2024/06/21 のログ
■メイラ・ダンタリオ >
王都に滞在して、通常よりも日数が増している日々。
タナールやアスピダへの物資と人材に関する相談や、何時頃赴くのかの確認
役に立たない貴族が赴くことはない だが中には、タナールの様に負けそうなら逃げればいいと
そう安易に兵を前に出して逃げることを考える、青いとは呼べぬ血を通わせた者らのタナール行
これに対して反対意見と、通じぬ場合は拳を以って収めようとする破天荒さ
メイラというダンタリオの立ち方の前には
蒼い血も 爵位も 貴族も 全て関係がない。
王城内はそうしてみると、意外とやることが多かったのだと思いながら現在。
―――“王城 稽古場 屋内敷地”―――
道場とはやや違う屋内用の稽古場
壁には模擬剣や槍 木剣など多数用意されている空間の中
木偶人形に着せた鎧姿を効率的に破壊する方法や、魔族の皮を被せた状態が如何に硬いか
それを示すように粗悪ながらもタナールでの戦利品か、“鞣革”にくるまれた木偶などが伺える。
腰に大刀二本を今は刺さず、それは台の上。
身幅のある木剣で両腕に対し、時間をかけて一振りを行う練りの動作
格上との対人戦に加え、魔術を行使された場合の対処
痣 腫れ 火傷 今のメイラの体は実に傷が増えていた。
瞼の腫れといった不細工面こそ晒していないものの、半袖スタイルとなった夏服姿
白いテーピングガーゼで包まれた頬や腕の様子
無駄にポーションや術に頼らず自然治癒と栄養
千切れた筋肉をより強靭にしてみせるといった気概が見える。
「―――ん?」
対人稽古を数人の格上やベテラン同輩と見ていると、声を掛けてきた騎士見習い
伝言役を任された若い見習いは、体の痛みと熱で火照りを持て余すメイラに
まだその圧に慣れないように体を硬くして用件を伝えた。
「…、…少し席を外しますわ。」
数人と、この広い稽古場から出るつもりはないものの、用件を伝えてきた見習いが、訪問者をこちらへ
そう、大きな荷と共にやってくるだろうか。
■イーヴィア > (大きな荷物。 本来なら人二人程で抱える物であろう其れを
軽々と背に抱えながら、男は目的の場所へと向かう
見習いで在ろう若者に声を掛けられれば、連れられる儘に歩みを進め
其の先に、今回の目的で在ろう客人が居るのを目にすれば
片掌を掲げて気安い声を掛け――た後で、曲がりなりにも此処が王城である事を思い出し
念の為――礼も出来ぬ鍛冶屋であると言う風評も面倒故に――一礼をして置こう。)
「だーいぶ、遅くなって申し訳ない。
熱が入っちまったら、細かい所が気になってな。」
(背負った木箱は縄で括られて居る。 其れをその場に降ろせば、縄を静かに解いて行く
其処に何が入って居るかは、今となっては説明しなくても判って居るだろう
ただ、其の中に入って居る物は、相手が知る其れ迄の姿とはまた異なる物だ
――製作物に熱が入って、納期が少々遅れる、と言うのは本来あるまじき事なのだが
其の都度については途中で伝達をし、許可を得ているから、良しとして貰いたい所。)
「……で、如何する。 ……此処で良いのか?」
(ひとつ――木箱を開封する前に、念の為聞いて置く
少なからず人目が在る場所では在ろう。 其れを気にしなくてよいのならば、此処で開封するが
如何するか、と。 其処は、相手の意向に任せる心算だ。
別に、他者の目に触れて困る様な物では無いが。
――熱を注いだ結果、其れは。 存在するだけで、見た物を気圧すかも知れない。
周囲を軽く見まわせば、この場に見慣れぬ鍛冶屋の姿が在ると言うだけで
多少なりと、奇異の目は注がれるであろうから)。
■メイラ・ダンタリオ >
稽古場は広い
況して、それが武具なればここでそれらを開示することをメイラは否定しない。
