2023/09/16 のログ
ご案内:「王都マグメール 貧民地区」にリュエールさんが現れました。
リュエール > 王都に着てまだ日が浅い女旅人。
王都の地図を片手にして歩く旅用のローブを纏う姿。
貧民地区を根城にする不埒者には獲物に見えるかもしれない。

「ここからが境界線なのね」

少し路地の裏に入って進んでいくだけで貧民地区と呼ばれる区域に出たらしい。
ここ数日で平民地区の大まかな通りは把握できた。
そうして裏道の方に明るいうちから足を運んでいたのだが。
曲がりくねって複雑な道の先が、この区域だった。
ピンクブロンドの長い髪。明らかに連れのいない一人行動らしき女。

揉め事は日常茶飯事で、助けを求めても応じてくれる役人や衛兵は少ないと聞く。
あんまり居心地のいい場所ではないわねと、横を通り抜けてスリを働こうとする子供を避けて思う。

「……まだ浅層といったところかしら。奥の方にいけば普通の人は戻れなさそうね」

と、そんな感想を零しつつ、まだ遠くに思える城壁を見上げる。

ご案内:「王都マグメール 貧民地区」にゲルバさんが現れました。
ゲルバ > 貧民地区の悪評は今に始まったことではないが、衛兵、役人が少ないというのも悪い事ばかりではない。特に、人目を避けてその日その日を辛うじて生き、機会と見るや下劣な欲望を満たそうとするような男にとっては。

「へっ……へへへ……良いもんを手に入れたぞぉ。後はこれを誰に……ひいっ!」

太った身体を粗末なチュニックに押し込み、薄汚い通りを小股かつ早歩きで進んでいた男は、懐に入れた物をまさぐりつつ気味の悪い笑顔を浮かべていたが、ふと顔を上げた瞬間、目の前の女が意外なほど近くにいたことに気付いて喉を引きつらせた。自分の優位を確信するまでは極端に臆病な男は、慌てて後ずさり、よろめきながら頭を垂れる。

「も、申し訳ございませんお嬢様!見苦しいところをお目にかけてしまい……あ、旅の、御方で?」

醜く太ったノロマな男は、それだけで世間から攻撃され、排斥される。自身の顔を隠すようにした後、女の旅装と、手に持つ地図を見遣る。そして訊ねつつ、上目づかいになって相手の表情を窺った。

リュエール > まるで迷路のような路地を歩き、様子見程度に声を掛けてきた男たちを適当にあしらう。
しつこい輩には、相手の顔面の横の壁に足鎧の底を叩き付けヒビでも入れてやれば、すぐに撤退した。

「まったく、ここはまるで悪意の巣窟ね」

そんな風に思いながらまた道を変える。
少しすれば、そんな薄汚い通りから何かを後生大事に胸元に隠しているかのように、懐をまさぐる男がやってきた。
女旅人よりも目線が低いわりには、横には広く腹が出ている禿頭の男が、即座に土下座する様。
それを見下ろす黄色い双眸を眇めて、男の前でがしゃ、と足鎧を鳴らす。
ローブ姿の女旅人は、まるで息をするかのように頭を下げた男を怪訝そうに見下ろしていた。

「突然頭を下げられてもそれはそれで困るんだけど」

まるでこちらが脅してるみたいじゃない、と周囲に視線をやる。
普段使いするような路地ではない。誰かが見ているわけでもない。
衛兵が通りかかるわけでもないし、今はこの女と、土下座する男しかいないらしい。

「ほら、行きなさい」

明らかに"弱い"とわかる男に、女はさっさと何処へなりとも行けとあしらうように告げる。
油断と言えば油断。こんな男に自分をどうこうする力はないと判断している様子。
不意打ちなら確実に入るだろう。
ただし一度で決めなければ、男は今日一日この通りのシミになる。

ゲルバ > 「か、寛大な御心に感謝いたします。お美しい貴女様の前に不用意にも立ってしまったわたくしめに……」

這いつくばり、くどくどと詫び続けようとする男の頭上から降りかかった「行きなさい」という言葉。女からすれば何気ない一言で、むしろ優しささえあったろう。だが不幸なことに、彼女が前にしているのは危険な道具を持った、強さと美しさに恋焦がれる劣等感の塊のような男。

伏せた醜い顔が、邪悪に歪んだ。

「はいっ……はい、お嬢様。どうぞ今しばらくお待ちを。へへへへ、お、お恥ずかしい話ですが、貴女様の美貌を目にして腰が、ぬ、抜けてしまい……ひひっ」

薄笑いと共に媚びへつらう男が、懐に入れていた瓶を服の中で開けた。封入されていた液体が空気と触れ合って反応し、無色無臭の薬があっという間にその場に立ち込める。

それは、媚薬。奴隷市場都市バフートで、処女のまま性奴隷として調教する際に用いる強力なもの。清掃の際、容器にヒビが入り納品できなくなったものをくすねていた男が、今、薬を使う相手を見つけてしまったのだ。

