2024/06/23 のログ
ご案内:「メグメール(喜びヶ原) 街道「まれびとの道」」にシアンさんが現れました。
■シアン > ざあーーーっと大粒の雨が降り頻る。
街道は泥濘む通り越して水浸しで踝を軽く超し、
近くに流れる小川も遠くに流れる川も氾濫気味。
そんな天気と道の塩梅では人気はひどく少ない。
馬車が偶に通りがかるが馬から御者から酷く迷惑そうな顔をしていた。
「参るわ、いやマジで……」
通りがかる馬車の回る車輪が水を巻き上げては上へと大跳ねして下へと土砂降り。
腰巻きにしていた上着を頭から引っ被った、上からそいつを引っ被せられ、溜息。
「ぁー待ちゃ良かったか……」
あの馬車ってさっき運行遅れるとか言ってたやつじゃねぇの?
と、走り去っていく後姿に、訝し気に恨めし気を多分に混ぜた視線を送りつつ歩く。宿場町の停留所から王国への帰路を何なら一日待つかもしらんというから歩く事に決めたのだが早速後悔させられながら歩く。傘は一刻前に強風で吹き飛んで、上着を合羽代わりにしちゃいるものの上から下までもうずぶ濡れ。歩を進めるたび浸水した靴の中がぐちゃぐちゃ鳴って気持ち悪い。溜息も何度も出る。
雨足は弱まるばかりか強くなる一方の雨空を見上げてから、ぐるり。視線を巡らす。
更にこのまま歩くかどこぞ空き家か茶屋か何でもいいが雨宿り出来る場所でも探すか。
一思案しながら、ぐちゃぐちゃ、ばしゃばしゃ、水浸しの街道を踏んでいた。
ご案内:「メグメール(喜びヶ原) 街道「まれびとの道」」にティカさんが現れました。
■ティカ > 青年の金瞳が捉えるのは強い雨脚に烟る街道の景色ばかりで、雨宿りの出来そうな場所は見当たらない。
が、視覚では無く聴覚が、代わり映えのしない景色に緊張感を伴う変化を与えよう。
雨音に紛れて響くのは金属同士が打ち合わされて響く甲高い音。
街道の傍ら、鬱蒼と茂る森の奥から聞こえてくる剣戟の音だ。
更に耳を澄ませれば、それに混じってオークの物と思しき吠え声と、それに応える妙にトーンの高い、恐らくはまだ若い女の威勢の良い声音を聞きつける事も適うだろう。
曰く
「――――ざっけんな! ここはあたしが先に見つけたんだ! てめぇらどっか他所に行けコラ!!」
可愛らしい声音に反して実にガラの悪い怒声には、青年にも若干の聞き覚えがあるはずだ。…………覚えてるよね?
■シアン > 眉を潜めて瞳を細めてみても、親指と人差指で輪っかを作って望遠代わりに目のピントを合わせても、望むものは見当たらない。
ちくしょうめーと愚痴を零しながら小さく頭を振る。
その頭が何度か振られ正面に戻る途中、ふと止まる。
目線は、街道の外れ、踏み込めば灯りが欲しくなる程薄暗い森の奥。
雨音に混じって響く雨音以外の何かが聞こえた、様な、いや、聞こえた。
「……ティカか」
ざあざあ、ざあざあ、雨音はうるさいが、紛れるようにして届く金属音に唸り声に、知った声。
ぼそりと知古の名前を呟きながら革ジャンを頭からずらして袖を腰あたりで確りと引き結び、
手放すと同時に片手は腰に備えた鉄杖を引き抜きつつの足は大きく一歩を踏み出して――
「ふふ。アイツ、ほんとよく絡まれてんのなぁ」
二歩目、三歩目をさらに大きく水飛沫を先程の馬車以上に跳ね上げながら街道にも草むらにもどでかい足跡を残して駆ける。見たことはないが、聞いたことはある、何でかしょっちゅう絡まれる云々の話をふと思い出してつい笑みが溢れる。森へと突っ込んでいって草木も枝も分厚い体躯で無理やり圧し折って、突入、目標を確認、した、後。
「ひさしぶりだなぁおい! シアンお兄さんだぜー!!!」