周囲は、稽古をしながら赤毛の男性とメイラの関係性が気安くも、メイラ自身
王以外は皆平等 その精神性と在り方のせいで違和感はないものの、メイラ自身その傷と痣の表情から
信頼と安らぎを混ぜた笑みで返し、木剣というには大きなそれを見習いに持たせ、カーテシーで返す。
二人が少し特別な間柄なのだろうと理解し、武具に関するものと分かれば興味はやや濃くなる。
男も女も騎士であり剣士であり武を交えるのなら、それらに興味がないとは言えないだろう。
「―――ごきげんようイーヴィア 貴方の満足いくまでわたくしは待つと決めましたもの。
況して、止まり変わらぬ今の現状では猶更。」
これが一昔前なら、一度か二度か顔を向け経過を知りに行っていたかもしれない。
鎧無ければ何もできないのかと問われても、変わらない。
やや長めの王都滞在もこれを切っ掛けに終わりを迎えるだろう。
タナールで鎧に穴を穿たれてから、いつもよりは、長い休みだった。
カツンとブーツメイルの爪先で床を叩き、カーテシーを終えて自らをただせば、大荷物を軽々と背負う姿。
材質と族性から違和感ないものの、此処でいいのかと言われるとクスリと笑みをこぼす。
「あら、豚が鼻を鳴らす小屋で広げるほど悪趣味じゃありませんわ。
ここは剣撃の場でしてよ なら、充分でしょう。」
同意をしてしまえばそれはイーヴィアに、余計な害意が降りかかる。
故に同意はしなくてよいと手を広げて見せてから、メイラは両手と両足
黒い一張羅に身に付ける四肢の装甲を外し始めるだろうか。
隠すつもりも、目立つつもりもない。
目の前に鍛冶師であり、メイラの武具の一端どころか、複数を担う輩が来ているせいか
注意力が散漫になり始めた若手含める剣士達。
型と稽古を行わせる傍ら、数人が様子を見に来たのにメイラもまた、自前が戻って来たことを告げる。
「〇〇、髪を結ってくださる?」
知己の一人 同性に声を掛ければ、長すぎる黒髪を一条の三つ編みに結わえ始めるだろう。
やがてそれは、荷を解き、全身を魅せる黒い外装にトラバサミのような白い歯を零しながら
ギュッと結ばれた三つ編みの付け根と、尾の先端の接続によって動きやすくなっただろうか。
礼を述べるメイラに対し、目の前の外装に対して腰回りのロングスリットを取り外す。
そうすると、半袖と短パン姿という鎧の中着としては軽装ながらも、成立した姿になるだろうか。
■イーヴィア > 「―――そうかい。 なら、せめて待たせた分の仕事は保証するさ。」
(相手が、この場に居合わせる事を良しとするなら
或いは、多少なりと其の教導をする相手ならば、問題無いのだろう
在る程度は信用出来る相手だと判断して、再び箱の封を開ける作業に入る
――その折に聞こえた、独特に言い回しに。
恐らくは――否、深くは考えない方が良いのだろう言葉に
微苦笑を零してから、精々肩を竦めるに留めて置こう
此処が己が店たる鍛冶屋ならば兎も角、曲がりなりにも王城の中
流石の己も、下手な発言は死活問題である。 ……社交は出来るのだ、此れでも。)
「着けるのはこっちでやる。 付き人さん達は、遣り方を見ててくれ。
まぁ、そんな難しい構造じゃ無いから大丈夫だが…。」
(箱に取り付けられた簡易の金属錠を外し、蓋を開く
中に収められている金属鎧は、其の形状こそ大きく変化はない
付き人や、女騎士に追従した事の在る物なら、其の鎧姿は眼にした事が在る者も多いだろう
――だが、其処に施された加工は、まるで異なる
一見すれば、修繕ではなく、寧ろ破損して居るのでは無いかと誤解されそうな表面の紋様
鎧表面にびっしりと施された、気が狂いそうな程の細かな手作業に依る溝彫り加工は
遠目からでは判らず、されど、目を凝らせば其の違いを理解出来よう
