2024/04/06 のログ
枢樹雨 > 表情の変化こそないけれど、貴方が返してくれる言葉に耳を傾け、思案気に目線を伏せる妖怪。
紺の帯の前で優しく灯る蝶を、見るともなしに見遣り。

「そうなのか…。私はきっと、まほうもまじゅつも使えない。けれど、人ならざる力は持っている。
 ―――君は?君は人の持たざる力を持った上で、まほうやまじゅつを学び得とくしたのか?」

少しずつ、この国の文化に触れていたはずだった。
けれどまだまだ、知らぬことに溢れている。
此方へと真っ直ぐに、それでいて柔らかく向けられる金の瞳。
手の中の光のように柔らかく、それでいて華やかな瞳。
見つめるまま少し身を屈め、貴方が見易い様にと向けてくれた書物に視線を落とし。

「文字は、何故かわかる。読むことが、できる。…でも、知らない言葉ばかり。
 ……ここの本は、全部君のもの?私もこの数多の書物の、文字の、恩恵を得て良い?」

妖怪が身を屈めれば、長身の貴方の目線には、ちょうど薄絹に覆われた鬼角が届くか。
しかし書物に興味を寄せた妖怪はそれに危機感は覚えない。
片手が塞がっているからと、貴方が本を支えてくれるまま、開かれたページに綴られた文字を指先でなぞる。
そして少し頭を傾け、金の瞳を覗き込むよう問いかけて。

カミュ > 思案気目を伏せながら、何ともなしに見詰められる蝶は相手の右の手のひらの上で時折翼を広げたり、閉じたりしながらほんのりとその手に熱を伝えていく。

そして、ゆっくりと紡がれる言葉。男は途中で相手の言葉を下げりる事も無く静かに待ち問われれば小さく頷く。

「さて、陰陽術や異なる術で同じようにできるかもしれない。 えぇ、そうですよ。 私の本来の力ではありませんね。」

知らぬことに溢れている。男にとってはそれもまた娯楽の一つである。
男は書物に目を落とすために僅かに屈んだ少女の様子を見詰める。

少なくともちんぷんかんぷんやとっかかりが無いという事も無い様で…。
其れには小さく感心したように相手を見つめる目には笑みが浮かぶ。

「素晴らしい。 知らない言葉があれは学べばいい。 そうしていく内に知識は広がっていくのですから。
文字を知るという事が学びの基本となりますからね。」

知らない言葉ばかりだが文字が分かるという言葉に男はニコニコと微笑みながら言葉を紡ぐ。
屈んだ拍子に見える鬼の角も男にとってはそれだけで相手を避ける事も無い。
そして続く質問に男の表情は殊更和柔らかくなり、のぞき込む相手の頭に男の手を乗せ柔らかく撫で、親指で相手の目を隠す前髪を僅かに持ち上げ男も相手の瞳をまっすぐに見つめ返す。

「それでは、ここを何というか同意った場所か教えて差し上げましょう。
君と私が居るこの場所は図書館といいます。ここには、時に権力者によって曲げられることもありますが、過去から連綿と続く英知が詰まっている場所。 そして、その英知を必要なものに与える場所です。 ここにある書物は一応の所有者もいますが、学びを必要とする者のためにあります。」


学ぶ姿勢を見せる相手は男にとってどんな存在で有れ好意的な存在である。
優しく頭を撫でながら滔々と、詩をそらんじるが如く男は言葉を紡ぎ空中に図書館という意味の古語を指でなぞれば空中にその文字が揺らめきながら浮かび、説明が終われば風に乗りその形を崩し光の粒となってい消えていく。

枢樹雨 > 「そうか。それは殊勝なことだね。
 叶うなら私も、君ほどではなくとも、魔法や魔術というものに触れてみたいが――」

魔法。魔術。その言葉がどのように文字として綴られるのか。
目の前で開かれた書物に其れが記されているのなら、不思議と言葉の覚束なさが軽減される。

何かを学び、得て、使う。
それはやはり肉体をもってしてしか行えぬ事であり、妖怪の興味を誘うには十二分の要素。
その興味を満たす物が、今目の前に山ほど並んでいる事実。
それを悠々と手にし、勝手知ったると己に語ってくれる男が居る事実。
貴方が触れ、持ち上げた前髪の下。仄暗い青の瞳が期待に色付くのは仕方のない事で。

「図書館。…書物の、館。
 ―――私は、欲しい。まだ知らぬ何かや、この身が得られるすべてを。」

貴方が綴る、光の文字。読み上げられたそれを、ゆっくりと噛みしめるように反芻する。
消え去るその文字の余韻をしばし見つめると、妖怪はすぐさま貴方に視線を戻し、両肩に触れようとするだろう。
無論、片方の掌に乗る光の蝶は、再び羽をはためかせることとなって。

