2025/03/28 のログ
ご案内:「王都マグメール 王城 回廊」にアイシャさんが現れました。
■アイシャ > 王城では夜が来るたびに様々な宴が催されている。
そして、今夜最も賑わいを見せていた宴席から続く回廊を歩く姿が一つある。
月光の下、銀色の髪を揺らしながら進むのは引きこもりと名高いイフレーア・カルネテル家の次女。
近頃は上の妹も自邸の外へと自発的に出かけるようになった。
それは姉である少女もまた同じなのだが、学生としての身分を持つ妹とは違う。
(……わたしだって、出来るもの)
独りで物を買いに行くこともできるようになった。
兄に付き添われながらも、遠出も経験した。
ならば次に自分にできることは何だろうと考えて、思いついたのが社交の機会を増やす事だった。
姉は専ら父や上の兄と同じく武芸の道に生きるほうに気が向いているよう。
直ぐ上の兄は交渉事にはたけているけれど、利がなければ自ら社交に出かけていくタイプでもない、と思う。
弟も学術一辺倒だし、出かけている気配がある母と末の妹もまた出かける先は選んでいる気がしていた。
だから、というわけではないが、それでも邸の中で人生の殆どを過ごしている自分にとっては、社交というのも一つの手段だと思ったのだ。
そして、その思い立った結果───と言えば聞こえはいいが、思い込みの強さゆえに今日はこうして宴席に珍しくも顔を覗かせたわけだが
(…でも、ちょっと、先走り過ぎたかしら)
成れない場所、慣れない会話、慣れない人たち。
途中までは本人比頑張って対応はしていたものの、結局疲れてしまった。
帰るわけではないけれど、少しばかり宴席とは違う空気を吸いたくなって、結果回廊へと抜け出してきてしまったわけだ。
■アイシャ > (せめて、母さまか兄さまに一緒に来て貰ったらよかったのよね)
下の妹が候補にあがらないのは、夜は子供は眠るべきだと思っているから。
もちろん、下の妹が一般的な少女の枠には当てはめられない少女だともわかっているから、本人が夜更かしなり夜に出かけていくのならそれは自分の咎めるところではない。
ただ、姉としてはやっぱり心配なので出来れば自邸の心地よい寝台の上でいい夢を見てほしいというのが本音ではあるけれど。
余り宴席から遠く離れてしまうと戻るのがきっと億劫になってしまう。
それは、少女なりにも何となく理解していた。
ちょうど回廊脇に現れたこじんまりとしながらも瀟洒なつくりの四阿をみつければ横道に逸れて、腰掛けて休息することを選ぶ。
本人が思っていたよりも大分疲れていたのだろう。
腰を落ち着ければ、深い疲労感に襲われて、長くて深いため息をつく羽目になった。
「…皆、どうして疲れずにあんなに笑っていられるのかしら」
社交の道は果てしない。
それを思い知ったとばかり、もう一つ長いため息が夜空に融けていく。
■アイシャ > 「……っ、…!」
くしゅん、と小さくくしゃみが一つ。
未だ春は遠い。
野暮ったいかとは思ったけれど上に羽織るものを持っていてよかったと思う。
ふわりとした柔らかさが肌を擽る外套も、黒い絹に飾りをあしらったドレスも新調したばかり。
いままで好んで着ていたたっぷりと布を使うタイプの装いとは少し違うもの。
新しく仕立てるにあたり、招いた仕立て屋に薦められた当初は戸惑ったものの、大人っぽく見えるの一言に負けて新調する一着に含めたものだ。
好みがあるとはいえ、今までの服装はたしかに少女の様相を更に幼く見せるのに一役買っていたのも事実だ。
(…ちゃんと、大人っぽく見えてるかしら)
三つ編みだけは結局そのままになったけれど。
化粧も、アクセサリーも、侍女たちがああでもないこうでもないと盛り上がりながら新しいドレスに合うようにしてくれた。
王女自身も、鏡で見る限りは、大丈夫だと思った。
けれど、それは自分から見る限りの話。
社交に長けた王族貴族たちからみたら、やっぱり子供っぽく見えてしまうのではないだろうか。
当然、はじめての社交場には知り合いもいない。
今までと、この今を比べて評価して、教えてくれる人はいないのだ。
そう思うと、やっぱり独りで来るべきではなかったのかもしれない。
ため息は、もう一つ夜空へと融けて行って。
■アイシャ > けれど、ため息をつくばかりが社交ではない。
それくらいは王女本人もわかっている。
「……もう少しだけ、ね」
本来、社交とは頑張って行うものではないのだろう。
けれど引きこもり歴も両手を折り返しているとなると少しは頑張らなくてはならないのだ。
少しだけ気合を入れるかのように勢いよく立ち上がると、余って前につんのめりそうになってしまったのをどうにか細い踵の靴で耐えてみせる。
回りで、自分の恥かしい有様を見ているものがいないことをきょろきょろと見まわして確認したあと一つ咳払いをして回廊へ。
来た道を道を戻り、再び宴席へと姿を現せばまずは最初に給仕を捕まえてホットワインがほしい旨を伝えるところから始まったわけで───。
ご案内:「王都マグメール 王城 回廊」からアイシャさんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 王城」にロイナさんが現れました。
■ロイナ > まずもって、普段なら訪れることの無い王城。
そこに足を運んでみようと珍しく考えた理由は、なんてことはない。
夜ごとに、あるいはことあるごとに宴が催されていると巷に聞く王城内がどんな風になっているのか気になったから。
加えて、知己の淫魔が城内に潜り込んでいる──と聞いたからだ。
要は「知り合いに会う為」ということ。
「ほ~~~ぉ……」
思わず感嘆めいた溜息が零れ落ちる。
増築・改修を繰り返し巨大になった王都の城は、思っていたよりずっと荘厳な趣をもって佇んでいた。
ややも場違いな服装をした少女が、城内の廊下をうろつく。
偶にすれ違う騎士が怪訝な顔をして此方を振り向くのは気になるが、気にしなければいいだけの話…
ご案内:「王都マグメール 王城」にロイナさんが現れました。
ご案内:「王都マグメール 王城」にロイナさんが現れました。
ご案内:「王都マグメール 王城」にロイナさんが現れました。
ご案内:「王都マグメール 王城」からロイナさんが去りました。