2024/05/11 のログ
ご案内:「王都マグメール 貧民地区2」にロロさんが現れました。
ロロ > 「――ったく面倒臭 ェ」

街路のど真ん中に立ち止まり息を吐く。
…仕事で追い掛けていた相手を、見失った。犬としては割と珍しい事である。
例え距離を離され、視界から完全に消え失せたとしても。嗅覚その他諸々の感覚で追える自信が有る。

が――こうして。
両手の指の数と同じ位か。身形の悪い連中に物理的に包囲されてしまうと。
饐えたいかがわしい臭いが鼻に付き、目的の臭いが掻き消されてしまうし…
にやにやとした笑みと共に向けられる欲望の強さが、気配、という物を感じ取るのにも邪魔だ。

この連中が。追跡途中の犯罪者のお仲間なのか。
それとも、この界隈にやってきた女目当てのゴロツキ共なのか。
どちらにせよ、どうにか対処しない事には。
目的を果たせないどころか――ろくでもない目に遭いそうだ。

ご案内:「王都マグメール 貧民地区2」にトーラスさんが現れました。
トーラス > 女一人に対して四方八方からガラの悪い男達が取り囲む。
この王都では決して珍しくなく、毎晩、何処かしらで行なわれている狼藉。
手にする刃物をこれ見よがしにチラつかせながら、双眸は女の肢体を這いずり回る。
既に組み伏した女をひん剥き、誰が一番に雌穴に己の逸物を突き込むかの言い争いを始める始末。
そして、それは、何事もなければ数刻後には、ごくありきたりな出来事として起こりうる事象であろう。

「――――ひっく。なんだなんだ、天下の往来で。
 人様の迷惑も考えずに、女子供一人に大の大人が寄って集ってナニしようってか」

緊迫した状況に水を差したのは、酒瓶を片手に千鳥足の酔っ払い。
彼女を取り囲んだ連中に負けず劣らずの見すぼらしい恰好をした中年男は、
酒精に冒されて理性を溶かした視線で男達を眺めてケチをつけ、その視線を女に向ける。

「へぇ、そこのお嬢ちゃん。手助けしてやろうか?
 なぁに、お礼は今晩、十本のちんぽに犯される代わりに、俺の相手をしてくれれば、そいつで構わないぜ」

下ネタによるつまらぬ冗句を飛ばしながら、本人にはツボに入ったのか、呵々大笑と笑い声を響かせ。
突然の闖入者の登場にゴロツキ達は眉間に皴を刻み込んで、彼の始末が終わった後、彼女に向けられる事になるであろう怒気を孕ませる。

ロロ > 「ぁ―― ン?」

闖入者、という単語は。きっとこんなシチュエーションの為にこそ有るのだろう。
貧民街では酔っ払いなど数え切れない程存在している。掃いて捨てる程転がっている。
酒に酔う者、薬に酔う者、女に酔う者、その他諸々の酔漢が居るのだろうが――
まぁその大半は。酔いの源に執心し。第三者のいざこざになど、顔を突っ込んで来る事はないだろう。

だから、あからさまに酒に酔ったその男が。包囲の外からちょっかいを掛けてきた事に。
ゴロツキ連中もさる事ながら、今正に飛び掛かられひん剥かれてもおかしくなかった犬当人も。
呆気に取られたと言わんばかりの声を上げてしまったのだった。

……取り敢えず、邪魔をされたのだ、と。
たっぷり数瞬の間隙を挟んでから漸く連中も気付いたか。
口々に上げる叫び声は、「寧ろこいつらこそ酔っ払ってんじゃね?」とばかりに不明瞭な物。
人間本能に目が眩むと大概ケダモノと堕すらしい。
当然理性も目減りして、まくしたてつつ一人が男の方へ振り向き――吹っ飛んだ。

「……それが誘い文句だってンなら、間違い無くフられるだろ、おっさん。
まぁなんだ、その――」

勿論それは。此方から目を離した瞬間、相手の背中を蹴り倒した犬の仕業である。
都合挟み撃ちになりかねない。流石にその位は理解したゴロツキ共が、また一瞬反応に戸惑う内に。

ぎし。犬歯を剥いて笑ってみせ。

「…けどノった。ただ、そう言うからには早くしてくんなきゃ――あたしゃ自分でノしちまうぜ 此奴等」

トーラス > 圧倒的に数の多い、刃物を持つゴロツキ達に態々自分から絡みに行く酔っ払いも珍しい。
その意味では襲われ掛けようとしている女自身すらも呆気に取られるのは無理もない事。
一瞬、彼以外は状況を把握できないという沈黙が場を支配した後、飛び交うのは罵詈雑言の叫び声。
何を言っているのかすら不明瞭な叫びに、言われる方の男が肩を揺らしながら笑い声を響かせ、
そんな闖入者の様子に激怒した一人が彼に刃を向けようとした瞬間、大きく吹き飛ばされる。

「ふはっ、はははっ、おーおー、盛大に吹っ飛んだなぁ。
 さてさて、若いお嬢ちゃんに早くしてくれなきゃ嫌とお強請りされるなんて滾るねぇ。
 じゃ、とっとと済ませて、連れ込み宿にでもしけ込むかな、っと」

