2024/02/04 のログ
ご案内:「王都マグメール 貧民地区」にカーレルさんが現れました。
カーレル > 貧民地区の酒場
建物は寂れた様子であったが熱気と活気が土壁の剥がれかかった壁で隔たれた外の通りにまで漏れている
客は冒険者崩れのようであったり、外の様子を頻りに気にするフード姿であったりと、
誰も彼もが所謂ところの鼻つまみ者、といった風で如何にも貧民地区の客層といった感じである
漏れ溢れる熱気の正体はホール中央にドンと置かれたテーブルを挟んで向かい合った大男が2人、
飲み比べをしており、盃を空ける都度、金貨を積み重ねていき、最後に立っていた者が総取り、
倒れたものは酒代を支払うというルールである。当然、支払えないのであれば身包みを剥がされる
飲み比べを行う2人を囲むように出来ている人の壁は2人の勝ち負けに金を賭けている連中であった

歓声に怒声、時折、飲み比べ参加者が地面に倒れる音を肴に隅っこの方でキツい酒の入った盃を傾ける
つまみ、なんてものはこの酒場では提供されておらず、供されるものといえば、
無色透明の度数のキツい密造酒と生温いエールだけであった
注文する際に、温めてくれ、と頼むと密造酒に限って、少しだけ湯煎にかけて温めてくれる位のものである

「…酔えねえけど、腹がポカポカしてきた」

どれほど飲んだかは曖昧であったが大分、身体は温まってきたように思う
ちっとも酔えない体質であるが酩酊感以外は味わえる
それを利用して自分もかつて、酒場中央で繰り広げられている飲み比べに参加して、
小遣い稼ぎをしていたが、流石に勝ちすぎて名前を覚えられてしまい、
永世チャンピオンになってしまったのでもう小遣い稼ぎをすることは出来ない
今はただドッと盛り上がる歓声怒声を背中に盃を傾けるばかりである

「………不味いな、これ」

ポツリと零してふっと短く息を吐きだすと、おかわり、と告げ
愛想の悪いワイン樽のような女主人から程々に温められた酒の満たされた盃を受け取った

カーレル > 背後で行われている飲み比べの決着がついたらしい
大男の片方がドンという音と共にテーブルに突っ伏したと思えば歓声が上がる
勝ち負けに賭けていた者たちも悲喜交交といった様子で、早くも次は誰だ!なんて声を上げる

「元気があって良い事だわ…」

盃に残った少々の酒をぐい、と一息に飲み干して
紙巻き煙草を取り出しては先端に火を灯して、ふ、と紫煙を吐き出して
テーブルから立ち上がり、女主人に一瞥を送ればごっそさん、と短く伝えて店を後にするのだった―――

ご案内:「王都マグメール 貧民地区」からカーレルさんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 貧民地区」にアドラーさんが現れました。
アドラー > 貧民地区。
寒い風が吹く通りに面している廃屋の前に白い花を添える。
吐く息は白く、数秒後には虚空の中に消えていく。

「…今日は一段と冷えるな。友よ」

廃屋の前で屈み、祈りを捧げる。
数秒の沈黙の後に立ち上がり、そのようにつぶやく。

「故郷へ帰っていたよ。あそこに私の居場所は無いようだ」

自称気味に笑いながら、懐に入っている小さな水筒を取り出し、その蓋を開ける。
ごく、と喉を鳴らしながら一口含むと、熱い息を吐いて目を細める。