リュエール > 「何よそれ」

腰を抜かしたという男に呆れた。
それでも手を貸してやる優しさまでは女旅人は持ち合わせていない。
見るからに怪しく、小賢しいことでも考えていそうな男だと。
媚びへつらうように見上げる視線に眉を寄せて、美しく整った顔を不愉快そうに歪める。
そこに浮かぶ嫌悪の顔がこの後どうなるのか、悪辣な思考を持つ男にはご馳走に見えるかもしれないが。

「まぁいいわ、好きなだけそこにいなさい」

起き上がれるまで付き合う義理もないと、踵を返す。
立ち込める気化した無味無臭の媚薬の空気は息を吸えば容易く女の体内にも入ってくる。
強力な媚薬の原液を直接肌や粘膜に掛けられれば再起不能にもなりそうだが。
屋内ならまだしも屋外、鼻孔や口、皮膚から浸透するには多少時間もかかるだろう。
女旅人は男の横を通り過ぎて、そのまま路地の奥へと進もうとする。

ゲルバ > 「ど、どうか、へへ、どうかご容赦を。この薄汚れた場所でどうにか生きている者の、戯言にございますれば……」

 相手からの軽蔑にますます笑みを深くする男は、踵を返して更に奥へ進もうとする凛とした女を見上げつつ、口元を隠した。

「あ、ああ、ですがお嬢様。そちらは危ないかもしれませんよ。この辺りには悪いやつらが大勢いるのです。自分の欲の為なら、あいつらは何でもします。綺麗で整えられた場所に戻られた方が御身の為でしょうな……」

 後ろ姿に向かって呼びかけるが、恐らく心変わりしないだろうと踏む。しかも、男にとっては願ったり叶ったりだ。何故なら、この先には男が塒に使っている物置がある。使う相手には滅多に巡り会えないが、女体を嬲る色々な道具が置いてあるのだ。
鼻息を荒げ舌なめずりをした後、かなりの距離を置きつつ彼女の後をついていく。薬が効いているだろう相手を襲うほどの度胸さえ、この男にはないのだ。

リュエール > 「はいはい、そういうことにしておくわね」

女旅人は、丁寧にへつらう男の言葉を適当に流す。
悪い奴らが大勢いるというのも恐らく嘘だろうと、声質から察していた。
こちらにいかれてはまずいというわけでもなく、かと言って止めるわけでもなく。
女は当初の予定通り、地図を埋める作業へと戻っていく。
男のことなどすでに頭にはなく、路地の奥へ奥へと。

色々と雑多な掘っ立て小屋やら物置やらが置いてある中に、男が言っていたような悪い奴らが大勢、の気配はなかった。
ジンジンと熱を帯び始める体に多少の違和感を持つ。
体内に入り込んだ気化した媚薬は確実に、女から力を奪い取っていき────。

そうして、悪縁なのか不運なのか、先の男が塒にしている物置の前で膝をついてしまった。

ご案内:「王都マグメール 貧民地区」からゲルバさんが去りました。
リュエール > 【移動】
ご案内:「王都マグメール 貧民地区」からリュエールさんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 貧民地区」にロゼさんが現れました。
ロゼ > 広場からの大通りを抜けて入り組んだ道に入れば其処はもう薄暗がりだ。
平民地区と貧民地区の境目にあるこの路地では、家の無いものや場末の娼婦、酔い潰れた破落戸なんて珍しくもない。
物騒な喧騒も日常茶飯で、夜ともなれば知恵の乏しい諍いがそこいらで頻発している。

――――そんな場所に女は居た。

治安の悪い貧民地区にあっても、中立を帯びた一角が存在する。それがこの酒場だった。
安酒や場末の女を求めて訪れる客の中には、一部の町民を始め傭兵崩れやなじみの娼婦、物好きな貴族もちらほらと居る。
此処で起きた暴力や痴情の縺れは、流血沙汰が起こるとすぐに腕の立つ後ろ盾が一掃しているようだ。
今夜もそう、金を払わず娼婦を抱き逃げした男が、傭兵崩れの鼻について数発腹に見舞われている。
そんなものを肴に喜ぶ周囲の客らに混じり、安く質の悪い酒を水か何かのように煽る女の表情は、だがどこか楽しげだった。
常連故かいつも決まった隅のテーブルに腰掛け、近衛を酒場の外に侍らせて毎度馴染みの不味い酒をザルの如く飲み干していく。卓上には既に空のジョッキが2つほど。

