2023/11/23 のログ
■九音物 > 「歳を取ると目に来るからね。
クギヤにも後で目薬あげるよ。」
労わっているのだろう言葉を向けている。本人なりに。
相手が頼めば嫌だと言えないことは承知で、時々とんでもない仕事を回されている気がする。
実際今回の任務は隊が違う気もするので半ば同情、半ば呆れ顔だったが。
引き受けた以上は円滑に、円満に終わらせておきたいのは事実。
五戒を優先に、力づくは最終手段となれば大人しくもなる。
多少痛めつけるくらいはしても良いのだろうが――。
目の前の巫女はあまりいい顔をしないだろう。となれば清め酒に簡単な霊を降ろし、先行させる事で被害を減らそうとはする。
お酒が時々うねり、きょろきょろと周囲を見ている辺り。何かは『いる』のだろう。
「じゃ、こっちからいこうか。
まぁ流石にクギヤに万一があっても困るから。
死なないというだけでしょ。一応。一応、オンナノコなんだしね。」
けらけらと軽口をたたき、今は余裕を見せている自分が戦闘になる形に入れ替わる。
最初の部屋は一番奥の部屋からだ。
高い場所かつ遠い部屋から見ていくのは基本。
鍵を開き。不思議と生暖かい風だった先程の空気と異なり、3階1室と簡素に掛かれたプレートの扉を開く。
冷たい風がふわり、と部屋の埃を舞い上げつつ。中の様子は――と闇に目を凝らし。
鬼火が照らし出した部屋の中はがらん、としたもの。
荷物も何もない。だからこそ冷えた空気と言うのがおかしくもある。
つん、と鼻先を衝くのは使われていない部屋特有の古くなり、所々朽ちた建材特有の匂いだ。
「クギヤ、どう?霊視は僕よりクギヤの方が上手だから。
僕が見る限り――『いない』様に見えるけど。」
後ろを振り向き。何もない部屋。窓も無い。
異様なのはその位だが、瞳に何かしらの力を見る事の出来る巫女ならば違う世界が、違う物が見えているかもしれなかった。
振り向き、巫女の意見を伺った。
自分が見れるのは悪霊というより、堕ちた天上に近付く者達の姿。
一応、あくまで最後の手段としてついて来ている以上、巫女の意見を優先しようとしている様子だった。
■NPC > 楽しそう、な両刀男の主格の他には? 【1d5:1.引き寄せられた霊達うじゃうじゃ、2.孤高のソロ、3.家族達くらい、4.憑かれた侵入者、5.一周回ってモンスター系】 [1d5→2=2]
■ミホ・クギヤ > 「…ん? んん、そりゃどういう―― い、いや疲れ目は、別に、平気だった。」
年増扱いを気にかけるには、供犠の巫女としては十分に生き過ぎている感のある逝き遅れ。
物の字のソレは冗談だと思うので、どういう意味だい、といささか気分を害してみせるものの。
実際には全く別の視点で、歳をとったよねえとしんみりしてしまう、にじゅうさんさい。
「――ああ、そこは本当に私が追い詰められ過ぎると、こんな他所様の土地で何かあっても困るので。
…だから思い切りよくやってもらえるように、物の字なのか?」
いざとなったら盤をひっくり返して状況を打破出来るような人を付けてくれたのかなと今更思うが、
今、その破壊力はいらないよというスタンスは変わらずに。
「うんじゃここはオトコノコに譲りましょうか。
――いや今のところ静かなものでね、
何だか良く分からない外法のアレソレが気持ち悪いが、この国からすりゃ私達が外法で申し訳ない…
建物に手を出さなきゃ、別にヒト嫌いって事じゃないのかな…
――え、何だいこの部屋、物置?」
はいよ、と九音に鍵束投げ渡し。
先行して入ってもらったのは、窓の無い部屋という安物件にしてもイレギュラーな。
九音がピンとこないように、ここに具体的な何かがあるとは感じないものの、いやでも異常でしょうと耳を澄ませる。
ここに何があったろうと、曰く付きの場所が何かを訴えかけてきているのなら聞き取れるよう、トランス状態に――
――すぅと肩の力が抜けて、焦点の合わなくなった目が虚空をさ迷う。そこに幻視するのは――
【1d6:1.子供部屋だ。日光対策か?、2.プレイルームじゃん、アブノーマルなやつ。3.監禁用に決まってるでしょう常考。4.マイナー宗教あるいは妄想の祭壇部屋。5.別に、物置ですが何か?、6.いつからただの居室でないと錯覚していた?】 [1d6→5=5]
■ミホ・クギヤ > 「――わっかんない。けどたぶん平気よ。臭うもの作る趣味があってそれを仕舞ってたとか? 窓が無い方が保管に都合の良い物を… 3階に?って思うけどね。」
