2024/02/29 のログ
ご案内:「貧民地区 雪の日の路地裏」にティカさんが現れました。
■ティカ > 噛み合う鋼の奏でる耳障りな高音が残響の尾を引いて灰色の曇り空に消えた。
粉雪の降る午後の路地裏、鮮血の飛び散る積雪にうめき声を漏らして倒れ伏す4人の男と、その中央でふらつきつつも二本の足で立つ赤毛の少女。
「―――はあっ、はあ…っ、お、お前らみたいなサンピンに、いつまでも好き勝手させるかよバァカ! 次に突っかかって来やがったら、今度は容赦しねぇからなっ!」
武者震いの余韻か遅れて訪れた恐怖の発露か、勇ましく放った啖呵は小柄な体躯と共に小さく震えていた。
既に顔なじみと言える程に繰り返しティカを弄び、そのなけなしの金を奪ってきたスラム街のチンピラ4人。
今日もへらへらと絡んできたのを不意打ちの一撃で殴り倒して始まった1:4の小競り合い。最終的には武器まで抜いた戦いの勝者となったのはティカの方だった。
当然、無傷というわけには行かなかった。
こめかみからは出血しているし、腹部や背中、二の腕に太腿などに打撲の後も見受けられる。
執拗な殴打を受けた腹部は色濃く青痣が浮き、肋にも罅くらいは入っているだろう。
それでも勝った。
これまではどう抗っても一方的にティカを嬲って来た男達についに勝ったのだ。
■ティカ > 立ち去り際、憎々しげな表情でこちらを睨む男の頭部にガツンと蹴りを入れる様はもうどちらがチンピラだか分からぬ有様。
元は貧村で慎ましく生きていた少女が、今やスラムの流儀にすっかり染まってしまう程暴力の世界に身を浸していた。
「――――……へっ、ざまぁ見やがれってンだ。舐めやがって。あたしはてめぇらと違って毎日鍛えてモンスター共と殺し合ってんだよ。街ン中でぬくぬく弱いものいじめしてるてめぇらに負けっかよ」
未だ落ち着かぬ白息とぶるぶる震え続ける小さな拳を持て余しつつ、気を抜けば崩れ落ちてしまいそうな歩調を悪態の呟きで叱咤しながら大通りを目指す。
この状況で別のゴロツキに目を付けられたなら、流石に今度は敵うまい。
早々に自由を奪われその場でいきなり突っ込まれ、後は連中が飽きるまで滅茶苦茶に弄ばれる。
運が悪けりゃ塒に連れていかれて、延々とクズ共の肉便器。実際、王都に来てからティカは何度もそういう経験をしてきた。
負けん気の強そうな子猫を思わせるチビでありながら、双丘は大きく膨らみ、尻や太腿にもむっちりと肉の乗った体躯は男たちにとっては実に嬲りがいのある獲物なのだろう。
捨て鉢な気分でかまうものかと思う。
どんな目に合おうが最終的には今日ぶっ倒した連中みたいにきっつい反撃を喰らわせてやる。
「へへっ、見てろよ。いつかぜってぇてめぇらも見つけ出して、一匹残らず皆殺しにしてやるからな……」
昏い笑みを浮かべた小躯が不意に紅瞳の焦点を失してふらり。
傾いだ肢体はそのまま雪の上へと――――。
ご案内:「貧民地区 雪の日の路地裏」に鼎さんが現れました。
■鼎 > 貧民街は用事がなければ訪れることはない場所でした。
何時もの探し物をしに王都の貧民地区に訪れた際にどこかの路地裏より
ごろつきか盗人か猫の餌の取り合い喧騒か何れか定かではないが、
宜しくない音がほうぼうより聞こえたり、何かが崩れたり言えぬ闇取引などがあるなど定かではない場所、
若しくは血と暴力と欲情満ちる地か、ここでもないかと灰色のフードを被ったとある冒険者?は視線を泳がせ歩く。
そうして路地裏から路地裏へ歩いていた際にごろつきが4名と朱色の少女が雪が積もった道に倒れ伏しているのを見かけ、
思わずあちらこちらと視線を向けて警戒は忘れずにしつつもごろつき共より生死は何れかとその朱色の少女の横にしゃがみ様子を窺おうと。
「もし。大丈夫ですか?」
■ティカ > 降り続く雪でマントの赤を白く塗り替えつつある少女戦士は、危険な眠りに落ちかけていた意識を同性の声音に引き上げられた。積雪のシーツの上、横向きに突っ伏していた童顔が弱々しく震える睫毛を持ち上げ、ぼんやりとした視界に銀髪と桃色瞳の可愛らしい顔立ちを捉える。
「――――ハっ。これが大丈夫、そうに見えるっつーのなら、あんたの目は、相当な節穴……だろうぜ……」
スラム街での危機的状況において、色欲滾る男ではなく自分と同年代と思しき同性に憂患の声を掛けられてなお、最初に発するのは憎まれ口。とは言え、起き上がる事すらままならぬ憔悴はその声音を随分と儚げに響かせた。
まもなく日も落ちるだろう。
このまま捨て置かれたならば翌朝には凍死しかねぬ状況なれど、それでも軽々に弱味を晒せないのは、親切面して近づいてきた相手に騙された覚えも少なからず持ち合わせているから。
■鼎 > 意識がないのであれば有無を言わせず見た目にそぐわない怪力でもって
お姫様抱っこではなく俵担ぎのように屋根のある場所にもっていこうとしていた。
意識があるかどうかを見定めようと朱色の少女を揺すったりしていない。
揺すったら色々と傷だらけに見える少女の容体が急変したら大変なことになるかもしれないという意味で
横向きに突っ伏していた朱色の少女が声掛けに反応するように身じろいだので膝をつき見下ろすのは変わらなかった。
「おや、意識があってよかったです。緊急は要してはないようですが動けますか?