うっかり、新しいオークか或いはオーガと間違えられて彼女にぶった斬られないように大声で存在アピール。
しつつの、鉄杖をバットよろしく両手持ちしながら腰の捻りもたっぷり入れて手近なオーク目掛けて、
「ホームラン!!」
振り抜く。ごう! と、風切り音を唸らせる、フルスイング。
■ティカ > 軽功ならず重功でも用いているかのダイナミックで力強い疾駆は、件のチビが目にしたならば嵐の様と表しただろう。
小枝をへし折り倒木を蹴散らし雨粒のヴェイパートレイルを引きつつ駆ける巨漢は程なく、木々の合間に躍動する小躯と、それを取り囲む2m近い筋肉太りも獰猛な3匹のオークを目にする事が適おう。
「――――――にゃあっ!?」
オーク共の挙動への集中を乱す騒音から木枝や葉っぱを散らしつつ飛び出してきた巨躯の場違いな第一声には、チビもド肝を抜かれて素っ頓狂な声音を上げた。
無論、オーク達とて無視など出来ようはずもない。
程なくスタミナ切れで動けなくなるだろう肉便器候補などより余程に脅威度の高そうな大男にそれぞれ武器を向け――――その内の一匹が脳症を盛大に撒き散らした。
『え、マ!?』みたいな顔をして瞠目し、思わず強張る残りの2匹。
連中と同じく間の抜けたぽかん顔を晒していたチビだったが、再起動は早かった。
地を滑るかの疾走は、無防備に背を晒したままのオークの両膝裏を手にした双剣で掻っ切って、そいつが膝をつく頃には大きく飛び退き距離を取っていた。
こうなるともう戦いにもなるまい。
残りの一匹は頭部を失いゆっくり巨体を傾げていく仲間の骸と、悲鳴を上げて膝を付いたもう一匹との間で視線を揺らすばかりの死に体。
元よりオークの3体などあくびなどかましながら相手出来そうな凄腕ならば、後は如何様にも料理出来る事だろう。
■シアン > ぱんっ。と、小気味良さまである快音を放つが絵面はエグい、生き物の頭が熟れた果実を殴ったみたく吹っ飛ぶのだから。
素っ頓狂な声を上げる、小さいの一人に、凶悪面に間抜けを浮かばせる、デカいの二匹に、金瞳を一度巡らせて……
雨水に何なら葉の一枚二枚ごと含んだ呼気が笑気で抜けかけるが歯を食いしばり頬だけ持ち上げる。
八重歯はもちろん奥歯近くまで釣り上がった頬はこの強面じゃあ、可笑しくて笑ってるってよりか、
『殺しがもう楽しくて仕方ありません』とでも言わんばかりのオークもびっくりの凶悪面であった。
いやこうして頬を上げると首と肩の筋肉の締まりが良くなってな、云々はいつだか付けた鍛錬の折に零した、気はする。
「ほお!」
只、思わず、感心の声は溢れた。腰を抜かしたと思わしき小さいのは直ぐ様に、足場も悪いのに見事な走り、からの、一閃二閃とブレもない素直でさえある軌跡で剣を振るうのだから感心もする。
「腕ぇ上げたなぁ!」
フルスイング、しきった両手を僅かに緩めて鉄杖を掌で滑らせる。すっぽ抜ける前に柄尻近くで掴み、バットのお次は大太刀よろしく構えてからの大上段へ振り被り。ずっしぃん! と、やはり、重功の類。一歩で地響きにも近い足音を立てて泥を踏み締めて、その踏み込みの勢いで唐竹割りを彼女の手により膝をついたオークの脳天目掛けて叩き込み。二匹目ぇ~……何て戦果報告。そして。
「三匹目ぇ!!!」
脳天叩き潰したオークから、杖をそのまま突き出し、三匹目の口内目掛けて突っ込んで、抉りながらに走る、紫電。
口内で雷撃を炸裂させて料理完了である。
仕留め損ない、は、ないと思われるがそれでも目付きは厳しく視線をあちらこちらと緩いが動かした儘。
「無事かぁ~? 怪我してねぇか~?」
そこで漸く威嚇やら存在アピも込めて張り上げていた声のトーンを落としてから、声を掛ける。
