2023/11/12 のログ
ご案内:「メグメール(喜びヶ原) 自然地帯」からミケリアさんが去りました。
ご案内:「メグメール(喜びヶ原) 野営地」にメルリンディアさんが現れました。
メルリンディア > ここは小さな野営地。
それらしい防壁もないが、見張り台が幾つかあり、申し訳程度の拒馬がバリケード代わりに並ぶ程度。
特に小屋らしきものもなく、何もないよりはマシと休めるような場所なのだが、今日は街から街へと商いに旅する商団が足を止めて、各々テントを張って身を休めている。
ちらほらと、各商人が雇ったであろう傭兵や冒険者が用心棒を務めており、自身もその一人。
今は見張りではなく待機要因として焚き火に当たりながら、膝を抱えて小さくなって座っていた。

「う~……っ、寒い……!」

秋も深まり、そろそろ初冬も見えてくるかとは思っていた。
確かに思っていたが、まるで崖から落ちるかのような落差は想像以上である。
念のため寒さ対策にレザーケープをカバンに詰めていたのは幸いなことで、それを羽織って風を通さない様に丸まる。
焚き火に掌を翳しながら温まりつつも、周辺を歩き回る同業者たちの言葉に耳を傾ける。
遠くに賊が見えた、あれは魔物ではないか、厄介な仕事になったかもしれないな、等など、あまりいい話ではない。
思わず眉間にシワを寄せ、やだななんて気持ちを顔に浮かべてしまう。
けれど、こういう時にこそ誰かを助けられたら世界は少しだけ良くなるかもしれない。
信念を思い直せば、童顔に気合が満ち溢れ、やるぞと両手を握り込む。

ご案内:「メグメール(喜びヶ原) 野営地」にアドラーさんが現れました。
アドラー > メグメールの小さな野営地。
そこで紺の外套を纏った男が馬車の御者と話をしている。
積み荷の内容物や移動距離、報酬などの話だ。
男の手には羊皮紙で出来た積み荷のリスト。しばらく交渉のような話し合いの後、成立したのか御者の男と握手を交わす。

羊皮紙を懐にしまい、吹く風に身を縮こませる。
どこか温まれる場所はないか探すと焚火が目に入りそちらへと。
焚火にあたっている先客も、同じ事を思っているようだ。

「確かに一段と冷えるな」

翠眼の乙女の横、やや距離を開けながら、話しかけるようにつぶやく。
自分も焚火に手を翳し、摩擦で手を温めながらチラッと少女の方へ目をやる。

「気合が入っているところ悪い。ご一緒してもいいかな」

何か意気込んだような、決心したような表情を察知。
そのことについて微笑みながら触れ、一緒に焚火で温まってよいか問いかける。

メルリンディア > 気合も入れ直したところで、焚き火の上に翳していたヤカンが汽笛を鳴らす。
パタパタと開閉する注ぎ口の蓋からは、上がり下がりの激しい音色を奏でるそれにミトングローブをした手を伸ばしていく。
取っ手を掴み、フックから外すと、傍らに置いてあった木製のカップへと注いでいく。
実家であれば、紅茶やコーヒーといった上品なものが飲めたが、今日は道中に手に入れたハーブを炒ったものだが、ないよりはマシな筈。

「えぇ、ホント……寒い」

上から降り注いだ声、困ったように眉を顰めて微笑むと、そちらを見上げていった。
冒険者や傭兵と一口に言っても色々、多種多様な十人十色の世界。
けれど、やはりパワーな男気あふれる豪快な人や、魔術師に多い細く少し不健康そうな人が記憶に残りがち。
だからか、背丈が高い精悍な体付きの彼みたいなタイプはあまり見かけることがなくて、緑色が見開かれていく。
瞳孔が少し震えて点になった後、手をすり合わす彼をじっと見ていたが、視線が重なると少々気恥ずかしくなる。
あわあわとしながら、自分を落ち着かせるように、一旦ヤカンを草地へおろしていく。

「ど、どうぞどうぞ……気合といっても、ちゃ、ちゃんと頑張るぞ……みたいな、もので」

理由が子供っぽいと思うと、気恥ずかしさも増す。
苦笑しながらあははと誤魔化すように笑顔を見せてから、傍らに置いてあった鞄を漁る。
そこから予備の木製カップを取り出すと、しばらく手に取った後、同じ様に中身をそこへ注いでいく。
それからヤカンに水とハープを少し足すと、再び火の上へと掛けていけば、じゅっと蒸発する飛沫の悲鳴が消えていく。

