2023/08/14 のログ
ご案内:「メグメール(喜びヶ原) 乗合馬車」にオウルさんが現れました。
オウル > ――…揺れる揺れる乗合馬車、揺れる揺れる物凄い揺れる。

メグメール街道を王都マグメールに向かう乗合馬車。
少年は時間的に冒険者等で混んでいる乗合馬車で辛うじて座席を確保できたのか座りながら半分居眠りをしている。

時折馬車がぐらりと揺れて隣の誰かに寄りかかったり、口端から涎を垂らしてガクンッと前に倒れそうになったり、と王都まで今だ遠い馬車の中でやる事無くて意識を半分夢の世界と半分現と交互に行ったり来たりさせているのだが、どうしても油断をすると隣に座る人物の肩に寄りかかってしまう。

誰も彼もが疲れた顔で、その中の一握りが王都での生活に瞳を輝かせて――…眠い。

こんな時こそ眼帯を両眼につけたくなる。
目を閉じていてもどうしても外から射し込む陽光が眩しい。
これなら立った方がいいのかも?と思わなくも無い。

……立とうか、視線の先には疲れた冒険帰りの冒険者、寝ぼけ眼で「くぅー…。」と欠伸を大きく噛み締めながら、席を立つ、席を立って冒険者にその席を譲ると、仕方無しに手すりっぽいのに掴まりながら、する事もなく混雑する辺りを見渡して、そう、可愛い子とか美人さんでも居ないかなと暇を潰し始めるのだった。

オウル > 乗合馬車といえば痴漢が流行ってると耳にした。
寧ろ『冒険者』ギルドの方では発見次第成敗せよと、『所属』ギルドでは遊び程度に試してみるといいと薦められた。
――どっちにせよ、今日の乗合馬車の中には良さそうな女が居そうもない。

それなら今は善良な冒険者で善良な学院生とを演じるべく、素直にたったまま王都への道をガタゴトガタゴトとゆらり揺れて過ごすのであった。

ご案内:「メグメール(喜びヶ原) 乗合馬車」からオウルさんが去りました。
ご案内:「メグメール(喜びヶ原) 街道「まれびとの道」」にリセさんが現れました。
リセ > 「これはもう……死ね、ということですか……」

 夕暮れの街道上で独り。
 ぽつりと立ち尽くしながら呟く女学生。夕風に毛先が揺れて夕陽を照り返して銀の髪は茜色に染まっていた。
 ――事の発端は一刻程前。
 クラスで教師に引率され校外学習に出ていた貴族学級。その中でも常日頃一人ぼっちで見事にハブられているその女子生徒は意地の悪い同級生たちの嫌がらせに遭い、団体行動から意図的に外されてしまった。
 グループを組むことになるといつも一人だけ余ってしまう女子生徒を安易な思考の担任は、よりによってスクールカースト上位のグループに『入れてやれ』と割り込ませてしまい。
 そんなことをするとグループ行動の際に当然のようにハブられるし、最悪の事態は態と一人で逸れるように仕組まれて……街道に一人置き去りにされてしまうという。
 そんな最低な今ココで途方に暮れて佇む独りぼっちの17歳(戦闘力皆無・所持金10000ゴルド・通信手段無)。

 非力極まりない女子学生がたった一人で無事に本陣と合流できるかどうかはかなり怪しい。
 当人も無理筋な予感しかしなくて、冒頭の独白を零す絶望的胸中となる。

「………多少の意地悪は……もう慣れましたけど……これはないですよね……もう日も暮れてくるのに……夜になると一層危ない街道で生還できる自信は薄氷のごとき果敢なさです……」

 心も今にもぽきりと折れてしまいそうだ。西の空に沈んで行こうとする日輪を仰いでじわりと双眸が潤んでくる。
 日暮れが迫って街道をゆく馬車も人もぐっと少なくなり、助けを求めるのも難しくなっていて。

「明日の朝には冷たくなっているか、賊の方々のお眼鏡に適えば生き恥を晒すことになりそうです……」

 己の未来に今暗雲しか立ち込めていなかった。没落とは云え貴族の娘。冒険者のような活力も実力もない。
 夕陽を映す双眸は悲観の一色に塗り込められその周囲には鬱蒼と黒く霞みがかったように重苦しい空気が漂っていた。

リセ > 「あ………」

 ほろ……と潤んだ双眸から雫が溢れて頬を伝った。
 夕陽が沁みたかのように目を眇めて指先で泪に触れ。

「泣いても何にも、解決、しないんですけどね……
 でも、泣けてくるものは仕方ありません……むしろ明日のお天道様も拝めるかどうか分からない状況で平常心な方が人として難しいです……」

 泣いたところでいいことなどないことは重々理解した上で、それでも溢れる泪はもう止め処なくて。

「泣きながらでも……行けるところまで、行きましょう……」

 行き倒れ覚悟で、ぼろぼろと滂沱しながら街道をとぼとぼと歩き出す小股。
 その足取りは絶望的な遅速だし、そもそもコンパスも短い。その上いくらも歩かない内に音を上げてしまうひ弱さ。
 けれど立ち止まっているばかりでは始まらないと泣きながら一人で街道を歩く、迷子の幼子のように場違いな女学生がひとり。
 紅い斜陽に照らされて長い影を落として王都の方向へ真っ直ぐに歩を進め。

「明日まで生きられないかも知れないとしたら、これが最後の夕陽ですね……染み入るほど、切なく見えます……」

 まるで死地にでも向かう様相でいつもと変わらないが、特別に見える鮮やかな夕焼け小焼けに泪した。
 ぽた、ぽた、と足元に落ちてはすぐに街道に沁みこんで乾いていく泪の跡。

ご案内:「メグメール(喜びヶ原) 街道「まれびとの道」」にコルボさんが現れました。
コルボ > 「……。」

 その様子を、少し離れたところから見つめている人影がぽつりと。
 少し様子を見てから、見覚えがある顔、学院の生徒だったので声をかけようと思ったが、
 なんというか、独り言が多い。長い。

(……悟られて、ないよな)

 元より自然地帯の情報収集。ギルドへの提出依頼をこなしての帰り、
 馬に乗っての帰り道だったが、ここまで独り言が多いと、
 自分が気づいてなかっただけで腕利きの諜報員の可能性、誘いをかけられてることさえ考慮してしまう。

(……あー、でもなあ……)

 先日とある女生徒と話していて凌辱行為は知らず減らしていたこと、
 意識して引き締めていた情の排斥を怠っていたことを思い返しながらも、
 目の前の女生徒が少なくとも明らかに困っている様子を見れば、
 大きく呼吸を吐き出し歩みを進めて。

「おい。リセアリア・セルステッド。」

 背後から声をかける。
 こちらに気づき視線を向ければ動揺はするだろうが、軽く手を振って汗や蟲対策の香料で染めたバンダナを外し、
 手櫛で髪の毛を荒く整えて。

「警戒するな。俺も学院の講師だ。覚えてないか? 薬草学の講師してるクロウ=ヴァローナ……。
 最近は学院でも通り名のコルボで喋ってるがな。」

 相手の記憶力に任せてアプローチを試みて、後は、内部の人間でしか知らないはずの

「こんなところで一人でどうした? 今日は貴族学級の課外授業なのは知ってるが」

 学院の管理された日程を口にして、しかし距離はきちんと置いて、
 警戒が解けるまで声をかけて。