2025/01/02 のログ
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ご案内:「王都マグメール 貧民地区」にゲルバさんが現れました。
ゲルバ > 「うー冷える冷える」

 冬の寒気が立ち込める、日当たりの悪い貧民地区。その更に薄暗く寒い路地裏で、黒ずくめの太った小男が前日の宴会の片づけに勤しんでいた。認識阻害能力により、それこそ王城からタナール砦にまで紛れ込める男だが、その分きわめて雑に用事を押し付けられがち。
 今日も酒場兼娼館の主から「おい、そこの。やっとけ」とゴミの山を指さして言いつけられ、一日がかりで働いているのだった。

「こういう寒い日は……へへへへ、良い女が欲しくなるなあ」

 ゴミに出された赤紫色の布切れを棒切れで器用に掬い取る。娼婦のものと思しき下着の残骸ににんまりと笑った後、それをぼろぼろの袋に放り込んだ。雑に押し付けられる仕事を適当にさぼりながらこなす男は、路地のあちらこちらに目を向ける。勿論、太った小男に誘惑されるような良い女などいようはずもない。美女からは無視され、嫌悪されるだけならまだマシで、「いやらしい目で見た」などと言いがかりをつけられて暴力を振るわれることも珍しくない。
 しかし世の中には不運な女性がいるものだ。様々な理由で、ついうっかり貧民地区の路地裏に足を向けてしまうこともあるだろう。そしてそういう不運な相手を毒牙にかける卑劣な手段を、この男はローブの下に隠し持っていた。

ゲルバ > 幸運にも、卑劣漢の犠牲になる憐れな美女は現れなかった。少なくとも、今日は。仕事に一区切りつけた黒ずくめの小男は、給料を受け取りに娼館の裏口へ入っていった。
ご案内:「王都マグメール 貧民地区」からゲルバさんが去りました。