2023/10/15 のログ
ご案内:「メグメール(喜びヶ原)洞窟」にアレハンドラ・アルディオーラさんが現れました。
アレハンドラ・アルディオーラ > 街道から幾分か外れた洞窟の入り口。大きな荷車が1台、どぉんと置かれていた。
荷車に積まれているものは、野営の道具が幾らかと──金属鉱石がゴロゴロと。
一見すればただの鉄鉱石なのだが、僅かに魔力を帯びたそれは、例えるなら磁石に晒され続けた金属。
どうやらこの洞窟の地下に、先史文明の魔導機械が埋まっているらしい。
それが放つ魔力を長く浴び続けた鉄鉱石が魔力を帯び、また魔力の伝導性も高まっている──という訳らしい。
その性質の分だけ、ただの鉄よりも重宝されるし高く売れる。
採集箇所さえ知っていれば、華々しくはないが堅実な稼ぎではある──

「ちょっと……取り過ぎたわ……!」

──その少女冒険者は、欲張った自分を少しだけ悔やんでいた。
探索の途中、ほぼ手付かずの坑道を見つけ、急いで荷車とピッケルを確保してきて。
喜び勇んで採掘すること半日。荷車に積み上がる程度の量を確保できた。
さて。問題はこれから、これをどうやって金銭に換えるかだ。
近くの村まで運べば、ギルド絡みの店がある。多少の手数料は差し引かれても、真っ当な金は手に入るが──
この重量物を、ひとりで引きずっていく?

「だってしかたないじゃない……宝の山に見えたんだもの……。
 ……どうしたもんかしら、これ。置いていきたくはないし」

採掘労働で額に浮かんだ汗を、袖で拭って空を仰ぐ。
あまり長時間悩んでいるわけにもいかない。さすがに夜の街道を、こんな大荷物を引いて歩きたくはない。

アレハンドラ・アルディオーラ > 「よーっこらしょーっ! ……っと、とと、と」

考え続けていても事態は良くならない。此処は行動あるのみだ。
荷車をひっつかみ、気合いを入れて運ぶ先は──洞窟の中。
外から容易には見えない所まで押し込んで、その少し手前に簡易テントの用意をしてしまえば、一見すると平凡な冒険者の野営風景だ。

「ふう。……これで明日の朝一で運び出せば、夕方までには……あー、重い!」

半日ずっと続けていた力仕事の為に、たまっていた疲労感を吐き出すような声。
冒険の際には貴重な筈の水を──川の位置を知っているからというのもあるが──惜しみなく布に染み込ませると、
シャツをぐわっと脱ぎ捨てて、肌を濡らす汗を拭い始めた。

アレハンドラ・アルディオーラ > 汗を拭って人心地。もう、周囲は暗くなり始める。
またシャツを着て、それから毛布を身体に巻き付けて──焚き火は付けずに目を瞑る。
その内に眠気も来るだろう。朝までには体力もすっかり回復する筈だ。

「……うう、お風呂にはやく入りたい……明日、明日には絶対っ」

身体を拭いた程度では落とし切れぬ、汗の鬱陶しさ。
明日は必ず、湯船に浸かれる宿を取ろうと心に決めたのであった。

ご案内:「メグメール(喜びヶ原)洞窟」からアレハンドラ・アルディオーラさんが去りました。
ご案内:「メグメール(喜びヶ原) 森林」にジャックさんが現れました。
ご案内:「メグメール(喜びヶ原) 森林」にイヴァンさんが現れました。
ジャック >  
森の中で素材採集。
この辺りはある程度深い場所だが、誰かのナワバリでないことは確認済みだ。
だからこそ誰かのナワバリになっている可能性はあるが、その時はその時、まぁ何とかなるだろう。

「ふむ、やはりこの辺は珍しいものが多いな」

木の根元からキノコを採ったり、草むらから薬草・毒草を採ったり。
取ったものは無造作に腰のポーチに突っ込んで、次から次へとガサガサゴソゴソやっている。
髪や服に草木が引っ付くのも構わず、ひたすら素材を集めている。

