2025/05/04 のログ
ご案内:「メグメール(喜びヶ原) 街道「まれびとの道」」にれあさんが現れました。
れあ > 「さて…と」

すっかり日の落ちた「まれびとの道」にやってきたのは女冒険者。
冒険者ギルドの任務により、この街道沿いに出没する「盗賊団A」なる無法者の調査にやってきた。
仕事の内容は、彼らのアジトを見つけ出す事であるが、討伐すれば追加で褒賞がでるとのこと。

非武装の商隊や旅人を襲い、全てを奪って殺す。殺して全てを奪う。そんな極悪非道の輩だが、神出鬼没。
大捜査を行えば鳴りを潜めてしまう。
そこで、冒険者に任務がばらまかれる事となった訳だけど……。

「まずどうやって盗賊団を見つけましょうか」

一人で街道を歩きつつ、当然の悩みどころを思案する。
理想的には、盗賊団が旅人を襲っている場面に遭遇し、参戦し、彼らを退け、そこでボコボコにして、1人をあえて逃がし、トラッキングをしてアジトを押さえ、そこで残り全ての人員を無力化する…そう事が運んでほしい。

しかしそれには運が必要不可欠で…。

「うーん。めんどくさい仕事引き受けちゃったか…」

れあ > まれびとの道は「ゾス村」というところまで伸びている。
その村もなんか色々ある村らしいのだけど、盗賊団Aが出るのはこのまれびとの道の真ん中から王都よりらしい。
行動範囲を考えると、アジトはメグメール(喜びヶ原)の自然地帯のどこかにあるのだろう。

見晴らしのいい所に生えた高い木の上なんかから、見渡せる範囲で街道を見張るべきだろうか。

「うーん…とりあえず、一度は歩いてみましょうか」

盗賊団の情報は、体格の良い男性5人である。腕にワニの入れ墨がある。くらいしかない。
冒険者ギルドにいる筋肉馬鹿な感じの男性冒険者ABCDEを思い浮かべ、とりあえずのイメージとする。

彼らが仕事をする…となれば、人通りを監視しているにちがいない。
獲物を見定めたら、すぐさま襲い掛かれるように、それなりに街道にほど近い所から見ているはず。

他、他の人に見つからないように…。

「直線が長く続くところ…そして、近くに身を伏せれる…茂みや岩場がある所か」

曲がりくねったカーブの多い道が犯行に向いているようにも思える。でもその状況では、自分たちの視線も遮られて、不意に獲物とは別の一団と遭遇する危険がある。
それならば長い直線コース上を見張り、視界にターゲットが1人しかいない状態で、素早く行動に移すのではないか。

と。めちゃめちゃ知的に考える。私ってば超かしこい。
街道を歩きながら、周囲の地形を見る。

れあ > 夜風の中を歩きつつ、不意に足を止める。

暗く、上り坂が続く。
前を見ても振り返っても、今街道には私しかいない。
馬車その他の明かりも見えない。

方々に背の高い茂み。

近くには小川の流れ。

川沿いには岩場。

「……」

星を見上げつつ、肌感覚を周囲へ伸ばす。

ああ、見てるわ。誰かが見てる。
なるほどなるほど、誰がどうみてもお金もってなさそうな私自身が狙われる「幸運」は考えていなかった。

「ふぅ…」

つかれた旅人風に小川に向かい、しゃがみこんで水筒に水を汲む。
故意に見せた隙に、何者かが「その気」を出す。

後方の茂みの中、枝が踏まれて、パキと音が鳴った。
ハッとなって茂みへと振り向く。

その途端、より私に近い岩場から、男が飛び出してきた。

「!」

そして茂みからも男が飛び出してくる。
茂みの中の男がワザと音を出して気を引き、岩場の男が奇襲する。
単純だけど効果的な連携だった。

「でもざんねんでしたっ!!!」

岩場の男にカウンター気味の後ろ回し蹴り。
ガキ!っと重たい手応え。

「あ」

こいつ全身金属鎧着てる!

蹴り足掴まれそうになって慌てて、茂みの男と逆方向に飛びずさる。
あれ??これってこの逃げる方向を誘導されたような…。

「うわっと!」

足元には動物を捉えるロープ罠。
足首に絡みついたそれが、ぐんっと引っ張られる。

「!!!」

ひっぱられた方を見れば、ロープを手にしてニヤリと嗤う三人目の姿。

え?なにこれ相当やる奴等じゃないの!?