「またここに来て、書物を読むにはどうしたら良いだろう。
 先のように窓から入って勝手に読んで良い?」

若干前のめりの妖怪。窓からの不法侵入を恥じる事もなく口にしては、抑揚がないながらも圧を増した声で問いを重ね。

カミュ > 「長い時を過ごすのであれば、必要でしょう 学んでも、学ぶことは尽きない、そして鍛える事も終わりはない。 私たちの前には未知があるのですから。」

お没監査が軽減され始めた言葉に男は満足そうにうなずき。
触れた頭を優しく撫でていく。
男から伝わるのは蝶の生む熱よりも暖かなそれ。
タンザナイトの瞳に期待が輝く様を楽し気に見詰め。

「えぇ図書館といいます。 ふふ。 えぇ、貴女は手を伸ばすことができる。 すべての未知に対して。 たとえ手を伸ばして届かなかったとして伸ばし続ければいつかは指を掛ける事が出来ると信じて得ようとし続ける限り…。」

身が得られるすべてを望む貪欲な相手に男は心の底から愉しそうに笑みを浮かべ優しく愛おしむ様に新たな学徒の誕生の瞬間を嬉しそうに見つめる。

「人の常識やしきたりの中に身を置くのであれば忍び込むのはは否ですが、今のあなたにはまだ難しいでしょう。
人は知らぬ存在や異なる存在を恐れますからね。」

そう囁くと、男は頭の上の布の下に隠れた角を布越しに指の腹で撫でながら言葉を紡ぎ。
前のめりになり自身の両肩に触れようとする相手の掌から蝶は慌てて飛び立ち、抗議する様に相手の頭上で回るがそれだけである。
今の相手には気づかないかもしれないが…。

「私が居る時か、日も落ちて誰もいなくなった時ならば、遠慮なく忍び込んでしまいなさい。
貴女なら人に見つかることなく書物を読めるでしょう?
只人に見つからなければ貴方に気づくこともできないのですから。
そうして、先ずは学びましょう。人の常識やしきたり、倫理を。そして、人に紛れる術を。
学んでから改めて考えなさい。 正攻法で入って読むメリットと、忍び込んで万が一見つかった時に発生するデメリットを。」

ヒトならざる者が無理にヒトの作った常識やルールに寄り添う必要はない。しかしながら、その中に身を置くのも選択肢の一つ。
その選択肢を広げる為には人の常識やしきたり、倫理を学び、其れからどうするかを改めて考えてごらんなさいと男はゆっくりと言葉を紡ぎ、圧を強める相手に穏やかに言葉を紡いでいく。

枢樹雨 > 薄絹越しに頭に触れる貴方の手。
少し浮いていた薄絹がそうして押さえられるなら、鬼角の先の形が少しあらわとなる。
それを撫でる指に、僅かに首を竦め喉をつめ。

「っ―――、恐れ、拒絶するは、仕方がない。それもまた、未知への人らしい反応。
 恐れ、…畏れるから、我の様なものが出来上がる。」

鬼角に、初めて他者が触れる。そのくすぐったい様な感覚にゆっくりと瞬きを繰り返すと、
首を竦めるままに、閉じかけた目蓋を持ち上げる。
其処にあるのは、我が子を見る人の子のような貴方の顔。妖怪には理解及ばぬ、楽し気な金の瞳。
不思議そうに見つめては、触れる事叶った両手で貴方の肩を掴み。

「君は思慮深く、懐が広いね。まるで師の様に、私に言葉をくれる。
 そこに、君の利はあるのか? それとも、君は利を得ずとも施せる種か?」

書物に触れるには肉体を現わさなければならないが、そうだとしても何かしらの方法はあるはず。
愚直に求めるこの妖怪に選択肢を与えるいくつもの言葉。
ゆらゆらと、頭上を不満気に舞う蝶の光が降り注ぐ中、華やかな金の瞳を改めて見つめ、素直な興味を貴方へと向けよう。

カミュ > 薄絹に触れる小さな頭、少し浮いていた其れを押さえれば鬼角の先が浮き上がる。
男は男の興味の赴くままにその角を優しく指の腹で撫で擦り上げて。

「人の様々な感情。 彼らですら、そして私たちですらその心に突き動かされる。 それは自然な事ですからね。」

と、小さく頷き応え乍ら鬼津のを摺り上げれば相手が感じているのはくすぐったさだろうか、首をすくめ閉じようとした瞼が持ち上がりこちらを見る瞳。

思慮深く師の様であるという言葉に男は穏やかなままに頷き。
角から指を離し、男の指先は相手の小さな頭の形に添って角から蟀谷から顎のラインをなぞり擽っていく。

「ふふ。 私も君と同じですからね。
未知を知る─。
君が魔法や魔術を学び何に使うのか、人を知りどうするのか。
君という存在がどのように進んでいくのか─。
様々な刺激に対してどのような反応を返すのか、そして、どのように変わっていくのか。
それを知るために、君へ私はいくらでも言葉を重ねましょう。
そして、それを君は只の施しだと思いますか?」