イヴァン > 「やはりこの辺りは多少影響が緩い……
 首都から離れるほど段階的に治まるのか。であれば……」

ぶつぶつと何かを呟きながら森を歩く少年。
その服装は森の中には見合わぬ豪奢さながら、黒を貴重に華美すぎず纏まっている。
そしてその頭部には……湾曲し、後方へ伸びる角。どこからどう見ても魔族である。

「……ん?」

ふと、目の前で素材を集めるジャックの姿に気付いた。
面倒そうに目を細め、さっとフードを被って角を隠す。

ジャック >  
「ん?」

四つん這いで草むらに上半身を突っ込んでいたが、背後に気配を感じて膝立ちで振り返った。
見えたのは少年。
明らかに高貴そうな恰好だが、まだ少年どころか幼い子供とも言える歳に見える。

「どうした、この辺りは安全ではないぞ。迷子にでもなったか」

立ち上がり、ぱんぱんと身体の草木を払って向き直る。
こちらは成人男性にも並ぶほどの身長。
距離はあるが、それでも見下ろすほどの身長差があるだろう。

イヴァン > 「あー……」

隠しているうちに逃げようとでも思ったのだが、見つかってしまった。
適当に誤魔化して逃げるでも良いのだが……

「ええ、ちょっと……御者が逃げてしまって。
 魔物に怖気付いたのか、この森の中に入ってしまいまして……
 それらしき馬車などは見ていませんか?」

適当に話を合わせ、誤魔化す。
身長はまさに子供と言った風体だし、身なりの良さから御者を雇うような貴族であることにも説得力はある。

ジャック >  
「ふむ?」

首を傾げる。
顎に手を当て、彼の姿を足先から頭のてっぺんまでじろじろと観察し、近寄って。

「魔物に? 怖気づく? 君の従者が?」

彼から1mくらい距離を取って、彼を中心にぐるぐると回る。
じっくり一周、彼の姿を360度じっくり眺めてから、

「君ほどの魔族の従者が、その辺の魔物に恐れをなすとも思えないが?」

不思議そうに首を傾げる。

イヴァン > 「…………。」

はぁ、と大きくため息を吐く。
顔に手を当て、軽く頭を振り……髪を掻き上げるようにフードを外した。
黒玉のように艷やかな黒髪と、雷雲に走る稲光を思わせる鮮紫の差し色。

「そこまでわかっているなら、事情を伏せようとしていた事も察して頂けませんかね。
 有力な魔族が国境付近に視察に来たと知れれば、無駄に警戒させるでしょうに。」

腕を組み、苛立たしげに爪先を踏み鳴らす。
その姿は……有り体に言って、美少年だ。苛つき怒っている姿も絵になるほどに。

ジャック >  
フードを外した彼の素顔。
かなり美少年だ。
王都の王族でもここまで美形な者はなかなかいないだろう。

「事情は知らんよ。ただ顔を隠しても魔族の気配は隠しきれていなかっただけだ」

あるいは人間ならばそれでも隠し通せていただろう。
しかしこちらは半分魔族。
同種の者の気配がわからないわけがない。

「有力、視察。そしてその恰好。つまり君はそれなりにやんごとない身分の者と言うことかな」

苛立つ様子もなんのその、こちらはマイペースに考察を続ける。
半分魔族とは言え、生活の基盤は人間側だ。
魔族側の情報はさっぱり詳しくない。

イヴァン > 「貴方こそ、魔族の血は流れているようですが……
 『それなりに』?」

ぴく、と眉根が動く。少しばかりプライドを刺激したようだ。

「僕はイヴァン。イヴァン・ジェット=エカルラート。
 魔王ナルヴァートの嫡子。いずれ魔界全土を支配する男です。
 気配を読める程度の魔族ならば知っているかとも思いましたが、こちらで暮らしているだけあって事情には疎いようですね。」

