2024/05/13 のログ
ご案内:「王都マグメール 貧民地区2」にメルさんが現れました。
メル > 夕暮れも過ぎた貧民地区の一画
朽ちかけた家々が軒を連ねる、その屋根は急に降ってきた土砂降りの雨にどうにか耐えている状態
ぽたぽたと雫が落ちてくるから、雨宿りに適しているかと言えば、決してそんなことはないのだけれど。
それでも何もないよりはマシという状況

「こんなに降ってくるとは思わなかったよぅ~……」

濡れた帽子の代わりに、タオルを頭に乗せている。
本来ならツンと突き出る猫耳も、今は力なく垂れてしまっている。
本当ならば、濡れた服も乾かしたのだけれど、軒下ではそうもいかず。
降りしきる雨模様を確認するように、真っ暗な空を見上げてみて。

ご案内:「王都マグメール 貧民地区2」にタマモさんが現れました。
タマモ > 天候は、どれも良し悪しと言うものが存在する。
晴れが良いとは思われるが、余りに良過ぎるのも、暑っ苦しくて仕方ない。
雨が良いとは思われていないが、いっそ濡れてしまえば、涼しくて良いものだ。
…まぁ、ほどほどの曇り、と言うのが一番かもしれないが。
それはそれ、天候は、己の性格と同じ、気紛れだ。

と、そんな事は、どうでも良いとして。
とりあえず、今現在は、雨模様。
有言実行だ、己は、唐傘も差さず、堂々と雨の通りを歩いていた。
そう、雨を避ける為に、軒下に逃れている少女とは真逆に。

ずぶ濡れになっている?それを気にしていては、こんな天気に出歩けない。
そうして歩む最中に、そんな軒下に逃れている少女を目にすれば。
ぴたり、その足を、少女の前で止めてしまう。

「おや、こんな時間に、こんな場所で、大変な事じゃのぅ。
人は時に、諦めが肝心と思うが、どうじゃろうか?
…まぁ、お互いに、人ではなさそうじゃがな」

ふっ、と、どこか遠い目をしながら、少女に視線を向け。
そんな清々しくも、真似はしたくなさそうな恰好で、そんな事をのたまうのだった。

メル > 土砂降りの雨の中に人影を見ただけなら、まだそこまでは驚かない。
思わず目を擦って、もう一度まじまじと見てしまったのは、
そんな雨の中で傘もささずに、堂々と歩いていたからで。

「―――大変なのは、そっちじゃないのかなぁって。」

このところ、同族(?)によく会う。
ずぶ濡れを通り越して、本来はふわもふだろう尻尾も見る影もない。
ただ言っていることには一理くらいはありそうなものの、どうだろうとか訊かれても困るばかり。
首を軽く横に倒して、そう答えるに留め。

「ほら、諦めちゃダメな時もあるんだよ。
 濡れちゃダメなものを持ってたりとかね。」

とりあえず、何だか一緒に雨の中にLet's go!的な勢いだったから、軽くお断りを。

タマモ > うん、分かってる。
少女が己の方に、注視してしまう理由も、原因も。
だがしかし、だからと言って、今更な話であるのも、また事実だ。

少女の言葉に、少女を見詰めていた視線を、空に向け、自分に向け、また少女に戻す。

「いやいや、どうせ濡れるならば、いっその事…とは思わんか?
こうなってしまえば、もう気にする問題なんぞ、何もないからのぅ」

相手の少女は、ミレー族だろう、それは知っている。
そして、少女が己の事を、同族か何かと思っているだろう、それも分かっている。
そうした経験は、何度もあるのだから、もう今更の事だと思いながら。
首を傾け、続く返って来る言葉に、ちっ、となぜか舌打ちをしてみせた。
それは、少女の考えていた通り、いっそ濡れてしまえと引っ張り寄せようとした。
それが見抜かれたのだと、分かってしまったのだと、そう言う事だ。

「いやはや、残念。
同志は多いに限る、と思ったんじゃがな。
…まぁ、こうなろうと、どうとでもなる、ってのもあってこそじゃ。
さすがに、それをお主にまで、求めたりはせん」

悔しがりながらも、それも道理なのだからと、そこはあっさりと諦めたらしい。
ひらひらと手を振りながら、とりあえず、こうしておこう。
己もまた、少女の居る軒下へと移動すれば、その横に立っておいた。