れあ > 恐らくこの盗賊団。「傭兵崩れ」だ。

全身金属鎧男は、その腰にメイスを下げていて。
ロープを持つ男は、その腰に剣を下げていて。
茂みから出てきた男は、月明かりを反射する幅広剣を握っている。


取り合えず、今は劣勢。
敵はもう勝ったと思っているに違いない。
大抵の奴は今超饒舌になるサービスタイムに入るから。色々聞いちゃおう。

「お、お金なんて全部あげるから!命だけは助けて…」

私は懐に手を差し込み、お金を入れたお財布袋を投げる。
しかし彼らはお金には一瞥もくれず、一様に気味悪く笑った。
そして茂みの男が私に答える。

「殺して奪うのが楽しくてな。悪いな嬢ちゃん…」

男たちは3人同時に笑う。
彼らにとっての強盗は、趣味と実益。
戦場で殺しの技を覚えて、落ちるところまで落ちた。そーゆー手合いだ。

「じゃあ、これもあげるから──」

と、私が放ったのは、お財布を取る時に一緒に握りこんでた鎖鎌の分銅。
それは夜闇を切って、茂みの男の頭を穿つ。

「そこで大人しく死んでくれないかな」

私の分銅は、人間の骨を易々砕くき、今一人の命を奪った。

「この女!!」

彼らが動揺した一瞬に、私はロープ男に向かって奔る。
私の足首に絡んでるロープは、私を彼の方向に引き寄せることでしか作用しない。
私が自ら彼に接近する今、男にとっては武器も構えずなんの意味もないロープを握っていることは、弱みにしかならない。

慌てて武器を引き抜く彼の間合いに入り、不用意に繰り出された剣を、宙を飛んで躱して、彼の後ろに着地する。
股間を蹴り上げてから、鎖を首に回して締め上げると、男は直ぐに泡を吹いて倒れた。


私はヒュンヒュンと分銅を振り回して力を貯めつつ、全身金属鎧男に圧をかける。

「一応言っておこうか。分銅の衝撃は、その鎧じゃ防げないから」

これはホント。彼が本当に元傭兵ならわかるんじゃないだろうか。

「どーするぅ?お仲間呼んじゃう~?」

私が嗤うと同時に、全身金属鎧男は逃げ出した!

れあ > 男は森の方へと走り出す。でもその逃走は、誘いかもしれない。
何しろ前情報は「5人組」なのだから。

罠があるか、矢による狙撃があるか。想像よりも「やる」奴らだったので、彼を追ってアジトを突き止める作戦を断念。

「ふん!」

私の分銅は最長射程10メートル。
時速100キロを超えて飛び、全身金属男のバケツのような後頭部にごいーん!と直撃し、男は千鳥足になったあとその場に倒れた。
運が悪ければ死んじゃう当たり方だけど、感覚的には多分生存してるはず。

今更ながらに足元に転がるロープ男の身体を改める。

「ワニの入れ墨発見…と」

あーよかった。これで全然違うものだったら笑い話になる所だった。
とりあえず彼は絞め落としただけなのでまだ生きてる。
その手足を、彼自身が持参したロープの3分の1で拘束した。
残りのロープ3分の1を使い、やっぱり生きてた金属鎧男を拘束、そして2人を茂みの男の亡骸と結びつける作業を終えて立ち上がった私は、頭を掻く。

「…連れ帰る手段を考えてなかったわ」

れあ > とりあえず、他の誰かが、例えば商隊なんかが通りかかってくれるのを待ちましょう。
最悪明日になって、日が昇れば人通りが復活する。
馬車に乗せてもらうとか、役人を呼んでもらうとかすればいい。

うん、私有能すぎて怖いわ。

「ね。それが良いと思わない?」

と言いながら、水筒を傾けてロープ男の顔に水を落とす。
彼を叩き起こして、笑顔で手を振る。
覚醒した男に、また言う。

「ね。一晩ここで馬車を待ってさ、それに乗って王都に行く。それが良いと思わない?」

彼は身体を拘束されている現状を確認した後、再び私を見た。
さて、私が彼に「一晩ここに居る」と伝えたのにはワケがある。
それは、盗賊団の残り2人が彼らを救いに来る可能があるのかないのかを探るため。
そして彼の視線や仕草の微妙な変化から、彼自身が「まだ助かるチャンスがある」と考えたのを読み取る。
なるほど。助けに来る可能性があるのか。

「そこで楽しい取引タイムなんだけど、アジトの場所を教えてくれたら、貴方の命を保証します(私にそんな権限ないけど)」

これぞ忍法口車。
彼の目をじーぃと見つめる。
ここで唾を吐かれるパターンもあるので注意が必要。

「拷問にかけてもいいんだけど、私拷問下手なんだ」

私は笑って、衣服の裏地から「針」を取り出して見せた。

「針を差し込まれて、一番痛い所って、しってる?」

男の顔に緊張が走る。

ここで取引に応じてアジトをばらしても、助けに来た2人によって私が殺されれば万事OK。そんな希望的観測にすがっちゃいなさいよ。

「知らないなら、覚えてもらおうかな」

そう言いながら、私は彼のズボンをパンツごと膝まで降ろす。

こんな街道沿いで、男を拷問してるとこ誰かに見られたら何て言おうか…。