■ティカ > 出会って秒で仲間の頭部を爆ぜさせた化け物の浮かべた笑みは、それこそ獲物を前に牙剥く獅子めいて見えた事だろう。
彼よりも更に頭一つは高く、横幅も厚みも大いに勝っているだろうオークが思わずぶるりと身震いするほどの凄み。
敵対する相手からすれば後々悪夢にも見るだろう凶相も、かつて肌を重ねた事もあり、今は己の救援に駆けつけてくれた先輩冒険者であると知るチビからすれば頼もしいばかり。
なればこそ、オークよりも早く再起を果たして機を失する事のない膝窩斬りも可能となったのだろう。
「へへっ! あたしだってあんたがいねぇ間遊んでた訳じゃねーかんな!」
惜しげのない褒め言葉にドヤ顔で張った胸が、以前よりも明らかにパンプアップした爆乳をぷるんと揺らす。大雨に濡れ透けて乳首のピンクも露わなそれは、ともすればオスの集中を乱す危険物ではあるが、流石はベテラン冒険者。戦闘中におっぱいに気を取られて隙を晒すような無様は無かった。
鉄杖というよりは金砕棒めいて粗雑で暴力的、技も理も無い力任せの様でいてきっちり練功も乗せた一撃は、濡れた枯れ葉を付着させてのたうち回る二匹目の頭部を即席のクレーターに沈め、逃走の二文字を浮かべる余裕すら失った三匹目に至っては雷槌による内部破壊で即死させた。まさに鎧袖一触。
びくっ、びぐんっ。
ぬかるみに横たわった三匹の不随意な震えは死後の痙攣以外の何物でもない。どいつもこいつも首から上が蘇生術さえ通らぬ程に破壊されているのだから。
そしてその一部始終を間近で観覧したチビは
「―――――――……し」
完膚なきまでの濡れ鼠。
朱の外跳ね髪もぺっとりと小さな頭部に張り付かせたチビが、俯き気味の表情も伺い知れぬ格好でぷるぷる震え微かな声音で何か言う。
■シアン > オーク三匹。てこずる程ではないにせよ油断してよい相手でも無いのが三匹、に、加えて、見違えたと言えるぐらいに動きの良い彼女が勘違いやら混乱やらして斬り掛かってこられちゃあ面倒臭い事態になる所だった。そうならなかった安堵も、どや顔の可愛らしさで撓みそうになった頬やら跳ねる巨乳に伸びそうになった鼻の下も、制圧する迄は我慢したが制圧が終わってしまえば緩む。……緩みすぎて、強面の凶悪面が今度はオークよりも間抜け面になりそうになったので軽く左手で揉みながらに右手で鉄杖を腰の留め具に差し込んだ。
「フーーーーー……」
そこで、吸い込んだっきり漏れはしても再度吸いも吐きもしなかった呼吸を数度行う。
森に突っ込みながら大きく吸い込んだせいで口に入った水やら葉っぱやら、ぺっぺ、と吐き出す。
三匹諸共まるで起き上がる気配もなくのたうつデカい体躯ももう一瞥くれてから外すと、
緊張に引き締まっていた筋肉と意図的に緩めていた筋肉もどちらも力抜ききり肩を下ろした。
足幅も、肩より広げていたが通常の歩幅に戻して、残心を終えて、
「ぉん? どした。どっか怪我、ぁーいやその前にこいつ、ほれ、無ぇよりマシ」
彼女へと視線を戻してみれば、自分と同じぐらいのびっしょびしょのずぶ濡れ状態である。
重さもなくなった足取りで近づけば、腰に巻き付けた袖を解いてから大きな上着を、
彼女の頭から引っ被せようとしつつの小さすぎてもうとんと聞こえぬ声音に首を傾げる。
■ティカ > 戦闘直後の強張りを抜き、先の獰猛が嘘の様な軽妙をまとって近付いてくる巨躯。
対するチビは今は俯き小さく震えたまま―――かと思えば。
「シアァァァアアアンっ! てめぇ、このヤロウ! すっげぇ久しぶりじゃねぇかもうっ! どっか別の街に行っちまったかと思ってたぞコラぁああっ!」
どーんっ!