メル > 舌打ちが聞こえてくれば、ビクッと震える。
タオルは被っていても、猫耳は伊達ではない。
まさか怒らせちゃったかと、そぉーっと相手の顔色を窺ってみる。

「えーっと、うん。
 そうかもだけど………風邪を引いちゃうのは、気にしたほうが良いかなぁって。」

こうなってしまえばも何も、そうならないようにしたい。
隣で今更雨宿りを始める少女に、驚いたように目を見開いて。
ずぶ濡れの濡れ鼠な様子に、ちょっとため息まじりに被っていたタオルを差し出して。

「ちょっと湿気ってるけど、これ使ったほうが良いよ?
 そのままだと絶対風邪ひいちゃうし。」

まだしっとりと濡れた毛並みに包まれた猫耳がぴくぴくと動き。

タマモ > そうした舌打ちは、悪戯心を現した時に出す、癖の一つだ。
その音に、少女が見せる反応には、見詰めていた瞳が、目敏く細められる。

「おぉ、なんじゃ、妾の心配をしてくれておるのか?
まったく、可愛い顔して、人の好さそうな女子じゃのぅ。
…人ではないが、と、二度目はあれか」

まぁ、そんな感じで、少女が考えているのとは違い、怒っている訳ではない。
風邪を心配する言葉と、ずぶ濡れな己に、差し出したタオルを見て、くすっと笑って。
伸びる手が、ぽんぽん、と軽く少女の頭を撫でる。
と、そこで不思議に思える事があるだろう。
ずぶ濡れであるはずの己、その撫でる手は濡れておらず。
撫でても、そこがより濡れる事がなかったのだ。

「大丈夫大丈夫、妾への心配は無用じゃ。
諦めは肝心、と言うたが、そのままで良いなんて事は、一言も言ってはおらんしな?」

ほれ、こんな感じにな?と、そう少女の耳元に唇を寄せ、そう伝えれば。
撫でていた手を離し、ぽん、と両手を打ち合わせる。
その手を打ったのに合わせ、ゆらりと流れるように漂う力。
途端に、ずぶ濡れとさせていた水分が、ぽたぽたと流れ落ちるように地面へと滴る量が増え。
少女の見ている前で、じわじわと、早送りを見せているかのように、濡らしていた水分が流れ落ち。
そう経たぬ間に、じっとりと濡れていた己の姿は、濡れる前に戻ったような、そんな姿となっていた。

メル > 「わふ……うぅ、なんか子ども扱いしてない?」

口調からすると年上っぽくはあるものの、こちらへの扱いが子どものそれ。
頭をポンポンされると、ちょっと不満そうに相手を見上げ。
ただその手が濡れていないことには、少し不思議そうに首を傾げる。
あれだけの雨の中にいたのだから、ハンカチくらいじゃ拭き取れないはず。

「お? おぉ? 魔法なのかな?
 すっごく便利そう!」

両手を叩くだけで、地面に水溜りが出来る。
その様子は、まるで水がひとりでに動いていくかのような光景で。
自分が、魔法らしい魔法を使えないだけに、すごいすごいと素直に驚いて。

タマモ > 撫でてみれば、どこかちょっと不機嫌そう。
子ども扱いをされ、こうした反応を見せるのは、子供とも言えなくもないが…

「あー…まぁ、それは我慢しておくれ?
妾にとっては、お主だけでない、ここに居る、誰であろうとも、似たようなものじゃからのぅ」

実際の子供どころか、成人、年寄り、そうしたものでさえ、己の年齢を考えれば、どれもが年下だ。
見た目が若いのだから自重しろ、とも言われそうだが、そこを気にしないのだから仕方ないのである。
とは言え、そこは一応、大雑把には伝えておいてやる。
そこから、どんな想像をするのかは、少女に任せよう。

すでに乾いていた手、その手をひらり、もう一度振ってから。

「残念ながら、素質はあるらしいが、魔法はからっきしでのぅ。
これは、ようじゅ………いや、まぁ、妾の持った特別の力、と思うが良いじゃろう」

誰から見ても、その力は魔法的なものだ。
だが、その実、それを感知とかしてみても、魔力は感じない。
その正体は妖術だと、あっさりと言い掛けるが、それはそれで、少女に理解は難しいだろう。
そう思えば、言い掛けた言葉と留め、適当な事でごまかす事にした…誤魔化せるかは、分からないが。

そんな説明をしながら、己が元通りになった後、今度は改めて、ぽん、と少女の頭に手を添える。
己に流した力を、そのまま、少女にも伝えていくのだが…
服を湿らせた水分が、僅かとも纏まった水分になり、流れ落ちる感触。
肌を滑る感触も与えてしまうだろうが、そこは我慢しろ、と…言うものだが、伝え忘れてしまう。

