ばすと、すぐさま鞭を振るって今度はゴブリンを絡め取っていく。

「せーのっ!!」

そのまま屈むようにして全身の力を使い、一回転。
砲丸投げの様に振り回すと、拘束を解いてぶん投げていき、きりもんで飛んでいくゴブリンの目に飛び込んだのは巨木の幹だろう。
顔面から激突し、鈍い音とともに木に止まっていた鳥たちがざわめきとともに飛び立っていく。
鼻から溢れ出した紫色の血を塗りたくるように、ずり落ちていくゴブリンも、しばらくは目覚めることはないだろう。
自身を取り囲んでいた魔物を退け、額の汗を拭いながらも体にかかる疲労感は少し深まる。
手元に鞭を丸めるように引き寄せていき、腰のホルダーに引っ掛けていくと、胸元から懐中時計を取り出していく。
アンティークゴールドに家紋のエングレービングが入った蓋を開くと、時刻は昼を周り、もう少しすれば夕暮れも近くなりそうだ。
急がねば、表情を引き締めると時計を握りしめるようにして蓋を閉じ、再び胸元にしまい込む。

「どこまで行っちゃったのかな……?」

改めてしゃがみこんで、地面を覗き込むように足跡を確かめる。
魔物や自分のものとは違い、まだ崩れてない足跡を見つけていくと、それを辿るように視線は前へとスライドする。
その先は更に奥、本当にどこまでいったのやらと思うと、思わず眉間にしわを寄せるようにして渋い表情も浮かんでしまう。
よいしょと呟きながら両手で膝を押し、体を伸ばすように立ち上がると、さくさくと枯れ葉を踏みしめながら奥へ奥へと歩き出す。
周囲にはまだ魔物もいるかも知れないし、賊もいるかもしれない。
警戒は厳に、頭を右へ左へと振りながら視野も大きく振っていき、少しの痕跡も見落とさないように慎重に捜索を続ける。

ご案内:「メグメール(喜びヶ原) 森林」にガリアさんが現れました。
ガリア > (血の匂いが巡る。
独特な草花の気配の中でも、決して薄れないのが鉄錆だ
足跡よりも寧ろ、大雑把に方向を辿るだけなら、其れが一番容易い
夜闇、森の中でも、脚を取られたりする事無く、進む姿は
何処か獣のしなやかさにも似て。)

「―――――……おうおう、血生臭いこって。」

(辿る跡、少し遅れて目撃したゴブリン達の残骸に、一度足を止める
襲われた――正確には小鬼の方が、先んじて襲った側、だろうが。
兎も角、綺麗に返り討ちに合って居る様を感心しながら確かめた後で
後頭部の辺りを、がりりと掻きながら、再び先に進む

――薬師の弟子が戻らない、と言う依頼が出され、暫くして
肝心の薬師が、無事に自力で帰還したと言う知らせが在った
人騒がせな一件だと、ただ其れだけで終わったのなら良いが
既に、一人依頼を受けて、森に急いだ者が居る、と言う

――今の時期、この近辺に、女が立ち入る事がどれだけ問題か
緊急の依頼で、本来なら受付のギルド職員が人を選ぶべき所
情報が足りずに、判断出来なかったのかも知れないが。)

「さーて、どこ行ったかね…。」

(人探しを探すと言う後追い。
幸いながら、段々と追いついてきた気配は在るが、差はどの位在るだろうか
この辺りから、そろそろ自生区に入るのだ。 媚薬の材料となる植物。
その香りと花粉に触れるだけでも、効力を発揮する、其の辺りへ
勿論、問題になり得る薬草はそれだけではないし
出来る事なら、厄介な事に為る、その前に、見つけたい所なのだ、が)。

メルリンディア > 足跡を追いかけていくほどに奥へと踏み込んでいく、次第に周囲の木々が宿す葉は怪しさを増す。
媚薬の材料となる魔花が群生するエリアへと近づいているのは、変化で気付いてはいた。
薬師の弟子ということもあり、そこへ踏み入るのは危険なのは分かっていることだろう。
それでも踏み込んだとするなら、それだけ切羽詰まった状況だったのではないかと考える。
それこそ、先程襲ってきたゴブリンのような魔物に追いかけ回され、泣く泣く逃げ込む羽目になったとか。
足跡の感覚も徒歩違い、歩幅が大きく、爪先部分が深くめり込んだような形状が多い。
一度足を止めれば、その足跡を追いかけるように他の魔物の足跡が連なっており、嗚呼というように困り顔で眉を顰める。

「これは……ちょっと覚悟しなきゃかな」

魔花が撒き散らす媚薬成分は、吸い込めば体をあっというまに発情させるという。
しかし、それなりの対策をしていけば問題がないのだが、その対策は手元にない。
媚薬成分を遮断するためのマスクだったり、防護魔法といったものは準備する時間がなかった。
急ぎというのもあって、必要最低限の準備で飛び出したが、もう少し準備すればよかったかもと後悔先に立たず。
小さく嘆息するも、命がかかっているのだと気を引き締め直し、パンと両手で頬を挟むように軽く叩くと、その手を下ろしてぐっと握り込む。
気合が入ったきりりとした顔になると、再度追跡しようとしたところで、踏み出した足をおろしてピタリと動きが止まった。

「……?」

背後から近づく気配、それに気がつくとそちらへと振り返る。
二人の距離はまだ100m程離れているが、そこら中に生えた木々や茂みが邪魔をして、視界は開けていない。
互いの姿を視認するには、木々を避け、茂みをかき分けて距離を詰める必要があるだろう。
先程の魔物の件もあり、賊かもしれないと警戒しつつ、腰を僅かに落として膝を軽く曲げて前傾姿勢。
何時でも飛び出せるような格好になりながら、彼の接近を警戒しているが、現在の背後、もとい進行方向にも警戒も怠ってはならない状態。
木々に遮られた空間を抜ける風は不規則に変化し、風上にいたと思えば急に風下になることだってありえる。
今もまた、振り返ってから正面より感じていた風が次第に弱まって無風に近づいていく。
森の奥から、花粉の風を送る魔の風流にかわる一歩手前だった。