「良ければ飲みますか……? その、そこでとってきたハープを煮出しただけですけど」

口さみしいときの慰め程度にしかならないが、温まる程度はできそうなもの。
彼の好みに合うかは分からないが、アップルミントの香りがカップから湯気にのって漂っていく。

アドラー > 「季節の変わり目はとうに超えていると思ったのだが。
 こうも気候や気温の予測ができないと、依頼の選別にも支障が出る」

確かに男は一般的な冒険者と比較すると、異色の存在かもしれない。
それがいい意味でも悪い意味でも、一部では名が挙がっている。とはいえ、その知名度も高名と呼べるほどのものではない。
少女の気恥ずかしさと、直後にそれを落ち着かせるような行動は意に返さずに
今の季節の厳しさと依頼の選別などについて語る。とはいえ、大層な話をするつもりもないが。

「冒険者であれば、その心意気は大切だ。
 特に魔術に精通する者であれば、心の持ちよう一つで魔術の質が変わると聞く」

気恥ずかしさを感じている彼女をフォローするかのように微笑みを浮かべて述べる。
レザーケープに身を包みながらも、甲冑の擦れる音などはわかる。
そういう音が彼女から聞こえてこなかったのは、きっと魔術を嗜む者と予想を立てる。

「いいのか?ではお言葉に甘えていただこうか」

汽笛のような音を奏でる薬缶から香る甘い匂いをやや羨ましいと思っている矢先に
思ってもみない提案が少女の方から言い放たれ、嬉しそうに微笑む。
空いた距離をやや詰めて、彼女の横に座ってカップを受け取る。

「…美味い」

一口。芯から温まるような優しい味を堪能する。

メルリンディア > 「冬装備でいったのに秋気候とかだったら、熱くて大変ですよね。ふふっ、お兄さんはお強い人みたいですね。私はまだまだ、依頼を選り好み出来ないレベルだから」

選定なんていえる程、自分が選べる仕事は多くない。
駆け出しでもあるし、一応貴族の娘になってしまったからというのもあって、危うい橋は渡せてくれないのだろう、と。
言葉には本音のみが溢れ、その証拠に少々憧憬を抱くように瞳を伏せていく。
自分と違って物静かな相手から感じる大人っぽさは、熟達の貫禄の様に感じていた。

「ふふっ、何を当たり前なことをーなんて言われると思いました。ありがとうございます、でも魔法使うって良く分かりましたね?」

特に魔法を使ったわけでもないし、鞭を使ったわけでもない。
衣擦れの音から魔導の使い手と見抜かれたとは思いもせず、不思議そうにキョトンとすると、人差し指を顎の横に添えて首を傾げた。
子供じみた仕草の後、カップを差し出していけば、お礼とともに受け取る彼に嬉しそうに微笑み返す。

「勿論です! どうぞどうぞ……!」

でも、本当に大したものではない。
野に生えていたハーブを夕食時に調理前のフライパンで軽く炒って乾かしただけの簡単な茶葉代わり。
口にすれば味こそないが、風味だけはするごまかしのお茶だが、それを嬉しそうに受け取る彼にこちらの胸の奥に暖かな感触が広がっていった。
それは満面の笑みになって浮かび上がり、距離を詰められると、大人な彼にちょっとだけ緊張してしまう。
視線が少しさまよって、それから改めて彼を見て、お味はどうだろうかなんて思いながらおそるおそる瞳を覗くのだ。

「……! よかった、お口にあって」

一言に詰められた想いに、ほっと胸を撫で下ろしながらも、笑みは深まるばかり。
子供っぽい花咲くような笑顔を見せると、こちらもカップを両手で包み、ふーふーと息を吹きかけて冷ましながら一口頂く。
馴染みある香りに幸せそうに頬を緩めていくと、爪先を軽くパタパタと上下させながら彼へと視線を傾けていく。

「そういえばお名前まだでしたね、メルリンディアです。長いからメアって呼んでください、お兄さんのお名前は……?」

簡単に自己紹介をしつつ、彼の名前を問いかける。
その合間も足のパタパタは止まらず、少しお行儀が悪い子供になってしまう。

アドラー > 「はは、確かにな。私よりも、ああいう冒険者の方が強く見えるが。
 それと選別といっても大したことじゃない。草むしりか石拾いか、その程度の違いだ」

現在着用している外套が気に入っていることもあって、秋冬はまだよいが夏場の熱さには参る。
装備の選定も難しいな、と微笑みながら同意をする。
そして強さの話になると、やや遠くに居る筋骨隆々のバーバリアンといった風体の冒険者を指差す。
選り好みについても大きな差異はないといった風に強さについて嘘か本当か濁しながら笑顔を向けて

