2024/03/16 のログ
■メアリ > 「……んん、これいつまで待たされるのでしょうか。」
貧民地区の一角、目が痛い程のけばけばしいネオン輝く娼館の前で、腕を組みひとり壁に寄りかかり
立つ女は、困った様に眉根を寄せながらため息を付き、小さく独り言を零す。
護衛任務のため雇い主と共に夜の貧民地区にやってきたのは良いものの、当の雇い主は己を一人置いて
娼館横にある建物の地下へと入っていった。
少し待っていろと言われたからてっきりすぐに戻ってくるものとばかり思って大人しく待機していた
ものの、待てども待てども依頼主は帰ってこない。
体感的に既に一、二時間ほどは余裕で経過している様な気もする。
その間、娼婦と間違われ数人の男から声を掛けられるわ絡まれるわ、そのせいで娼館で働いているのであろう娼婦達から睨まれるわで居心地も悪く。
横から睨みつけてくる見目麗しい女性の鋭い視線に気付かないふりをしつつ、どうしたものかなぁ、と空を見上げ
ご案内:「王都マグメール 貧民地区」にアルマさんが現れました。
ご案内:「王都マグメール 貧民地区」にダッチさんが現れました。
ご案内:「王都マグメール 貧民地区」からダッチさんが去りました。
■アルマ > 王都に幾らでもいる野良犬に擬態する。
元はオオカミをベースとしたキメラの魔獣にはお手の物だ。
それに元々はこうして人のいる場所に入り込み、其処で行動を起こすように色々と弄られており、今は無害なる野良犬のふりをして、都合のいい場所と都合のいい獲物を探し彷徨っていた。
鋭い嗅覚と過剰に設定された本能。
鼻先を持ち上げてヒクヒクヒクと鼻孔を動かす度に嗅覚を刺激する甘ったるい女達の匂いに誘われ、貧民地区でも格別にネオン輝く娼館の方へと入り込んでいた。
オオカミをベースとして様々な情報を混ぜられて生み出されたキメラの魔獣にとって娼婦であろうが、何であろうが、種族問わず雌であれば構わない、だから此処は己にとって獲物を得やすい都合のいい場所だと感じているのだが、嗅覚で捉えた匂いの中に、少し色の違った匂いを感じて、その匂いの下へと向かう。
そこに居たのは娼婦よりも香は薄いが『力』を持っている匂いのする女が一人、腕を組み、壁に寄りかかり、空を見上げているその女こそが匂いの元のようで、するするっと人の合間を抜けて、その女の前までたどり着くと、ぺた、と座り、その顔をその体を品定めするように見上げる。
青色の瞳に対して魔獣は青を煮詰めたような黒色に近しい眼を向け、尻尾も振らず、ただただジーっと見上げていた。
眼の色によく似た青黒い体毛の魔獣。
人々は野良犬とみているか、誰も見向きもしないだろう。
■メアリ > 「……?」
己を睨みつけていた娼婦もいつの間にか客引きに戻って行ったようで、隣からいなくなり、少しばかり居心地の
悪さもマシになって無意識に安堵の息を零した。
その時、ふと足元に近付く何かの気配を感じる。
なんだろう、と視線の先をそちらに向けると、そこにいるのは野良犬で。
ネオンの色を反射しているせいでその黒の毛色に青が混じっていることには気が付かなかったが、一見野良犬
にしか見えないその姿から僅かに感じる魔獣と似たような気配に怪訝そうな視線を向ける。
一人の女と一匹の野良犬がじっと見つめ合う妙な光景が生まれて――――
無害そうには見えるが、己自身の勘がその存在に何とも言い難い違和感を覚えている。
数秒ほど野良犬と見つめ合いながら悩めば、そちらに手を伸ばしてその身体を抱きかかえようとするだろう。
僅かな違和感ごときで警戒し過ぎだろうかとも思うが、万が一もありうると思い
叶うならば、人通りのないような場所までこの野良犬を連れて行こうとして。
■アルマ > それは喰らうべき肉か。
あるいは貪るべき肉か。
それとも一つの存在意義を満たせる肉か。
生存するための栄養へと変える程度の肉なのか、その胎を使い己の存在意義を全うする為のいい肉か、自らを肉体を装具へと変えて、力を振るわせるに良い肉か、オオカミをベースに人をまぐわえるように、人と意思の疎通が出来るように製造されたキメラ型の魔獣は視線の先の女がどれに相応しいかの品定めをしている。
体毛も瞳も貧民地区の闇に溶けてしまいそうな色であるが、眼に込められた己の存在意義を全うする為に鋭くも真剣な眼差しを注ぎ続け、足先から腰までも見上げて、あるいは見下ろし、胸元も口元も似たように視線を這わせるように往復させるが、最後にはピタっとジッと女と見つめあうところで視線は止まるのだった。
「…………………?」
声帯が不完全なので言葉を話すことは難しいが、視線の先の女の行動には少し不思議そうな表情をして見せ、伸びてくる手に警戒も示さずに素直に収まってしまう、己でも不思議な程にすんなりと、だ。
持ち運び便利、とかではなく、女に見合う武装になったわけでもなく、何故か運ばれていく、あばれもしない、抵抗もしない、ただただ連れていかれる魔獣。
魔獣自身もそれが不思議でしょうがないのだが、結果としてこの女を調べつくすにちょうどよい場所があるなら、この場でなくても……と、運ばれるさ中、その途中で色々とあきらめるのだった。
