2024/02/04 のログ
ご案内:「ル・リエーの水遊場」にタマモさんが現れました。
タマモ > 寒い時期だからこそ、暖かな空間で泳ぎ回りたい。
それを叶えてくれる場所、ル・リエーの水遊場。
少女は今、その水遊場の傍らに佇んでいた。

目的はもちろん、気が済むまで泳ぎ回る事だったが。
すでに、泳ぎ終えて満足した後の、休憩中である。

「あー…この終えた後、どうするかが、悩むところじゃのぅ」

その手には、売店で購入したジュース。
ずずず、と啜りながら、適当に周囲を見渡す。

己の佇む場所は、一般向けの下層と、王族貴族向けの上層の合間。
後はシャワー室とか、個人向けプールとか、そうした場所への分岐点みたいな場所だ。
気紛れに、どこかに向かう事も出来れば。
楽しめそうな相手とか見付けたら、引っ張り込めそうな感じである。
…いや、まぁ、大体は前者になりそうな流れ、と言うのが常ではあるが。

ご案内:「ル・リエーの水遊場」にリクトさんが現れました。
リクト > 『旦那と一緒にいく予定だったけど、あの人ギックリ腰になっちゃってねぇ…
 もうすぐ期限切れだし、折角だからアンタが使っておくれよ』

と、かかあ天下な平民向けな食堂の女将さんに渡されたのは水遊場のペアチケット。
これがただの入場券であれば気にしなかったが、さりげなく添えられている"シャワー室付き休憩所"のそれには色々と察してしまう。

――まあ、おしどり夫婦だしなあ。あそこは。

そこそこ良い年齢ではあるのに未だに夫婦共に現役なんだろうか、と下世話な事に脳裏を過らせるも、己の方と言えばそんな相手も居なければ、誘いたい相手もいない甲斐性無しである。
誰かに売りつけるというのもなんとも心苦しいし、かといって捨てるのも勿体ない。

結果として、ペアチケットなのに一人で入場することとなり、係員たちのなんとも言えない生暖かい視線に耐えながら泳ぎまくってたのは少し前のこと。

もう割り切って堪能してやろうと、心地よい運動後の疲労感に包まれている身体は休憩所の方へと向かう。

「――む。」

そんな先で見かけたのは辺りを伺っているように見える少女の姿。
誰かと待ち合わせなんだろうか、と思いつつ、手に持った割り当てられた休憩所の部屋番号が記載されたキーへと視線を向ける。

――少なくとも己よりかは"有効活用"してくれそうだ。

そう思考が頭に過るものの、見ず知らずの男にこんなものを渡されて警戒しないはずもない。
それはそれで不味いよなあ、と考えながら歩む足取りが止まらねば、自然と互いの距離は狭まっていく。

タマモ > もう一泳ぎするか、もう少し小腹を満たすか、それとも…
残ったジュースを啜りながら、そんな考えを頭に巡らせる。
そうしていても、考えている間に、何かあって、それを見逃すのはもったいない。
とか、思ったりもしているので、視線だけは…と、そうしていれば。

「………うん?」

ふと、妙な動きが視界に入り、傾けていたコップがぴたりと止まった。
ここを通る、大体のものが、何かしら目的を持って歩いている。
いくつか道が分かれているのだから、少女の居る付近、そこを通るとは当然だ。
だが、明らかに、どこかしら続く通路…ではなく、己に向かって歩いている、人影が一つ。

見覚えは…ない。
最近は、イノと名乗り、学院にも通っているから、誰かとの出会いは増えたのだが。
一度見た顔だけは忘れない、そんな少女であるからこそ、そこは確信を抱く。

となれば、何かやらかしたか?ここで?
いやいや、あちらこちら、飛び込みまくっていたが、その場で注意されている。
時間差で、何かしら言われるような、そんな事は…してない、はずだ。
とかなんとか、少女は少女で、そんな考えを巡らせているのだった。

リクト > やけくそ気味にずっと泳ぎ続けていた時に遠くの方で誰かを注意しているような声は聞こえてた。
尤もその姿を見た訳でもないし、ましてやその"犯人"が目の前の少女であるとは当然のことながら思ってはいない。