それを我慢しても、出来なくても、少女を濡らす僅かな水分から、そう経たずに元通りだ。

メル > 「むぅ……お姉さんだってことなら仕方ないね。」

不満そうな表情は変わらないものの、そう説明されると見た目どおりの年齢ではないのだと理解する。
仮に相手の齢が3桁を超えていようと、こちらを子ども扱いするかどうかはまた別の話。
頭を撫でる手を振り払わなかっただけ、大人な対応だと思って欲しい。

「魔法じゃないんだ?
 ふぅーん? でも、便利な能力だよね。ボクもそういう便利な力が使えると良いんだけど。」

魔法じゃないというなら、他人に教えたりは難しいだろう。
残念そうに言うものの、仮に魔法だったとしても、使えるようになるかは怪しいところ。
何せ、魔力はあっても、魔法のほうは全くなのだから。

「ひゃぅ!? え? はぅ……も、もぅ! ちゃんと断ってからやってよねっ」

例えるなら、首筋に水滴を落とされたような感覚
突然、肌を水滴が伝い落ちていくのだから、変な声が出てしまう。
それでも、あっという間に乾いてしまったのだから、それに対しては「ありがとう」と素直にお礼を述べて。

タマモ > 「………うむ、よろしい」

この少女であれば、それはないのだろうが。
もし年上と分かって、呼び方を変な方向に変えてきたら、突っ込んでやろう、そう思ってた。
が、そんな事はなかったので、いい子いい子と撫で回す。
年下を愛でる事も好むのだ、これは癖のようなものなのだが。
相手次第では、いい年の成人男性でさえ、そうしてしまう事があるのだから、堪ったものではないだろう。

「うむ、妾の力は…まぁ、決して良いものではないし、便利と思う程度でな?
使えぬならば使えぬで、それが決して悪いとは限らんぞ?
それに、出来ぬ事がある分、何かが出来るようになれば、その補いとなるものじゃ。
お主に出来る事を頑張る、それが一番じゃろう」

根本的に、力の源が人の負の感情だ。
それが出来たとしても、こうした少女に覚えさせるのは、正直よろしくない。
残念そうにする少女ではあるが、頭を撫でたまま、思う事をそのまま言っておくのだ。
小難しい話題は…まぁ、得意ではないし。

「お、可愛い声が…っと、冗談は置いておき。
すまんすまん、妾は普通にやっておるから、考え到らんかった。
次からは、そうしておこうかのぅ」

少女から上がる声に、楽し気に笑ってみせ。
とは言え、それもすぐに収まれば、お礼を述べる少女に、うむ、と頷いて。

「しかし、結局のところは、これがどうにかならねば、後が…
こんな場所では、ちょいと風が吹いただけで、また濡れてしまうしのぅ?
行ける程に雨が止むまで、ここを使うのは、どうじゃろうか?」

さて、乾いたは良いが、降り続ける雨ではまた濡れる。
軒下を利用する建物だが、耳を澄ませれば…今居る廃屋の中からは、音も気配もしない。
すんすん、と匂いを嗅いでも、長年使われていない、それが分かれば。
建物へと指差し示しながら、そんな提案を、少女へと向けてみる。
もう少しすれば、雨も止むかもしれないが、中に何か、便利なものがあるかもしれないし。

メル > 年上は敬うべし、という訳ではないけれど、見た目がもう少し違えば反応も違ったかもしれない。
それはともかく、頭を撫でまわされ続けているのはどういうことだろう。
ぶぅー、と膨れっ面を晒しつつ、相手に悪気がなさそうなので、とりあえずされるがまま。

「んー? 便利なのは良いと思うけど。
 ボクの能力だと、近道はできても、雨に濡れないルートは分かんないだよね。」

そんな道が果たしてあるかどうか。
仮にあったとしても、見えはしない。
肌に張り付いていた服も、すっかり乾いてさっぱり爽やか。
問題は今も降りしきる外の雨だけ。

「埃だらけになるよ?
 空き家っぽいから、持ち主がどうこうとかはなさそうだけど。」

どうにか形を保っているボロ小屋を指し示されると、そう答える。
軒先で雨宿りしていたのは、単にそれが理由。
濡れた服で入り込もうものなら、どんな悲劇が待っているか分からない。

すっかり乾いた今なら、少女に付いて行くのも吝かではないけれど。
屋根が落ちるか、床が抜けるか。それとも何かに出くわすのか。
それは二人しか知る由もなく―――

ご案内:「王都マグメール 貧民地区2」からメルさんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 貧民地区2」からタマモさんが去りました。