2024/04/27 のログ
ご案内:「王都マグメール 貧民地区2」にリコッタさんが現れました。
■リコッタ > 「うぅ~……今日は外套持って来てないのに……」
薄汚れた貧民地区、その裏路地を小柄な少女がこそこそと進む。
治安の悪い裏通りに似つかわしくない学院の制服。
しかし、その身体にはふわふわの獣耳と尻尾が揺れていた。
ミレー族……ではない。ある種の特殊体質である。
下校途中、突然ぴょっこりと生えてきた獣耳に気付き、慌てて手近な路地に飛び込んだ。
危険性は理解しているが、この格好で表通りを歩くわけにもいかない。
この道を通ったことはないが、果たして自宅はどっちだろうか……。
警戒心にピンと耳をそばだてながら道を進んで行く。
ご案内:「王都マグメール 貧民地区2」にメルさんが現れました。
■メル > 通い慣れた貧民地区の路地裏
多少治安は悪いものの、近道にはもってこいの細道だけに利用頻度は高い。
それを知っている者もそう多くはないところもポイントが高く。
学院での授業も終わり、夕暮れも差し迫る時間帯
早く帰らないと、食堂が込み合うまでそう間もないだろう。
そう思って小走りになりかけたところで、珍しく前を行く人影を見つけ。
「同じ学院生―――かな?
貧民地区で見かけるのは珍しいけど。」
遠目にもその頭の上にピンと立った耳が見える。
一応はミレー族は大っぴらに学院には通えなかったはず。
そう考えると、さすがに制服姿で耳を晒している彼女は危なっかしく思え。
「こんにちは!
いきなりだけど、頭、隠しておいたほうが良いんじゃないかな?」
足音はわざと隠さずに近づいていき。
ある程度の距離までくれば、そう声を掛ける。
ちょんちょんと指先で指し示すのは、バンダナを巻いた自身の頭で。
■リコッタ > 「…………っ!?」
近付いて来る足音と人の気配。
肩がびくりと跳ね、耳と尻尾の毛が逆立つ。
走って逃げるべきだろうか。咄嗟に判断し、周囲をそわそわと見回していたが。
ふと、その相手が同じ年頃の少女であることに気付いた。
「えっ……ぁ……こ、こん、にちは……」
声に敵意はなく、投げ掛けられた言葉の内容は忠告であった。
ひとまず危険な相手ではなさそうだと判断し、おずおずと挨拶を返す。
立ってしまった耳を恥ずかしそうに両手で抑え。
「その、普段は……隠す物、持って来てるんですけど……。
今日は、ちょっと、忘れてしまって……」
もしミレーであれば、自分の安全に関わる物を今日だけ忘れる、というのも不可解な話であるが。
■メル > 「あ、そうなんだ。
ちょっと待ってね………はい、これ貸してあげるよ。」
ビクビクしているように見えたのは、やっぱり耳を気にしてのことだったのかもしれない。
獣耳を抑える少女の様子に、そう得心して。
肩から下げた鞄の中へと手を突っ込むと、予備のバンダナを差し出し。
「パッと見で分からないだけでも、全然違うからね~。」
お互い大変だよね、という雰囲気を纏いながら、軽く自身のバンダナを捲ってみせる。
そこには少女のそれと、そう変わらないふわふわの耳が隠れており。
「えっと、ボクの名前はメル。
この辺りに住んでるんだけど、キミは? 良かったら送っていくよ。」
正直なところはあまり時間がないのだけれど、放っておくのも憚られる。
少女の家が近くなのであれば、送っていこうと申し出て。
■リコッタ > 「…………あ……」
相手のバンダナの下からも現れた、獣の徴。
ミレー族か、魔族か、はたまた同じ『呪い』持ちか。
いずれにしても、この街では差別の対象であった。
警戒心がゆるみ、躊躇いながらも差し出されたバンダナを受け取る。
「あの、その……すいま、せん……お借り、しますね。
ちゃんと洗濯して、お返し……しますから……」
そうして、ぴょこぴょこ勝手に動いてしまう獣耳に難儀しながらもバンダナが結ばれる。
ちょっと膨らんではいるが、パッと見た限りでは髪と判別できないだろう。
「……ありがとう、ございました。私、リコッタ、っていいます。
でも、えっと……良いん、ですか? バンダナまで、お借りしたのに……」
こうして話しているうちにも、日は傾いてゆく。
そこまで厚意に甘えてしまって良いのだろうか、と申し訳なさそうに。
■メル > どうやら種族を明かしただけの効果はあったらしい。
警戒心が幾分緩んだ様子の相手に、こちらも表情がほっと綻んだ。
「そんなに畏まらなくていいよ~?