少なくとも今は――どこにでも居るであろう少女。
そんな印象ではあるが、どうやら己の方にも気付いたみたいである。
気付かれなければこのまま通り過ぎれば良いのだが……ここで変に動けば余計に不審な男とみられるかもしれない。

それはそれで面倒だ。と肩を竦めれば、腹をくくった。

「…――やあ、どうも。誰かと待ち合わせ中だったら悪いね。」

目付きの悪さは自覚している。
故に、なるべく声音は柔らかくなるようにだけ心がける。
というか、これじゃただのナンパじゃねぇか――と内なる己が頭を抱える。

「もし良かったら、その誰かさんとこれ使ってくれない?」

少女の目の前に、件の部屋番号が記載されたキーを差し出す。

「俺一人で使うつもりだったんだけど、お嬢さんが使ってくれる方が良さそうだし。」

結局、最初に思い浮かんだことだけを告げることにして。

タマモ > 確実に、こちらに向かっている。
さぁ、ならば覚悟を決めろ、何が来ても、流してみせよう。
後はあれだ、普段の己として対応するのか、学生のイノとして対応するのか、それもある。
そんな、無駄な決意を胸へと抱き、相手を迎え…と、そんな状況だったのだが。

そんな相手から、掛かった言葉は、己が誰かと待ち合わせをしていたのか、と予想した言葉。
つまりは、何かやらかしたから、ではなかったのだ。
そんな考えを巡らせていたのだ、相手が悩んでいるような、ナンパ目的…からは、地味に考えが離れていた。
それを知った安心感からか、ぽん、と納得した様子で手を打ったのだが。
今の行動は何だったのか、なんて考えを、相手に持たせてしまうかもしれない。

そして、己の前で足を止めた相手…覚えのない男からの、言葉の続き。
勘違いをしたままで、その待ち合わせてもいない、誰かとで使えと差し出される、どこかの鍵。
受け取るのは良いが、どこの鍵だか分からない。
かくん?と首を傾げて、それを受け取りはするのだが。

「あー…誰かと使う、は良いんじゃがのぅ?
妾には、この鍵を、どこで使うか分からんのじゃが…」

誰かと、と言う事は、どこかの部屋かなにかなのだろうが。
個人用のスペースのものか、休憩場のものなのか、他にも、鍵を使う場所はちらほらある。
手にした鍵を、ぷらぷら揺らしながら。
場所の案内やらなにやら、求めるような、そんな様子で男を見詰めるのだった。

リクト > ――何だかものすごく身構えられている気がする。

そんな印象を受けたのは少女が己へと向けた視線からそう読み取れたからか。
まあいきなり男が近づいてくればそりゃそうだろう、と思ってはみたものの――思ったよりも少女の反応は普通であった。
見知らぬ男に恐れる様子も気後れする様子もなく、寧ろ暢気さすら感じさせるように、得心したかのように手を打つ様子に少しばかり笑ってしまったのは、己もまた安心感を覚えたからだろう。

少なくとも変に怖がられてしまうよりかはいい、そんな思考を巡らせながら、鍵を受け取ってくれた少女からの問い掛けには、

「……えー、っと。」

ちらり、と視線を向けて伺うように見やる。
見た目は人だが種族は違うなどはよく在ることなのだが、今この目の前の少女が、"少女"なのかは分からない。
見た目だけなら学生っぽそうではあるが、違うかもしれない。
己の家訓――主に母親の笑顔に圧された子どもの記憶に刷り込まれたそれのせいで年齢を聞くのも憚れる。

そんな思考は数瞬ではあるが、見上げるような少女の視線に――なんとも言えぬ感覚。
黒のビキニに包まれたそれらも己の視界に存分に収まっており、何より可愛らしく顔立ちをした少女から内実は違うが求められるようなそれに釣られるように一瞬口が開く。けれども一度閉じる様は、一度は立ち止まるかのようで、

「…友達と来てるのなら、ちょっとした個室の休憩室と使えるよ。
 彼氏と来てるのなら――まあ、"そういうこと"に使っても咎められることはないな。」

結果として刹那走った欲望を抑えこみながらそう告げる。

タマモ > お互いに、お互いの思惑に気付かず、身構える。
どうやら、そんな状態だったらしい。
とは言うものの、その違いに気付いてしまえば、どうと言う事もない。
双方同時に、その緊張感が、一気に解ける、そんな感じだった。