■九音物 > 「お互い死ねない、死ににくいって言うのは大変だよねぇ。」
くすくすとした笑い声。何かがいるからこそ軽口も叩くし陽の気配を漂わせている。
陰鬱な霊と言うのは陰の気質を好む。だからこその軽口。
受け取った鍵束を手の中で抱え、こっそりと苦無を仕込んでおく。
最終手段と言うより警告的な意味を与えるならこれで十分なのだし、どうせ壊すなりするのだ。
少しくらいの傷なら問題も無いだろうという判断。
鬼火の灯りが揺らめき、室内にお互いの影が不気味に揺らぐ。
少しの間巫女は特有の状態になっていた。念の為背後に回るのはこの状態、後から幽霊に乗っ取られても面倒だからなのだが。
昔はこの状態になるまで時間がかかり、よくお尻を触っていたがそれももう出来そうにない。
実に手慣れた様子で室内を霊視して、その結果を伝えて来た相手に鼻から空気が抜ける様な楽観的な意見を口に出す。
「臭う物ねぇ。ま、何も無いなら大丈夫か。
一応お清めっと。」
巫女の言葉には全幅の信頼を置いている。
お清めと称して貴重なお酒ではなく、安価な塩をぱらぱらと四隅に。
そして入口に盛塩を作る事で霊桜教としてのお清めを簡易的に行う。
こうして1部屋目は問題も無く見終わり、丁寧に鍵を閉めて次の部屋へ。
最初に入るのは自分の方なのは変わらず。
次の部屋の扉を開くと、会談で感じた生暖かい風が少し。
入室者を歓迎するかのような、それとも拒絶するかのような。
次の部屋は3階2室というプレート。
開くと青草が腐った、畳が傷んだ匂い。そして窓はあるが当然閉められている部屋。
1部屋ごとに趣が違うのは家主の趣味だろうか、と。
室内を鬼火が照らすと其処には――。
■NPC > 1.畳の傷から血が滲み出ている
2.室内には首つり縄がある
3.腐った畳以外には特に何もない様に見える
4.何故か酒瓶1つ。 [1d4→2=2]
■九音物 > 「………どう見ても元凶っぽいのがあるんだけど。
クギヤ、よろしく。」
霊視して何もなければ流石にギャグとも思える。天井から吊り下げられた首つり縄。
無ければ無いで縄を燃やすなり外せば良いだけだが、さて?
■ミホ・クギヤ > 呼吸法一つで容易に入って帰って来る。
アプローチの強い相手には無理矢理入られてしまう事もあるかもしれないが、
追い出す事は出来るので手掛かりを貰うためには押し入ってくれても構わぬとかそんなスタンス。
かつてのセクハラにはちょっかい出されるから上手くいかないのだと本気めに怒った事もあったかもしれないが、今は昔。
ふっと目の焦点戻せば、違う違う、思わせぶりなだけの物置だと報告し。
――何を置いていたやらねと思えども、ここが何かの元凶になっていたりはしないので、空き部屋、以上!との扱いで。
「――死に損なって困るなんて、お亡くなりになった人の相手しようって時にそれはナイ。
いやま、まだコレを起こしてるのがソレと決まった訳じゃないとしてもよ。」
――死にきれないからさ迷うのだ。生きたかったから留まるのだ。
挑発するような事を言うもんじゃないよと『入る』前に聞こえていた声に釘を刺し。
次、次、と九音について行く。 ドアが開かれると、外気と異なる空気の流れ。
今度の部屋には窓からわずかな外明かりが見て取れるが、そんな事より何よりロープ。
「――は? …え、あれは―― え、ナマ…? いや… え、コレじゃん。」
思わず、自分がそれを幻視しているのかと思う。
しかしそこにぶら下がった輪っかは本物で、趣き的にはもうコレのせいで良いよと言ってしまうけど。
物があるだけでは解決に至らない。
――すぅ と息を深くつき、数度。
場の訴える想いを、肉ある器で形にしようと、忘我の境地へ。
【見えたのは1d6: 1.お遊びだった、首吊りごっこだった、事故だった。2.両刀男の失恋、悲嘆に暮れて。3.彼は飽きた。狭い趣味を極め遊び疲れて、他に何も無かった。4.偽装された自死だ。5.貧困だろうか、仕事の失敗だろうか、耐えられなかった。6.ジョークだ、ここにこんな輪っかがあったら面白いだろう、ホラやってごらん。】 [1d6→6=6]
■ミホ・クギヤ > 「――ぅ… る… ま… なっ て… ほん… …の したぃ…
ぅける… マジに―― ほんもの… の… なれ… 死体。」
これウケんじゃね? エモくね? マジモンぶら下がってりゃ完璧じゃね? もうそれホンモノじゃね?
