2025/04/28 のログ
れあ > 頭に入れたつもりの街の地図を頼りに歩く。
この先には繁華街的なものがあるはずだ。

母国を脱出して、この都市に辿り着き、そこで根無し草が生きる術である冒険者となったものの、最初の仕事を大いに外してしまい、財産と呼べるものは発行された冒険者登録証と、それに付随した登録料借用書(つまり借金)のみ。
路銀ゼロ。

外気はそこそこの冷たさで、虫もなく、野宿もできなくはないものの、正直このあたりの薄暗い影にこもって寝たいかと問われれば、それはNO。はっきり言って嫌だった。

ここでまた思考があの3人の男達へと戻る。

「あの3人お金もってたかも……」

KOした後で懐を探るべきだった、私もちょっと焦ってたな、と自己分析。
異国の地でいきなり男3人に追いかけられたら、まあこうなるのも仕方ないよね、と自分を納得させた。

しばらく歩くと人通りが増え始め、暗黒街の繁華街に到着した。

「表(平民地区)にもあった、冒険者ギルドみたいな仕事斡旋所、ないかなー…」

そんな期待を込めて、雑踏に足を踏み入れる。

れあ > 繁華街は、荒れた感じの酒場とか安宿などから、
賭博場、女郎屋、盗品市とか、人身売買会場までがある多様な造り。
中には人だかりで作られた輪の中で、男たちが殴り合う賭け試合なんてものも行われている無法地帯。

母国ではあんな感じで、犬とか鶏とか戦わせてた集落があったなーなんて思ってたら「おい!」と急に肩を掴まれる。
見ればさっきの男達。

「げ」

「さっきはよくも──」とかなんとか口を開いた男の喉に肘うち(良い子は真似しちゃいけません)
喉を押さえて倒れこむ男、「てめぇ!」と声を荒げ、残りの二人は30センチ程の棍棒を取り出して、じりじりと私を囲い込む。

周囲には人だかりができて、なんか好き勝手な事いって勝手に盛り上がっている。

「今のも、さっきのも、そっちがちょっかいかけてきたんでしょう?」

私は悪くないですぅーと状況説明するけど、残念なことに彼らに言葉は通じず、結構な迫力で棍棒をスイングしてくる。
殺意は感じないけど、当たったら「痛い」じゃ済まされない勢い。

「ちょっと待ってよ!そもそも私はアンタ達にないもしてないじゃん!」

「うるせーな!お前を連れてこいって人がいんだよ!」

この街に来てから日の浅い私には、そんなヤツ一人しか思い当たらない……でもまあ、知りたいことは分かった。

棍棒を振り降ろすその手首に蹴りを合わせ、握力を失った男が落とした棍棒をキャッチして、それで頭をぶん殴る。
残った最後の一人には、小刀で切り結ぶ要領で、交差しつつ胴を打ち据えて、難なく勝利した。

倒れた男三人の懐を丹念に弄り……。
私を捕まえてこいって仕事にチンピラを集めて…その時に小金を…ほらあった!

「バカ貴族の前金。確かに受領いたしました。はい、そこ通してねー」

路銀を手に入れてから、野次馬の人垣を押しのけて、さっき見かけた安酒場へ入った。
カウンターの席は後ろが無防備すぎるので、壁を背にできるテーブル席を確保する。
これからするのは、船から降りてする丸二日ぶりくらいの食事!

「何かお腹に入れるもの、くださいな」

オーダーの仕方はこれであっているのだろうか?

れあ > 酒場には、男臭いというか、なんていうか普通に汚物系の香りが漂っている。
多分店内で吐いたり、おしっこしたり…しているのでしょう。オェ。

こんな所で食事をしなくちゃいけないのは不本意だけど、背に腹は変えられないとはまさにこのこと。

幾つかのテーブルから、無遠慮な視線。
あー、あの人なんかもう出したくなったら即その場で垂れ流ししそう。
母国でもあった、変な武芸者の集団が好きに飲み食いしてる酒場。あの雰囲気に近い。

とりあえずこちらはダンマリの無視を決め込む。
別に争いになってもいいけど、先に食事だけはさせてくれないかな─―。

一触即発ムード漂う中、無事に運ばれてきた料理は、ものすっごく澱み濁った感じのお酒(?)と、土気色の干し肉と、かっったいパン。

「……」

顎のトレーニングかってくらいのカッチカチのパンを、奥歯で噛みちぎる様に食む。
うん、まずい。
干し肉は……しょっぱい上に、なんかえぐみがある。
お酒は多分麦酒で…嗅いだことがない匂いがする。飲み込むと、明らかに水以下の何かで、なぜか粘性があるような、生ぬるくてねっとりした最悪の喉越しがした。

いや、これお金払いたくないわ~…、そんな食事を終えて、席を立った。

ご案内:「王都マグメール 貧民地区2」かられあさんが去りました。