2024/08/23 のログ
ご案内:「メグメール(喜びヶ原) 旧道」にアルマさんが現れました。
アルマ > ――夜空を覆う雨雲。
星も月すらも飲み込んでその曇は何一つ輝く事を許さない。
何時も以上に宵闇深く、何時も以上に生き物の気配も希薄なメグメール旧道を1頭の獣が闊歩をしている。

濡れた真っ黒い鼻先、光を透かせば青くも見える青を煮詰めたような色合いの毛色、柔らかくふさりとした毛並み、時折揺れるそんな毛並みに包まれた尻尾、それは一見して野犬か山犬か――…狼か。

しかしてその正体は野犬でも山犬でもましてや狼…ではあるか、闊歩する獣はオオカミをベースに創造された狼型のキメラであった。

魔獣の瞳もまた深く青く黒く。
仄かに青く陽炎たつように輝くのは【飢え】の所為。
空腹や飢餓とは少し違い、欲望を吐き出せない事への飢えであり、その飢えを満たすための獲物を探し夜色の瞳で辺りを探る。

ならば人通りの多い場所を選べばいい。
あるいはそう子犬にでも化けて王都へと忍びこむ。
考えれば獲物を得られる確率が高い方法はいくつかあるし、この狼型の魔獣もそれくらいは頭が動くはずなのだが、今はその【飢え】の所為で、貪りたい欲望のせいで頭が回っていないのだった。

アルマ > 頭が動かないイコール狩りが雑になる、ではない。
狩猟に関してはオオカミ以外の因子が含まれている御蔭で、通常の狼では思いつかないような方法もとれる。

例えば今はこうしてただただ闊歩しているだけに見えて、足先からは細い糸に似た触手を伸ばし、草木を撫で、地面を撫で、獲物が動くわずかな振動を探り、あるいは空気の振動を感じ取り、獲物を探り、獲物を探している。

ただそれも無限に伸びるわけではない。
なので視力の良いものが見ればキラキラ光る蜘蛛の糸のようなものが伸びては切れて、切れては落ちて、木に草に土に溶け込む様子が見えるだろう。

ただあまり使いすぎると体積が減る。
今は大柄な犬に近しいサイズになっているが、最悪子犬サイズになることだってある。

狩りと探索。
その手法は本能的に行えても、流石にその消耗までは頭に入っておらず――僅かながら徐々にオオカミ型の魔獣は徐々に小さくなっている。

最終的には子犬の大きさ、なんてことになる前に早々に狩りを切り上げる。
鼻孔に雨の香りを感じ取ったから、濡れて体力を消耗すると狩りもままならなくなると判断し、オオカミ型の魔獣は一瞬にして蝙蝠へと姿を変えると、濡れる前にどこかへと飛び去るのだった。

ご案内:「メグメール(喜びヶ原) 旧道」からアルマさんが去りました。