濡れ透けおっぱいを前に盛大に鼻の下を伸ばしつつあったのを見事にフォローする紳士的な上着掛け。その隙を見事についたチビの小躯全てを砲弾に見立てたタックルは見事巨体に突き刺さろう。
180半ばの高身長に見劣りせぬマッシヴな体躯からすれば、天然エアバックを筆頭にどこもかしこもむちむちしたチビの体当たりなんぞあっさり受け止める事も出来るだろうけども。
朱頭がみぞおちにクリティカルヒットなどすれば若干咽たりはするかも知れないが、気の合う相手との久方ぶりの再会、その上『やばい、死ぬかも……』というピンチを救われるという劇的な演出に情緒が暴走したちんちくりんはお構いなし。
ふくよかに実った爆乳――――そう、以前よりも明らかにサイズアップして爆乳と呼ぶにふさわしいサイズ感となった双丘を男の腹筋に惜しげなく押し付け、正面から細腕を回したハグもそのままにぴょんぴょん飛んで感情の高ぶりを表現する。
屈託のない笑みを浮かべて見上げる紅色の猫目も合わさって、にゃあにゃあと足元に纏わりつく子猫めいた微笑ましさも覚えよう。
しかし、腹直筋の連なりに押し付けられた爆乳に微笑ましさなど欠片も無い。柔らかさと弾力の見事なまでに調和した、その上雨水のぬめりや戦闘の火照りを伴う乳摺りはある意味では性的暴力。
こんなのを見かけたら、それはオークどもとてこぞって捕まえようとする訳だと妙な納得さえしてしまおう。
濡れ頭をぐりぐりすりすりマーキングめいて擦り付ける懐きっぷりは、格段に向上した戦闘技術、2サイズは上がっただろうバストサイズと共に『あれ、コイツこんなに人懐っこい感じだったっけ??』という違和感を抱かせるかも知れない。
■シアン > 見たところ外傷らしいものはない。筋でも痛めたか? 雨でどっか悪くしたか? 何て考えは、
「ごっふぁ」
跳ね上がる歓声ですっかりと掻き消された。応える声は、鳩尾に突き刺さった頭のおかげで掻き消えた。全体の衝撃は……彼女自身の想定よりもかなり大きかったが、そこは、何とか、何とか、踵が数センチ程泥を削るで済んだものの、頭が鳩尾にがっつりと入ったら流石に堪え切ったはずの間抜けた吐息もこれまた漏れ出るというもの。
お互いに濡れ鼠でそれも軽装とくれば雨水がすっかりと染み込んでしまって“隠す”なんて機能も失せた、
柔らかく大きくますます育った乳房や桃色の乳首を浮き上がって彫り込みも激しい腹筋がみっちり受け止める。
「ご、ほっ。ぉ゛ほん。んん゛……! ん……?」
軽く咽て咳払いも一つ二つ。呼気を正していたら違和感も一つ二つ。
元よりそれなり以上のサイズはあったけれどこんなに大きかったっけ? とか。
何か前々に会った時よりも随分人懐っこくなったようなー……? とか。
「お、おぉ。よしよしよし」
ずりゅむにゅぐにゅぬちゅ。それはもう、当たって仕方ない、擦れて仕方ない腹の感触に視線は落ちるが、丁度真上に向かってきた紅色と金瞳を合わせれば、燥ぎまくる可愛らしさに、手を持ち上げればくしゃりと濡れた頭に手を置いて猫というより犬を触るに近いがくしゃくしゃと撫で回した。もう片方の手はハグに答えて肩に添えて、おもいっきり握り締めていたせいで筋肉満載ボデーの中でも殊更熱くなっている掌の温度も伝えながら軽く顎をしゃくる。
「ほんと、久しぶりだなぁ。んはははは、まぁ他んとこに出張ってる事も多かったからなぁ、にしても全然会わんかったが。
元気してたかぁ? 何か前より可愛らしくなったよなぁ、ティカ。何だー。良い人でも出来たか?」
女の子の劇的な変化といえば、やはりそういうことだろうか。
という安直ではあるが浮かんだ疑問も口にしつつ、顎で少し大きめの樹木を指差し、
「あ、ほら。お前に抱きつかれるのは嬉しいがちょいとそこまで歩こう。