違ってたの マジになるの マジウケね? うけねうけねうけねうけね――
――幻視の中で、そう言うアンタはどうしてそうなったのさ、
何してんのさと、ケタケタ笑うシルエット男が輪をかけている部屋でお話していた。
現実では足袋に草履の足がとすりと輪の方へ向かう。
九音からは、イった目をギョロギョロさせた凄く陽気な男が巫女の頭を引っ張って行くのが見えるか。
■九音物 > 物が物、下手をすれば悪霊の仕業まで疑いたくなる代物。
こんな物を放置して解体しようとすればそれは祟りなりが起きるのも当然。
それだけの天井の梁から降りてきていた縄と言うのはインパクトが強すぎた。
身構え、霊視をする時の何時もの陣形に変わる。
幾ら宗教が異なるとしても、あんなモノを何かの手順に組み込む様な宗教があるとは思えないし実際にあってたまるかの思いもある。
チャッチャと悪霊の仕業と言う事にしてしまえば手際良く――ヤれる。
と、思ったのだが。
どうにも、おかしい。
「クギヤ?」
足音が何時もと違う。何か口に出していたが内容までは――いや。
内容全てを聞き捉える。音に、声に敏感な自分が些細な物音僅かな声音。
人の耳の可聴域を超えた全ての音を捉える聴覚に誤りはない。
故に首の動きと腕の動きはほぼ同時だ。
陽気な男のその首筋に。何も込められてはいないとはいえ黒鉄の苦無の刃が触れる様に腕を回す。
ついでなので、一応クギヤの腰に腕を回す事でそれ以上の前進はさせない様に。
「――どちら様かな?家族への手出しをする前に話し合いをしない?」
今ならまだ引き返せるよ、と。ここで人の命を奪うようなことになれば本質的に悪霊の類となる。
そうなれば大人しく成仏するなり、巫女の口にしていた守り神にするというのも夢物語になるだろう。
巫女の身長より高い位置にあるだろうか陽気な男がそれで止まれば良いのだが。
相手の目に比べれば自分の瞳は落ち着いた物。
不自然なほどに落ち着いた瞳は冷え込んだ感情を宿し、いくら死なないとはいえ家族を苦しませるつもりもない。
「クギヤ。――これ?」
呼びかける声に相手が答えるか。巫女が答えるか。
それによって対応が異なって来る。意識まで持っていかれるなら黙ってもいられない状況になるだろう。
眼に宿るのは暗い。昏い――闇よりも何も移さない汚泥の様な黒さの瞳だ。
■ミホ・クギヤ > とすり、とすり、膝が折れそうな中途半端に脱力した歩き方で、一歩、一歩、縄へと進む。
自立できないのに首で支えられて頭部を前へ持って行かれるように。
未だ虚ろな目は虚空を漂って、うわ言のように小さく動く唇からは、
死んでやるぞ、いいのか本気だぞ、本当に死んじゃうんだからなと脅迫的な言葉が聞きとれるか。
色んな感情を丸め固めて陽気にコーティングしたような狂気の男は、
霊体の朧げなシルエットで、クナイを向けられている事を理解しているのかいないのか。
それでは前進が止まらない。 だから用心するのなら斬っても良いが、まだ縄まではあと少し距離がある。
――九音の心配は他所に、巫女の意識は飛ばされる。うけるうけるうける、そんな声を聞く誰か。
3階は、大家さんち。
誰も見た事ない息子さん。大きなわらいごえが聞こえる。
大きな声で、大家さんと喧嘩もする。
搾取される労働者になるくらいなら、誰かの養分にされるくらいなら、死んだ方がマシ働いたら負け。
どうせ いつか 死ぬのなら 誇り高くこの人生を誰にも利用させないうちに。
死んでやる いいのか死んでやるぞ ほんとに死んでやるんだぞ 死んだ方がマシなんだぞ、おい聞いてんのホントだからな。
あーもうコレマジだわ 縄かけたわホントマジだわ マジ吊っちゃうわこれマジだわ。 おい誰もいねーの?
おおやさんがでていった、かたを おとして うつむいて
ウッッッズェェェェェェンだよ引きこもりの甘ちゃんがよおおおおおおオオオオオオオオオ!!!!!!
――腰を抱かれて歩みは止まっていた。その体が、ビクンと震える。
凄く陽気な男は九音を分かっていないのか、巫女の頭を掴んでギョロギョロケタケタ震えたままで。
「――違うッ! 下だ! 縄切って!」
何をどうしたのかは知らないが、主格たるこの男、あまりに動機が矮小ではデコイと違うか。
あるいはこの建物に呪いをほどこして回った何かが、この陽気な男をここまでに仕立て上げる細工をしたのか。
コレ、には違いないのだが、だからコレを斬って終わりにしても良いのだが、この男の声がよく聞こえた下の階、2-2に何かあると。
戻って来れば、頭鷲掴みの腕は振り払える。
ぅえっ とイヤな声上げてえづくけれど、懐から退散の札一枚、鳥に変じるそれが凄く陽気な男を牽制し、逃げようと促す形。
■九音物 > 【中断致します】
ご案内:「王都マグメール 貧民地区2」からミホ・クギヤさんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 貧民地区2」から九音物さんが去りました。