見たところ、学院生だよね? ボクもおんなじだし。」
自分よりも小柄な少女は、もしかすると年下かもしれない。
そうは言っても、さほど違いはしないだろう。
恐縮する少女に対し、パタパタと顔の前で手を振って見せ。
「リコッタちゃんだね、よろしくだよ。
良いの、良いの、気にしない。
リコッタちゃんみたいなかわいい子をひとりで帰しちゃったら、
そっちの方が気になって大変だからね。」
幸い、周囲に危険そうな気配はないものの、ここは路地裏。
表通りでさえ、日が暮れれば安全など保障されない区画なのだから、
気の弱そうな少女をひとりで放っておく方が精神衛生上よろしくはない。
遠慮がちな少女の手を取ると、「さぁ、行くよ!」と声を掛け。
■リコッタ > 「あ、やっぱりメルさんも学院生……なんですか……?
……えっと、じゃあ……お言葉に、甘えて……」
安全な相手だと確認できて、ようやく緊張と警戒が解けたのか。
少女はぽわりと柔らかな笑顔を浮かべた。
が、すぐに『ぽふ』と頬を赤らめた。
(可愛いって、言われちゃった……それに、女の子と2人きり……)
先程までは気持ちに余裕がなかったが、安心したことで現状況を意識してしまう。
大分そわそわと挙動不審になりながらも、繋がれた手はきゅっと握り返し。
「あぅ……ぁ、ありがとうございます……。
じゃあ、その……多分、こっち……だと思います……。住所は──」
こくこく頷きながら自宅の場所を伝える。
場所的には平民地区と富裕地区の狭間くらいの場所だ。
遠いという程ではないが、歩けばそれなりに掛かる距離であった。
■メル > 「そだよー
冒険者クラス―――のサポータークラスだね。
ふふっ、良かった。ちょっとは落ち着いた?
リコッタちゃんは何の授業取ってるの?」
少女が柔らかい笑みを浮かべるのを見ると、ひと安心。
ちょっと可愛すぎて、ぎゅっとしたくなってしまうほどなのが、逆に心配だけど。
そこから急に顔を赤らめる様子に、きょとんと首を傾げ。
「あれ? どうかした?
うん、それならこっちからの方が近いかな。
確か近くに雑貨屋さんがあったよね。」
場所を聞けば、土地勘もあるだけに、スキルを使わずとも道は分かる。
最短ルートなら陽が落ち切るまでに辿り着くだろうけれど、それには少し危ない区画を通ることになる。
ちらりと少女の様子を見てから、迂回することに決め。
少しでも安全な道へと手を繋いだままの少女を伴って。
■リコッタ > 「あ、冒険者クラスなんですね……通りで、お会いしてない、はずです……。
私は一般の授業しか取ってませんから……」
質問に答えつつも、あなたの顔をちらりと伺っては、そわそわと目を逸らす。
繋いでいない方の手で、気を引き締めるように自分の頬をぺちぺち叩き。
(だ、ダメダメダメ……! こんなに親切なヒトなんだから……!)
幸い、今日は呪いが発現した直後。
何日も溜め込んだ後に比べれば我慢するのは難しくない。
悶々とする気持ちを理性で押さえ付け、手を引かれるままに付いて行く。
「ぃ、いえ、その……なんでも、ないです……。
…………、……あ、そのお店……うちの直売店……かも知れません……。
メルさん、街のことお詳しいんですね……」
──もっとも、少し前屈みになってしまうのだけは避けられなかったが。
■メル > 「冒険者って言っても、荷物持ちだしね。
一般授業かぁ~ ボクも時間があれば取ってみたいんだけどね、歴史とか面白そう!