ふん、と鼻を鳴らして睨む。
魔族、それも王族だけあってプライドは相応に高い。

ジャック >  
「ほう」

魔王の息子。
目が丸くなる。
王都でもなかなか王族には出会えたりはしないのに、先に魔王の王族に会ってしまった。

「なるほど、それは失礼。魔族だろうが人間だろうが、どこぞの誰ぞが国を治めるかには興味がなくてね」

医者としての活動にしか興味がない。
現に今も興味の対象は彼ではなくなっている。
彼に背を向け、さっき頭を突っ込んでいた草むらをかき分け、また頭を突っ込もうとしているぐらいだ。

イヴァン >  
「…………。」

露骨に顔を顰める。
元より魔族は大抵がプライドが高く、王族ならば輪をかけてそうだ。
故に腹芸は姉ほどではないにせよ苦手であり、すぐに感情が顔と気配に出る。
現に、ジャックの背後に立つ少年からは、濃密な怒気とそれに練り込まれるように混じり合った魔力が漏れている。

「興味を持たせて差し上げましょうか?」

辺りから、パチパチと何かが爆ぜるような音が響く。

ジャック >  
「ん?」

背後から何やら怒気と魔力を感じる。
振り返れば、爆発寸前と言った感じの少年。
再び立ち上がる。

「ふむ。血気盛んな年頃なのはわかるがね。王たらんとするならば、感情に振り回されるのはよくないぞ、少年」

忠告するような言葉。
とは言えその力量はその辺の魔物とは桁違いだ。
流石にポーチを地面に落とし、両手を伸ばして身体の前方、腰辺りの高さに構える。
魔王の息子がどのぐらいのやるのかは、多少興味がある。

イヴァン >  
「違いますね。人間の尺度は脆弱さを前提にしているからそうなる。
 『力で以て我を貫く者』こそ王の証。……まぁ、その力が腕力か、魔力か、
 あるいは知力かというのは本人次第ではありますが。」

見れば、その髪の色に似た紫電が体から走り、周囲の木々の葉を焼き裂いている。
魔術という形で顕現させずとも、なお破壊的な影響を齎すほどの魔力。
未熟でも幼稚でも、その力は紛れもなく魔王の子だ。

「それに……貴方もなかなかやるようだ。
 持ち帰って飾るのも、いいかもと思いましてね!」

ぶん、と手を横に薙ぐ。
すると迸っていた雷霆がその軌跡を沿うように走り、槍となって大気を駆け抜ける。

ジャック >  
「前に進むしか能がなければ、足元を救われれば途端に転ぶぞ。前に進む力が強ければ強いほどね」

雷、しかもかなり出力が高そうだ。
流石にこめかみを一筋、汗が伝う。
その次の瞬間、彼の手が動く。
紫電の槍が一直線に自身へ向かい、その身を貫かんと大気を焼く。

「――こんな風に、ね」

が、自身がそれに合わせて腕を振れば、槍がそれに合わせて進行方向を変えた。
まるで紫電の槍を叩き落したように見える動き。

「ふぅ、初めてやってみたが、なかなかどうしてうまくいくものだ」

彼には自身の腕が雷を纏っていたのが見えるだろう。
勿論出力は彼のそれには遠く及ばないが。
槍の軌道に合わせ、電気のレールを作れば、雷はそれに沿って走るという単純な理屈。

イヴァン >  
「!」

紫電はまるで女の体を掠めるように飛び、地面を這って近くの木々を縦に焼き裂いた。
砕けた木片が白煙を伴って撒き散らされ、イヴァンはそれをマントで弾く。

理屈はわかる。雷電を操る魔術では初歩の初歩だ。
しかし、それを自然現象の落雷に匹敵する威力の魔術で行うというのは……

「……だから力が必要なんですよ。誰にも掬われない程の力が。
 地を固め、民を司り、僕の手足となる国を作る。それがこの力なら出来る。
 ……そう思っていたんですがね。こうもあっさりと対処されては自信も無くしますよ。」