このまま二人して雨に打たれてるのも何だしな。あすこならちっと雨風マシだ」
■ティカ > 身動ぎ一つ感じられぬ大樹の如き安定感。
きっとそんな感覚が返ってくるのだろう思っていたからこそ、悲鳴とも呻きともつかぬ物を伴うリアクションには思わず噴き出しそうになった。
それでもしっかり小躯を受け止め、はしゃぐ愛犬を宥めるかの反応にご満悦なチビはごろごろにゃんにゃん。
元より寝癖も放置しがちな無造作ヘアで、今はシャワーでも浴びているかの濡れ頭。大きな手指にがしがし撫でられても気を悪くするどころか、振りたくられる尻尾さえ幻視出来そうな上機嫌。
「そっかぁ、別に王都以外のトコに塒を移したって訳じゃなかったんだなぁ。訓練所にもいねぇし、ギルドにもいねぇし、酒場とかでも全然見かけねぇしで、ちょっとしんぱ………にゃっ!? なななななな何が可愛らしくなっただこらっ! ちょ、ちょーしのんなっ! いいい良い人とかそんなんいね…………い、いや、い、いない訳でもないっつぅか………」
子供の様に邪気のない笑顔が『可愛らしくなった』なんて他愛のない褒め言葉にぼっと頬を赤らめて、気恥ずかしさを誤魔化すかの様に柳眉を逆立てきゃんきゃん吠える。
続く当てずっぽうな問いにもますます童顔を炎上させて、反射的に否定の言葉を紡ごうとした唇はしかし、言い淀んだ後でごにょごにょとそれを認めるような言葉も漏らし始めたのだが―――。
「あっ! 待て待て! へっへぇぇん! あたしのピンチを見事救った先輩にゃあ、特別に。ほんっっとぉぉおに特別に、あたしが見つけてすっげぇ良い場所シェアしてやんよお♪」
間近にある大樹の根へと誘う彼に、ハッとなにかを思い出した様な顔が密着させていた人肌の柔らかさを離し、代わりにちっちゃい手で彼の手を取る。
冒険者をしているとは思えない、それどころか水仕事とも無縁に思える貴族娘の手指にもにて柔らかく繊細な感触が、ぐいぐいと巨体を引っ張り森の奥へと誘おうと。
■シアン > ちょっとだけ頑張って堪えた、なんてのはおくびにも出さずに喉仏も肩も揺らして笑う。くしゃくしゃ、いやがられないからって頻り撫でたくって、ちょっと吹き出しかけた口元を目敏くも見つけては「今笑ったか? 今笑ったな? 俺だってこんなとこに頭突き食らうとな?」とか何とか咎めるような物言いしつつも目元も口元も緩んだまま撫でる掌がちょいと下って頬を突っついたり、子猫相手にじゃれ付くみたいな有り様だ。
「今んとこは出張りゃしても河岸変えるつもりは無えなぁ。
何? 心配してくれたって? 可愛いやつめ! 元から可愛かったけどなぁー。
調子こいちゃおっかなぁ~。
どんなとこが可愛かったか、どんなとこがもっと可愛くなったか言ってやろうかー!?」
尚、言ってみろ等と言ったが最後ほんとに延々とつらつらつらつらつらつら際限無く述べる事になるだろう彼女の“可愛らしさ”。要注意。
頬が、健康的だが雨に打たれ続けちゃ心配にもなる肌色もあっという間に赤色に変わっていくのにまた笑みが溢れる。
良い人、の話は当てずっぽうだが当たらずも遠からず? いや結構当たり? の、反応に、
「そりゃぁめでてぇ話だ。結婚式とか挙げたりすんのか? そん時ゃ是非呼んで、と、と、おお。
特別扱いだなんて嬉しいね。よけりゃ詳しく聞かせて貰いてぇし、じゃ、お呼ばれすっか。宜しく!」
めでてぇ話との言通りに今まで以上に頬も目元もすっかり緩んで喜色は満面だ。
我が事のように、とまでは言い過ぎだろうが、しきり首肯しながら声も機嫌良さそうに跳ねる。
体躯が離れれば、雨がまた染み込むようになって僅かに名残惜しさはあるものの、上着を改めて彼女の頭にしっかと被せてから手を握られるままに歩き出す。先程は、タックルでもがんと動かなかったが手を引かれればするりと軽々と引っ張られるまま彼女の歩幅に合わせて歩き出す。
