2024/08/30 のログ
ご案内:「メグメール(喜びヶ原) 旧道」にアルマさんが現れました。
アルマ > ――夜空は今宵も雨雲に覆われている。
狼の因子をメインに生み出された魔獣の特徴でもあり武器である鋭い嗅覚は湿った土と緑、そして今にも降りそうな雨の匂いで潰されている。

今宵は、今宵こそ、今宵こそは。
オオカミをベースとしたキメラであり兵器(兵装)であるアルマと呼称されるアルマは憔悴しきっていた。

ここ数か月は全く獲物にありつけず。
血も肉も足りなければ魔力も足らず。
今はかろうじてオオカミの姿を維持はしているが、残念なことにオオカミと呼ぶには少々小柄で、青黒く艶やかな体毛も栄養不足により色艶も悪く、傍目から見ても露骨に衰弱している状態、そんな状態で今宵も獲物を探し彷徨う。

もう少し力があれば人里近くで狩りができたが、そう考えた時には既にこの状態であり、最早人里に下りても退治されるのが目に見えている、かと言ってこうして人の名残の少ない場所を彷徨っていても、えさにありつける可能性が低い。

わかっている。
わかっているのだが、アルマは旧道を彷徨う以外に術はなく、小柄な若い狼として、湿気た大地を踏みしめて、ゆるい速度で歩き続けるのだった。

時々、顔を上げて、鼻先をかかげて、鼻腔を動かして、臭いを探して、また鼻先を下ろして、また歩いてを繰り返し……。

アルマ > 旧街道を彷徨い続けても獲物を得られないと理解した。
それでも、それでも獲物を捕まえないと、と鋭い牙並ぶ口端から唾液をボタボタ垂らしながら、アルマは旧街道の闇の中へと消えていくのであった。

その後獲物を捕まえられたかは不明である。
けれども魔獣は諦めない……。

ご案内:「メグメール(喜びヶ原) 旧道」からアルマさんが去りました。