2023/09/17 のログ
ご案内:「王都マグメール 貧民地区」にゴットフリートさんが現れました。
■ゴットフリート > 夜が明けて、人々が動き始める時間。
平民地区や富裕地区ならば、市も明き始めて、日常が紡がれ始める頃合い。
けれど、ここ、貧民地区の中にはまだ目覚めない場所がある。
あるいは、もう二度と目覚めないかも知れない其処。
無計画に造られ、無造作に並べられて、棄てられた廃屋が並び
それらを繋ぐように複雑怪奇な迷路のような路地が形成される。
世間から身を潜める事情がある者、世間を捨ててしまった者
あるいは、それさえも考えられずにただ死なないだけの者
そういった者に似合う場所で、そういった者が疎らに暮らすような場所。
――空を覆う分厚い雲、曇天が似合うような場所だ。
その一角に、黒い馬車が留まっていた。
箱型の分厚い木製、黒塗りの馬車。
窓に当たる部分にまで黒い帳を下ろして、偏執的に中を覗かせない構造。
華美な装飾など一切施してはいないが
この地区には似合わない質の良い素材で作られ、立派な馬を二頭繋いでいる。
御者台に本来あるべき御者の姿はなく
まるで捨てられたように――否、来たるべき主を待つように。
「何度来ても――死んでるなこの場所は」
馬車の傍にあった扉が、開く。
独り言ちながら、大きな初老の男の姿――これも廃屋に似合わない姿が歩み出てくる。
曇天とはいえ、朝の光。それに目を慣らすように一度、二度瞬く。
まるで、この場は己のものだというように傲岸な視線が
馬車を、そして周囲を見回して。
「それで……何か、面白いもんでもあったか?」
その場には誰もいない筈なのに、問いかける。
そんな必要なんてない筈なのに、問いかける。
―――キリ……キリ――……。
それに、答えたのは廃屋の軋みだろうか。
あるいは他の何か、歯車が軋むような音。
誰か、何かを見つけたのだろうか――それとも、そんな彼“等”を誰かが見つけるか。
■ゴットフリート > ――結局、何かを、誰かを見つけることは叶わなかった。
「まったく――」と毒吐くような声を零せば
馬車に向かって足を進めて、扉を開く。
音もなく扉、足をかければ、重みで箱が軋んで揺れる。
姿なき御者が手綱を振れば――その場にそぐわぬ馬車が走り出していく。
あとに残るのは、何も変わらない棄てられた街の姿――。
ご案内:「王都マグメール 貧民地区」からゴットフリートさんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 貧民地区」にセーレさんが現れました。
■セーレ > ふわり、ふわりと、宙を浮かぶ小さな影。
小さな子供程度の小柄な人影が、まるで重力など存在しないかのように空中に浮かんでいた。
その目下にあるのは王都マグメールの街並み。
白い翼を羽ばたかせて宙に舞うその様は、まさに天使を思わせるような光景だった。
しかし、その表情には笑顔どころか感情すらも感じられない。
ただただ無機質で無表情なまま、彼は眼下に広がる街を見下ろしていた。
やがて、その影は人知れず街の上空から姿を消す。
その代わりに、街中には一つ小さな子供の姿が一つ増えた。
優美な白いドレスに身を包み、蒼い髪を束ねた、虹彩異色の子供の姿。
その容姿には不釣り合いな、貧民街の路地裏でそれは暢気に鼻歌交じりに歩いていた。
■セーレ >
それは自ずから何かをするでもなく、ただただ気ままに歩き回って、時折その視線で人の姿を追いかける。
そして興味を失えばまた別の所へと足を向けて……そんな事を飽きることなく繰り返していた。
まるでそれは、何かが起きる事を待つように。
あるいは自らに引き寄せられるものを待ち受ける撒餌のように。
それはただ、にこやかな笑みを携えて歩き続ける。
■セーレ > ……やがて、日が落ち始めた頃。
薄暗くなり始めた貧民街の中で、少しだけつまらなさげに…或いは何処か安心したような含みのある笑みを浮かべて。
小さな子供は、ふっと路地の裏からその姿を消していった。
その薄暗い地面に、白い一つの羽根を残して……。
ご案内:「王都マグメール 貧民地区」からセーレさんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 貧民地区」にオースさんが現れました。
■オース > 貧民地区の一角の路地。
そこにある店に荷物を運び、あまり多いと言えない報酬を受け取る。
それを受け取れば路地を抜けて通りに戻り。
「これでやっと貯まった。後はこれを元手にしてー」
この報酬を元にして商売をして稼ぐか、それともパッと使ってしまうかと考える。
出来れば稼ぎたいが失敗すれば空っぽ、それを思うと使ってしまうのもあり。
それを考えればどっちにしようか決めきれず。
歩いていれば決まるかも、そう考えては通りを歩いていく。
ご案内:「王都マグメール 貧民地区」からオースさんが去りました。