2023/11/15 のログ
ご案内:「メグメール(喜びヶ原) 街道「まれびとの道」」にアドラーさんが現れました。
■アドラー > 深夜。すでに冬と言っても過言ではない過酷な寒さの中、街道には一台の馬車。
停止しているそれを背にし、一人の男がナイフを逆手に持ち構える。
目の前の暗黒、ひいてはそこに居るモノに警戒を払う。
「闇夜に紛れて物資調達か。魔物が考えそうなことだ。」
馬車の行く手を阻むように立ちふさがるは複数の人型の影。
身長は小さく、二足歩行で頭大きく、手には短刀や斧のようなものを持ち合わせている。
馬車に取り付けられているランタンが辛うじて映し出すは、緑色の肌と尖った耳、大きな鼻。
そしてニヤリと笑った際に見える黄ばんだ牙。
ゴブリン。一般的にはそう呼ばれているモンスターだ。
「…夜目の効く相手の方が有利か」
物資輸送の護衛。その依頼の最中、物資を狙った群れでの襲撃。よくある話だ。
暗所を好み、夜目が効くゴブリンは単体では脅威ではないが
1対多、そして深夜という状況。相手に有利な条件が揃っており、油断が出来ず、息を整える。
■ゴブリン > 「ギギ…!」
馬車を取り囲む影。確認できるだけでも5つ以上。
歯軋りと、甲高い小さな鳴き声を立てながら、馬車と立ちふさがる外套の男を睨む。
「ガァッ!」
しばらく様子を伺っていたが、その内の一匹が影から飛び出してくる。
ランタンに照らされ、姿が露になる醜悪な顔。
涎を足らしながら、手に持った斧を勢いのまま振り下ろす。
■アドラー > 「あれを使うのはまだ、か」
しばらく様子見の状態が続くが焦らずに自身の手札を考える。
切れるカードは複数あるが、小出しにしていかなければ息切れを起こす。
焦らずゆっくりと、相手の動きを見ながら行動しよう。状況的に後手に回らざる負えないのだから。
ゴブリンとは、自己中心的で執念深い生物だ。極めつけは我慢弱い。
特に今の状況。相手も自分らが有利であることを自覚している。
ならば思う。『さっさとやっちまおうぜ』と。
飛び出してきた一匹を睨みつけ、一息に持っているナイフで切り裂いていく。
武器を持っている手首、頸部を切断。胸と腹に刺突。
勢いが乗ったゴブリンは息の根を止め、そのままの勢いで地面に衝突する。
「…1。」
■ゴブリンたち > 「ギッ!?」
同胞が切断され、血を吹き出し殺される。
ゆらゆらと漂っていた影が慌ただしくざわめき出す。
一息に殺された同胞と未だに立ちふさがる男に、襲おうとしている相手の脅威度を再確認し始める。
「ガ、ギャ!」
短刀を持ったゴブリンたちがお互いに声をかける。
今度は複数体で。影が左右に分かれ、真正面からも一つ。
合図と共に男へと三方向から攻撃を仕掛ける。
■アドラー > ナイフに付いた血を振り払う。
外套にも返り血は付くが気にせずに構えを戻す。
「見せしめのつもりで派手に殺したが、効果はなかったか」
切断された仲間を見て、勝てないと悟り逃げてもらえればよかったが、そうはうまく行かない。
聞こえる鳴き声、動きが変わる影。撤退の動きではなく攻撃であると悟れば目を細める。
物資運搬の馬車は複数台あったが、最後尾がこれだ。
野党や多少の知性があるモンスターが狙うとしたらこの馬車が妥当だ。
ゴブリンたちからしたら、この機を逃せば飢え死ぬ個体もいるのだろう。
それのカウンターとして依頼主も護衛である自分を付けたのだが…
「貧乏くじを引くものだな。私も。相変わらず運がない」
前と左右より飛び出してきたゴブリンたち、向かって右から飛び出してきた個体に手を振るう。
袖よりワイヤーが伸び、対象の腕を絡め取れば、正面の個体へと衝突させるようくいっと引っ張る。
ぶつかった衝撃で2匹のゴブリンがまとめて吹き飛ばされ、ひるむ。
そして、左の個体は…
「2。」
左手のナイフに魔力を込める。持っていた短刀の刃にナイフの刃を合わせれば、相手のものがチーズのように溶け
そのまま脳天から股にかけて、小鬼を一刀両断する。
■ゴブリンたち > 「ギ、ガァアア!」
同胞と衝突し、金切り声を挙げる。
すぐさま体勢を立て直そうとするが、その隙に仲間の一匹が殺される。
絡まっているワイヤーを解こうとするも肉まで食い込み、嚙みちぎるにしても頑強で切れず。
下敷きになっている個体が早くどけといった風に押しのけると、二匹で口論のような争いが始まる。
「ググ…」
暗黒にうごめく影は減ったがまだ消え去ったわけではない。
その一つが大回りして、馬車へと近づいていく。
馬車へと取りつき、後部から中へ乗り込んでいく。
■アドラー > やはりゴブリン。短絡的で自己中心的な彼らはこの状況でも仲間内で争うようだ。
恐らくはお前のせいだ、お前のせいだと言っているに違いない。
自分にとっては、好都合だ。
「3、4。」
口論している個体に向け、それぞれにナイフを投げる。
ナイフは首に突き刺さり、気道を血で埋める。
ごぼごぼと溺れるような声を上げる二匹に近づき、追い打ちをかけるようにナイフを引き抜き、脳天に突き刺す。
「前方の荷車が異常を察知して、増援を寄越しているとよいが…
淡い期待か。」
ゴブリンらの血を拭いながらそのような事をつぶやくと、馬車がやや揺れ、木が軋む音が聞こえる。
馬車の中の御者が動いた?