あ、敬語じゃなくて良いからね?」
なんてことのない他愛な会話を楽しみつつ、
念のためにと辺りの気配を探り、比較的安全そうな道を選ぶ。
その分、少し歩くことにはなるけれど、自分はもちろん、相手もそれくらいの体力はあるだろう。
「??
ほっぺた叩いてどうしたの? 虫でもいた?
およよ? リコッタちゃんのおうち、お店やってるんだ?
あそこのお店って、そこそこ大きかったと思うんだけど……」
叩いた頬が赤くなるほどではないにしても、突然の行動に瞳を瞬かせ。
前屈みになる相手に、不思議そうな瞳を向けるけれど、それより続く言葉の方に気を取られる。
見知った店が直売店だと言われると、思いがけない縁に驚いて。
街の目印になる程度には、大きく有名なお店
となると、つまりはお嬢様というわけで。
こっちが敬語を使わなきゃいけなかったかもと、ちょっとばかり冷や汗が浮かび。
■リコッタ > 「えへへ……面白い、ですよ。歴史とか、文学、とか……。
敬語はー……えっと、少しずつ、頑張ります……」
どうにか砕けた口調にしようと、しばらく口をパクパクしていたが。
出て来た言葉は結局慇懃なままであった。ため口は苦手らしい。
「そ、そんなところ、です!……ちょっと、悪い虫が……。
……あっ、そういえば、言ってませんでしたね。
私、リコッタ・フォルティ……って、いうんですけど。
両親が商いをやっていまして……」
あたふたしつつも、これ幸いと話題を逸らす。
フォルティ商会。王都内でもそれなりの規模で展開している商家の1つだ。
ポーターの仕事をしているあなたであれば、関わったこともあるかも知れない。
そちらの内心など露知らず。さらっと良家のお嬢様であることを打ち明けつつ。
手を繋ぐあなたへ、ふにゅりと無意識に身を寄せた。
■メル > 「文学かぁ……古文はちょっと難しそうなんだけどね。
実はちょっとだけ、図書館で挑戦してみたんだ。
ふふっ、うん、がんばってね。」
歴史繋がりで、古代文学のコーナーに足を運んでみたことがあったのだけど。
当たり前ながら原文など読めるはずもなく、解説書に至っては論文と変わらない。
結局、読み解くには至らずに、転寝してしまったわけで。
「フォルティ…って、並の貴族よりもよっぽど勢いがあるって話題の大商会だよ!
はわぁ……リコッタちゃん、そんなところのお嬢様だったんだねぇ……」
奴隷身分の自分が気安く話して良いものか。
相手が平民であればそこまで気にはしないのだけれど、大商会相手だと平民だとは言い難い。
そんなお嬢様がミレー族だという違和感を感じるよりも、身分の違いの方に気を取られ。
不意に感じる温もりに、とくんと心臓がひとつ高鳴った。
「えっと……」
身に覚えのある予兆に戸惑う。
離れなきゃと思うのだけれど、せっかく打ち解けられた相手との距離感を壊してしまうのが嫌で躊躇する。
そうしている間にも、鼓動は少しずつ早くなってきてしまい。
■リコッタ > 「わからないところが、あれば……えっと、少しなら、教えられます、よ。
少しでも、恩返しできれば……いいなぁ……」
特別優秀、という程ではないが。
幼少期からしっかりとした教育を受けてきた少女は、学業はなかなか優秀だ。
もしかすると、少し力になれるかも知れない……と微笑みを浮かべ。
「ふ、ふぇ……? ぁ、えっと……まあ、すごいのは、お父さんたちですから……。
私は、別に何も……。もう冒険者として働いているメルさんの方が、ずっとすごいですよ」
しかし、あなたの言葉にハッとすると、ぶんぶん首を振る。
多少商会の仕事を手伝ってはいるが、まだ見習い以下だ。
むしろ、出自で壁を作られてしまう方が悲しい。
そんな心の機微を感じ取ったのか、繋いでいた手の指を絡め、その腕にしなだれかかる。
──不意に、ふわり、と独特の香りがあなたの鼻孔をくすぐった。
野性的かつ官能的な匂い……発情した"雄"のフェロモンの香りだ。
雌の本能を刺激する獣の香りが、何故か目の前の少女から漂って来る。
「…………? どうか……しました……?」
■メル > 「一緒に図書館でお勉強とか。
いいよね、ちょっと憧れちゃうかも!」
学院に通ってはいるけれど、どちらかと言えば仕事の延長に近い。
友達と一緒に何かするというような時間はなく。
そもそも、そんな友達が学院にいないのだから、実現など夢の夢。
ぱぁっと表情を明るくすると、身分の差など記憶の彼方へと放り投げ。
「そ、そうなんだ?