そして、其の溝は一定の規則性を以て全てが繋がり、首筋から胴部までを網羅して――)
「――――前回、うちに来た時の案を実際にやってみた。
勿論、いきなり本番じゃあ効果の程が怪しいからな、仮の木偶鎧を作って、試作加工してたのさ。
効果については確認済みで、今までの性能にも勿論、影響はない。
……嗚呼、其れと。 要望に有った留め具の類も改良してる。
単純に強度を上げたってのも在るが、負荷が掛かり易い部分の形状変更と、位置の調整だな。」
(――其れが何を意味するか、周囲の付き人や若者には分るまい
鎧立てに通された其れを、箱から取り出して自立させれば
先ずは其の胴部を取り外して、相手の元へ向かおう
一見よりも相手の場合は――身に着けた方が、感じられる物も多かろう、故に)。
■メイラ・ダンタリオ >
継ぎ接ぎや間に合わせとは違う。
専用のサイズで拵えられた武具。
厚着する必要もなければ、無駄な調整もいらない。
その流れる青い血とおぞましい血の数多 ブレンドされたものが停滞させた今の若さ
ただ強さだけが増していく そもそも生ぬるい環境であれば錆びつくこともあれど、贅肉もない変わらなき姿。
周囲が、以前タナールとアスピダで着こんでいた時とほぼ形状は変わらない。
穴を穿たれ、自己再生するという鎧の特性から瘡蓋状にとりあえずは塞がっていた部位
其処も今では元通りだろう。
だが、鎧の表面はそれぞれ一枚の鋼と複数の蛇腹が組み合わさった全身甲冑としてあったものの
その表面は冷たい色味を帯びていたのに今ではどうだ。
表面は無数の小さな凹凸の彫りこみが備わり、依然受けた損傷をメイラの技量と身体だけではなく
こちらでもなんとかしたいと要望したイーヴィアと、又ふとした話から生まれた造形だった。
鎧を接続する部位と、四肢に身に帯びる際のベルトなど、また一つ工夫を重ねたらしい。
イーヴィアにとっても、これは大業物の部類であれ何度も手を加えるという経験はなかっただろう。
胴 肩口 腕 腰回り 脚 取り付けられていくそれは普段の装いの上とは違い、金属の冷たさが若干感じられる。
しかし、気にも留めず着せるといったイーヴィアに任せ、全身が黒みを帯びていく姿をベテランも若手も、視線をやった。
「ふふ、身が引き締まる思いですこと。」
お帰りというように、鎧を撫でる五指。
全身を身に付けていく過程で、ふとした出撃の際、手伝いを入れるのは至極当然だ。
着こんだままとは違い、脱いだ時の急く際はまたお浚いは必要だろう。
イーヴィアが拵えた狂獣の革で設えたマントもまた、中心で分け目をつくり
その鎧に対しバサリと降りるだろうか。
全身が、黒に染まっていく。
最後に兜を手ずから確認すれば、ガチンッと頭部上辺を下ろしてしまえばそこには三つ目の額玉
赤いそれが埋め込まれ、乱杭歯が反り返った異国の異形が女型を象って現れるはず。
■イーヴィア > (――敢えて。 鎧を地肌で感じて貰うのは。
勿論実際の戦場では、そう行う事は在るまい
だが、この鎧に施された物を体感するには恐らく――其れが、一番良い
ひと揃いの鎧を身に付けさせ、目前に現れる黒騎士
戦場に絶望を齎す黒き獣の其れは矢張り、兜を纏う事で完成し
周囲に言い知れぬ畏怖と威圧を与える事だろう
だが、鍛冶屋は其れを気にも留めずに、兜と鎧との接触点を確認する
――鎧側から首筋に伸びた溝が、兜へと接触して居る
異形で在る兜の側にまで、其の溝が繋がって居る様にも思わせよう
一度鎧から離れ、其の全景とバランスを目視で確かめながら。)
「………動きに問題が無いかは、確かめて置いてくれ。
流石に、例の機能まで、此処で試す訳には行かねぇだろうからな。」
(――完装した異形の騎士を目にするのは恐らく、此れが二度目
一度目は戦場で。 その本来の姿をしかと目に焼き付けている