■ティカ > 「や~め~ろぉ~~~っ!」
うりうりと朱髪を弄ばれつつのやり取りは、ペットとその飼主がじゃれ合うかの様相。
小さな拳の鉄槌がぽかぽかと胸板を叩く衝撃は、孫に肩叩きされるお爺さんの気持ちさえ彷彿とさせる―――――などと油断しているとたまに顎に良いのが入ったりもするのは、恥ずかしさが限界突破した乙女のせめてもの反撃だ。
それでも《良い人》が出来たというチビに裏表のない祝福を向けてくれる先輩冒険者には、気恥ずかしさからそっぽ向いた赤面も
「―――――ぅ、うん……呼ぶ」
なんて素直な言葉を返しもする。
もじもじとはにかむ様も、しばらく前の刺々しく痛々しいチビの姿を知っていれば感慨深いものに思えるかも知れない。そこには最早、刹那的で破滅的な復讐鬼の昏さは無かった。
「へへ、シアンの匂い……♡」
頭から被せてもらった上着の襟で口元を覆い、くんくんする様には、何かぞくりとする物も感じよう。それは以前出会った水上ヴィラで過ごした濃厚な夜、彼の胸元に埋めた小鼻をヒクつかせたチビを思い出させる所作なればこそ。
ともあれ、歩き始めて程なく男の目に入って来たのはちょっとした崖と、その根本にぽっかりと口を開けた洞窟の入口。
垂れ下がる蔦と獣の嫌う匂いを放つ茂みでカモフラージュされた入口を巨躯を屈ませ潜ったなら、こぢんまりとした自然窟の岩壁を揺らめかせる橙光と確かな温かさが大男を出迎える。
さして奥行きもない、けれども明らかに人の手の入れられた洞窟は、以前この辺りに根城を構えた山賊か、近場で猟をする狩人が休憩地として利用していた物なのだろう。
乾いた枯れ葉で作られた寝床のみならず、石積みの簡素な竈、更に奥には清涼な湧き水溜まりもあるという至れり尽くせりの秘密基地。
先程のオークとは、ここの所有権を争っていたのだ。
しかし、勢い任せに突っかかったのは良かったが、多少腕を上げたと言えども流石に3匹相手は荷が勝ちすぎていて、あわや返り討ちとなり連中の肉便器かという所で偶然通りかかった大男に助けられたというのが先のイベントの全容であった。
洞窟にはある程度薪の備蓄もされていたらしく、既に火の入っている竈が濡れ鼠の身体をじんわりと温めていく。
「へっへっへ、どーよここ! すっげぇだろ! あたしが見つけたんだぜ!」
ちっちゃな八重歯もキラリと光らせにひーっと笑うチビ。
褒めて褒めてとパタ付く犬尾がまたしても幻視出来る風情。
■シアン > 「や~め~な~……ぃっ!?」
ぐしゃぐしゃに掻き混ぜはするけれど髪を指や髪に引っ掛けて千切らない様に、気を付けて、ほっぺを摘んだり突っついたりも突き刺さないよう、加減して、手元が狂うこともないが一度狂いかけたのは、ごつっと、ゴムに包んだ鉛がごとくの感触を拳で叩かれるたび返して跳ね返して遊んでいたら顎に入って一瞬目が泳いだ瞬間である。
「お前ほんとやるようになったよ……っ」
成長の実感が文字通り、身に沁みた。
「おう。ふふ、楽しみにしてるぜ」
顎を擦りながらに頷き一つ。恋する乙女な仕草にはほんの僅かな痛みもあっという間に吹っ飛んでいく。
初めて見かけた頃から、危ういところはあった、一夏の休暇を楽しんでいる時には、良くはなってきていたがまだ少し心配なところもあった、今では本当に可愛らしい女の子だ。……誰だか知らんが今度会いに行って礼でも言うか? とは、余計なお世話もお節介も満載な考えを巡らしながら歩く最中。
「……」
口元に手を覆って湧き上がってきたものを堪える。匂い嗅いで……♡ と、背筋に来るものがあったから。
彼女はこっそりやっているつもりかもしれないが丸見えで、自分も見えないよう気を取り直すよう小さく頭を振り、
