2023/08/04 のログ
テンドン > 「んあ…っ!?」

がく、と、落ちかけていた首が起き上がる。
やばっ!今一瞬寝かけてた!!!?
油断のし過ぎにゾッと顔の血の気が一瞬失せた。
慌てたようにふらふらかけた椅子から立ち上がり、
そして懐から余り数えもせずに多目に貨幣をカウンターの上に撒く。

「つ、釣りは要らないから。ま、まずいまずい。早く終わらせて家に帰って布団に入らないと…」

背中に背負った荷物をもういっぺん揺すって背負い直しスタンバイ。
這う這うの呈、という表現がぴったりの足取りで小走りがち。
深夜営業のコーヒースタンドから離れて行くのでありました。

ご案内:「王都マグメール 貧民地区2」からテンドンさんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 貧民地区/教会」にボスさんが現れました。
ボス > 「うまい……うまい」

貧民地区の教会に並べられた供え物はほかの地区に比べると貧相なものだった。
萎びた野菜、黒ずみかけた肉、鮮度の落ちた食材ばかり。
それでもこの地区に住む者達にとっては普通、あるいは上等な部類だ。
黒衣に黒眼鏡の男はリンゴを齧っていた。難病に倒れた親を持つ、信心深い少年が願いと共に供えたもの。

「くくっ……毎年思うが、ゐおんの娘のおめこ汁で食う飯は美味い」

常人には意味のわからぬ単語が混じっているが、この声を聴ける者ならばマカリアへの明確な冒涜を感じるだろう。
黒眼鏡の奥の目は細められ、唇の端は鮫のように歪んでいる。
あらかた齧り終わると、芯だけとなったリンゴを掌で包む。手を開くと、そこには何もなかった。
少年の祈りが詰まった食物は、ほかのどんなご馳走よりもこの存在に活力を与える。

「ふむ。この少年の母は寿命が近いのか。信心に応えて、寿命を延ばしてやろう」

病を治そうという思考はない。少年は困難に直面すれば直面するほど神に祈り、信じるだろう。
男は無人の礼拝堂を見渡した。司祭たちは何か用事でもあるのか不在で、男一人だ。
この場所ならば、男の存在を感じ取れる者もいるだろうか――。

ご案内:「王都マグメール 貧民地区/教会」にエマ・リチャードソンさんが現れました。
エマ・リチャードソン > 前に魔族に凌辱された教会、それを思い出してしまうのであまり来たい所でもないのだが司教様に学院での生活を報告するという義務があるので足を運んだのだった。

「あれ……?こんにちは」

用を済ませた後祈りを済ませておこうと顔を出したら見知らぬ人が。魔物、と一瞬思ったがそうであったら逃げられるわけも無いので無駄に考えるのを止めた、なんか特別そうな雰囲気を感じはしたのたが。

「司教様ならあちらに……」

と奥の方を指さして、用事を済ませて奥の方にいると言いたいらしい。

ボス > 扉が開いて入ってきたのは少女だった。
しばし放心していたのか、人が入ってきたことにこの自称・神は反応が遅れた。
素早く顔を向けると、この区域と服装のミスマッチさに目を細める。

「あぁ、こんにちは。いや、教会の者に用がある訳ではない。そうだな……巡回に来た、といったところだ」

よっこらせ、と立ち上がると供え物を吟味し始める。
男の姿が見えるとは珍しい。なんの気なしに聞いてみる。

「君は――あまりこの地域には似つかわしくない格好に見えるが」

さきほどのリンゴ以上に気を惹くものはなかったのか。首を傾げると懐から紙煙草を取り出して指先で火を点けた。

エマ・リチャードソン > 「……? はい。」

よくわからないけど偉い人なのかな?とか解釈した模様。学院で先生が見回っているのを想像したらしい。

「私はここの奨学金で学院に通わせてもらってるんです。なのでちゃんとやってます報告をしにきました」

ふへりと緩い笑みを浮かべ。自分で頑張ってるというのが照れ臭かった模様。相手から1、2メートルのところで話していたので煙草をつけられて少しするとけほけほと可愛らしい反応を見せて。すぐに慣れるのではあるが、もともとスラムの育ちなのでタバコがそこまで苦手というわけではない。