額に青筋を浮かべ、ジャックの姿を睨み付ける。
憔悴も焦燥も、無論自信の喪失など欠片も見られない。
あるのはただ、自身のプライドを傷付けられた事による憤怒だけだ。
そして、その傷を齎した相手に対する濃厚な執着も。

「貴方、半分は魔族なのでしょう?ルーツは。
 サキュバス?エルフ?あるいは泣き女(バンシー)か、それとも水精(ウンディーネ)?」

唐突に、そんなことを聞く。

ジャック >  
「あっさり? まさか、命懸けだよ」

両腕をだらんと前方下方へ伸ばしたまま。
いくらレール側の出力は多少低くてもいいとは言え、ぶっつけ本番もいいところだ。
彼の出力がこちらの想定よりも高ければ焼かれていたし、雷がうまくレールに乗ってくれるかどうかも半分ぐらいは賭けだった。
いつまでも綱渡りは続けられない、対処法を変える必要がある。

「種族的にはハーフサキュバスだよ。色々と後から混ぜ込んだけれどね」

両腕の表面が黒に染まり、更に今度は光沢のある鈍色に覆われる。
鈍色は肘から更に伸び、地面に垂れるほどに長くなる。
どれほどアースしてくれるかはわからないがないよりはマシだろう。

イヴァン >  
「なるほど、サキュバスですか。それなら都合がいい。
 僕もハーフサキュバスなんですよ。男だから種族的にはインキュバスと言ったほうが良いかもしれませんがね。
 相性はいいはずですよ。それに……
 持ち帰った時に、サキュバスを調教するためのノウハウが使えますからね!」

そう言い放ち、再び雷電を解き放つ。
しかし今度は、先程とは少し違う。細く鋭い雷撃が、8方向へ広がり、再び収束するように迫る。
一本あたりの威力こそ下がるが、2本の腕で作ったレールでは誘導しきれない数だ。

「さあ、何とかしてみろ女!出来るものなら!!
 先程の大道芸をもう一度見せてみろ!!」

ジャック >  
「全く、やんちゃな王子様だよ……!」

拡がる八本の雷槍。
二本のレールでは足りないし、横も後ろもカバーする軌道。

「しかしそりゃ――悪手じゃないかい!」

だが、前ががら空きだ。
前から取り囲む様に迫るなら、前に入ってしまえばいい。
脚を獣の後ろ脚を更に極端にしたような形に変え、砲弾のような速度で身体を前に弾き飛ばす。
もしかしたら誘導されたのかもしれないが、その時はその時でまた考えよう。

イヴァン >  
「ッ!」

まるで砲弾のように飛び込んでくる女に、目を丸くする。
聡い者ならば飛び込んでくるだろうと予期はしていた。前方がガラ空きになることはわかっていたし、それを迎撃する備えもあった。
しかし、これはあまりに敏すぎる。『混ぜ込んだ』とはこういう事か。
おそらく、複数種類の獣……または魔族の力や肉体を取り込み、改造しているのだろう。

「……ええ、悪手は認めましょう。」

チッ、と聞こえるほどに舌打ちをする。
そして、腕を交差するように前で固め……指で、何かを引き戻すような動作を見せる。
飛び込むことを止める術はない。

「ですが、貴方も死地に飛び込む悪手を犯しているのは、お忘れなく。」

ジャック >  
指の動きを見て、やはり罠か、と悟る。
恐らく、後ろからさっきの紫電が迫ってきているだろう。
こちらがそれを回避する手段もない。

「であれば、泥仕合と行こう少年。我慢比べだ」

右手を大きく振りかぶる。
白衣の袖がはじけ飛ぶほどに筋肉が盛り上がり、更に巨大化。
その肘から勢いよく炎が噴き出し、その速度を乗せた鋼鉄の塊のような拳を、彼のガードの上から叩き付けた。