野良犬に擬態してるわけで、暴れたら野良犬ではないと判別されて、武力にさらされる危険もあるから、という判断も少しある。
ご案内:「王都マグメール 貧民地区」からアルマさんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 貧民地区」からメアリさんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 貧民地区」にタマモさんが現れました。
■タマモ > 王都マグメール、貧民地区。
言うまでもなく、この王都内の地区の中で、最も治安の悪い場所だ。
…まぁ、そうは言っても、どの地区だって何かある時は、あるものである。
そうした意味では、どこに居たって変わらない、とも言えるだろう。
さて、そんな前置きは良いとして。
あえて、この地区での行動を決めたのは、いつもの気紛れだ。
貧民地区とは言え、それなりに人の行き交う大通り。
今回は、その大通りのどこかに、少女は軽く罠を施した。
大通りの片隅にある、ちょっと一休み、とか出来そうなベンチの一つ。
そのベンチの足元の影に、そこを踏むと影の中に引き込む、と言った感じのもの。
引き摺り込まれた犠牲者、その先に待つ運命は…
仕掛けたのが、この少女であれば、分かる者には安易に想像出来るだろう。
■タマモ > ちなみに、それを仕掛けた本人は、と言えば。
その場所が良く見える、建物の屋根の上、そこに腰掛けて眺めている。
片手には露店で買った包みが一つ、もう片手にはコップ。
包みの中身はいくつものパン類と、コップの方は変わらずに果実ジュースだ。
紅茶の方が合いそうではあるのだが…待ちながら飲む、と考えた上での選択である。
温かいまま、食べ終えられる環境ならば、紅茶だろう。
しかし、冷めてしまう確率の方が高いのだから、正しい選択だった…はず。
「ふむ…さてはて、引っ掛かるかどうか、じゃろうなぁ。
誘うならば確実じゃろうが、それは妾の拘りに反するしのぅ」
視線の先のベンチを眺めたまま、あむ、とパンを一齧り。
少女の仕掛けの拘りは、意識的にでも、無意識的にでも、流れに流され引っ掛かるのを釣り上げる事。
時に、自ら誘う時もあるが、それは仕掛ける前に、面白そうな者が目に入った時だけだ。
だからこそ、無駄になる事も多い。
もっとも、少女自身は、それ自体も運の勝敗と考え楽しんでいるのだから、良しとしておこう。
ご案内:「王都マグメール 貧民地区」にシルヴァさんが現れました。
■シルヴァ > 王城での使命を終え、見回りも兼ねて変える途中に踏み込む貧民地区。
軽い見回りのつもりだったが、途中で気になる物を見つけ、さてどうしたものかと近づいていく。
一見すればなんともないただのベンチだが、そこに残る微かな気配に覚えがあり首を傾げて見つめる。
「さて、どうしましょうか\」
ただ見つめているだけでは仕方がないと考えを纏めるとぽつと呟く。
覚悟を固め、一瞬だけ難しい顔をした後で眼の前のベンチに座る。
ベンチには何事もなく座れた事で安堵し気を抜いた瞬間に襲いかかってくる影、気を引き締め直すよりも早く、手足を取られてベンチに括られてしまい球状にに影に包み込まれ、ベンチごとその場から姿を隠す事になる。
どこに行ったか、途中どうなって次に姿を表すのか、全ては罠を張った者の気分次第、そんな事も分からずに攫われてしまう。
■タマモ > 「………ん?」
ぴくん、少女の耳が揺れる。
視線の中に、仕掛けに近付く人影、それがちらりと見えたからだ。
ただ、少女の反応は、それだけによるものではない。
その人影、良く見れば…記憶にあるものだった、と言うのもあるからで。
まぁ、それでも良い。
今回の狙いは、それに引っ掛かった相手を…と言うものなのだから。
周囲からは、ベンチに腰掛け、次には姿を消した、そんな人影に気付く事もなかっただろう。
その光景を見終え、よいせ、と腰を上げる少女。
消えた人影の後を追うように、その少女の姿も、次の瞬間には消えているのだった。
ご案内:「王都マグメール 貧民地区」からシルヴァさんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 貧民地区」からタマモさんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 貧民地区」にキールさんが現れました。
■キール > 春の訪れを感じさせるやや肌寒さを感じさせる気温の中、
貧民地区を悠々とした足取りで闊歩する巨躯の大男。
高い身長に分厚い体、はだけた胸元から除く筋肉と、どこと無く暴力の匂いを漂わせているが故か、からまれることもなく平民地区でも歩いているかのような気楽さ。
これから、どこに向かうか、自分がオーナーに居座った店にいくか、はたまた、違う店を開拓するか、女を見つけてよろしくするか、はたまた喧嘩にでも興じるか。
細かいことなど決めておらずただ気の向くままに貧民地区のやや淀んだ裏通りを歩いている。