2024/06/01 のログ
ご案内:「王都マグメール 貧民地区/城壁外側」にリーベンさんが現れました。
リーベン > 「まいったな……」

魔導機械の搭乗口、その真下に折り畳みの椅子を置いて受取人を待っているのは禿頭黒髭の大男。
短剣が入る程度の細長い箱を手に持っており、そこからウィンウィンと駆動音――振動音?がする。
荷物を受け取った時にはこんな音はしていなかった。街道を移動中、轍に車輪をとられて揺れた時に何かあったか。

受取人には中身を確認してもらわねばならない。
梱包は男の仕事ではない。多少揺れたくらいでこんな状況になるのは荷主が悪いのだが、受取人にその論理は通じない。
破損していたら持ち帰って荷主に相談することになるだろう。受取人が誰かわからない、ということが男の不安を煽っていた。
割符を持っている受取人に渡してほしい、としか聞いていない。男か女か、そもそも人か亜人かも知らされていないのだ。
受取人は到着時刻から二時間以内に取りに来る、こなければ荷主に返却――そういった妙な依頼も男は請け負う。

ぎしりと折り畳み椅子が軋む中、男は目を閉じてただ時間が過ぎるのを待っていた。