2023/08/13 のログ
ご案内:「王都貧民地区/炊き出し会場裏手」にマーシュさんが現れました。
■マーシュ > 神餐節の最終日、といえど炊き出し自体は定期的に行われている。
単にその規模の違いではあるのだが、炊き出しの内容も普段の内容よりも立派なのはこの時期は喜捨として、食材の提供も多いからか。
とはいえ、簡素な食事を賄う程度。
調理場から立ち上る炊煙と、漂う香りが食欲をそそる。
忙しなく調理場で立ち働く数人の聖職者たちの姿も垣間見える。
女はといえば、洗い桶を前にして、終わらない食器洗いの時間であった。
器自体は簡素な木製のものだが、数が多い。
洗って拭って乾かして、終わるころには次が運ばれてくる。
洗い粉を溶かした水桶にそれらを付けて、順次洗浄したら、濯ぎのために清水の満たされた桶へと流れ作業めいた手つきで移してゆく。
「────………」
水音と、食器を拭う所作と。それらを濯いで、水切り籠に重ねてゆく。
乾いた布でそれらを拭う人員もいるため一人きりの作業というわけではないのだけれど。
■マーシュ > ───その行事自体は、おおむね平和的だ。時折暴れる人がいるともいないとも聞くが、裏手にまで回ってくるような人物はそういない。
自然警備の人員は表立った場所に割かれている。
器の量が減ったころを見計らって、水桶の水を入れ替える。
当然水瓶の中は有限。──傍の井戸から汲み上げて貯めなおす。
設備の整った場所ではない。
手で行えることは手でするし、そうしなくてもいいのなら素直にそちらに任せる。
そんなスタンスで黙々と作業を進めていった。
別に余人を無視しているわけではなく、務めとして口を噤む必要があるためだ。
必要があれば声も出すし、言葉も交わす。
必要な物資の保管場所を問われたなら、一時置きとなっている物置の場所を案内した。
弛んで下がってきた袖を捲り上げると、また水に手指を浸す。
ふやけて白くなった指先が少し可笑しくて無言のまま眦を緩めつつ。
手を動かさなければ仕事はたまる一方だったのでやっぱり忙しない。
■マーシュ > 今あるものを洗い終え、一息ついたころ合いに、再び次の──となるところではあるが、斜陽に気が付けば、そんな時間もそろそろ終わりが近づくのだろう。
節の終わりをつつがなく終えられることを願いつつ、女は常の如くにただ祈りを紡ぐ作業に戻るのみだ。
ご案内:「王都貧民地区/炊き出し会場裏手」からマーシュさんが去りました。