2024/09/04 のログ
ご案内:「メグメール(喜びヶ原) 街道「まれびとの道」」にエンさんが現れました。
エン > 太陽が真上を向く正午。空は真っ青に広がって大きな雲や小さな雲がぽつぽつ浮かぶ晴れ。湿気は少なくからりとした暑さをそよぐ風がちょくちょくと吹く気持ちの良い晴れ日和だった。「まれびとの道」にも遮蔽物が少なく風が良く通る、その一角――人気がとんとない通りに、馬車が二台泊まっている。一台は、旅客向けの大きな荷台に大きな車輪のそれ、一台は、貨物を運ぶもの……に、偽装された盗賊のもの。

真っ昼間の街道で、よもやの襲撃。よもや、というところを狙っているのがたちが悪い。
手際は、感心してはいけないのだが見事なもの。
馬車を並走させるや否や飛び移って御者と護衛を制圧、
まさにあっという間に停止させられてしまった。

「……はあ~」

して、只今、乗客全員後ろ手に縛り上げられ金品を物色されている真っ最中。
とある盲人も水遊場で遊んだ帰りにこれに巻き込まれて、拘束中。
どうしよっかな~誰か助けてくれんかな~ドンパチするの面倒臭ぇな~……
と、他の客とはちょいと違う意味で眉をひそめながら溜息を零している。

エン > 暑いし。水浴びしてきたばっかだし。腰、痛いし、乗客の啜り泣きやら盗賊のだみ声は不愉快だが驚愕やら感謝やら断末魔やらで殊更五月蝿くなられたらもっと耳痛いし……云々言い訳を内心でどばどばと垂れ流していたわけだが、世の中そう上手くはいかないもの、通りすがりの誰かが気付いて助けてくれるわけでなく自分の懐に盗賊の手が突っ込まれたところで溜息がもう一つ。

ぶちり。
縄が千切れる、音がして。
ぶちり。
盗賊の顔が剥がれる、音がした。

指と手をちょいと動かせばこの通り。

「ままならないねぇ。お互いにさ。ああ、心配しないでも殺しゃせんよ。死ぬほど痛いけど」

――そこからは、あっという間すら無かった。

ご案内:「メグメール(喜びヶ原) 街道「まれびとの道」」からエンさんが去りました。