くすくすと笑いながらこちらに興味を向けタンザナイトの瞳を向けてくる相手の頬を包みその目じりを擽る様に甘く優しく撫でていく。

枢樹雨 > 硬質でありながら、触れられればその感触が伝わる妖怪の鬼角。
内向きに弧を描いた左右対称の其れは、布越しならば欠けひとつないつるりとした触感を貴方の指先に与えるか。

「……自然なこと?…それは、自然なことか?
 ―――君は、人の子の心の機微に触れ、心動かしたことが、ある?」

不思議な感触が角に残る。しかしそれをひとまず横に置くくらいには、貴方の言葉に意識が傾く。
首を傾ぐのは、先と同じ。けれど子供の疑問ではなく、僅かな困惑を灰簾石に乗せた妖怪は、
光の雪降る視界で再び貴方に問いかける。一度瞬きをすれば、光の雪は床に落ちることなく消えているのだが。

「君にもまだ、未知が?…いや、そうか。肉があれば他者と触れ合う。他者は変わり、そして絶え、また生まれる。
 ならば尽きるいつかなど、存在はしない。…私がこうして、君を知ろうとするように。」

こめかみを滑る指が、濡羽色の髪を梳き、すっきりとした輪郭を伝う。
頬に触れる手は、頭上を舞う蝶の様に温かいのだろうか。
眦に触れられた片目を少し細めると、頬にある手に指先で触れて。

「―――何が欲しい? 君の未知を、教えてほしい。」

同じと、貴方は言った。それならば、未知を知る機会を逃すわけもない。
己が貴方に未知を与え得る存在なのかは二の次。
妖怪は、貴方の思考という未知にもまた、貪欲に手を伸ばし。

カミュ > 薄絹越しに触れる妖怪の鬼角。
欠けも無くつるりとした感触を布越しに感じながら男の指は根元からこの外側の縁を先端に向けなぞりあがっていく。

「えぇ、人は時に感情が理性や、人としての様々なしがらみを越えさせることがある。 心を持つが故の事。
ふふ。 人の子の心だけではないですが─、ありますよ。
君もいつか誰かの心に触れて君の頃が動く事があるかもしれない。」

僅かな困惑を乗せながら問う相手に男はゆっくりと頷く。

「えぇ、まだまだ。未知は尽きませんよ。学ぶための頭と心を塞がなければ…。」

相手が男を知ろうとするという言葉に頷き。答えながら濡れ羽色の髪を梳き、すっきりとした輪郭を伝い形の良い顎を撫でてから、頬に触れる男の掌。
頭上を舞う蝶の温かさとは別の熱を持つ。
眦を擽ればその手に触れる小さく細い指先。
頬を包んでいた手を返し、自身の手に触れたその手を包み込み、片手を相手の腰の帯に触させてから、包み込んだ相手の手を男の方へと引き寄せる。

「今までの君を。 そして、学びによって、私によって、私以外の誰かによって君がどう変わっていくのか…。
君の心に人の優しさ、愛や、温もり、喜び、惨さや、苦しみ、悲しみや痛み、様々な刺激が触れどの様になっていくのか、今は君の全てが私の未知です─。」

相手が貪欲で有る様に男も貪欲である。
何が欲しいと問われれば、人の負の感情から生まれた相手が人を知り、様々な心と触れ合いどのように変わっていくのか、はたまた何も変わらないのか…。
男の腕に引かれ座る男の胸の内に包まれるのか、はたまた逃げるのか。

「君は何が欲しいですか?」

胸の内に有ろうと、逃げられようと、男は金の瞳でタンザナイトの瞳をのぞき込む様に見つめながら問いかけを向けるのであった。
二人の頭上で舞っていた蝶はその輪郭を崩し、余韻を残して消える光の粒を残し流され消えていく。
そんな蝶が消えれば二人の周囲を淡く浮かび上がらせるのは夕陽に変わり窓から差し込む淡い月明りが人ならざる者の瞳を輝かせる。

枢樹雨 > 貴方からも差し向けられた問い。
それに妖怪は、薄い唇を開いて―――…。

ご案内:「王都マグメール 王城2 「図書館」【イベント開催中】」から枢樹雨さんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 王城2 「図書館」【イベント開催中】」からカミュさんが去りました。