失礼、質問がよくないですね、名を知らぬ貴女様におかれてはどうしてほしいですか?
ここで出会ってしまった縁もありますのでただ見捨てることは情義が許しません。」
日が暮れるとここは冷える、ましてや雪が降り冷えて翌朝には物言わず凍死体がごろつき4名+この朱色の少女が追加されそう。
不可解なのはスラム街なのに朱色の少女と似たような見た目なのに隙を狙って新たなごろつきが追加されてこないこと。
ここはとても静かでした。
■ティカ > 「動けんなら、こんな、とこで、はぁ…、はぁ…、のんびりお昼寝、なんざ、してねぇ、よ」
自分だっていつ襲われてもおかしくないだろうスラム街の裏路地で、生意気な行き倒れを相手にしているとは思えぬ淡々とした問いかけ。
妙な女だ。
けれど、情義が許さぬというその言葉に嘘は無いように思えた。そうであってほしいという願望がそう誤認させただけだとしても、このまま置き去りにされるよりは幾分マシな未来も見えよう。
「―――――――――悪ぃが手を……貸してほしい」
ぐずぐずと答えに迷い、閉ざした瞳と歪めた眉根で不服を滲ませた後、再び持ち上げた目蓋の下から覗かせたのは助けを求める懇願の色。
見知らぬ他者に貸しを作るのを良しとせず、しかし、生き残るためなら泥をも啜る。悔しさと気恥ずかしさの中にそんな覚悟も滲ませた紅色の瞳が銀髪の少女を見上げていた。
■鼎 > 「そうですわね、スラム街では弱き所あらば剥いて死体となせ、が
罷り通る危険満ち溢れた血と暴力と欲の世界。昼寝、空模様を見るに夕寝かもしれせぬが
ここは冷えてしまいます、物言わぬ死体になる事想像もつき」
淡々と言葉を言う少女は朱色の少女を見下ろしながら手は出していない。
一般的な王国平民のような態度ではなく寧ろ貴族のような態度だった。
朱色の少女がどうしてほしいという答えを持って事を起こす事と致す。
手助けをしてもよいという許可はとれたように聞こえた、『承りました』と呟き目礼するように瞼を伏せまた開く。
「座りますか?若しくは治癒が先でしょうか」
倒れている朱色の彼女に質問は続く、体を起こし地べたではなく路地裏にありがちの木箱に座る、
もしくはこめかみを筆頭にあちこちから痣が見えることからその治癒が先かという質問を向け様子を窺う。
■ティカ > 「だから、好きで、寝転がってンじゃあ、ねーんだよ! ……ッ痛ぅ」
平坦な声音はそのままに恍けた事を言う彼女。
思わず普段の調子で噛みつくも、荒らげた声音が痛めた肋を刺激して小躯を強張らせた。
「――――んあ……? ぉ、おお、あんた……治癒術とか、使えんのか。だったら頼む。とりあえず―――……と、頭と腹、後……んッ、こ、ここんとこ……。治してもらえりゃ、多分動けるように……なると、思う」
『とりあえず起こしてくれねぇかなぁ……』と思うのは、比較的常識的な願いではないだろうか?
どうにもズレた所のある少女に、もしかしたら頭の病気とかあるんじゃないかなんて失礼な感想を抱きつつも、この場での治療の申し出には猫目の紅を丸く広げて喜んだ。
どうにかこうにか雪の上でうつ伏せの身体を転がして、少女に患部を示す。
ようやくかさぶたの出来始めた側頭部、変色のますます著しい腹部。
そして震える腕を持ち上げて、薄っすらと汗の残る無毛の腋と、その挙動に引っ張られて悩ましく拉げる豊かな乳房が、こちらも青黒く痣を広げる脇腹を桃色の目に晒した。
■鼎 > 「許可なく触れたら同性であってもセクハラになりますし?」
ズレていることは自覚していなさそう。淡々と答えつつも見下ろしている。
彼女から吠えられても怯えたりもしないしじっと見定めるように見つめている。
「すみません、癖ですので、色々と怪我していますね。
血は造血叶いませんのでレバー等肉は食べられるときに食べてください。
こめかみ、腹部、脇腹の骨…折れていないとよいのですが、まぁ治します。」
「Ich bete, dass seine Wunden heilen. Bringe allen Lebewesen Frieden.」
朱色の少女の許可が頂けたので有無を言わさず行動を始めた。
てきぱきと寝っ転がっている少女の上半身を起こし両脇を後ろから抱えて壁際へと持ち上げ木箱の上に座らせる。
次に手をかざし何語とか分からない言語と淡い緑色の光で瞬時に示された患部にあてがい
治癒でもってかさぶた残らず側頭部の傷が消え、変色著しい腹部もきれいな肌色へ、
罅の入った骨も治癒によって治す事叶ったことでしょう。
「これで治癒は終わりました。血は食事で増やしてください」
言い終えると少女は朱色の彼女に翳していた手を下ろそう。