2025/02/17 のログ
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ご案内:「メグメール(喜びヶ原) 冒険者ギルド出張所」に影時さんが現れました。
影時 > ――全く、使い走りのような仕事だ。

冒険者ギルドの出張所の間の手紙を、人手が足りないということで冒険者に運ばせる。
全く以て簡単な仕事でもあり、次第によっては面倒な仕事である。
立ち寄る先が予定している進路でなければ、余計な行程となってしまう。
ギルドの意向としては道程が長くなっても良いから、行先で何か金銭を落とせるように仕向けたいのだろうか。
寧ろ、それは事前準備の重要さの認識が足りない、駆け出し(ニュービー)にやらせればいいように思うが。

「……――偶々だろうかねェ」

ぼやくように零しながら、街道を歩きゆく姿がひとつ、ある。
王都でも物珍しげな装束姿の男。肩と頭に小さな毛玉めいた齧歯類を乗せ、立ち寄る先に目を遣る。
街道沿いに肩を寄せ合うように建てられた、幾つかの建物がその目的地だ。
冒険者ギルドの看板を掲げられたものを認めれば、気配も僅かにその扉を押し開く。
宿屋に加え、酒場兼食堂を併設したそこは、同じような造りの王都の冒険者ギルドよりやや手狭。
昼が過ぎた刻限だと、隊商が立ち寄らない限りは人の入りは疎らだろう。
扉を開いた音を聞き、向け遣られる目線の数はやはり少なく。

「……のからの、手紙を運ぶように依頼された者だ。確かめてくれるかね?」

受付に懐から出した手紙を、己のギルドの認識票を示して見せながら受付の男に差し出そう。
不愛想な顔つきの男の胡乱げな眼差しを受けつつ、暫し待とうか。

影時 > 「しっかし、あンまり立ち寄らねぇが、相変わらずシケてるねぇ。何だ、繁盛してないのかね?」

冒険者ギルドに繁盛もくそもへったくれもあるものか。
そんな失笑、ツッコミを期待しながら、手続きをしているらしい受付に話しかけるが――答えはない。
聞く価値がないのか、集中しているのか。カウンター越しに見やる相手は不愛想な表情のままだ。
肩上の二匹の毛玉が飼い主のトークに、呆れたように肩を竦める気配を感じ、一息。

だが、手続きは無事終わったらしい。

手紙の封蝋の刻印と封筒の表記、提示された認識票が正規のものであることを確認し、相応の代価が出される。
小皿の上に乗った数枚の硬貨。それがこの使い走りの仕事にに対する報酬だ。
その額付けに文句をつけるつもりはない。付けるだけバカバカしい。それよりも。

「――でー。何か奇麗どころとか、最近売り出し中の美人とか知らねぇ?知らん? あ、そう……」

報酬を受け取る側が、ノリを変えずに話す言葉に辟易でもしているのか。
一層不愛想な表情を見せて、しっし、とばかりに手を動かしてみせる。知らないし、知っていても言わないつもりか。
そんな意図を覚えつつ、どーもと会釈して離れ、依頼が貼りだされた掲示板の方を見遣ろう。
取り急ぎの予定としては、学院の実地訓練志望に備え、出先となるだろう近辺の状況確認。
強盗の類で荒れている、厄介な魔物でもいるなら、時期を変えるか取り除いてからでなければ、リスクがある。
無いなら無いならで、これまた小遣い稼ぎか、このまま準備の上で迷宮に潜るか。

影時 > 「……この時期に山歩きはさせたく無ェんだよなあ。するのも嫌だが。
 もとより、まだ寒い時分で山に行きたいとか宣う奴はあんまり居ないか。なに、居る?」
 
雪が降り積もった山に住まう魔物の討伐、平地に出没する対象狙いの強盗の護衛、等々。
出張所の掲示板を見遣れば、王都よりもどこかローカル色が強い印象の依頼が幾つか見える。
まだ冬らしさが多く残る時期だ。山中の砦やら城跡に潜伏し、寒さを凌ぐにも辛い。
そうとなれば、さながら野生動物よろしく賊らも平地に下って、廃村の空き家にでも篭るのだろう。
生態として考えると至極単純極まりないが、切実でもある。
雪が残る場所に踏み込むのは、勇気があったとしても避けたいが――彼らは違うらしい。

肩上でぴょんぴょん跳ねたり、頭の上に攀じ登っては前足でぺちぺちしてくるのは、雪山で遊びたい年頃か。
何か珍しい薬草の類でもあればなー、とため息交じりに嘯き。

「……あぁ、洞窟に潜るってなら、嫌でも通り道かもしれんか」

ふと、目についた貼り紙の依頼書にふぅむと唸る。
瘴気が溢れる洞窟の探索、と。山の麓の村付きの猟師が偶々見つけ、溢れ出す瘴気の濃さ故に近寄れない、のだという。
地獄の釜の蓋が開いたのではあるまいに。それとも、魔族が黄泉の国との経路でも繋げたのか。

影時 > 「――ふむ。」

瘴気という書き込みに、頭上と肩上の二匹が高低差もなんとやらで顔を見合わせ気配がする。
ああ、読めるのか。それと何か言いたげにしなくてもいいぞー。
耐性と防毒対策が出来る己と違い、子分たちを呼吸が危うい場所に長く居させるつもりは無い。
現地に突入する際、安全が確保できないということが明確なら、雑嚢(カバン)の中に入れておくまでだ。

道程は少々面倒だが、少し興味が湧いた。
興味のあるなしは大事なことだ。行動の起こりとなる火種であり、最後まで事を進めるための灯火となる。

「あー、悪いがこれ頼めるか?」

貼り紙を剥がし、受付へ。奇麗処やら何やらがいれば楽しみたい処だが、仕方がない。
手続きを終えれば出発しよう。この出張所より目的地はそう遠くない。ひとっ走りすれば着くだろう――。

ご案内:「メグメール(喜びヶ原) 冒険者ギルド出張所」から影時さんが去りました。
ご案内:「メグメール(喜びヶ原) 草原」にエレイさんが現れました。
エレイ > ──まだ日の高い時間帯。
爽やかな風の吹く街道の外れの草原の只中を、鹿毛の馬に騎乗しゆっくりと進む金髪の男が一人。
日差しに眩しげに目を細めつつ、くわわ、と、一度でかい欠伸を漏らし。

「ンー……さ、今日ものんびり昼寝タイムとしゃれこみますかねぇ……──ンン?」

目元を擦りつつ、街道から程々に距離のある、いつも昼寝に利用している辺りまで辿り着けば、
ぽつんと一人立つ人影に気づいてぱちくりと瞬きし。
自分以外にこんなところまでやってきている者がいるなど珍しい、なんて考えながら、
馬を歩かせ緩やかにそのそばまで近づくと、へらりと笑みを浮かべながらその相手を見下ろし声をかけてみる。

「──やあやあコンニチハッ。お一人ですかねぇ?」