「私は魔力を見抜く特別な魔眼を持っていてね。
 それで君の使う魔法も何もお見通しなんだよ。代償としてこの青い瞳に変えられたんだ」

不思議そうな表情をする彼女に少し悪戯したくなったのか、根も葉もない嘘を言ってみる。
もちろん、青い瞳は自前だし、相手がどんな魔法を使うかもわからない。
だけど相手がどのような反応をするのか見たくて、意味のない嘘を吐く。

「ふふ、私ではこうはいかない。長引く冒険の際にはフィーカを持っていくが、泥水のように不味い。
 即席でここまでの物を用意するとは、流石だ」

ふと美味いと零した言葉にここまで嬉しそうにする少女に自然とこちらも笑みがこぼれる。
距離を詰めるとやや緊張したように顔がこわばったと思えば、ハーブティーを口にすると子供っぽく足を揺らし、笑顔を見せる様子がなんとも愛らしい。
自分が冒険で持っていくフィーカ…コーヒーとは全く違った優しい味わいがより緊張感を解いていく。

「私はアドラー。アドラー・アリストテレス。
 メアか。記憶した。改めて聞くが、君は冒険者か?」

自身の胸に手を置き、自己紹介をしながら、彼女の名前を反芻して記憶をする。
そして改めて、少女の身分を確認してみる。

メルリンディア > 「ぱ、パワーって意味じゃなくてですね……!? こう、技量とか、素早さとか、そういうのが凄そうっていうか……!! ふふっ、草むしりか石拾いかって」

離れたところに行ったマッシブな戦士な風貌をした冒険者を、指先につられて見やるも、ソウじゃないというように頭を振る。
冗談めかした依頼の選定を聞けば、まだまだ頑張らなきゃなんて思っていた追い込む気持ちがふっと消えていく。
けらけらと子供っぽく笑ってしまって、冗談が上手いなんて思いながら、瞳の端に涙を浮かべつつも、それを指先で拭っていく。

「特別な魔眼? 魔族の人とかは持ってるなんて聞きますけど、人間で持ってる人は初めて見ました。魔法専門の千里眼みたいで凄いじゃないですかっ、青い目に変えられちゃったのは……前の色が思い出の色だったらちょっと残念かもですね?」

全くの嘘であっても、そうなんだと思わず信じてしまう管見さは幼さと経験不足由来。
すんなりとその言葉を信じていけば、驚きに瞳を見開いて丸くし、少しばかり口がぽかんと開いてしまう。
けれど青くなったという瞳を改めて覗くも、綺麗でいいのにと思ってしまう。
だが、色の感覚や思い出は人それぞれだからと、眉をへにゃりと顰めながら微笑みつつ紡ぐ。
ぽそっと小さく、私は好きな色ですよ、なんて思いも本当に小さく添えながら。

「ふふっ、泥水みたいに不味いだなんて本当ですか? 逆に飲んでみたくなったかも、そんなに美味しくないフィーカ」

お褒めの言葉には改めて、ありがとうございますと微笑みながら頷く。
自宅でもコーヒーは父が飲むので、少しだけ分けてもらって口にしたことはある。
香ばしい香りと風味の中に子供舌には鋭く凍みる苦味が記憶深く、泥というより薬という印象。
一体どうやったらそうなるのやらなんて思うと、可笑しそうに肩を揺らして微笑んで、そんな冗談めかしたおねだり。
気持ちの高ぶりに呼応するように、パタパタと揺れ動く足のペースが少し早くなったりもする。

「アドラー・アリストテレスさん。じゃあアドラーさんだね。私? 私は冒険者に近いのかな……出来そうなお仕事だったら、冒険だったり、今日みたいな護衛のお仕事だったり、傭兵さんみたいな荒事もちょっとしてるの。実は貴族の娘だったりするから、結構悪い火遊びかも」

紳士な人だなぁなんて、柔らかな微笑みで受け答えしていると、問いかける言葉に目を細めて応えていく。
指折り数えるようにして仕事の大まかな内容を答えると、続けて内緒話というように声を潜めていった。
その後、周りの人には内緒というように唇に人差し指を立てて、瞬いたりと素の子供っぽさがより強く出てきたのは彼に対する安心のおかげ。