「ッが、――!!」

そして、紫電が着弾。
拳を振り抜いた体勢のまま、びんっ、と全身が伸び、どしゃりと倒れる。
生物ベースである以上、対策なしで電撃を喰らえば誰だってそうなる。
腕のアースのおかげで致命的なダメージではないが、少しの間はうごけなさそうだ。

イヴァン >  
「……誰が。」

確かに、面食らったのは確か。
眼の前で怪物のように変異した姿に、今なお驚愕を隠せないのも確かだ。
しかし、それは相手が『人間である』という前提で物を見ていたからこそ。
『怪物である』と見れば、やりようはある。

ガシャン、と何かが砕けるような音。そして、周囲に飛び散る透明な『何か』。
辺りの気温は下がり、雷電に焼け焦げた雑草に白く粒が付いている。
少年の体は大きく弾き飛ばされ、木々を圧し折り、数本ほど薙ぎ倒し……

巨木に叩き付けられ、それでもなおゆらりと立ち上がった。

「……ぺッ。ガードしてもこれですか。
 全く、馬鹿力を相手取るのは本当に嫌になる……」

その腕に纏っていたのは、氷。電流を通さず、それでいて岩のように強固な氷。
高密度の結晶体が、盾となって拳の直撃を防いでいる。
……とはいえ、腕が肩口までグシャグシャにへし折れる程度の威力は通ったようだが。

「………。」

再び、電流を飛ばす。
先程の威力とは比べ物にならないほど低いが、人を痺れさせるには十分な程度。

ジャック >  
痺れる。
身体を何かに変化させようとしても、うまく信号が伝わらない。
生物ベースの弱点だな、と呟こうとして、

「――、……」

上手くしゃべれなかった。
彼の方はと言うと、あっさり立ち上がっている。
腕へのダメージは甚大に見えるが、本体の方はそれほどでもなさそうだ。
その両腕も、恐らくそのうち再生するだろう。

「――――ッッッ!!」

そこに追加で浴びせられる電撃。
自分の意志とは無関係に身体中の関節が曲がり、地面で文字通りのたうち回る。

イヴァン >  
「ああ、今度こそ止まりましたか。……痛いな全く。腕も肩も骨が折り畳まれてボロボロだ。
 しばらくすれば回復するとは言え、魔力も食われるし痛みもあるんですよ。
 わかってるんですか?ああ、そういえば名前を聞いていませんでした。
 お聞かせ願えませんか?早く。ほら、早く。」

ばちん、ばちん、と何度も電流を流し込む。
いずれは電流に対抗する身体構造に変異するかもしれない、と留意し、
迂闊に近付かないように、しかし怒りに任せてその体を嬲る。

正直に言えばかなりギリギリだ。この辺りはまだ『力』の抑えがあるとはいえ、
これほどの力を持つ存在と敵対することになるとは思わなかった。
名を聞いておきたいというのは本心だ。それはそれとして、怒りが収まらないだけで。

ジャック >  
「ッ! ぁ゛ッ! ッ――!!」

何度も電撃を浴びせられ、その度に身体が跳ねる。
当然筋肉の動きは阻害され、名前を口にするどころか喋ることすらままならない。
身体からはわずかだが煙が上がり、焦げた臭いも少しするだろう。

「ま゛ッ! ッが! っぴギ!」

電撃を浴びせる度に、途切れ途切れの言葉が口から漏れる。
身体から上がる煙は少しずつ増え、自身の身体の周囲が白くなっていく。
周囲の空間を覆うように。
ぶすぶす、ぶすぶすと。

イヴァン >  
「……フー……」

焦げた肉の匂いに顔を顰め、少しばかり冷静さを取り戻す。
終わった後に、こうして無駄に相手を甚振ってしまうのは悪い癖だと言われた。
とはいえ、この憤怒と傲慢は生来のものだ。抑えようとして抑えられるものではない。