「 …やっすい酒。」

ご案内:「王都マグメール 貧民地区」にアレンシアさんが現れました。
アレンシア > 「何を言ってるんですか。こんなところに高い酒があったってラベル詐欺でしょうよ」

隣で飲む女の台詞に軽くツッコミを入れるとつまみをパクりと口に放り込み。随分テーブルマナーは身についてきたがこういう場所なので雑に振舞っていた。

「今日は売れなかったんです?」

その勢いのまま相手の顔を軽くのぞき込むようにしてからかい。貧民街育ちということもあるしこの酒場には偶に来るということもあって顔と名前ぐらいは知ってる程度の仲のはずだった。

ロゼ > 「 …アリー、あのねえ。」

むすりと眉間に皺を寄せ、悪戯に此方を覗き込む少女を愛称で呼び半眼で睨んだ。
入りびたる事が多い所為か、女一人の身で安酒を煽る親近感も相まって時折こうして酒を酌み交わす仲だ。
頬杖の指先で白金のおくれ毛をくるりと巻き取り遊んで軽く息をつく。

「 あたしがいつも男を取ってると思ったら大間違いよ。」

客を取れなかったという事実は半分正しい。
何しろ、こうもふくよかな媚態を持つ少女が傍らでは、商売上がったりである。
周囲の男たちの視線も最終的には彼女の放漫な肉体に攫われていくばかりだ。
不服気な口ぶりだが決して憤っている訳ではなく、だからだ、言い終わった唇は何処か楽し気にジョッキを啄んで。

アレンシア > 「はーい。ごめんなさい」

素直なアレンシアはそんな彼女に素直に謝ってしまう。アレンシアのそういう態度が好感を持たれているのかもしれなかった。

「私も一人なんですよね……モテないんですよー」

へふ。と気の抜けた溜息をついて。アレンシアは金を取る女ではないが男の人とエッチするのは大好き。なのは流石にばれているだろう。良い女2人でいると世の男共は声をかけにくいということなのだろうがお互いに相手のせいと思っているところが面白いのかもしれなかった。アレンシアも今日はお隣さんが美人さんですからねーなどと思っていたのだった。

「今日は結構儲かったんですよー♪」

気を取り直したように別の話題を振って。今日は冒険者家業で良いものが遺跡から出た。みたいな話を嬉しそうに口にした。今度教会に炊き出し用の差し入れ持ってくつもりです。と締めるあたりがアレンシアの人柄を表しているのだろうか。

ロゼ > 天真爛漫という言葉が良く似合う。
無きに等しかった毒気もいよいよ空になるまで抜かれてしまい、目元の険しさだって笑み皺に代わってしまう。

性に奔放、あるいは快楽主義。
お互いどうして不思議と共通点がある。
彼女がもてないわけではない。
現に近くをうろつく男達の視線が、羨望と下心入り交ざる熱っぽいまなざしとなって彼女の素肌に注がれていた。
そんな男達をいさめるように聊か冷ややかに一瞥し、残りのビールをぐびりと飲み干した。

「 ならあんなに熱心に見つめられないでしょうよ。」

―――とは、先の男達になぞらえて。
冒険者である彼女の人柄が良く表れた微笑ましい話題に唇を綻ばせ、白い泡を指の端で拭いながら相槌を打った。

「 あなた良い子よね、 あたしなら自分のためにパーッと使っちゃうわ。
 ねえ、アリー。今夜はもう遅いから、私が押さえてた二階の部屋に泊まりなさい。」

スツールから立ち上がり、卓上にじゃらりと硬貨を転がした。
二人が飲み漁った分きっかりに、だ。
椅子の背へかけた上着を撫で肩に通し、彼女の頭をくしゃりと撫ぜる。
そのまま、女は酒の友に宿を譲って近衛の待つ酒場の入口へ踵を返した。
後ろ背で振り向かずに手を振るのは、彼我のいつもの挨拶だ。

ご案内:「王都マグメール 貧民地区」からロゼさんが去りました。
アレンシア > 「あ……ご馳走様です。いってらっしゃいませ」

彼女の気遣いにふわっと笑んで。小さく手を振って見送ると嬉しそうにこくり、と残った安酒を飲み干した。

そういう気分が抜けてしまったのか一人で部屋に行くとぐっすりと寝たんだとか。何かの形でお返ししないと、などとベッドで考えてたあたりが2人の仲が続いている要因なのかもしれなかった。

ご案内:「王都マグメール 貧民地区」からアレンシアさんが去りました。