ボス > 顔はあどけなさが残る子供だが、身体は不自然に成長している。
ただ童顔なだけという説明もできるだろうが、そうではないと男は感じていた。

「奨学金。しっかり学び、仕事に就き、還元するという仕組みか。立派なことだ。
それに――それなりに神を信じてもいる?」

少女が笑ったのをみると、つられるように微笑んでみせた。先程までの、ある種の邪悪さは消え失せている。
煙草の煙に咳き込んだことに少し眉をあげたが、吸い続ける。

「どうにも口寂しくてね。なかなかやめられん。
そうそう。神餐節に興味はあるかい?」

紙煙草にしては上等なもののようだ。人生経験の豊富な者がその煙草をみたら、この国では見ないものだとわかるだろう。

エマ・リチャードソン > 「はい!正しき行いをしてれば正しい人になれますから!」

ぐっと手に力を入れて答え。普通に信仰心は強い模様、教会であんな目に遭ったのに素直に神を信じているのは暢気というかなんというか。

「いえ、慣れていますから」

そう答えるエマ。その言葉通りにもう大丈夫そうな様子で、勿論煙草の良し悪しなんかわかっているはずがない。服装すらなんとなく立派?ぐらいなものである。

「そういうものがあるんですか?」

興味はありそうに聞く。不勉強というより年齢的なものとスラムで神事ってそこまできちんと行われないという程度の理由。

ボス > 少女の言葉には微笑みをたたえたまま頷く。
この街でその考えを保ったまま生き続けるのは難しい。

「……おや、知らないのか。詳しくは司教に聞くと良いが……
簡単に言うと、聖人マカリアの行いを称える行事だ。一般的には食物を捧げ、その食物で炊き出しを行う。
この食物を使って炊き出しが行われる。司教から炊き出しの手伝いを頼まれるかもしれないな。
あぁ、そうそう。神餐節で司教やシスターから炊き出し以外の手伝いを頼まれたなら、進んで手伝いたまえ。
神への信仰が一層、深まるだろう」

祭壇脇に供えられた食物を指さす。
続く言葉は欺瞞そのものだ。ここの司教はどうか知らないが、女子供を誤った道に誘う聖職者は多い。
この少女がもしそうなったのならば――信仰心は強まるだろう。そう見越しての言葉。

エマ・リチャードソン > 「はい!頑張ります!」

素直で元気に答えるエマ。性的な奉仕を要求されているなどという意味は想像もしていないのが見てわかるだろう。

供えられている食べ物を見るとほんの少し眉が曇った。エマはこれがスラム基準で良いものであることを知っているし今自分が食べているものはもっといいものであることもわかっているのだ。だからご奉仕はきちんと頑張ろうと思う良い子で。

ボス > 快活な返事は穢れを知らない子供のものにみえる。
だが、男の目には少女が過ごしてきた姿が映る。ほぅ、と感心するように呟く。
表情の変化を認めると軽く首を振った。

「気にすることはない。信仰篤き者達のものだ。
貧富を問わず、この行事は行われる。君もよく学び、食材を寄付できるようになるとよい」

建物の奥から人が動く音が聞こえた。少女が言っていた司教とやらだろう。
あの者は男を認識できなかった。この場に留まると少々ややこしいことになるだろう。

「さて、では私は他の場所に赴くとしよう。
君も司教に報告に行くがいい……『少年』」

そう言うや否や、男の姿は霞のように消えてしまう。後にはただ、少女が一人残されるのみ。

エマ・リチャードソン > 「あ……はい」

ばれてる。と思ったものの偉い人なんだろうな、という最初の解釈に戻ったようで。ぺこりと頭を下げるともう用は済んでいるのでエマも教会を立ち去った。

ご案内:「王都マグメール 貧民地区/教会」からエマ・リチャードソンさんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 貧民地区/教会」からボスさんが去りました。