2023/08/12 のログ
ご案内:「メグメール(喜びヶ原) 自然地帯」にミケリアさんが現れました。
ミケリア > 「はあぁぁ……この辺りは空気が良いですね~」

街道から少し離れた森の中。
大きな岩に腰かけ、一人の女性が森林浴に興じていた。
見たところ、女性が身に付けているのは薄手のワンピースが1枚。
武器の類も見当たらず、街道が近いとはいえいささか不用心にも思えた。

しかし、当の本人はすっかりリラックスした様子で森の気配に浸っている。
それもそのはず。彼女は精霊の一種、樹木精霊(ドリアード)なのだから。
街に住む変わり者の樹木精霊であるミケリアは、こうして定期的に森を訪れなければマナ不足に陥ってしまう。
この森林浴は彼女にとっては食事にも等しい行為なのだ。

もっとも、マナを補給する方法が他にないわけではないのだけれど。

ミケリア > やがてミケリアの座る周辺の地面に次々と花が咲き始める。
彼女の来訪を歓迎するようなその花々は、精霊の祝福によるものだ。
もうしばらくもすれば、岩を中心に綺麗な花畑ができることだろう。

「ふむふむ、豊かな土地のようですね。この森は」

精霊が訪れても、土に力が残っていなければ花は咲かない。
豊かな生命力とマナに恵まれている証拠だ。
この調子ならもう数時間の森林浴で、また一月程は森を離れて生活できるだろう。

「~♪」

岩の上で裸足の足をぷらぷらさせて歌を口ずさむ。
森の中で過ごす時間は心地良いが、街での生活に慣れたミケリアには少々手持無沙汰でもあった。

ご案内:「メグメール(喜びヶ原) 自然地帯」からミケリアさんが去りました。
ご案内:「メグメール(喜びヶ原) 自然地帯」にグァ・ジャミルさんが現れました。
グァ・ジャミル > (王都から少し離れた森林地帯。
 手には魔力痕跡を追うランタン型の魔導具だ。
 精霊の力も借りているもので、ランタンの灯代わりの精霊も仲間から借りている。
 草原エリアを疾走する足は速く、その先には冒険者が訪れる迷宮とされる遺跡の入口がある。
 自由騎士がこんなところにいるのは珍しいかもしれないが、向けられる視線を介さず、ジャミルは迷宮の中に入っていく。)

「地下30層の迷宮ねえ。
 冒険者がすでに踏破してるらしいが、本当にここなのか?」

(ランタンの揺らぎが大きくなっているので、間違いではなさそうだ。
 ジャミルの目的は味方の捜索だ。自由騎士の一人。ジャミルにとっては相棒と呼べる存在。
 出会って一年もしない真面目な堅物のバディ。
 厄介事を背負いやすいが、まさか転送術でどっかに飛んで行方不明になるとは思わなかった。
 痕跡を追いかけて絞って、ようやく可能性の一つとして導きだされたのが、この迷宮の底。
 冒険者ギルドでは難易度としてはそこそこのもの。
 一先ず、正式な斥候職ではないが、身体能力と魔力に優れるミレー族であるジャミルが先行で調査にきたということで──。)

「幻術解除」

(耳と尾を隠す惑わしの幻術を解除する。戦場ということでそちらに割く魔力リソースを省きたい。
 普段は他人から見られないように隠しているミレー族の証、黒色の猫耳と細長い尾が揺れる。
 尾っぽはコートの中に隠れているが、耳だけはどうしようもない。フードを被って視界を狭くするのも危険だ。
 冒険者を避けながら行くしかねえなと、ジャミルは軽い足取りで石階段を下り始めた。)

グァ・ジャミル > (狭い通路を塞ぐ魔物の首が刎ねる。
 風の刃を纏わせた剣で勢いのままに一撃確殺で、確実に仕留めていく。
 山奥の蛮族の里で育ち、日常が戦闘という環境で育ってきたジャミルにとって、
 迷宮に湧く魔物は大概どうにか出来てしまう。むしろ懐かしい。
 自由騎士団では毎日毎日血を浴び続けるような戦闘は滅多にない。
 そのおかげで発情期に苛烈な衝動が沸き起こるのだが、今の方が幾分もマシだ。)

「さぁて、だいぶ降りてきたと思うんだがなァ」

(目的は捜索なので、倒した魔物の素材を剥いだりはしない。
 魔物の胎内で稀に生成される魔石ぐらいは回収するが、欠片程度なら捨て置く。
 そんな調子でトントン拍子に階層を下り、下り、下り、下り────。
 数時間が経過した矢先に複数に道が分かれている。
 精霊の揺らぎはまだ遠い。まだまだ奥底まで降りなければ反応は拾えなさそうだ。)

「感覚狂うなァ、迷宮って。冒険者はよく平気でいるもんだ」

グァ・ジャミル > (休憩を挟みながら、手強くなる敵の処理を淡々とこなしていくうちに、通信魔導具に連絡が入る。
 長い時間籠っていたが、どうやら相当時間が経っているようだ。
 回復薬なども心許なくなってきたが、探索はここで一度切り上げるしかない。
 ランタンを手に安全地帯化された部屋の壁に、転送座標術式が刻まれた大きめの魔石がはめ込まれた即席の転送装置を部屋の隅に設置する。
 瓦礫と草で覆い隠しつつ、パンパンと手を払う。)

「さて────……ちゃんと生きてろよ」

(小さく呟くと同時に、魔力を練る。
 スクロールによる脱出転送魔法でダンジョンの入口まで帰還すれば、そのままランタンを手に帰路へとついた──。)

ご案内:「メグメール(喜びヶ原) 自然地帯」からグァ・ジャミルさんが去りました。
ご案内:「メグメール(喜びヶ原) 自然地帯」にミケリアさんが現れました。
ミケリア > 「…………あら?」

陽気に誘われ、ぽわぽわと微睡んでいた樹木精霊が目を覚ます。
日が高くなった頃に森に訪れたはずが、周囲はすっかり暗くなっていた。
数時間ほど森林浴をするつもりが、どうやら半日以上岩の上でぼんやりしていたらしい。
暇つぶしに歌を歌っていたところまでは覚えているが……どうやら眠ってしまっていたようだ。
人間であればとんでもない寝過ごしだが、精霊にとっては瞬きほどの時間。
驚くことも焦ることもなく、ただ「やっちゃったなぁ」と思う程度だ。

「まあ、いいわ。こんなに月が綺麗なのだもの」

月の光にはマナが豊富に含まれている。
すっかり花畑になった森の中、樹木精霊はもうしばらくのんびりしていくことにした。