狼藉者の一人を蹴飛ばしながら不敵な笑みを見せる女に口端を歪めると、
地面から起き上がろうとするゴロツキの頭へと酒瓶を振り下ろす。
がく、と頭を上下に揺らして今度こそ昏倒する彼を尻目に、地面を蹴って女の方へと駈け出せば、
腰に佩いた長剣を抜き放つ事もなく、酒瓶を振り回して彼女を取り囲む暴漢達の頭や顎、
振り被った刃を握る手の甲などを、電光石火の速度でにて次々と打ち抜けば、
見る間に半数を殺さぬまでも戦闘不能の負傷状態にまで追い込んでいき。

ロロ > 「―― ……へーぇ?」

実際、動く契機さえ作って貰えたなら。其処から逆転の目は有る…と考えていた。
吹き飛ぶ一人に目を遣る者が出れば。その瞬間犬の二撃目が、視線を外した側頭部を思う様蹴りつけ、独楽の如くに錐揉みさせた。
三人目――に行く前に。外側でも男が動き、硬い酒瓶がゴロツキの頭にクリーンヒット。
一発で意識を飛ばす手際に感心する――間もなく。
犬がまた一人を足払いから腹を蹴倒している内に。次から次へ、抜いた刃で薙ぎ倒していく男。

関心を感歎に昇華させつつ――同時に。長い前蹴りが四人目をくの字の形で吹き飛ばし。
背を向け逃げようとした最後の一人とぶっつけ転がし、二人纏めてダウンさせ…これで。
どうやらお互い半分ずつ。うんともすんとも言えない形で、全員を片付けたようである。

「おぉ……おぉやる ね。お陰でそっこー片付いたよ。
――けどまァ今夜の所は出直し。余計な連中のせいで獲物にゃ逃げられちまった し」

とはいえ本命。この辺りに潜んでいるのだろう犯罪者は何処へやら。
獣の耳毎頭を掻きつつ、男の方へ振り返り。大袈裟、と言わんばかりの息を吐いて。

「――で? まぁ約束は約束だ…半分だけど な。
そんなら連れ込みとか言わず、もうちょぃ良いトコ教えてくれよ…明日まで、粘らにゃなんねェから さ」

トーラス > 時折、千鳥足で左右に柳の葉のように揺れ動き、暴徒の凶刃に危うく命中しそうになりながらも寸で躱し、
憤怒に顔を真っ赤にして尚一層、意味不明な叫びを上げる彼等を次々と打ち取っていく。
ゴロツキ達にとって誤算だったのは、突然の闖入者同様に、
既に彼等の脳裏で犯される被害者となっていた彼女も手練れであった事だろう。
一対多で取り囲み、圧倒的有利の筈の状況は挟撃という不利な戦況に陥らされて、
瞬く間に半数ずつを仕留めた所で、その場には呻き声を漏らしながら地面で転がるゴロツキの惨状が残される。

「ひゅー、お嬢ちゃんも中々にやるじゃないか。こいつは、手助けなんて要らなかったか? お?」

最後の一人を仕留めた所で、酒瓶を掲げるも生憎、大立ち回りで零れたのか中身は空。
その様子に眉尻を下げて肩を竦めると、大袈裟に息を吐き洩らす女の言葉に口角を吊り上げて、
酒の空瓶を放り投げれば、放物線を描き上げるそれが、彼女の足元にて縋り付こうとした男の頭に命中して気絶に至らせ。

「話が分かるねぇ、お嬢ちゃん。俺はトーラスってんだ。
 それじゃ、朝まで一緒にたっぷりと愉しもうぜ」

女の傍へと近寄れば、豪快な笑い声を響かせながら、左手をその腰を抱き寄せ。
酒の匂いに混じり、粗野な雄臭さを嗅がせながら貧民街に背を向けて歩き始める。
約束の報酬支払いを履行するために、彼女の希望に沿う形で平民地区の宿屋へと足を向けて――――。

ロロ > 何やらシェンヤンの方には。酔っ払いさながらの動きで戦うという術が有るらしい…見た事はないが。
そんな噂話か眉唾物のお話めいた光景が繰り広げられ。酔漢一人に半数が壊滅させられたかと思えば。
一瞬でも目を離せば噛み付いてくる狂犬が。これまた残りの半数を薙ぎ倒す。

…最後の一人は、倒れ伏して尚頑張って犬に喰らい付こうとしたらしいが。
お陰で飛来する酒瓶に後頭部を、振り下ろされる踵に背中を。二重に打たれ完全にダウンする事となった。

「…いんや。タイミングを作って貰った、其処は間違い無いし さ。ちゃんと助かった。
――最後の此奴はカウントに入れたくねーけど」

折角半々片付けた、つもりなので。これで半人分でも持って行かれるのは癪だ。そう言わんばかり。
別に獲物の数で勝敗を競うなどという話は、最初から欠片も出ていないので。あくまで犬の拘りでしかないが。

ともあれ辺りは静かになった。
大立ち回りが始まるか、或いは凄惨な陵辱劇のお零れに預かれるか、と。恐る恐る物陰から見守っていた住人達が顔を出し始める。
そうした手合いに背を向けると。男の案内に合わせてさっさとその場をずらかろう。
…しれっと腰に回される手は。まだ早いと言わんばかりに、軽く甲をはたいてやりながら。

「―― ロロ。 とある方のお家に仕える番犬ってェ奴だ よ。
…んじゃ、仕事に響かない程度でお手柔らかに――」

実際の所、どうなるか。この国、相手が一人でも。十人力を発揮してくる手合いも居るのだから――性的な意味でも。
明日の朝をどういった形で迎えるか。それは宿に入ってみなければ判らないだろう。

ロロ > 【移動となります】
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