其の一度目と、感覚が変わらぬならば良し。
改善されたならば尚良しであるし、其処で何か、相手に気付きが有るならば、一層の改善も見込めよう
以前よりも、接合部の部品を改良した事により、関節部の動きに対する違和感は減った筈だ
鎧を着込む事で、大小起こり得る運動性能の低下を最低限に留め
女自身の、人の枠をとうに超え、怪物となり果てて居る其の膂力を
十二分に生かし、護る為の、精密精細な鍛冶技巧
――其れが最も感じられるのは、きっと
各部位の接合部へと、肌や肉が挟まり不快感を与える事が無いと言う
金属鎧としては、有り得ぬ稼働機構にこそ、現れて居る筈だ。)
「……嗚呼、素材は変わってないからな。 あくまで、其の物を改良してるだけだ。」
■メイラ・ダンタリオ >
全身を着こみ、その視界は兜の内側からとなる。
異形の女兜から発せられる呼吸が小さく聞こえる中で、全体的に鎧が頭から爪先まで覆うことによる
その女の平均身長より高く思わせていた姿は一回り大きくなっている。
両手を開き、五指に纏う黒鉄 爪先 黒真銀が全身に身を帯び、微量に感じる魔を吸われている感覚。
表面に施されたのは術式ではない
物理的なとある手段による加工品となっている手製
そう、全身に新たに一手加えた造形の慣れの果て。
結果を見てみると、己には付ける過程で見ていた全身の黒い肌地を確かめているせいか
右腕を目の前で拳を造って見せる。
それも本気で握り拳を造るように、その腕から指先 握力と力瘤は鎧の内側から膨らみがくる。
多少の広がりを見せながら、可動域も損なわず鎧と繋ぎ目 固定具に至るまで
以前よりもまともに機能しており、しかし締め付けるのではなく自然と合わせて浮いていた。
「ええ、問題ありませんわね。
足回りも、こちらもよくってよ。」
片足ずつ、I字のように伸ばして浮かせてみせる
股関節廻りと鎧の動きに阻害はなく、それは足を上に持ち上げて攻撃するよりも
まるで獣のように飛び掛かるかのようにみるべきか。
こちらというのは、背中のこと。
メイラの意思に反応し、背中から生えている尾
平たい両刃が連なる背骨のように見える剣尾が持ち上がるかと思うと、ゆらりと動いた。
マントの深いスリットによってもたらされる第三の腕
まるでキマイラの蛇尾のように、カチリと切っ先を持ち上げて魅せると、ダラリとまた垂れさがるか。
「それにしても、兜を含めよくここまで。
血管…、…好く言えば、雷撃傷のようですわね。」
それは鎧を全身に、もしくは剣を携えるものが自然災害で一度見た事があるものはいる。
雷を身に浴びて出来上がる、文字通りの雷鳴型の火傷が細い線が無数に広がり身に帯びた火傷痕だ。
雷撃傷と言うこの火傷、全身の無数に奔る溝を想うと、そちらの方が男の心をくすぐるかもしれない。
「血に飢えた鎧というよりも、雷を感じてしまうのは―――
わたくしが混魔のせい? ふふっ 四凶といい貴方はわたくしの肌に合う物を造ってくれますわね。」
鵺という怪物の背景ように、まるで雷が全身に刻まれたかのように思える溝彫り。
本領を発揮するのは、やはり戦場ながら十分に満足していた。
「この黒鎧も、こうなるべくして成ったのでしょうよ。」
向かい合って、異形の女兜超しに笑むのが幻視されるようなメイラの声。
■イーヴィア > (相手の肉体に合わせて誂えられた物だ。
寸分違わぬ計測と調整により、鎧は紛う事無く外骨格とも言える"もう一つの肌"となる
其の肌に浮かび上がる幾重もの"傷跡"が、雷に撃たれた物だと評されるなら
成程、得てして妙だと納得もしよう。
胴部を駆け巡る雷は、今はまだ其の真価を見せる訳では無い
だが時が来れば。 黒騎士が戦場へ立つ、其の時が訪れれば
獣は、其れ迄とは異なる、真の異形たる姿と化して地獄を産むであろう
