2023/11/02 のログ
ご案内:「王都マグメール 貧民地区2」にイェフィムさんが現れました。
■イェフィム > 貧民地区の酒場、怪しげな雰囲気の漂う酒場、周りから視線を浴びつつも知ったことじゃないとばかりに、
カウンター席にてぐいぐいと安酒を煽る、一応貴族の娘の姿が一つ。
焼けつくような喉の感覚に目を細めながら、ふ、と一つ息をついて、おかわりー、とのんきな声を漏らす。
カラン、と氷がグラスにぶつかる音を立てながらトクトクトク…、
とおかわりが注がれれば満足げにうなずき、再びグラスに唇をつけていく。
周りからは最近の景気はどうだ、奢ってくれよ、なんて声をかけられて。
「俺がいつでも奢るわけねぇだろ、自分で払え。」
けッ、と意地の悪い笑みを浮かべてゆらゆらと足を揺らしながら透明な液体を口に運んでいく。
そんな少女の返答に周りの男たちは「なんだよケチ。」と、ブーイングを。
ご案内:「王都マグメール 貧民地区2」に”徒花”ジョーさんが現れました。
■”徒花”ジョー >
ぎぃ、不意に酒場の扉が開いた。
その体躯は男にしては小さく、やや酒場には不釣り合いな空気を出している。
周囲の喧騒を我関せず。そう言わんばかりの涼しい顔で、かつん、かつん。
と、杖を鳴らしてカウンター席へと歩み寄る。
「マスター。言われていたものだ」
どさりとカウンターに置かれたのはとある村のチーズ。
上質という訳では無いが、酒のつまみに合う雑多な味がするものだ。
勿論店で出すものではなく、マスターが個人で楽しむものだ。
ありがとうよ、と店主が礼に軽く首を振った。
「礼を言われるほどじゃない。
……酒はいらないから、例のものを一杯頼む」
もののついでだ。
ついでに一杯飲んでいくとしよう。
ゆるりと翠の双眸が映し出すのは、たまたま近くにいた聖騎士の女性。
「隣、いいか?」
■イェフィム > 耳に届いたのはドアの開く音、興味本位でそちらを見れば自分より幾分か背丈の低い…かろうじて青年と言える見た目。
カウンター席へと進んでくる足音と共に杖の音が響き、しばらくの間、酒場の中の喧騒が鎮まる。
どさり、とカウンターに置かれたものを見れば、どこかのギルドの依頼か何かかと見当をつけて、
自分は酒を飲むことに再び集中していく。
ふにゃふにゃ、と、大分酒の酔いが回ってきて口元を緩ませながらの「お代わり~。」という言葉に、
店主が「そろそろやめておけ。」と視線で語っている。
けれども。
「いや~、もう一杯~。
俺から酒取ったら毎日何のために働いてるか分からなくなるだろ~。」
そうぶー垂れた声で言いながらグラスを差し出していた。
店主が呆れた顔で「これで最後だぞ。」と言ってからグラスに酒を注いでくれた。
へへへ、と緩く笑っている中、隣の席が引かれたのを見ればこてん、と首をかしげて。
「ん?ああ、隣、いいぞ、いいぞ、飲もうぜ。」
さぁさぁ、とばかりに席を勧め始めた。
目元をすっかり薄ピンクに染めて、金色の瞳をとろりと蕩かせて、
にへら、とゆる~く笑って見せた。
■”徒花”ジョー >
翠の両目に映るのは随分と"出来上がっている"。
此処は酒場だ。酒に呑まれるにも、夢にうつつを抜かすのも自由ではある。
ただまぁ、年端も行かない女性が、特にこの国でこの有様なのは思わずため息が出た。
「感謝はするが……随分と飲んでいるな。
帰りの算段がついてるなら結構だが、飲みすぎるのはやめておけ」
だからつい老婆心でご忠告。送り狼なんて何処にでもいる。
静かに隣へと座れば、手に握った杖は足元に立てかけておいた。
程なくして、ジョーの眼の前に置かれたコップ。
中の液体は透明で少し甘い香りがする。酒の匂いはしない。
「……お前、水分は取っているか?