…いや、違う。
そちらに振り返って、馬車の中へ。
数秒、場所中からゴブリンの鳴き声と何かぶつかる音、御者の情けない叫び声がした後に…
「5。」
そういって、馬車から返り血を浴びた男が出てくる。
手に持っているものを影の方へと投げる
それはゴブリンの首。
目が見開いたまま、首をだらんと出して物体となった仲間の顔が目の前に転がってきて
影はより一層、慌ただしくざわめく。
■ゴブリンたち > 「ギィィッ!」
同胞が一息に何匹も殺され、残った影が踵を返し走っていく。
相手の強さを見誤った。物資を目の前にして油断をした。
今日の馬車を盗れなければ明日生きれるかわからない。
だが今。今を生き残らなければ…!
幸い、相手は馬車から離れるような気配はない。
このまま暗闇に乗じて走れば逃げ切れる。
■アドラー > 「…とでも、相手は思ってるか」
ナイフの刃渡りを摘み、投擲できるよう体勢を整える。
距離が離れて行く複数の影に向かって人さし指、中指を揃えて向ける。
「『ライトボール』」
指先から小さな光球が出現し、暗闇に向けて一定の距離飛んでいき、次の瞬間。
ピカッと光は大きく輝き、一時的に周囲を明るく照らす。
逃げ惑う影の正体と位置を暴き、それに向かって狙いを定める
「6。7。」
ナイフに魔力を込め、投擲する。
刃が青く輝き、残光を伴いながら飛行。
やがてゴブリンの背中に突き刺されば、そのまま貫通して、心臓を抉り取る。
2匹のゴブリンを投擲によって仕留め、まだ明るくなっている間に周囲を見渡す。
「…終わったか」
全滅したか、あるいは残っている個体は逃げおおせたのか不明だが
馬車を取り囲むゴブリンはおらず、役目を果たした光球の輝きはフッと消え去り、闇夜へと還る。
なんとか馬車を守りきれたようだ。
■アドラー > 「ふぅ…」
周囲から気配、殺意が消え去ったことを感じれば、息を吐いて肩の力を抜く。
外套の返り血を露払いし、ナイフの血を払って懐にしまう。
ワイヤーのチェック。そして少し馬車から離れて投擲したナイフを回収する。
「前方の車両から大分離されてしまったな。馬車内の死体と血を片付けたら早く再出発しよう」
血の匂いを嗅ぎつけ、別のモンスターが現れる可能性もある。
馬車の損傷を確認しながら、中の御者へと声をかける。
怯えていた御者も安全確保ができたとしれば、再出発の準備をする。
ゴブリンの死体を馬車の外へと出すと、一息ついて。
■ゴブリン > 「ギャア!!」
突如、馬車の下から飛び出して男めがけて持っていた斧を振り上げる。
狙いは頭部。確実に仕留めようと自身の目いっぱいの筋力と体重をかけ、得物を振り下げる。
■アドラー > 「!まだいっ…」
背後から聞こえた声、それに反応…いや、反射ともいえるほどの速度で振り返り手を構える。
研がれていないギザギザの刃が左手の前腕に食い込み、骨まで達する。
骨が砕かれる音、振動、目の前で吹き出る血に目を見開くが…
「く、ぁああ!!」
痛みで動けなくなる前に空いている右手でナイフを取り出し、ゴブリンの顔、胸に刺突を繰り出す。
防がれると思っていなかったゴブリンは声を上げる間もなく絶命し、血だまりを作り地面に亡骸を晒す。
「はぁっ…ぐっ…!」
ゴブリンを殺害すれば、冷や汗をついて膝をつく。
すぐさま、腕に食い込んだ斧を引き抜き、外套の中に右手を入れる。
ナイフをしまいこみ、取り出したのは小瓶に入った水とガーゼ、包帯、布。
布を口に含み、噛みつく。
器用に傷口を水で洗いながし、応急処置を施す。
「はぁっ…全く…っ、気配や音を遮断する首飾り、か。想定外だった」
布と小瓶を地面に置き、冷や汗をかきながら、ゴブリンの亡骸に目を向ける。
その首には赤い宝石の首飾り。気配や殺気を感じなかったのはこれが原因のようだ
不覚を取ったと後悔しながら、傷の痛みに耐え、立ち上がる。
■アドラー > 『大丈夫か!あんちゃん!』と御者から声がかかる。
小さく平気とジェスチャーをしながら、出発の準備を進めるよう声をかける
「怪我の功名、というのはやせ我慢のしすぎか。
でもこれは貰っておくぞ」
右手で首飾りを引っ張り、プチっと首につないである糸を引きちぎる
胸にしまい込み、息を吐いて汗を拭う。
「しまったな…しばらく、仕事は休みか」
左手の傷を一瞥する。
ずきんずきんと動かすたびに痛みが走る。音と感覚から骨は粉々だろう。
相手の得物から考えて、感染症に罹る可能性もある。
早めに処置をしなければ、と目を細める。
■アドラー > しばらく馬車の外で護衛をしていれば、御者から準備完了の声がかかる。
左腕の痛みに耐えながら、力を振り絞り、馬車へと乗り込んでいく。
その後は野党や獣、モンスターに襲われることなく目的地に到達。
御者の計らいで傷口の消毒、固定までは出来たが、それ以上は自力でとのことだった。
「…はぁ」
やはり、運がない。
ご案内:「メグメール(喜びヶ原) 街道「まれびとの道」」からアドラーさんが去りました。