2024/05/07 のログ
ご案内:「王都マグメール 貧民地区2」にルルマリーさんが現れました。
■ルルマリー > 救貧院の重い扉を、うんしょと肩で開くのは、両手が塞がっている所為。
もうどっぷりと夜は更けている時刻。
けれど此処──マリステラ慈善院で一番年上の孤児は自分であるから、
院長の手伝いをするのは当然のこと。
鉄の取っ手がついた木桶を二つ両手に携え路地裏へまわり、駆けてゆけば、
桃色のツインテールがふあん、と揺れた。
早朝に使う水を、今のうちに井戸から汲みにゆく日課。
勿論早朝に行ってもいいけど、街の人がこぞって並ぶから待たなきゃいけない。
それなら、夜に行くのがいい。幸い救貧院の直ぐ裏手、走れば程なくして共用井戸に着くのだし。
「よぃ、っしょ………っ…」
紐を手繰り釣瓶を落とし、井戸から水を掬う。木桶に水を流し入れ…、を数回繰り返す。
いつもの事だから、手慣れたもので。