女の身から僅かに魔力が鎧へと吸われるならば
もしこの場に、多少なりと眼の良い者が居れば或いは
鎧の溝へと、まるで血脈の様に魔力が浸透して行くのが分かろうか
――まるで、呪われた鎧の様だ。
命を喰らいながら、魔力を血脈を吸いながら、荒れ狂う魔獣に
呪われたかの、如くに。)
「……御前さんに合わせて作った物だからよ。
御前さんが得た印象ってのが、何よりも正しいんだろうさ。
……不思議なもんだ。 元の形じゃあねぇってのに、だ
初めから、こう在るべきだったと思っちまうんだからよ。」
(血が通うと言うべきなのか。 ……いや、本来はもっと別の意味であろう
だが、恐らくは之こそが、この鎧の正しい在り方なのだ
兜の奥――嗤う女を幻視する。
今にも其の咢を鳴らして、笑い声が兜の口元から響き渡りそうにすら
女の動作に一層馴染み、"付いて来る"様になった鎧は
鍛冶屋である己からの、とても単純な意思表示が込められている
暴れよ、と。 全てを薙ぎ払い、退けよ、と。
鵺、と言う魔獣は、雷すらも其の身に纏ったと言う
ならばこの鎧は鵺其の物。 黒騎士を、怪物たらしめる唯一の
―――戦化粧、だ)。
■メイラ・ダンタリオ >
何もなかった滑らかな表面 黒真銀の肌が、こうして互いで雷のようと受け入れてしまったことで
これはもはや雷撃傷のように見えてしまって仕方ない。
全身鎧に奔る脈打つそれ 異形の女兜から始まりこう在ってしまったせいか。
無駄に余計な能力や付与を嫌い、物理的な処置のみで向上を図ったというのに
思ったよりも肌に馴染んでしまった結果 前回よりも互いにしっくりとくるようになってしまっている不可思議さ。
運命的といってもいい。
「鍛冶師冥利に尽きるのではなくて?
制作者としては、意図的にしたほうがいいのかもしれないけれど
こう在ってしまったように造ってしまった結果もまた妙味ですわよ。」
騎士見習いが、傍で腰回りと鍛練用の身幅がありすぎる木剣を支え持ちながらも
呪われているかのような全身の黒みと、その身に無数に奔る分列していく雷撃のようになっていく彫り
蒸留貴族の彫刻入りの鎧とは違う 戦の為の彫は雅さの欠片もない。
悍ましくも無駄がない、それもメイラがメイラらしく戦うことで真価を発揮する。
鎧の中で響く篭った声
それでふとしたように呟いた言葉には、互いに何度か呟いていたものだった。
「貴方、“血に飢えた鎧”とか考えて言ってましたけれど、“雷獣の鎧”としましょうか。」
大層なものではない 混ざり者に対するもう一つの肌と思えばこそ
此の身 此の鎧 等しく獣ならばそれが正しい。
ガチンッと上部が開き、異形の女兜から霞仕上げのような赤い瞳と、白いギザ歯
黒く澄んだ前髪が小さく乱れながら、陶磁のような肌を覗かせる。
「ヴァルケスの黒鎧という名称以降、定まっていませんでしたもの。」
ね?とウィンクして見せると、イーヴィアもまた反対する意思はなかっただろう。
正式なこの大業物の名称を、雷獣の鎧とした。
「こんな混ざり者の身は丁度いい。
もう血からして誰でもないようなわたくしにはぴったりですわ。」
両手を頬に添え、赤い瞳を細めて笑む。
雷獣 混合獣 千の貌 四凶
いくつもの混ざり者を帯びるメイラの中に一つまあ増えた喜びを表しては、その日大枚がまた支払われるだろう
無論、その場でやるよりも店に届ける形になるだろうが、イーヴィアの熱意と仕事振り
それらが周囲に伝達されながら、ヴァルケス工房の名がまた一つ上がっただろうか。
ご案内:「王都マグメール 王城 訓練場」からメイラ・ダンタリオさんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 王城 訓練場」からイーヴィアさんが去りました。