「どうでしょうかね。口答えは出来ますか?」

ざふざふと焦げ付いた雑草を踏み、顔を見下ろすように覗き込む。
その表情は、先程の憤怒に歪んだ顔ではない。再び、美しい少年の顔に戻っている。
……その奥には、嗜虐心と色情が見え隠れしてはいるが。

ジャック >  
「――、……」

ようやく電撃が止んだ。
フヒューフヒューと浅い息を繰り返すだけだが、彼が近付いて声を掛ければ、寝転がったままそちらに顔をゆっくり向けて。

「――女性に、優しく、出来ない男は、モテないぞ、少年――」

ニヤリと笑ってそう口にする。
とは言え声はガラガラで、笑顔もひきつっているが。
肉が焦げた臭いをまき散らしならも、まだ心は折れていないらしい。

イヴァン >  
「ご教示いただきありがとうございます。」

ぐっ、と服に靴の爪先をかける。
そのまま思い切り引っ張れば、雷撃で焦げ脆くなった服はあっさりと崩れるだろう。

「さてと。戦利品は貰っていきたいところなんですが……
 正直もう疲れました。痺れている貴方を痺れたままにして持ち帰る気力はありません。
 まさか、ここまでやられるとは思っていなかったのでね。」

そう言って、ジャックの顔を再び覗き込むように屈む。
その腕は寝転がって溢れた胸に伸び、乱暴にそれを鷲掴みにする。

「なので、予約はしようかと。」

ジャック >  
「――ハ」

魔王の息子とは言え、やはりオスか。
胸を掴まれても顔色一つ変えず、むしろ笑って見せて。

「生憎だが、ウチは予約を受け付けていなくてね」

鷲掴みにされ、形を変えた胸。
その胸の中心、谷間の奥が、ぴしりと小さく音を立てた。

「――せっかくここまで来てくれたんだ、このまま遊んで行きたまえ」

瞬間、その亀裂から勢いよく煙が噴き出す。
ピンク色の、あからさまにあからさまな大量の気体。
人間ならば一瞬で気を失うほどの、高濃度の媚薬の煙。

イヴァン >  
「!」

胸の谷間から吐き出された桃色の煙に、軽く後退る。
もっとも、こちらもその手に軽い桃色の灯りが点っているのだが。

イヴァンの母親は、淫魔女王ネクロマリア。その血は、並の純血のサキュバスでは及びもつかない程に、
『淫』に対して強く、そして適性がある。
ましてやそれが半身とはいえ、片割れが魔王であるならば。

「ああ、なるほど。そういうことですか……半分人間らしい浅知恵だ。
 それなら少し楽しんでいきましょうかね。……その前に。」

手に集中させた魔力を、ジャックの胸に流し込む。
常人ならば、魂を侵食して『淫紋』として刻まれる術式だ。
元より半淫魔相手ゆえ、永続的な効果があるとは思っていないが……効果の程はどうか。

ジャック >  
少しでも正気を削いでやれればと思ったのだが、やはり魔王の血族。
殆ど効果はなかったようだ。

「あ゛ッ、ぐ――!」

お返しとばかりに胸に流される魔力。
胸が熱い。
焼けるような感覚の正体は、快感。
鼓動が加速し、自身の心音がやけに響く。

「――ま、ったく、厄介な、お子様だ――ッ」

ハーフとは言えこちらも一応サキュバスだ。
咄嗟に身体の淫気耐性を高めたこともあって、効果こそ強いが、継続時間は恐らく長くて一日程だろう。
永続ではなかったのは幸いだが、逆を言えば今この瞬間彼から逃げるのはほぼ不可能になったと言ってもいい。
自分の意志とは無関係に身体の感度が上がり、スカートを押し上げて男性器がむくむくと勃起する。