マスター、酔い潰れる前に水の一杯でもくれてやったらどうだ?」
アルコールばかりでは体に悪い。
マスターに顎で促し、彼女に水をいっぱいやるように促した。
■イェフィム > ほろ酔い、というには大分行き過ぎである。
ふへへ、と笑いながらカラン、とまたグラスを鳴らして酒をちびちびと煽る。
それを見て明らかに“狙った”目つきをしている男も店の中にはいることだろう。
だが、当の本人はそれを全く気にする様子は無い。
「ん~?まぁ、帰りの算段はどうにかなるから大丈夫よ。
まぁまぁ、硬いこと言わずに、せっかく飲める機会には楽しく飲みたいじゃん?」
お兄さんも優しいねぇ、と、上機嫌そうに言いつつ、
すん、と小さく鼻を鳴らして青年の前に置かれたものがとりあえず酒の匂いはしないことに、
「飲まない人?」などと訊ねてみる。
「野暮なことは言いっこなしだよ~…。
っと、マスターもひどい、俺、なんだかんだ言って酔いつぶれることは無いでしょ。」
それでもダメ、とばかりに目の前に置かれた水。
ぶー、と唇を尖らせつつ、仕方なしにチェイサーとして水を口に運ぶ。
そうすれば、酒ばかりだった身体は確かに水分を求めていたのか、
ぷは、と小さく声を漏らした。
■”徒花”ジョー >
静かにコップを持ち、中の液体を揺らして口につけた。
するりと入る爽やかさ。ほんのりとした甘みが舌を撫でる。
何時までも忘れない思い出の味。喧騒とは真反対の、静かな飲み方。
「俺には無計画のように見えるがな。本当にあるなら別に良いが……
……お前の言うことにも一理あるが、一時の感情に任せていると後悔するぞ」
「二日酔いとかな」
無礼講。酒場の喧騒は遠慮なし。
そういった宴の空気は理解している。昔はよく入り浸った時もあったからだ。
だが、それはそれ。これはこれ。今と昔は違う。
特にこの付近の治安はお世辞にも良いとは言えない。
透明な液体に映る鬱蒼とした表情が、更に気だるそうに眉を潜めた。
「優しくはない」
それだけははっきりと否定した。
「お節介だと思われても結構。酒も嫌いではないが、必ず一杯はこれを飲むと決めている。
……新鮮な水に僅かな果汁を絞ったもの。お前も飲んでみるか?」
シンプルかつかなり安価で酒場には似つかわしくない飲み物だ。
だが、この一杯はどんな飲み物よりジョーにとって価値がある。
ゆるりと横目で彼女をみやり、そう訪ねた。
■イェフィム > 静かにその一杯を飲む姿は自分とは真逆、静かに、思い出に浸っているようにも思えた。
喧噪の中、此処だけ少し世界が違うように感じるような気さえした。
「いいのいいの、どうせ気にする奴なんていないからねぇ。
この後、適当な奴とベッドを共にすることになっても、
それこそしばらく帰らなくったって大丈夫だからさ。」
んく、と喉を鳴らして酒を飲んで、入れ替わりに水を飲んで、
「二日酔いってなったこと無いんだよな~、どんな感じだろ。」
ははは、と、緩く笑いながら小首をかしげてみた。
どうやらこんな無茶苦茶なの味方をしても二日酔いになったことは無いらしい、
酒飲みからしてみれば羨ましい体質かもしれないが、今、絡まれている?青年にとっては面倒くさい奴と思うかもしれない。
「そ?俺はそう思っただけだけどなァ、まぁいいや、本人がそういうなら。」
はっきりとした否定には一瞬目を丸くしたものの、
すぐにクスリと笑みを浮かべた。
「ん~?大人の考え方って感じかなぁ。
そう言われたらなんか美味そうに思えるし、俺にも一杯貰えるかな?」
そう言ってマスターに尋ねる。
その言葉の続きに「これで終わりにするからさ。」と付け加えれば、
渋い顔をしていた店主も無言で果実水を差しだしてくるだろう。
そして自身はしばらくその香りを堪能している。
安酒に比べて大分心地よい香りだと。
■”徒花”ジョー >
「確かにそうだろうな。そう言うからには、余程お前の知り合いは冷たい連中ばかりらしい」
仮に送り狼に食われても気にしない。
確かに、よく聞く話だろうが心配すらしないとは甲斐性もない。
ごくり。果実水を飲み下し、静かにコップを置いた。
「だがな、俺は気にする」
ふぅ、と一息つき。
「お前とは酒の席で出会った一期一会。
……だが、帰り道に何かあったと知ると、寝覚めが悪い」
「……うんざりするがな。今のこの国では、よくあることだ」
欲望のはけ口の為に他人が犠牲になる。
斜陽に入りかけ、腐敗の進むこの国では嘆かわしいことに珍しくないと来ている。
言葉通り、辟易とした表情のまま首を振った。
酒の縁とは言え、知った仲の凌辱は酒も寝覚めも悪くなるもの。
「……知らないなら幸せなことだ。知らなくて良いこともある」
人によっては後悔する頭痛の地獄。
知らないなら知らないでそれに越したことはない。
果実水の香りは芳醇なものだが特別なものではない。
市場でもよく並ぶような安価な植物。料理にも食卓にも使われる。
何一つ特別ではない、素朴な飲み物だ。
味だってほんのりと甘い水。何一つ、特別ではないなめらかな味。
「お前よりはずっと長生きしているつもりだ。
……もの好きだな。大したものではないが、まぁ、普通の水よりは味がある。飲みやすいだろう」
■イェフィム > 「そうかな~、でも他人のことなんて気にする奴のほうが少ない気がするけど…。」
あの冷たい家の中、気にする奴なんて居ない。
狼に食われようと、それこそ本当の意味で食われようとも。
「………ふは。」
小さく笑った。
「お兄さん、不思議な人だねぇ。
一期一会と言えばいい言葉に聞こえるけど。
なんていうか、難儀な人にも思えるけど、俺はお兄さん見たいな考え方嫌いじゃないよ。」
それじゃあ帰り道はしっかり帰ろうかな、と、ケタリと笑う。
その言葉で最初はまともに変える気も無かったと窺い知れるだろう。
送り狼に襲われる以前の問題だったと。
「知らないから興味はあるけど、確かになりたいとは思わないかな。」
二日酔いの地獄を知らないからこそのんきに笑う。
まぁ、その反面、起きたら知らん家のベッドでした的な修羅場は味わったこと多数だが。
それと似たようなもんかな、と思っておくことにしよう。
水と入れ替わりに置かれた果実水の香りを楽しんだ後、くぴり、と小さく一口それを口にする。
のどを潤す冷たい水に、ほんのりとした甘い味が重なっていて、わずかに目を細める。
特別な感じは感じない、けれども…。
「へぇ、そうなんだ。お兄さん確かに落ち着いた感じだもんね。
ん、素朴な感じがして美味しいね…。
飲みやすいって言うか、家ではこんなふうに水を飲んだこと無いからなぁ。
俺としては結構好きかも。」
ぺろ、と赤みが勝った唇をなめとりながらふひ、とまた小さく緩く笑う。