と、そうなれば、次は男の方の目的だ。
その鍵を渡した後に、どうそれを伝えるのか。
なんだか、男は男で、あれやこれや色々と考えてるらしく。
次の言葉までに、少しの間。
まぁ、実際のところ、聞かれたところで、するりと避けるのが、この少女なのだが。
それが分かってなければ、どうしようもない。

言葉から、休憩室の鍵らしい。
その利用目的は、色々と出来るらしいのだが…
なんとも、その辺りの説明のし難いらしい、そんな様子を見詰めていれば。
何となくは分かったものの、ふむ、と何やら考え込む仕草。

「そうかそうか、これは、その鍵なんじゃな?
して、どんな事が出来るのか、それは分かったが…
そうした場所は、使った事がなくてのぅ?
どんな感じなのかも、想像出来ん。
行ってみてから考えねばならんし、下手に迷うのもあれじゃ、案内出来るか?」

指先で、鍵を弄びながら、身の丈の差からか、見上げているのはそのままで。
言ってしまえば、どこの鍵かは分かった。
だが、場所が分からないし、中がどんな風かも分からない。
それを確かめる意味も込めて、案内しろ、と…そんな感じに伝えてみた。

言葉だけを聞けば、ただ案内を求めている、とは受け取れるが。

リクト > 色々考えすぎたかなあ――などと思ってしまうのは、会話をしてみれば思ったよりも少女の気安い様子であるが故か。
それとも当初は頭を過ってなかったはずの下心が出てしまったせいか。

まったく――と、胸中で独りごちながらも、思わぬ申し出に目をぱちくりとしてしまう。

「あ、まあ…そりゃそうか。
 どうやら誰かと待ち合わせをしている様子じゃなさそうだしな。」

どうやら少女の佇まい――誰かを待っているかのように視線を辺りに向けていた様子からそう思っていたがどうやら違ってたようだ。
少女の無警戒さか、或いは何があろうとも何とでもなるという自信のようにも取れるが、述べている内容自体はその通りではあるし、結果として使わずにそのまま鍵を突き返されることだってあり得る。

「それに俺もその部屋には行った事はないんだ。
 そんな部屋の鍵を渡して嫌な思いでもしたら後味は悪いしな。」

己の自己満足で押しつけようとしてたことに少し居心地の悪さを覚えながら、少女の言葉に了承の意として頷いた。

「んじゃまあ、早速行くかね。
 ここで突っ立ってても誰かの邪魔になりかねないし。」

エスコートをするかのように、掌を其方に向けて差し出した。

タマモ > 見た目に雰囲気は騙されるし、言葉を交わさねば、その者の質は感じられない。
これもまた、お互い、そんなものだろう。
己とて、多少なりとも、警戒してしまったのだし。

「………いやいや、分からんぞ?
もしかしたら、誰かを待っていたのかもしれん」

その通りだ、と素直に言わないのが、少女の性格。
どっち付かずな答えなのは、のらりくらりと惑わせるようにか。
その言葉を実に受ければ、戸惑うのだろうが、その様子も楽しむのだから、性質が悪いかもしれない。

「む…それはいかんのぅ。
そんな事が無いように、次からは注意せねばな?」

と、そうした事も、特に気にした様子を見せず。
やったらやったで次がある、みたいな、軽い調子で男の了承に、答えるように頷き返す。

「おっと、そうやもしれん。
それでは、案内を任せたぞ?」

その言葉に、もう一度頷きそう返せば。
差し出される手を取るようにするも、するりと横に移動をし、腕を絡めて先を求めた。
その腕に、触れる素肌の柔らかさが伝う。

ご案内:「ル・リエーの水遊場」からタマモさんが去りました。
リクト > 「それは待ち人がいないってことにしか聞こえんがね。」

少女の物言いに少し呆れ交じりな表情をしつつも、緩く肩を竦めてみせる。
まあいずれにせよ、誰かが待ちぼうけにならないようなら良いかと思ってはいたが――手指ではなく、腕を絡められればその大胆さに僅かに目を瞬かせてしまう。

けれども緩く笑えば、少女を連れ立って奥へと消えていく。

ご案内:「ル・リエーの水遊場」からリクトさんが去りました。