イヴァン >  
「あいにく、この程度の淫気であれば……
 あー……
 いや、なんでもありません。」

何かを言い淀んで辞めた。
まさか自分の母にとっては香水のようなものだ、とも言えない。ちょっと不躾だ。

「……ともかく、効果はあったようですね。
 少しばかり強烈なものですが、案の定緩めでしたか。……そら。」

ばちん、と再び電流が体に走る。
しかし、次は全身を引き絞るような電撃の苦痛は、全て快楽に変換される。
そのまま電流は全身を舐めるように走り、体を覆う服を焼き焦がして切り裂いていく。

「いい体をしている。『こっち』の娼館でも客は入れ食いでしょうね。
 持って帰れないのが本当に残念ですよ。」

ジャック >  
「毒、とかに、しておく、べきだった、かな――ッッッッ♡♡」

選択を誤った、と後悔してももう遅い。
地面を後ろ向きに貼って、少しでも距離を、と思った瞬間、再びの電撃。
ばちん、と身体が跳ね、しかし苦痛はない。
代わりに文字通り全身を快楽が走り、文字通り身体が数㎝跳ねた。

「ッ♡ ィ♡ っが♡ァ♡」

あまりの衝撃に呼吸すらままならない。
快楽で死ぬ、と初めて思った。
全身をピン、と伸ばして快楽を逃がすことしか出来ない。

イヴァン >  
「効力良し。
 ここと、ここと、ここ。」

ばぢん、ばぢん、ばぢん。
指を体に当て、乳首、竿、腹越しに子宮、クリトリス。
まるで反応を品定めするかのように、ピンポイントに電流を流していき……
最後に、膣穴に指を滑り込ませて……粘液を通し、子宮口に直接電流を流す。

「……本当に頑丈ですね?少し遊ぶだけのつもりだったんですが……
 やはり、またこの後も遊びに来ましょうか。」

気付けば、腰のポーチを遠くに蹴り飛ばし、ズボンを下ろしている。
その竿のサイズは人並みではあれど、淫魔としてのそれ……
すなわち、サイズなどのそれとは全く関連しない、「女を狂わせる魔力」というものは十全に宿している。

ジャック >  
「あ゛ィ゛っ♡ っぎ♡♡ んぉ゛♡ ぉ゛お゛ぅ゛っっ♡♡♡」

乳首に電撃を受ければぶりゅん、と埋まっていた乳首が飛び出す。
ペニスに電撃を受ければ先走り液がびゅぶ、と吹き出す。
子宮とクリトリスでは背中が折れるほどに腰を逸らせ、子宮口では獣のような声。

「あ゛ー♡ ぅ゛っ♡ は♡ぁ゛っ♡♡」

露出されられた彼のペニス。
サイズは自身の方が圧倒的にデカいが、わかる。
今アレを突っ込まれたらタダでは済まない、と。
女としての本能が、自由に動かない身体を動かし、少しでも距離を取ろうともがく。

イヴァン >  
ぱきぱきと腕から音が鳴る。
どうやら、腕の再生も十分に完了したようだ。

「それでは、頂きましょうか。」

電流に蝕まれて動かない体で藻掻く姿に嗜虐心が唆られたのか、普段より逸るように女の体を抑え込む。
前戯と言えるかどうかもわからない拷問のような電流攻めを経て、濡れそぼった秘所にくちゅりと先端を添えて……

どちゅんっ♡と肉を貫く。

「……っく、ふうぅ……っ♡ これは、中々……っ♡」

流石半淫魔、といったところだと心で思いつつ、その肉の味を堪能する。
今すぐに持ち帰れないのが本当に惜しい。そう思わせるほどの。

ジャック >  
「、♡♡っ♡♡♡ ♡♡」

抵抗むなしく抑え込まれた。
常軌を逸した怪力も、電撃と快楽責めのせいで十全に発揮できない。
宛がわれただけで何度も軽い絶頂に至って、

「~~~~~~~~♡♡♡♡♡♡」

貫かれた瞬間、一瞬意識が飛んだ。
正確には、快楽で意識が飛んで、快楽で引き戻された。
目を白黒させ、言葉にならない絶叫を上げ、全身を硬直させる。
突っ込まれた彼のペニスはギチギチに締め上げられ、しかしただキツいだけではない、的確な刺激を与えている。