握られる手を握り返す手は少し強くなったかもしれないし左手は堪らず何処か鷲掴みする前にポケットに突っ込む。
さて、そうして、案内された場所――……
ぱっと見は自然の草葉に侵食された洞穴、にも見えるよくよく巧い隠しの手が入った入口は勿論中も見事なもの。
ここにこういうものがある、と知らなければ自分でも一瞥では解るまい隠れ家の様相に「へぇ~」と感嘆を零す。
視線を、右に左に奥行きにと、物珍しさを隠さずきょろきょろと見回してから、
誰が作った云々の前に彼女から先の話を聞いては改めて大きな掌が伸びる。
「すっげぇな? うん、お手柄だぜティカ、よく見つけたもんだ。さっきだって、ちょいと分は悪かったが動きは全然良かった。
もしかしたらあと数年もしねぇうちに俺なんか超えるんじゃねぇかぁ~? うかうかしてらんねぇな、まったく、はっはっは」
ないはずの、頭の天辺でぴんと立つ耳だとか、ないはずの、お尻らへんで左右にぶんぶん揺れる尻尾とか、見える、様な。
そんな得意気満載の彼女に、竈門の側で一緒になって腰掛けて、じんわりと温かさを味わいながら掌がわっしと頭を掴み、
くしやくしやぐしゃぐしゃ! 上着を退けて側に置いた傍から思いっきり撫でたくるわ掻き回すわで褒めたくる。
■ティカ > 「アホな事ばっかゆってるからだ!」
チビの反撃なんて如何様にも往なすことも出来るだろうベテラン冒険者。
そんな彼が顎に良いのを貰う程の油断を見せてくれていることが、何ともくすぐったく喜ばしい。
バルディの事が一番好きだけども、こいつの事もやっぱり好きだ。
流石に恋愛的な好意というよりは、気の合う友人、セフレとしての相性の良さなのだろうか。
そんな大男がきゅっと握った手指には「ん?」と小首を傾げる仕草を見せて、見上げた猫目が彼の金瞳と絡んだならば、再びにへらと緩んだ笑みを浮かべたりする道中。こんな他愛のなりやり取りも温かい。
「んっふ~~~☆ だろだろぉ? えへへへへへぇ、お前に褒められんのはお世辞って分かってても嬉しいな! まー、でも、多分あたし、冒険者は辞めるけどな」
再び朱髪の頭頂に乗せられた無骨な手指を糸の様に細めた双眸で心地よさげに受け止めて、力強い頭撫でに小さな身体は右左。
そうして久方ぶりに出会った先輩冒険者とのじゃれ合いを心ゆくまで堪能した後、チビはなんてこともなさそうな調子で引退宣言を口にする。
そして、それに対して大男が何かを言う前に―――――ずばっと捲り上げたシャツは、ぱゆんっと今やFカップにまで膨らんだ一対の丸みを弾力性たっぷりにさらけ出した。
冒険者焼けを免れた本来の白肌と、その先端を淡く染める桜色。
オーク達との戦闘の興奮が残っているのか、雨水に濡れた肌寒さゆえか、ピンクの先っぽはツンっと小生意気な上向きの尖りを震わせた。
脱いだシャツを木組みに掛ければ、今度はカチャカチャ、双剣を吊るすベルトを外してぐりぐりずるんっ!
むっちりと肉付いた尻・太腿への食い込みも著しいショートパンツを下着もろとも脱ぎ捨てて、男に晒す淡い和毛で控えめに飾られた肉厚な恥丘。
黒ずみなどの見られないむき身のゆで卵の様な大陰唇と、その中央を縦に割る幼女めいたクレヴァス。そして、その上端からぷくりと覗くピンクのクリ莢。
篭手やサイハイソックスなどは残したまま、肝心の部分をあられもなくさらけ出した小悪魔的な格好が
「お前もさっさと脱いじまえよ。流石にそのままだと風邪引くだろ」
と、平気な風を装って、けれども童顔にほんのり朱を滲ませて脱衣を促す。
■ティカ > 【後日継続予定です】
ご案内:「メグメール(喜びヶ原) 街道「まれびとの道」」からティカさんが去りました。
ご案内:「メグメール(喜びヶ原) 街道「まれびとの道」」からシアンさんが去りました。