仲良くしてくれるなら、ボクも嬉しいんだけど……んっ……
あれ、この匂い……ふぁ……」
繋いだ手がきゅっと握り締められる。
ドキッとして、こちらへと身を寄せる相手の顔を見つめてしまう。
いくら可愛らしいからと言っても、出会ったばかりの子に過度のスキンシップは厳禁
そう自戒するも、鼻先を擽る匂いは、思いがけないもの。
可憐な容姿には似つかわしくない、濃い雄の匂い。
その匂いに、ぞくりと肌が粟立つような感覚が駆け巡り。
「や、やぅ……リコッタちゃん……はぅ……」
自然と瞳が潤んで、身体中が切なく疼く。
身を寄せてきた少女を無意識に抱き締め返し、すぅーっと大きく息を吸い込むようにして、その匂いを嗅いでしまい。
■リコッタ > 「ふふ、もちろん、です。こちらこそ、仲良くしていただければ……、……?」
実のところ、少女には同年代の友人と言える存在が少ない。
彼女自身が人見知りなのもあるが、何より体質のせいで欠席が多い。
そのせいでクラスでも浮きがちであり、学院で話せる相手ができるのは大歓迎だった。
……のだが。
じーっとその瞳を見詰め返していたところ、急にあなたの腕に引き寄せられる。
完全に油断していたこともあり、獣の反射神経でも反応できず。
その腕の中に……柔らかな肢体の中に囚われてしまう。
「えっと、メルさ……んっ!?」
そうすればもちろん──少女の下腹部に発現した『呪い』は、あなたに押し付けられる形となるだろう。
本来、少女の身体には存在し得ない、熱と固さ。
そして、ぴくり、と。少女の鼻がその匂いを捉えた。
自分とは似て非なる……発情期の"雌"の香り。
「…………もしかして、メルさん『も』ですか?」
抱きしめ返す代わりに、腕をあなたの腰に回し。
トントンとその尻尾の付け根……お尻を叩く。
ほんの一瞬前までは、新しく友達になれるかもと思っていた、親切な女の子。
しかし、今はもう、性欲の対象にしか見えていなかった。
ご案内:「王都マグメール 貧民地区2」からメルさんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 貧民地区2」からリコッタさんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 貧民地区 酒場」にアイカさんが現れました。
■アイカ > 貧民地区に数多ある酒場のステージは、踊り子にとって格好の仕事場だ。
今日も酒を飲みに来た荒くれの下卑た視線を受けながら、華やかに色香、妖艶な雰囲気を振り撒き踊る。
ゆらり、ゆらり。くるくると美しく回転し、席と席の合間を練り歩き、時に伸びてくる客の手をひらりと躱しつつ舞う。
舞う度に身につけているブレスレットが光を反射し輝き、しゃらり、しゃらりと擦れ合う音を立てる。
「………ふふ」
一曲、二曲と担当分を舞い終わり、艶やかに一礼してステージを捌けた。
次の踊り子にステージを任せ、自身は一息つこうとばかり隅の席に腰を下ろす。
「……水。お酒は…まだいいわ」
片手を揺らし、店員にそう声をかけた。
一旦呼吸を整え、身体に浮く汗が引いてからでもいいだろう。
そう判断し、頬杖をつきぐるりと店内を見渡してみる…