イヴァン >  
「ふッ♡ ふッ♡ ふッ♡
 素晴らしい、ですね……♡ 娼館の連中より、ずっと上です♡
 ふふっ♡ 改めてっ♡ お名前を、お聞かせ願えませんかねっ♡」

そこにテクニックなどはさほど無い。
ただ快楽を高め、快楽を注ぎ、快楽で次の快楽を呼び込むだけの、淫魔という種族にありがちな……
いわば、原始的で暴力的な快楽に溺れるセックス。
だがそれ故に、単純に『効く』のだ。

肉付きの良い体に叩き付けるように腰を振り、その度に先程の電流を思わせるような
濃厚で鋭い快楽が注ぎ込まれる。
奥には届ききっていないはずなのに、淫魔の魔力が、性感帯に錯覚を伴う快楽を流し込む。

ジャック >  
「ぉ゛♡♡ ぅ゛♡♡ ぁ゛ぅ゛♡♡♡ ぃ゛ぃ゛ぃ゛♡♡♡」

名前を聞かれても、応える余裕がない。
全身に、いや魂に直接叩き込まれるような快楽に耐えるだけで精一杯だ。
生物としての格が違う。

「っ♡♡♡♡ ~~~~♡♡♡♡♡ ぉ゛♡お゛ぅ゛♡♡♡♡ っ゛ぉ゛♡♡♡ぅ゛ぉ゛お゛♡♡♡♡♡」

獣のような声を上げて、ひたすらに快楽に耐える。
いや、耐えられてはいない。
耐えているのは快楽にではなく、壊されないように、だ。
抵抗はとっくにやめ、頭を抱えて瞳を裏返しながら必死に耐える。

イヴァン >  
「……先に聞いておけばよかったな。
 まぁでもっ♡ 僕を怒らせたのは、そっちなのでっ♡
 自業自得ですよ、ねッ♡」

そしてなにより、この手の淫魔にはそれこそありがちだが……
基本的に、性行為によって力を得る淫魔は精力がほぼ無尽蔵だ。
故に、その交尾は互いが潰れるか、飽きるまで続く。
あるいは、この場合は淫紋の効果が切れるまで。

「……もう少し締めません?♡」

頭に優しく手を添え……ばぢんっ、と頭に直に電流を流し込む。
『脳でイく』という、異常すぎる経験を刻み込んでくる。
その中で竿は膣の中で膨らみ、最初の射精が近いことをジャックに伝える。

ジャック >  
「♡♡♡♡、♡♡♡~~~~~~♡♡♡」

顔は涙と鼻水でぐちゃぐちゃだ。
さっきからずっとイきっぱなしで、余裕なんてありはしない。
脚をばたつかせ、上半身を暴れさせ、腕は頭を掻きむしり。

「ぁ゛♡♡っが♡♡♡♡ぁ゛♡♡♡♡♡♡ぎぃ゛♡♡♡♡」

頭に電撃をねじ込まれる。
絶頂の信号、と言うわけではなく、脳への刺激で直接イっている。
同時に自身の中で膨らむペニス。
それが更に快感を産む。
死んだ方がマシ、と思えるレベルの快楽漬け。

イヴァン >  
「そうそう……っ♡ やっぱり、上物ですねぇ……♡
 あ~、出るっ♡出しますよ、出る……っ♡」

どぢゅんっ♡と思い切り竿を突き入れ、精を膣へと流し込む。
淫魔の体液はそれ自体が濃厚な媚薬であり、それが膣の皺、肉の粒の隙間に流れ込む感覚までも脳へと伝えてしまう。
名も知らぬ相手を組み伏せての膣内射精。その支配感も、この場では良いスパイスとなる。

そして同時に、ジャックの竿を握りしめて電流を流し込む。
ジャック自身の顔に、竿の先端を向けながら。